9 / 16
8話 魔法使い伯爵の領地へデート?
「どうした暗い顔をして?」
帰りの道中、アロンは私の顔色を伺う。
自分の事も分からないけどアロン、デミトリアスの事を私は何も分かっていない。
「あなた自分の領地はどんなとこなの?」
「なんだ急に。
そんなに僕の事を知りたいか?」
からかっているのか恋の駆け引きなのか分からない質問返しについムッとして
「べつに!
ただ、素性の分からない人を雇うのはどうかと思っただけよ」
と返す。
「まあ、確かにそなたからしたら僕はただの怪しい男と思われても仕方ない」
「今更?」
ここに来てやっと私の話をまともに取り合ってくれた気がして胸を少し撫で下ろした。
「よし。まだ昼過ぎだからちょうどいい。
今からそなたに我が領地を案内しよう」
アロンはいきなり私に提案する。
「今から?
そんな急に言われても困るわ!
私、着替えとか何も準備してないしギルや屋敷の者達にも何も言ってもいないしー」
そう言いかけるとアロンは私の口に指を当て
「僕を誰だと思っている?
魔法使いだと言っているだろう。
長距離移動くらい魔法で容易くできる」
そう心配するなと言う。
「今から行って夕方にでも帰ろう」
まるで遊びに誘うかのように提案する。
「できるの?」
「僕を舐めてもらっては困る」
そう言われたら私は断る訳にはいかない。
そうして一旦、馬車には街外れに送ってもらい、私とアロンは日が暮れる前にまたこの場所に来るよう
御者に伝えて別れると人の気配がない場所へ移る。
そしてある大木の前に来るとアロンの姿から変身を解いたデミトリアスが呪文を唱えてしばらくすると
突然、何もない林だった場所が瞬きをするとカラフルな街並みが現れた。
不思議な事にはこの場所には初めて彼と出会った時に見えた蛍みたいな光が昼なのにところどころに浮かんでいた。
「それは魔力の粒だ」
不思議がっている私にデミトリアスが答える。
「魔力の粒?」
「僕の周りにもあるだろう?」
そう言われると彼の周りにはいくつかの粒が舞っていた。
「ここは魔法使いが住む街。
すなわち僕みたいな者が多く住んでいる。
だからその分、その数もここでは多い訳なんだ」
「へえ。
じゃあ、田舎に行けば少なくなるのね。
あなたが住んでる場所はどうなの?」
「僕が住んでる屋敷はここから離れた場所になる。
まあ、そこには後で案内するつもりだったがそなたはどちらから行きたいか?」
「選んでいいの?」
「かまわんよ。
どうもそなたといると街で声を掛けてくる子どもに見えてしまう」
「どういう意味かしら?」
一応、貴族教育を受けた淑女よと言いたいがそういう事じゃないらしい。
彼はやれやれとため息を吐いて先を歩く。
「待ってよ。
選ばせるって言ったじゃない!」
アロンの時は私の後に着いていたわよと小言を言いながら彼に追いつこうと私は歩みを進めた。
♦︎
魔法使いの領地は何もかもが新鮮だ。
「これ、すごく美味しいわ」
カフェのテラス席でケーキセットに舌つづみをした。
「ここはこの街で指折りの喫茶店だからな」
「当たり前だけど、この領地はみんな魔法が使えるのよね」
私はさっき、魔法を使って空中でポットからお茶を淹れてくれたウエイトレスを見て改めてここは本当に魔法使いの領地だと実感した。
「ああ。
皆各々が得意とする事を研鑽し、魔法の腕を磨き商売をしたり仕事をしている」
「へえ。
確かあなた副業で占いをしていたんだったかしら?」
なんでもこなす彼をこの際だとからかう。
「なんだ占ってもらいたくなったのか?
金貨は持ってきたのだろうな?
この間も言ったが恋愛運は良くないぞ」
「なんでよ!
そもそも私、恋愛運を見てなんて頼んでないし」
「しかし図星だろう?」
「うう・・・」
悔しいけど言い返せない私はケーキを食べ終え、デミトリアスとお店を出た。
♦︎
「ここが僕の屋敷だ」
「わあ!」
目の前の黒い真鍮の門の奥には白亜の豪邸があった。
広い庭の花壇には季節の花が咲いていた。
そして更に私を驚かせたのは正面の入り口にいたたくさんの召使い達だ。
彼らは人型だがシルエットが光ってるだけにしか見えない。
しかしデミトリアスが今帰ったと言うと光るシルエットはきちんとお辞儀をする。
「彼らも全て家にかかってる代々ある魔法だ。
僕以外の家でも貴族なら使える」
「家にかかった魔法って、一体誰が?」
「さあ?この屋敷を建てた時に先祖がかけたと父や母が言っていたような」
「そういえばあなたご家族が家にいるんじゃない?
急に来てよかったのかしら?」
「心配ない。
両親は鬼籍だからな」
「心配ないって」
なんだか申し訳ない事を聞いた気がした。
「ここには客以外なかなか来ないからそなたは久しぶりの客といったとこだろうか」
「何よそれ」
心配して損したと思ったが彼が気を遣ってくれたのだろうか。
私は彼と召使いと応接間に通された。
♦︎
「では、久しぶりの客の相手をしよう」
しばらく屋敷の使いが淹れてくれたお茶を味わった後、デミトリアスはからかうように占いを開始した。
「ちゃんと占ってよ」
「分かっている。
今回は手相にしよう。
手を出してくれるか?」
「こう?」
私は両手を出すと彼は私の手を取りジイっと見る。
「どう?」
「よくも悪くも優柔不断だな」
「もっと具体的にお願い!」
そんなのありきたりだ。
「知能線が下向きだ。
一緒にいる者の影響を受けやすい。
よってそなたのパートナーや友人になる者は誠実な者が良しとする」
(うっ!友人はともかくパートナーの事は耳が痛いわ)
「他は?」
「金星丘の真ん中にほくろがある。
結婚生活が上手くいっていない証拠だ」
「そんな事も手相に出るの!?」
「ああ。
他の客でもそうだが実に色々な事がある」
「悪い事ばかりね。
アドバイスとかないの?」
「そうだな。
結婚線が2つあるだろう」
「2回結婚するって事?」
「まあ、その可能性もあるという事だ。
なんだそなた手相を独学していたのか?」
「たまたま気になって占い本をかじっただけよ」
「なるほどな。
まあ、そもそも恋愛なんて己に自尊心があれば悩まない」
「何それ?
占い師がお客に言う事かしら?」
「大抵僕のとこを訪れて複雑愛で悩んでる者はみな1人になるのを恐れている者が多い」
彼の言葉にギクリとする。
『あなた、こじらせてるわよ』
さっきのエミリーの言葉を思い出す。
私の両親は優しかったし良くしてくれた。
でも互いを本人がいない場所で罵り合っていたのも事実だ。
気の利かない父様には母様が
「あの人ったら本当に分からない人」
そんな溜め込む母様に父様は
「すぐに癇癪を起こすな。
煩わしい」
離婚こそはしなかったものの私は2人をいつも夫婦なのにどうしてと疑問視していた。
でも今なら分かる。
私がいたから離縁しなかったのだ。
分かってる。
デミトリアスの言いたい事が。
「でも、しょうがないじゃない」
私は何に対して言い返してるのか分からなくなった。
ただ分かるのは涙が溢れ出して頬をポタポタ伝う事だ。
「ーっ!すまない」
彼にハンカチを急に渡され涙を拭く。
そうしていると彼はトレーとカップを持っていき部屋を出ようとしていた。
「どこに行くの?」
「キッチンだ。
なあに、すぐに戻ってくる」
デミトリアスは私の頭を子どもをあやすみたいに撫でるとそのまま部屋を出て行った。
「お茶なんて魔法で淹れていたじゃない」
メイドに淹れてもらえばいいのにとも思ったが。
(急に泣いたから驚かせたかしら?)
彼が戻ってきたら平然としとかなきゃと私は思った。
♦︎
落ち着くとしばらくして彼は私に新しい紅茶を私に出した。
「気を遣わせたわね」
「いや、僕もすまなかった。
それにそなたの意見も分からなくもない。
両親は両方とも鬼籍だが僕だって生きていたら縁談があってもおかしくないからな」
「そうよ。
結婚は家のつながりよ」
「否定はしない。
でも、相手が己を不当に扱うなら実家にでも帰るなり長く続くなら別居なり何でもするといい」
「離婚しろとは言わないのね」
「今はクライアントだからな。
占いでもない、長く生きた経験者のアドバイスだ。
まあ、僕は今まで結婚した事はないがな」
「ふふ、何それ」
適当な彼の発言につい笑ってしまう。
「やっと笑ったな」
彼もさっきの反省顔からやっと笑顔になったみたいだ。
「そうそう、そなたは僕にした方が幸せになると名前占いでは出ている」
「また、調子のいい事言っちゃって。
前から思っていたけどあなたってナルシストよね?」
「今更だな。
まあ、すぐにとは言わないよ」
(え、口説いたのは本気なの?)
てっきり笑って冗談だと返されると思っていたのに。
私は彼の屋敷を出た後も、なぜかずっと彼の言葉が真意をずっと考えていた。
帰りの道中、アロンは私の顔色を伺う。
自分の事も分からないけどアロン、デミトリアスの事を私は何も分かっていない。
「あなた自分の領地はどんなとこなの?」
「なんだ急に。
そんなに僕の事を知りたいか?」
からかっているのか恋の駆け引きなのか分からない質問返しについムッとして
「べつに!
ただ、素性の分からない人を雇うのはどうかと思っただけよ」
と返す。
「まあ、確かにそなたからしたら僕はただの怪しい男と思われても仕方ない」
「今更?」
ここに来てやっと私の話をまともに取り合ってくれた気がして胸を少し撫で下ろした。
「よし。まだ昼過ぎだからちょうどいい。
今からそなたに我が領地を案内しよう」
アロンはいきなり私に提案する。
「今から?
そんな急に言われても困るわ!
私、着替えとか何も準備してないしギルや屋敷の者達にも何も言ってもいないしー」
そう言いかけるとアロンは私の口に指を当て
「僕を誰だと思っている?
魔法使いだと言っているだろう。
長距離移動くらい魔法で容易くできる」
そう心配するなと言う。
「今から行って夕方にでも帰ろう」
まるで遊びに誘うかのように提案する。
「できるの?」
「僕を舐めてもらっては困る」
そう言われたら私は断る訳にはいかない。
そうして一旦、馬車には街外れに送ってもらい、私とアロンは日が暮れる前にまたこの場所に来るよう
御者に伝えて別れると人の気配がない場所へ移る。
そしてある大木の前に来るとアロンの姿から変身を解いたデミトリアスが呪文を唱えてしばらくすると
突然、何もない林だった場所が瞬きをするとカラフルな街並みが現れた。
不思議な事にはこの場所には初めて彼と出会った時に見えた蛍みたいな光が昼なのにところどころに浮かんでいた。
「それは魔力の粒だ」
不思議がっている私にデミトリアスが答える。
「魔力の粒?」
「僕の周りにもあるだろう?」
そう言われると彼の周りにはいくつかの粒が舞っていた。
「ここは魔法使いが住む街。
すなわち僕みたいな者が多く住んでいる。
だからその分、その数もここでは多い訳なんだ」
「へえ。
じゃあ、田舎に行けば少なくなるのね。
あなたが住んでる場所はどうなの?」
「僕が住んでる屋敷はここから離れた場所になる。
まあ、そこには後で案内するつもりだったがそなたはどちらから行きたいか?」
「選んでいいの?」
「かまわんよ。
どうもそなたといると街で声を掛けてくる子どもに見えてしまう」
「どういう意味かしら?」
一応、貴族教育を受けた淑女よと言いたいがそういう事じゃないらしい。
彼はやれやれとため息を吐いて先を歩く。
「待ってよ。
選ばせるって言ったじゃない!」
アロンの時は私の後に着いていたわよと小言を言いながら彼に追いつこうと私は歩みを進めた。
♦︎
魔法使いの領地は何もかもが新鮮だ。
「これ、すごく美味しいわ」
カフェのテラス席でケーキセットに舌つづみをした。
「ここはこの街で指折りの喫茶店だからな」
「当たり前だけど、この領地はみんな魔法が使えるのよね」
私はさっき、魔法を使って空中でポットからお茶を淹れてくれたウエイトレスを見て改めてここは本当に魔法使いの領地だと実感した。
「ああ。
皆各々が得意とする事を研鑽し、魔法の腕を磨き商売をしたり仕事をしている」
「へえ。
確かあなた副業で占いをしていたんだったかしら?」
なんでもこなす彼をこの際だとからかう。
「なんだ占ってもらいたくなったのか?
金貨は持ってきたのだろうな?
この間も言ったが恋愛運は良くないぞ」
「なんでよ!
そもそも私、恋愛運を見てなんて頼んでないし」
「しかし図星だろう?」
「うう・・・」
悔しいけど言い返せない私はケーキを食べ終え、デミトリアスとお店を出た。
♦︎
「ここが僕の屋敷だ」
「わあ!」
目の前の黒い真鍮の門の奥には白亜の豪邸があった。
広い庭の花壇には季節の花が咲いていた。
そして更に私を驚かせたのは正面の入り口にいたたくさんの召使い達だ。
彼らは人型だがシルエットが光ってるだけにしか見えない。
しかしデミトリアスが今帰ったと言うと光るシルエットはきちんとお辞儀をする。
「彼らも全て家にかかってる代々ある魔法だ。
僕以外の家でも貴族なら使える」
「家にかかった魔法って、一体誰が?」
「さあ?この屋敷を建てた時に先祖がかけたと父や母が言っていたような」
「そういえばあなたご家族が家にいるんじゃない?
急に来てよかったのかしら?」
「心配ない。
両親は鬼籍だからな」
「心配ないって」
なんだか申し訳ない事を聞いた気がした。
「ここには客以外なかなか来ないからそなたは久しぶりの客といったとこだろうか」
「何よそれ」
心配して損したと思ったが彼が気を遣ってくれたのだろうか。
私は彼と召使いと応接間に通された。
♦︎
「では、久しぶりの客の相手をしよう」
しばらく屋敷の使いが淹れてくれたお茶を味わった後、デミトリアスはからかうように占いを開始した。
「ちゃんと占ってよ」
「分かっている。
今回は手相にしよう。
手を出してくれるか?」
「こう?」
私は両手を出すと彼は私の手を取りジイっと見る。
「どう?」
「よくも悪くも優柔不断だな」
「もっと具体的にお願い!」
そんなのありきたりだ。
「知能線が下向きだ。
一緒にいる者の影響を受けやすい。
よってそなたのパートナーや友人になる者は誠実な者が良しとする」
(うっ!友人はともかくパートナーの事は耳が痛いわ)
「他は?」
「金星丘の真ん中にほくろがある。
結婚生活が上手くいっていない証拠だ」
「そんな事も手相に出るの!?」
「ああ。
他の客でもそうだが実に色々な事がある」
「悪い事ばかりね。
アドバイスとかないの?」
「そうだな。
結婚線が2つあるだろう」
「2回結婚するって事?」
「まあ、その可能性もあるという事だ。
なんだそなた手相を独学していたのか?」
「たまたま気になって占い本をかじっただけよ」
「なるほどな。
まあ、そもそも恋愛なんて己に自尊心があれば悩まない」
「何それ?
占い師がお客に言う事かしら?」
「大抵僕のとこを訪れて複雑愛で悩んでる者はみな1人になるのを恐れている者が多い」
彼の言葉にギクリとする。
『あなた、こじらせてるわよ』
さっきのエミリーの言葉を思い出す。
私の両親は優しかったし良くしてくれた。
でも互いを本人がいない場所で罵り合っていたのも事実だ。
気の利かない父様には母様が
「あの人ったら本当に分からない人」
そんな溜め込む母様に父様は
「すぐに癇癪を起こすな。
煩わしい」
離婚こそはしなかったものの私は2人をいつも夫婦なのにどうしてと疑問視していた。
でも今なら分かる。
私がいたから離縁しなかったのだ。
分かってる。
デミトリアスの言いたい事が。
「でも、しょうがないじゃない」
私は何に対して言い返してるのか分からなくなった。
ただ分かるのは涙が溢れ出して頬をポタポタ伝う事だ。
「ーっ!すまない」
彼にハンカチを急に渡され涙を拭く。
そうしていると彼はトレーとカップを持っていき部屋を出ようとしていた。
「どこに行くの?」
「キッチンだ。
なあに、すぐに戻ってくる」
デミトリアスは私の頭を子どもをあやすみたいに撫でるとそのまま部屋を出て行った。
「お茶なんて魔法で淹れていたじゃない」
メイドに淹れてもらえばいいのにとも思ったが。
(急に泣いたから驚かせたかしら?)
彼が戻ってきたら平然としとかなきゃと私は思った。
♦︎
落ち着くとしばらくして彼は私に新しい紅茶を私に出した。
「気を遣わせたわね」
「いや、僕もすまなかった。
それにそなたの意見も分からなくもない。
両親は両方とも鬼籍だが僕だって生きていたら縁談があってもおかしくないからな」
「そうよ。
結婚は家のつながりよ」
「否定はしない。
でも、相手が己を不当に扱うなら実家にでも帰るなり長く続くなら別居なり何でもするといい」
「離婚しろとは言わないのね」
「今はクライアントだからな。
占いでもない、長く生きた経験者のアドバイスだ。
まあ、僕は今まで結婚した事はないがな」
「ふふ、何それ」
適当な彼の発言につい笑ってしまう。
「やっと笑ったな」
彼もさっきの反省顔からやっと笑顔になったみたいだ。
「そうそう、そなたは僕にした方が幸せになると名前占いでは出ている」
「また、調子のいい事言っちゃって。
前から思っていたけどあなたってナルシストよね?」
「今更だな。
まあ、すぐにとは言わないよ」
(え、口説いたのは本気なの?)
てっきり笑って冗談だと返されると思っていたのに。
私は彼の屋敷を出た後も、なぜかずっと彼の言葉が真意をずっと考えていた。
あなたにおすすめの小説
三度裏切られた私が、四度目で「離婚」を選ぶまで
狛犬
恋愛
三度、夫に裏切られた。
一度目は信じた。
二度目は耐えた。
三度目は――すべてを失った。
そして私は、屋上から身を投げた。
……はずだった。
目を覚ますと、そこは過去。
すべてが壊れる前の、まだ何も起きていない時間。
――四度目の人生。
これまでの三度、私は同じ選択を繰り返し、
同じように裏切られ、すべてを失ってきた。
だから今度は、もう決めている。
「もう、陸翔はいらない」
愛していた。
けれど、もう疲れた。
今度こそ――
自分を守るために、家族を守るために、
私は、自分から手を放す。
これは、三度裏切られた女が、
四度目の人生で「選び直す」物語。
【改稿版・完結】その瞳に魅入られて
おもち。
恋愛
「——君を愛してる」
そう悲鳴にも似た心からの叫びは、婚約者である私に向けたものではない。私の従姉妹へ向けられたものだった——
幼い頃に交わした婚約だったけれど私は彼を愛してたし、彼に愛されていると思っていた。
あの日、二人の胸を引き裂くような思いを聞くまでは……
『最初から愛されていなかった』
その事実に心が悲鳴を上げ、目の前が真っ白になった。
私は愛し合っている二人を引き裂く『邪魔者』でしかないのだと、その光景を見ながらひたすら現実を受け入れるしかなかった。
『このまま婚姻を結んでも、私は一生愛されない』
『私も一度でいいから、あんな風に愛されたい』
でも貴族令嬢である立場が、父が、それを許してはくれない。
必死で気持ちに蓋をして、淡々と日々を過ごしていたある日。偶然見つけた一冊の本によって、私の運命は大きく変わっていくのだった。
私も、貴方達のように自分の幸せを求めても許されますか……?
※後半、壊れてる人が登場します。苦手な方はご注意下さい。
※このお話は私独自の設定もあります、ご了承ください。ご都合主義な場面も多々あるかと思います。
※『幸せは人それぞれ』と、いうような作品になっています。苦手な方はご注意下さい。
※こちらの作品は小説家になろう様でも掲載しています。
【完結】私を捨てて駆け落ちしたあなたには、こちらからさようならを言いましょう。
やまぐちこはる
恋愛
パルティア・エンダライン侯爵令嬢はある日珍しく婿入り予定の婚約者から届いた手紙を読んで、彼が駆け落ちしたことを知った。相手は同じく侯爵令嬢で、そちらにも王家の血筋の婿入りする婚約者がいたが、貴族派閥を保つ政略結婚だったためにどうやっても婚約を解消できず、愛の逃避行と洒落こんだらしい。
落ち込むパルティアは、しばらく社交から離れたい療養地としても有名な別荘地へ避暑に向かう。静かな湖畔で傷を癒やしたいと、高級ホテルでひっそり寛いでいると同じ頃から同じように、人目を避けてぼんやり湖を眺める美しい青年に気がついた。
毎日涼しい湖畔で本を読みながら、チラリチラリと彼を盗み見ることが日課となったパルティアだが。
様子がおかしい青年に気づく。
ふらりと湖に近づくと、ポチャっと小さな水音を立てて入水し始めたのだ。
ドレスの裾をたくしあげ、パルティアも湖に駆け込んで彼を引き留めた。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
最終話まで予約投稿済です。
次はどんな話を書こうかなと思ったとき、駆け落ちした知人を思い出し、そんな話を書くことに致しました。
ある日突然、紙1枚で消えるのは本当にびっくりするのでやめてくださいという思いを込めて。
楽しんで頂けましたら、きっと彼らも喜ぶことと思います。
愛する寵姫と国を捨てて逃げた貴方が何故ここに?
ましゅぺちーの
恋愛
シュベール王国では寵姫にのめり込み、政を疎かにする王がいた。
そんな愚かな王に人々の怒りは限界に達し、反乱が起きた。
反乱がおきると真っ先に王は愛する寵姫を連れ、国を捨てて逃げた。
城に残った王妃は処刑を覚悟していたが今までの功績により無罪放免となり、王妃はその後女王として即位した。
その数年後、女王となった王妃の元へやってきたのは王妃の元夫であり、シュベール王国の元王だった。
愛する寵姫と国を捨てて逃げた貴方が何故ここにいるのですか?
全14話。番外編ありです。
幼馴染が最優先な婚約者など、私の人生には不要です。
たると
恋愛
シュタイン伯爵家の長女エルゼは、公爵子息フィリップに恋をしていた。
彼の婚約者として選ばれた時は涙を流して喜んだが、その喜びもいまは遠い。
『君は一人でも大丈夫だろう。この埋め合わせは必ずする。愛している』
「……『愛している』、ですか」
いつも幼馴染を優先するアルベルトに、恋心はすっかり冷めてしまった。
理想の女性を見つけた時には、運命の人を愛人にして白い結婚を宣言していました
ぺきぺき
恋愛
王家の次男として生まれたヨーゼフには幼い頃から決められていた婚約者がいた。兄の補佐として育てられ、兄の息子が立太子した後には臣籍降下し大公になるよていだった。
このヨーゼフ、優秀な頭脳を持ち、立派な大公となることが期待されていたが、幼い頃に見た絵本のお姫様を理想の女性として探し続けているという残念なところがあった。
そしてついに貴族学園で絵本のお姫様とそっくりな令嬢に出会う。
ーーーー
若気の至りでやらかしたことに苦しめられる主人公が最後になんとか幸せになる話。
作者別作品『二人のエリーと遅れてあらわれるヒーローたち』のスピンオフになっていますが、単体でも読めます。
完結まで執筆済み。毎日四話更新で4/24に完結予定。
第一章 無計画な婚約破棄
第二章 無計画な白い結婚
第三章 無計画な告白
第四章 無計画なプロポーズ
第五章 無計画な真実の愛
エピローグ
婚約破棄された悪役令嬢ですが、面倒なので全部放置します
かきんとう
恋愛
王都の大広間に、どよめきが広がった。
天井から吊るされた巨大なシャンデリアが、何百もの蝋燭の光を反射し、きらきらと輝いている。その光の中心に立つ私は、妙に他人事のような気分で、その場の空気を眺めていた。
「エレノア・フォン・リーベルト! 私は貴様との婚約をここに破棄する!」
高らかに宣言したのは、第一王子であり私の婚約者でもあったアルベルト殿下だった。
周囲の貴族たちが一斉に息を呑み、次の瞬間には小声のざわめきが連鎖のように広がっていく。
――ああ、ついに来たのね。
愛人と暮らすために私と結婚した伯爵子息、皇帝宮の夜会で本音を喋る魔道具を使ったらすべて暴露されました
あきくん☆ひろくん
恋愛
愛人と暮らすために私と結婚した伯爵子息。その本性を知ったのは、結婚した後でした。
私は子供を産むためだけの妻。生まれた子は愛人が育て、私は屋敷に閉じ込められる運命だという。
絶望する私が思い出したのは、大魔導士から渡された魔道具。「心に思ったことを言葉にしてしまう」もの。
そして皇帝宮の夜会で――伯爵子息は皇太子の前で、自分の本音をすべて喋ってしまいました。
この作品は、「僕に仕えるメイドは世界最強の英雄です」シリーズの外伝です。
リリアーナは、第1作目の第3部のおまけ、のお話にでてくる子爵令嬢です。