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6章
78話「迷宮の魔導事件」
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王都の朝は重たく、仮面舞踏会のきらびやかな余韻も、夜明けとともに冷たい現実へと変わっていた。
舞踏会の裏で発見された密書――
その内容は、連続失踪事件の黒幕が“王都地下迷宮”に潜んでいるという確かな情報だった。
* * *
ノクティア、リュゼル、カイラスは急ぎ魔導士会の密室に集まった。
リュゼルが包みを解き、手紙を皆の前に広げる。
「……やはり、奴は迷宮に潜んでいる。“古代魔術師ギルド”の印章まで押してある」
カイラスが低くうなる。「この王都でそんな組織が動くとはな」
ノクティアは指先で印章をなぞる。
「“魔力の共鳴”が手紙から感じられる。すぐに現場へ向かえば、まだ痕跡が残っているかもしれない」
リュゼルはすぐに行動を決断した。
「俺が王家の許可を取る。ノクティアとカイラス、すぐに支度を――」
カイラスは頷き、ノクティアを気遣うように見た。
「無理はするなよ。地下迷宮はただの遺跡じゃない。何が待ち受けているか分からない」
ノクティアは微笑んで応える。「大丈夫。三人でなら、どんな闇にも立ち向かえる気がする」
* * *
王都の地下迷宮――
石畳の裏に口を開けた階段を下りていくと、空気が一気に冷たくなった。
松明を掲げ、リュゼルが先導し、カイラスが護衛の位置を固める。ノクティアは魔力の流れを敏感に感じながら歩いた。
「ここは……ずいぶん昔に閉鎖されたって聞いたけど、今も地下水脈や古い結界が残ってるのね」
「魔物の巣窟とも噂されている。何度か王家も浄化を試みたが、完全には……」
リュゼルが語る声もどこか緊張していた。
「足元、気をつけろ」
カイラスがそっとノクティアの腕を取る。リュゼルはその手を見て、微かに眉をひそめた。
* * *
迷宮の奥へ進むほど、闇が濃くなる。
時折、壁の割れ目から“魔力の霧”が漏れ出し、ノクティアの頬を撫でていく。
――そのとき。
「――来たな」
闇の中から、魔物の咆哮が響いた。
巨大な影が三人を囲むように現れる。
牙を剥いた魔狼、鱗に覆われた蜥蜴、そして人の言葉を話す魔導ゴーレム――
「三体も……!」
ノクティアは即座に結界を展開した。
「リュゼル、左を! カイラス、右は頼む!」
「了解!」
「任せろ!」
三人は即座に連携し、魔物の攻撃をいなしていく。
ノクティアは癒しと補助の魔法で仲間を支え、リュゼルは鋭い魔導剣を操りながら指揮を執る。
カイラスは盾と剣を巧みに使い、正面の魔狼を食い止めていた。
* * *
戦いのさなか、魔導ゴーレムがノクティアを狙って魔力の波を放つ。
「ノクティア、危ない!」
リュゼルが咄嗟にノクティアの前に飛び出した。
爆発音とともに、二人は迷宮の壁際に吹き飛ばされる。
「リュゼル……!」
ノクティアはリュゼルの上に覆いかぶさるようにして、二人ともほこりまみれになった。
リュゼルは、傷だらけになりながらもノクティアを見上げた。
「……俺は、もう君を“守れなかった過去”を繰り返したくない。必ず、君を守る。今度こそ――」
ノクティアの胸が熱くなる。
(この人は、昔とは違う。今は本当に“私”のために動いてくれている……)
「ありがとう、リュゼル。でも私も、あなたを守るわ。……だって、私たちはもう“仮初めの協力者”じゃないもの」
* * *
その間に、カイラスが魔狼を斬り伏せ、素早くふたりのもとへ駆けつけた。
「無事か!」
「ごめん、ちょっと派手にやられたけど……まだ動ける!」
ノクティアは笑いながら立ち上がり、カイラスが心配そうに彼女の肩を支える。
その姿を見て、リュゼルの胸にまたも奇妙な感情が芽生える。
(俺は、やっと“本気で守りたい”と思えたのに……カイラスは、もう自然にノクティアの隣にいる)
その想いをかき消すように、ノクティアは両手を掲げて魔力を集中させた。
「――これで終わりよ!」
強烈な光が迷宮を満たし、魔物たちを一掃する。
* * *
静寂が戻ったあと、三人は荒い息をつきながらも、共闘の余韻に包まれていた。
「やっぱり三人でいると、どんな敵も怖くないわね」
ノクティアが微笑むと、カイラスは安心したように彼女の髪を撫でる。
「君は無理をしすぎだ。……でも、それが君の強さだな」
リュゼルも、わずかに笑顔を見せる。
「俺は……昔の自分と、もう決別できる気がする。ノクティア、ありがとう」
ふと、ノクティアはリュゼルの手を取り、そっと微笑んだ。
「こちらこそ。リュゼルも、カイラスも、みんながいたから私はここにいられる」
三人の間に、今までにない“信頼”と“新しい絆”が生まれていた。
* * *
迷宮の奥――
消えゆく魔力の残滓の中に、一枚の古びた魔導書と、奇妙な印章のペンダントが残されていた。
「事件の核心は、まだこれからだな」
カイラスがつぶやく。
ノクティアはペンダントを見つめながら、
「……これが黒幕の手がかりになるはず。きっと、また三人で真実に辿りつける」
リュゼルは、ノクティアの手を握り返しながら静かに誓った。
「君と、もう一度並んで歩いていきたい。今度は絶対に、誰も置いていかない」
王都の闇に新たな風が吹き抜ける。
三人の未来は、まだ揺れ動きながらも、確かな一歩を刻んでいくのだった――。
舞踏会の裏で発見された密書――
その内容は、連続失踪事件の黒幕が“王都地下迷宮”に潜んでいるという確かな情報だった。
* * *
ノクティア、リュゼル、カイラスは急ぎ魔導士会の密室に集まった。
リュゼルが包みを解き、手紙を皆の前に広げる。
「……やはり、奴は迷宮に潜んでいる。“古代魔術師ギルド”の印章まで押してある」
カイラスが低くうなる。「この王都でそんな組織が動くとはな」
ノクティアは指先で印章をなぞる。
「“魔力の共鳴”が手紙から感じられる。すぐに現場へ向かえば、まだ痕跡が残っているかもしれない」
リュゼルはすぐに行動を決断した。
「俺が王家の許可を取る。ノクティアとカイラス、すぐに支度を――」
カイラスは頷き、ノクティアを気遣うように見た。
「無理はするなよ。地下迷宮はただの遺跡じゃない。何が待ち受けているか分からない」
ノクティアは微笑んで応える。「大丈夫。三人でなら、どんな闇にも立ち向かえる気がする」
* * *
王都の地下迷宮――
石畳の裏に口を開けた階段を下りていくと、空気が一気に冷たくなった。
松明を掲げ、リュゼルが先導し、カイラスが護衛の位置を固める。ノクティアは魔力の流れを敏感に感じながら歩いた。
「ここは……ずいぶん昔に閉鎖されたって聞いたけど、今も地下水脈や古い結界が残ってるのね」
「魔物の巣窟とも噂されている。何度か王家も浄化を試みたが、完全には……」
リュゼルが語る声もどこか緊張していた。
「足元、気をつけろ」
カイラスがそっとノクティアの腕を取る。リュゼルはその手を見て、微かに眉をひそめた。
* * *
迷宮の奥へ進むほど、闇が濃くなる。
時折、壁の割れ目から“魔力の霧”が漏れ出し、ノクティアの頬を撫でていく。
――そのとき。
「――来たな」
闇の中から、魔物の咆哮が響いた。
巨大な影が三人を囲むように現れる。
牙を剥いた魔狼、鱗に覆われた蜥蜴、そして人の言葉を話す魔導ゴーレム――
「三体も……!」
ノクティアは即座に結界を展開した。
「リュゼル、左を! カイラス、右は頼む!」
「了解!」
「任せろ!」
三人は即座に連携し、魔物の攻撃をいなしていく。
ノクティアは癒しと補助の魔法で仲間を支え、リュゼルは鋭い魔導剣を操りながら指揮を執る。
カイラスは盾と剣を巧みに使い、正面の魔狼を食い止めていた。
* * *
戦いのさなか、魔導ゴーレムがノクティアを狙って魔力の波を放つ。
「ノクティア、危ない!」
リュゼルが咄嗟にノクティアの前に飛び出した。
爆発音とともに、二人は迷宮の壁際に吹き飛ばされる。
「リュゼル……!」
ノクティアはリュゼルの上に覆いかぶさるようにして、二人ともほこりまみれになった。
リュゼルは、傷だらけになりながらもノクティアを見上げた。
「……俺は、もう君を“守れなかった過去”を繰り返したくない。必ず、君を守る。今度こそ――」
ノクティアの胸が熱くなる。
(この人は、昔とは違う。今は本当に“私”のために動いてくれている……)
「ありがとう、リュゼル。でも私も、あなたを守るわ。……だって、私たちはもう“仮初めの協力者”じゃないもの」
* * *
その間に、カイラスが魔狼を斬り伏せ、素早くふたりのもとへ駆けつけた。
「無事か!」
「ごめん、ちょっと派手にやられたけど……まだ動ける!」
ノクティアは笑いながら立ち上がり、カイラスが心配そうに彼女の肩を支える。
その姿を見て、リュゼルの胸にまたも奇妙な感情が芽生える。
(俺は、やっと“本気で守りたい”と思えたのに……カイラスは、もう自然にノクティアの隣にいる)
その想いをかき消すように、ノクティアは両手を掲げて魔力を集中させた。
「――これで終わりよ!」
強烈な光が迷宮を満たし、魔物たちを一掃する。
* * *
静寂が戻ったあと、三人は荒い息をつきながらも、共闘の余韻に包まれていた。
「やっぱり三人でいると、どんな敵も怖くないわね」
ノクティアが微笑むと、カイラスは安心したように彼女の髪を撫でる。
「君は無理をしすぎだ。……でも、それが君の強さだな」
リュゼルも、わずかに笑顔を見せる。
「俺は……昔の自分と、もう決別できる気がする。ノクティア、ありがとう」
ふと、ノクティアはリュゼルの手を取り、そっと微笑んだ。
「こちらこそ。リュゼルも、カイラスも、みんながいたから私はここにいられる」
三人の間に、今までにない“信頼”と“新しい絆”が生まれていた。
* * *
迷宮の奥――
消えゆく魔力の残滓の中に、一枚の古びた魔導書と、奇妙な印章のペンダントが残されていた。
「事件の核心は、まだこれからだな」
カイラスがつぶやく。
ノクティアはペンダントを見つめながら、
「……これが黒幕の手がかりになるはず。きっと、また三人で真実に辿りつける」
リュゼルは、ノクティアの手を握り返しながら静かに誓った。
「君と、もう一度並んで歩いていきたい。今度は絶対に、誰も置いていかない」
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三人の未来は、まだ揺れ動きながらも、確かな一歩を刻んでいくのだった――。
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