【完結】地味な村人が伝説ドラゴンをカード化したら、最強無双の人生が始まりました

東野あさひ

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85話「精製バトル屋台村!グルメ対決」

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 村に新緑の香りが漂うある日、
 広場は朝から人だかりでいっぱいだった。

 

 「おーい、こっちの“火竜焼きそば”できたぞー!」
 「“ミナの幸せパンケーキ”限定十枚! はやい者勝ちだよー!」

 

 村一番の賑わいを見せる「精製バトル屋台村」――
 それは、リオとミナ、そして弟子たちが企画した、村史上初のカード&グルメのお祭りだった。

 

 きっかけは、リオの弟子ユウトの何気ないひと言からだった。

 

 「リオ先生、カード教室もいいけど、もっとみんなで楽しめるバトルやりたいなあ。
 できれば、お腹いっぱい食べながら!」

 

 「それなら、カードとご飯を一緒にしちゃえばいいんじゃない?」
 リリィが目を輝かせて提案した。

 

 「幻獣たちと協力して、いろんな料理を作ってみようよ!」
 ミナも乗り気だ。

 

 村の大人たちも「面白そうだ!」「屋台なんて久しぶりだな」と盛り上がり、
 こうして「精製バトル屋台村」の準備が始まった。

 

 リオたちは、村中の家族や子どもたちと力を合わせ、
 カードバトルで勝ったチームが屋台の一番人気メニューを決める――というルールにした。

 

 屋台には「火竜焼きそば」「幻獣おにぎり」「しあわせパンケーキ」「ミナ特製・魔法のスープ」など、
 どれも精製カードでアレンジされた“幻獣料理”が並ぶ。

 

 「オレたち、伝説の味を作るぜ!」
 ユウトは“希望の剣カード”で野菜を華麗にスライス。
 「私も、“家族笑顔カード”でみんなが元気になれるおにぎりを!」
 リリィは炊きたてご飯をにぎりながら、家族カードをかざす。

 

 そして、祭りの開幕を告げる鐘が鳴る。

 

 「第一回“精製グルメバトル”、いよいよスタートです!」

 

 司会役を買って出たのは、村の若手職人カズマ。
 「優勝屋台には“村一番グルメ”の称号と、リオ先生特製の“伝説カード”進呈!」

 

 子どもも大人も、みんな本気だ。

 

 リオはミナと一緒に「ドラゴンの炎パエリア」を準備していた。

 

 「グラン=ヴァルド、ちょっと火力頼む!」
 リオがカードを掲げると、竜のイメージが鍋に魔法の炎を注ぐ。

 

 「焦がしちゃダメだよ、リオ!」
 ミナが鍋をかき混ぜながら叱る。

 

 その横で、ユウトとリリィは「おにぎりバトル」に挑戦。
 ユウトは剣カードでお米を一粒残さず集め、
 リリィは家族カードでおにぎりに“ほっこり光”を宿す。

 

 審査員役は村の年配者と、子どもたち。
 「この焼きそば、辛いけどウマい!」「パンケーキ、しあわせの味だー!」
 みんな口いっぱいにほおばりながら歓声を上げる。

 

 「次は“幻獣早食いバトル”だ!」

 

 屋台の裏では、幻獣たちも大騒ぎ。
 モフモフした“もぐら型幻獣”が、土の中からジャガイモを発掘してくる。
 翼竜は村の屋根の上からハチミツを採取し、
 「ピィー!」と嬉しそうにリリィに差し出す。

 

 「すごい! 幻獣のみんなも屋台の仲間なんだね!」
 弟子の一人が感激する。

 

 ミナは、幻獣たちにも「ごほうびカード」を配り、
 「たくさんお手伝いしてくれてありがとう!」と声をかけていた。

 

 やがて、グルメバトルの決勝戦。
 リオ&ミナチームと、ユウト&リリィチームの「伝説料理対決」となった。

 

 リオはパエリアの仕上げに「伝説のドラゴンカード」を使い、
 空から降り注ぐ“黄金の炎”で、具材をふんわりと蒸し上げる。

 

 ユウトは“希望の剣カード”でパプリカを美しくカットし、
 リリィは家族カードでみんなを笑顔にする“おにぎり光線”を放つ。

 

 村の広場はまるで“食の魔法決戦”だ。

 

 ついに審査員たちが、それぞれの料理を一口ずつ食べる。

 

 「パエリア、なんて深い味……幸せだ」
 「おにぎり、涙が出そうなほどやさしい……」

 

 審査の結果――

 

 「優勝は……どっちも最高! 決められません!」

 

 村の長老が満面の笑みで両手を広げた。
 「勝ち負けよりも、みんなで一緒に作って、笑って食べるのが“村一番の味”なんだよ」

 

 大人も子どもも幻獣たちも、盛大な拍手を送った。

 

 その夜、村の広場には屋台の残り物を囲んでの“精製グルメ大宴会”。
 ユウトとリリィが「先生、また屋台やろうね!」とリオに抱きつく。
 ミナも「みんなでご飯を食べるのが、いちばん幸せだね」と笑顔を見せた。

 

 リオは静かにグラン=ヴァルドのカードを撫でた。

 

 「伝説も、幸せも、きっとこんな日々から生まれるんだな……」

 

 星空の下、村にはあたたかな灯りと、笑い声がいつまでも響いていた。
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