【R18】忘却令嬢はあなたの記憶に残りたい

麻麻(あさあさ)

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4話 デートと打ち明け話

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彼の領地にある花畑がある自然公園ならミメットも一緒で大丈夫だとピクニックをする事になった。

ミメットは相変わらず気持ちよさそうに私の膝から離れない。

フェリックス様がどかそうとするが嫌がられる始末だ。

肩を落とす彼を慰める。

「私は重くないから大丈夫ですよ」

そう言うが彼の気は晴れないらしい。

(どうしよう・・・)

どうしたら機嫌が直るかと悩んでいると
「すまない。
大人気ないな。猫相手に嫉妬して」
と彼が呟く。

舞踏会で大人っぽく振る舞っていた彼とは大分違う反応に驚く。

「フェリックス様は可愛いらしいんですね」
「そんな事、初めて言われたよ・・・」
また彼が肩を落としたので生意気な事を言ったかしらと思ったが彼は私にサンドイッチを取るようにお願いされたので、言われた通りにすると私の手から一口食べて少し機嫌が良くなったみたいだ。

「はしたないですよ」
「あえてそうしてるんだ」

そう言葉にされるとまたこの間みたいに私の顔は熱くなると満足そうに彼は笑った。

互いに目が合い唇が重なった。




しかし帰り際、私は正気に戻った。

(加護の力の事をフェリックス様に言わなきゃだわ!)

少なからず、婚約者には嘘はつきたくない。

無言でいると彼は察したのか
「どこか悪い?」
と聞くが違う。

私は意を決して彼に伝える事にした。

「フェリックス様、私がもし呪いを使えたらどうしますか?」

脈絡がなく意外な事を聞かれた彼はポカンとしていたが
「アリアは呪いたい人がいるのかい?」
と聞かれた。

「いいえ」
そんな人いない。

敵意と勘違いされて誤解なんてされたくない。

「だろ?」
「でも、人を不幸にするかもしれないんです」

姉達の力の事、私自身とどれだけ違うか。
私の力を使いすぎると逆に機嫌な目にあうかもしれない事を伝える。

「幻滅しましたか?」
頭がおかしい。
もしくはからかわれたと思っても仕方がない話だ。

「いや、確かに信じ難いけど君の姉達に会ってみたくなったよ」
まだ彼は半信半疑。
今言える感想を言っただけだ。

するとガコッ!と急に馬車が止まった。
「どうしたんだ?」

フェリックス様が馬を引く御者に聞くとどうやら馬の足に大きな石が挟まって痛がっていた。

私達は一旦馬車を降りる。

御者は馬の蹄に詰まった石を取り除こうとするがヒヒン!「痛い!」と馬は泣いてるようだ。

そっと馬に手を当てるとフェリックス様や御者に危ないからと離れるように言われる。

しかし私は横にいる彼だけに聞こえる声で呪文を唱える。

「今だったら石が取れるはずです」

御者に言うとその通りになりフェリックス様は信じられないものを見た目をしていた。

(嫌われたわ)
試したのは自分だ。

でも婚約するなら嘘は付きたくない。

馬車は再び動き出す。

また、最初の縁談の席みたいに互いがシンと無言になる。

ミメットは相変わらず呑気に私の膝で寝てる。

すると隣にいた彼は私の肩に頭をコテンと乗せた。

「!?あの・・・フェリックス様」
突然どうしたのかと問う。
「いや、だって君が願うと痛みが緩和されるんだろう?
ミメットが懐くわけが分かったよ」
この間怪我を治してもらったからミメット、寝てないで礼をするんだと彼は愛猫に言い聞かせる。


「フェリックス様・・・、ありがとうございます・・・」
こんなにすんなり受け入れてもらえて嬉しくて涙が出る私の頭をミメットにするように撫でてくれた。


それからは仲は急速に深まり、私達は晴れて夫婦になった。
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