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4章
33話「敵襲」
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夜明けは、恐ろしく遅く感じられた。
南門の爆発で、砦の防衛線は無残にも破られた。
黒鉄の傭兵団はその隙を突いて、濁流のように砦の中へと流れ込んできた。
私ノクティアは、魔導障壁の残滓で砦中心部をなんとか守っていたが、もはや砦全体を覆うには魔力が足りない。
防衛線を縮め、兵舎や医療棟、食堂、民間人のいるエリアを辛うじて囲い込むしかなかった。
敵の足音、剣戟、悲鳴、命の消える音が、夜風に乗って辺りに響き渡る。
「ノクティア、こっちは持ちこたえているが、北側からも攻めてきてる!」
カイラスの声が響く。
彼は既に左腕から血を流し、鎧も幾度となく切り裂かれている。それでも、砦の指揮官として最前線に立ち続けていた。
私は短くうなずくと、医療棟の入り口を守っていたレオナートに駆け寄る。
「負傷者の搬送は?」
「急ピッチだ。だが、もうスペースがない。重症者が次々と……」
レオナートの声は、かつてないほど苦しげだった。
私もまた、自分の手に返り血が付いているのを、今さらになって気づいた。
「ノクティアさん……!」
叫びながら駆けてくるエイミー。
その顔は涙と煤でぐしゃぐしゃだった。
「厨房に敵が――もう食材も何もかも……!」
「下がって! エイミーは負傷者の手当てに集中して。厨房は私が引き受ける!」
私はエイミーを庇いながら、厨房へと向かう。
途中、敵兵とすれ違う。目が合った瞬間、彼らは無言で刃を振りかざしてきた。
私は咄嗟に障壁を張り、反射的に小規模な攻撃魔法を放つ。
敵兵の一人が呻き声を上げて吹き飛ばされたが、すぐに別の二人が襲いかかってくる。
(強い……!)
魔法の盾が一撃で軋む。私は必死に体をかわし、床に転がっていた鍋を蹴り上げ、隙を作って突破した。
「退けッ!」
怒号とともに、カイラスが現れる。
斬りつけられた敵兵が倒れる音――その隙に私は厨房の中へと滑り込んだ。
だが、そこには既に複数の黒鉄兵が入り込んでいた。
エプロン姿の若い兵士たちが、泣きながら食器を盾に隠れている。
「ノクティア様……!」
私は瞬時に全員を自分の背後に下がらせ、敵に向き直る。
「ここは通さない。これ以上、砦の命を奪わせない!」
私は全力で防御結界を展開しつつ、連続詠唱で攻撃魔法を放つ。
敵兵の一人が直撃して動きを止めたが、他の者はひるむこともない。
黒鉄の傭兵団――彼らの心に恐怖やためらいは存在しないのか。
私は一瞬だけ、自分の方が怯えているのではないかと感じてしまった。
「くっ……!」
手の震えを押さえ込み、もう一度詠唱する。
力任せの火炎魔法が厨房の壁に当たり、食器棚ごと敵兵を押し返す。
「ノクティア、下がれ!」
今度はレオナートが飛び込んできて、剣を抜く。
敵兵と鍔迫り合いになりながら、私に小声で囁いた。
「ノクティアさん、もう……限界だ。これ以上、前線には出ないで!」
「でも……!」
「皆、ノクティアさんを守るために戦ってる。お願いだ、退いて!」
私の魔力は既に枯渇寸前だった。
それでも後退は、命令されても従いたくなかった。
だが――彼の真剣な目を見て、私はついに厨房から下がることを決意する。
「みんな、厨房はもう捨てて。次は食堂へ、急いで!」
私たちは食堂へと避難した。
背後では、黒鉄の兵士たちが執拗に追ってくる。
私は小さな窓から砦の外を見た。
(――敵の数、減っていない……)
空が白み始めているのに、砦のあちこちで火の手が上がり、悲鳴が続いている。
ふと、南門の瓦礫の影に、子どもを抱いた母親が倒れているのが見えた。
「レオナートさん!手当てを!」
私は駆け出し、母親に治癒魔法を施す。
幼子は無事だったが、母親は重傷――もはや助からない。
「……ありがとう、ノクティア様……あの子だけは……どうか……」
その言葉とともに、母親の命は静かに途切れた。
私は幼い子を抱きしめ、全身で震えた。
いったい、何人の命が、この短い時間で奪われたのだろう。
――頭の中で、何かが切れる音がした。
(やめて……やめて……)
叫びそうになるのを必死で堪えた。
私が泣いてしまったら、みんなも崩れてしまう。
私は――守る立場でいなければならない。
「……砦本部に戻るわ。まだ、終わらせない」
私は幼子をエイミーに預け、医療棟へと引き返した。
廊下を走るうちに、何度も何度も、兵士の死体をまたぐ。
顔見知りの者もいれば、名も知らぬ若者もいた。
(誰も――こんな死に方を望んでなんかいなかったはずなのに)
「ノクティア!」
医療棟の前で、カイラスが待っていた。
傷だらけの顔に、泥と血がこびりついている。
「前線は持ち直したが、敵の第二波が来る。北門も突破されかけている」
私は頷いた。
「私が結界を張り直します。砦の中心だけでも、絶対に守る」
「お前が……倒れるなよ」
カイラスの声には、不安と怒りと、そしてかすかな悲しみが入り混じっていた。
私は深く呼吸し、中心広場に魔法陣を描く。
「……お願い。もうこれ以上、誰も奪わないで……」
私は限界を超えて魔力を搾り出す。
膝が笑い、視界が揺れる。それでも止まれない。
結界の光が強くなり、中心区画が一時的に守られる。
その時、北門から新たな敵の怒号が轟いた。
「ノクティア様、敵将が現れました!」
偵察に出ていた兵士が息を切らして駆け込む。
「全軍撤退し、砦の中心に集結! 絶対に離れるな!」
カイラスが号令をかける。
兵士たち、民間人、子ども――皆が泣きながら必死で走る。
やがて、黒鉄の傭兵団のリーダーとおぼしき男が、砦の広場に姿を現した。
分厚い黒鉄鎧、血に染まった大剣、冷たい灰色の瞳。
「……辺境の魔導士よ。我らは“ノクティア”の命を要求する。差し出せば、残りは生かしてやる」
広場が一瞬で静まり返った。
私は敵将の目を真っ直ぐ見つめる。
「私の命が目的なら、ここにいる。だけど、この砦の誰一人として、あなたたちには渡さない」
「答えは一つか」
敵将が大剣を掲げる。
その背後から、一斉に黒鉄兵が押し寄せてきた。
私は結界を再度強化し、全身から魔力を絞り出す。
カイラスとレオナートが剣を構え、エイミーは負傷者を庇って叫んだ。
「ノクティアさん、もう無理です――!」
「まだ……終わらせない!」
私は最後の力を振り絞り、広場の中心に立つ。
(もしここで倒れたら、誰も守れない。
守れなければ、私がここにいる意味もない)
結界がきしみ、敵の刃が食い込み始める。
私は叫んだ。
「来るなら来い! 私は――この砦とみんなを、絶対に守る!」
その瞬間、世界が赤く染まり、地響きとともに、かつてない大きな戦いが幕を開けた。
南門の爆発で、砦の防衛線は無残にも破られた。
黒鉄の傭兵団はその隙を突いて、濁流のように砦の中へと流れ込んできた。
私ノクティアは、魔導障壁の残滓で砦中心部をなんとか守っていたが、もはや砦全体を覆うには魔力が足りない。
防衛線を縮め、兵舎や医療棟、食堂、民間人のいるエリアを辛うじて囲い込むしかなかった。
敵の足音、剣戟、悲鳴、命の消える音が、夜風に乗って辺りに響き渡る。
「ノクティア、こっちは持ちこたえているが、北側からも攻めてきてる!」
カイラスの声が響く。
彼は既に左腕から血を流し、鎧も幾度となく切り裂かれている。それでも、砦の指揮官として最前線に立ち続けていた。
私は短くうなずくと、医療棟の入り口を守っていたレオナートに駆け寄る。
「負傷者の搬送は?」
「急ピッチだ。だが、もうスペースがない。重症者が次々と……」
レオナートの声は、かつてないほど苦しげだった。
私もまた、自分の手に返り血が付いているのを、今さらになって気づいた。
「ノクティアさん……!」
叫びながら駆けてくるエイミー。
その顔は涙と煤でぐしゃぐしゃだった。
「厨房に敵が――もう食材も何もかも……!」
「下がって! エイミーは負傷者の手当てに集中して。厨房は私が引き受ける!」
私はエイミーを庇いながら、厨房へと向かう。
途中、敵兵とすれ違う。目が合った瞬間、彼らは無言で刃を振りかざしてきた。
私は咄嗟に障壁を張り、反射的に小規模な攻撃魔法を放つ。
敵兵の一人が呻き声を上げて吹き飛ばされたが、すぐに別の二人が襲いかかってくる。
(強い……!)
魔法の盾が一撃で軋む。私は必死に体をかわし、床に転がっていた鍋を蹴り上げ、隙を作って突破した。
「退けッ!」
怒号とともに、カイラスが現れる。
斬りつけられた敵兵が倒れる音――その隙に私は厨房の中へと滑り込んだ。
だが、そこには既に複数の黒鉄兵が入り込んでいた。
エプロン姿の若い兵士たちが、泣きながら食器を盾に隠れている。
「ノクティア様……!」
私は瞬時に全員を自分の背後に下がらせ、敵に向き直る。
「ここは通さない。これ以上、砦の命を奪わせない!」
私は全力で防御結界を展開しつつ、連続詠唱で攻撃魔法を放つ。
敵兵の一人が直撃して動きを止めたが、他の者はひるむこともない。
黒鉄の傭兵団――彼らの心に恐怖やためらいは存在しないのか。
私は一瞬だけ、自分の方が怯えているのではないかと感じてしまった。
「くっ……!」
手の震えを押さえ込み、もう一度詠唱する。
力任せの火炎魔法が厨房の壁に当たり、食器棚ごと敵兵を押し返す。
「ノクティア、下がれ!」
今度はレオナートが飛び込んできて、剣を抜く。
敵兵と鍔迫り合いになりながら、私に小声で囁いた。
「ノクティアさん、もう……限界だ。これ以上、前線には出ないで!」
「でも……!」
「皆、ノクティアさんを守るために戦ってる。お願いだ、退いて!」
私の魔力は既に枯渇寸前だった。
それでも後退は、命令されても従いたくなかった。
だが――彼の真剣な目を見て、私はついに厨房から下がることを決意する。
「みんな、厨房はもう捨てて。次は食堂へ、急いで!」
私たちは食堂へと避難した。
背後では、黒鉄の兵士たちが執拗に追ってくる。
私は小さな窓から砦の外を見た。
(――敵の数、減っていない……)
空が白み始めているのに、砦のあちこちで火の手が上がり、悲鳴が続いている。
ふと、南門の瓦礫の影に、子どもを抱いた母親が倒れているのが見えた。
「レオナートさん!手当てを!」
私は駆け出し、母親に治癒魔法を施す。
幼子は無事だったが、母親は重傷――もはや助からない。
「……ありがとう、ノクティア様……あの子だけは……どうか……」
その言葉とともに、母親の命は静かに途切れた。
私は幼い子を抱きしめ、全身で震えた。
いったい、何人の命が、この短い時間で奪われたのだろう。
――頭の中で、何かが切れる音がした。
(やめて……やめて……)
叫びそうになるのを必死で堪えた。
私が泣いてしまったら、みんなも崩れてしまう。
私は――守る立場でいなければならない。
「……砦本部に戻るわ。まだ、終わらせない」
私は幼子をエイミーに預け、医療棟へと引き返した。
廊下を走るうちに、何度も何度も、兵士の死体をまたぐ。
顔見知りの者もいれば、名も知らぬ若者もいた。
(誰も――こんな死に方を望んでなんかいなかったはずなのに)
「ノクティア!」
医療棟の前で、カイラスが待っていた。
傷だらけの顔に、泥と血がこびりついている。
「前線は持ち直したが、敵の第二波が来る。北門も突破されかけている」
私は頷いた。
「私が結界を張り直します。砦の中心だけでも、絶対に守る」
「お前が……倒れるなよ」
カイラスの声には、不安と怒りと、そしてかすかな悲しみが入り混じっていた。
私は深く呼吸し、中心広場に魔法陣を描く。
「……お願い。もうこれ以上、誰も奪わないで……」
私は限界を超えて魔力を搾り出す。
膝が笑い、視界が揺れる。それでも止まれない。
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カイラスが号令をかける。
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やがて、黒鉄の傭兵団のリーダーとおぼしき男が、砦の広場に姿を現した。
分厚い黒鉄鎧、血に染まった大剣、冷たい灰色の瞳。
「……辺境の魔導士よ。我らは“ノクティア”の命を要求する。差し出せば、残りは生かしてやる」
広場が一瞬で静まり返った。
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「私の命が目的なら、ここにいる。だけど、この砦の誰一人として、あなたたちには渡さない」
「答えは一つか」
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その背後から、一斉に黒鉄兵が押し寄せてきた。
私は結界を再度強化し、全身から魔力を絞り出す。
カイラスとレオナートが剣を構え、エイミーは負傷者を庇って叫んだ。
「ノクティアさん、もう無理です――!」
「まだ……終わらせない!」
私は最後の力を振り絞り、広場の中心に立つ。
(もしここで倒れたら、誰も守れない。
守れなければ、私がここにいる意味もない)
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