【完結】地味な村人が伝説ドラゴンをカード化したら、最強無双の人生が始まりました

東野あさひ

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第19話「世界を揺るがす陰謀」

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 最強カード決定戦の熱気は、王都リュミエールをひときわ大きな歓声と光で包んでいた。
 だがその裏で、誰にも知られぬまま進行する闇の動きがあった。

 

 大会本戦も終盤に差し掛かるある夜、リオはふと、控え室の空気がどこか淀んでいることに気づいた。
 会場周辺で不審な男たちの姿が目撃され、カードの不正流通や、認可外カードの密売情報が飛び交っているという噂も入ってきていた。

 

 (――何かがおかしい)

 

 グラン=ヴァルドの声が心に低く響く。

 

 『リオ。この大会、ただの祭りではない。背後で、もっと大きな“力”が動いている気がする』

 

 リオは仲間たち――ユリエル、カイ、ティアナ、シュトラ、ミナ――を呼び寄せ、控え室の片隅で小さな作戦会議を開いた。

 

 「ねえ、みんな。最近、妙な噂聞かない? 管理庁の一部が密売組織と繋がってるって――」

 

 ユリエルが声を潜めて言うと、ティアナが頷いた。

 

 「うちのギルドにも匿名の怪文書が届いたよ。“伝説カードを狙う組織が、大会中に世界掌握を狙って動き出す”って」

 

 「世界を……? 大げさじゃないのか?」
 カイが腕を組んで眉をひそめる。

 

 「でも、カード狩り事件の時も、“庁の一部職員”が絡んでた。あり得ない話じゃない」
 ミナは真剣な表情でリオを見つめた。

 

 リオは決意を込めて言った。

 

 「俺たちで真相を確かめよう。今なら仲間もいる。グラン=ヴァルドの力も、みんなの知恵もある」

 

 *

 

 調査はまず、会場周辺の警備員や裏方への聞き込みから始まった。
 ユリエルは大会運営スタッフの知り合いに接触し、裏口で何か不審な動きがないか探った。
 ティアナは情報ギルドの仲間に密売の噂を探らせ、カイとシュトラは怪しい人物の後を追った。

 

 夜のスタジアム裏通路――

 

 「見て、あそこ……!」

 

 ユリエルの指差す先、黒ずくめの男たちが密かに取引をしていた。
 その手には、精巧な偽造カードと管理庁の職員バッジ。

 

 カイが低く唸る。

 

 「やっぱり庁の連中が……!」

 

 男たちの会話が微かに聞こえる。

 

 「伝説カードを集め終わったら、“計画”を発動する」「大会の混乱に乗じて、王都中のカード管理を一気に乗っ取るんだ」

 

 (やっぱり……!)

 

 その時、ティアナが新たな事実を掴んで戻ってきた。

 

 「密売組織の黒幕は、管理庁の“査察部長”グレイスだって……カード認可の最高権限を悪用して、未認可カードを自由に流してる!」

 

 仲間たちは一斉に息を呑んだ。

 

 「今夜、決定戦の表彰式を狙って“伝説カード全回収”の偽命令を出すつもりよ!」
 ユリエルが顔を青ざめさせる。

 

 「このままじゃ、リオやグラン=ヴァルドのカードも――」

 

 リオは拳を握りしめる。

 

 「黙ってるわけにはいかない。みんな、協力して黒幕を突き止めて阻止しよう!」

 

 *

 

 大会の舞台裏は、すでに異様な緊張に包まれていた。
 リオたちは決戦前、舞台裏の通路でグレイスたちの現場を押さえ、密売組織の証拠を確保しようと動き出す。

 

 だが、すでにグレイスの私兵たちが行動を開始していた。

 

 「リオ・バルド、そして“伝説カード保持者”たち……お前たちのカードは、国家の名のもとに全て接収する!」

 

 黒服の一団が襲いかかり、バトルが始まる。
 リオはグラン=ヴァルドを召喚し、ユリエルとカイは連携して敵の攻撃を防ぐ。
 シュトラが「鉄壁の城壁騎士」で盾を作り、ティアナが「幻影結界」で敵の視界を遮る。

 

 激しい攻防の最中、グレイスが密かに「管理庁特権カード」を発動――
 場に混乱が走るが、リオは仲間の声に背中を押されて立ち上がる。

 

 「負けない……これが俺たちの“物語”だ!」

 

 グラン=ヴァルドが進化形態「アルカナフォーム」へと覚醒、圧倒的な咆哮で敵の幻獣を一掃する。

 

 だが、グレイスは「禁断の伝説カード」を解き放とうとする。
 その瞬間、リオとグラン=ヴァルドの魂が再び共鳴した。

 

 『お前の願いを、我が力に重ねよ――リオ!』

 

 リオは全身の力を込め、仲間たちの想いをひとつに集める。

 

 「みんなで守る――これが、俺たちの伝説だ!」

 

 グラン=ヴァルドの翼が光を放ち、暴走しかけた禁断カードを封じ込める。
 同時に、密売組織の幹部も一網打尽にされ、グレイスの野望は打ち砕かれた。

 

 *

 

 騒動のあと、王都は静けさを取り戻していく。
 管理庁では再発防止と粛清が始まり、リオたちは事件解決の立役者として讃えられることとなった。

 

 だがリオは浮かれることなく、静かにカードを見つめる。

 

 (どんな力でも、誰かのために使わなければ意味がない。俺はもう、迷わない)

 

 グラン=ヴァルドが優しく語りかける。

 

 『リオ。お前が選び続けた道こそが、新しい時代の光だ。これからも、共に歩もう』

 

 仲間たちがそっと肩を並べる。
 リオは胸を張って、進むべき道を再び見据えた。

 

 世界を揺るがす陰謀は砕かれた。
 だが、本当の伝説と冒険は、これからも終わることなく続いていく――
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