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第23話「消えた精製師と封印の地」
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王都を覆った黒い門の騒動から数日。
リオたちは管理庁の臨時作戦室に詰め、各地の伝説カード保持者の失踪情報を洗い直していた。
「南部港町で行方不明になった精製師は、この辺りで消息を絶ったみたい……」
ティアナが地図の上に赤いピンを打つ。
「ここでも黒いカードの破片が見つかってる。しかも、目撃証言だと“見たこともない幻獣”が現れていたらしい」
ユリエルが調査メモを読み上げる。
「どうやら事件現場には必ず黒いカード、そして“未知の幻獣”……」
シュトラが腕を組み、じっと考え込む。
「ただの偶然じゃないな。やっぱり“異界の勢力”が動いてるってことか」
カイは目を細める。
管理庁のレーベン長官も渋い顔で告げた。
「昨夜、新たに北方の廃村跡でも精製師の失踪が確認された。現場には古代の封印魔法陣が残され、そこにも同じ“黒いカード”が散乱していた。今は調査員が向かっているが……」
リオは拳を握った。
「行こう。今度は、俺たちが直接調べに行く」
*
王都から北へと向かう馬車の中。
リオはグラン=ヴァルドのカードを手の中で転がしながら、胸の奥に広がる不安をかみしめていた。
(異界の門、黒いカード、消えた精製師たち……全部繋がってる気がする。でも俺に何ができる?)
ミナがそっと隣に座る。
「リオ、大丈夫? 顔が怖いよ」
「……いや、大丈夫さ。俺たちで必ず精製師のみんなを助け出す。それに――」
『お前一人で背負わなくていい。私も、仲間もいる』
グラン=ヴァルドの声が心に柔らかく響いた。
リオは小さくうなずき、仲間たちを見渡した。
みんな、険しいけれど真剣な顔。恐れよりも、強い決意に満ちていた。
*
やがて一行は、北方の廃村跡へ到着した。
そこは寂れ果てた石造りの集落で、かつて賑わっていた気配だけが草の間に残っている。
「精製師が消えた場所は、この先の古代遺跡の中だそうよ」
ティアナが記録書を手に進む。
遺跡の入り口には、黒い霧のような瘴気が薄く漂っていた。
「気をつけろ。何が出てくるか分からない」
カイが剣型カードを手に警戒する。
「この魔力……異界の門のものと同じだ」
ユリエルが魔法カードで簡易結界を張る。
封印の扉を抜けると、内部はまるで迷宮のようだった。
石壁には謎めいた紋章や古代語の碑文が刻まれ、床には途切れ途切れの魔法陣が見える。
「これが……古代の封印魔法?」
ミナが呟いたとき、足元から黒いカードの破片が転がった。
「まるで誰かがここで“カードバトル”をしたみたいだ……」
と、その瞬間。
奥から轟音が響き、霧の中から巨大な影が姿を現した。
「な、なんだあれは!?」
霧の奥に浮かび上がったのは、身体の半分が黒い鎧に覆われた異形の幻獣――
「黒鉄のケルベロス」だった。
「カード化されていない、純粋な異界幻獣……!」
ユリエルが声をあげる。
「俺が引き受ける!」
カイがすぐさま《雷牙狼ルガノス》を召喚し、ケルベロスの前に立ちふさがる。
「でも、数が多い……!」
次の瞬間、さらに二体の“黒鉄幻獣”が左右から現れ、仲間たちを分断した。
「しまった、罠だ!」
リオ、ミナ、ユリエル、カイ、ティアナ、シュトラ――
各自が別々の通路へと引き裂かれ、それぞれが孤立する羽目になる。
*
リオの前に現れたのは、異界の“カードマスター”を名乗る謎の男だった。
「歓迎しよう、伝説のクリエイターよ」
「……あんたが黒いカードをばら撒いたのか?」
「答えはバトルで――」
男が闇のカードを掲げると、黒い雷が奔り、場が瞬時に“ダークフィールド”へと変貌した。
リオはグラン=ヴァルドと共にカードバトルを開始する。
相手は「封印幻獣」カードを次々と召喚し、リオの攻撃を封じる戦法を取ってくる。
(ただのパワー勝負じゃない。戦略も異世界流だ……!)
「ミナ、みんな……大丈夫か?」
そのころミナとユリエルは、罠に落ちて地下牢に閉じ込められていた。
「ごめん、私が油断して……」
ユリエルが自嘲気味に呟く。
「でも、あたしリオが必ず来てくれるって信じてるから」
ミナは明るく微笑んだ。
「それまで、あたしたちのカードで“脱出大作戦”しよう!」
二人は力を合わせ、補助カードや変則魔法を使い、牢の扉を少しずつこじ開けていく。
一方カイは、黒鉄ケルベロスの三つ首に囲まれながらも、ルガノスと連携し、スピードと気合いで突破口を探っていた。
「根性なら誰にも負けねえ! 俺たちの連携で道を切り拓くぞ!」
ティアナとシュトラは古代遺跡の奥で、新たな封印魔法の解読に挑んでいた。
「シュトラ、これをこう組み合わせれば……」
「分かった。封印陣を解除する!」
*
再びリオのバトル――
相手の封印幻獣が場を制圧するなか、リオは一瞬の隙を突いて《希望の黎明竜》を召喚。
グラン=ヴァルドの進化形態“アルカナフォーム”が場を一変させる。
「俺たちの力、見せてやる!」
竜の咆哮が場を制圧し、闇のカードを焼き払う。
ダークフィールドが一時的に消滅し、男は「面白い……だがまだ“本番”じゃない」と不気味な笑みを残し姿を消した。
同時刻、ミナたちも牢を破って脱出し、カイも幻獣を撃破。ティアナとシュトラも封印解除に成功する。
遺跡中央ホールで合流したリオたちは、傷だらけながらも無事を喜び合う。
「やっぱり一人じゃ無理だったな……」
「ううん、みんながいたから、あたし最後まで頑張れた」
「この“黒いカード”と異界幻獣の謎は絶対に解かないと」
「……それに、まだ消えた精製師たちは見つかっていない」
リオは砕けた黒いカードを手に、仲間と見つめ合う。
(必ず見つけ出す。異界の脅威にも、絶対負けない!)
夜の遺跡には、再び静寂が戻った。
だが、すべての謎が解けたわけではなかった。
――新たな脅威と謎は、静かにリオたちの前に立ちふさがろうとしていた。
リオたちは管理庁の臨時作戦室に詰め、各地の伝説カード保持者の失踪情報を洗い直していた。
「南部港町で行方不明になった精製師は、この辺りで消息を絶ったみたい……」
ティアナが地図の上に赤いピンを打つ。
「ここでも黒いカードの破片が見つかってる。しかも、目撃証言だと“見たこともない幻獣”が現れていたらしい」
ユリエルが調査メモを読み上げる。
「どうやら事件現場には必ず黒いカード、そして“未知の幻獣”……」
シュトラが腕を組み、じっと考え込む。
「ただの偶然じゃないな。やっぱり“異界の勢力”が動いてるってことか」
カイは目を細める。
管理庁のレーベン長官も渋い顔で告げた。
「昨夜、新たに北方の廃村跡でも精製師の失踪が確認された。現場には古代の封印魔法陣が残され、そこにも同じ“黒いカード”が散乱していた。今は調査員が向かっているが……」
リオは拳を握った。
「行こう。今度は、俺たちが直接調べに行く」
*
王都から北へと向かう馬車の中。
リオはグラン=ヴァルドのカードを手の中で転がしながら、胸の奥に広がる不安をかみしめていた。
(異界の門、黒いカード、消えた精製師たち……全部繋がってる気がする。でも俺に何ができる?)
ミナがそっと隣に座る。
「リオ、大丈夫? 顔が怖いよ」
「……いや、大丈夫さ。俺たちで必ず精製師のみんなを助け出す。それに――」
『お前一人で背負わなくていい。私も、仲間もいる』
グラン=ヴァルドの声が心に柔らかく響いた。
リオは小さくうなずき、仲間たちを見渡した。
みんな、険しいけれど真剣な顔。恐れよりも、強い決意に満ちていた。
*
やがて一行は、北方の廃村跡へ到着した。
そこは寂れ果てた石造りの集落で、かつて賑わっていた気配だけが草の間に残っている。
「精製師が消えた場所は、この先の古代遺跡の中だそうよ」
ティアナが記録書を手に進む。
遺跡の入り口には、黒い霧のような瘴気が薄く漂っていた。
「気をつけろ。何が出てくるか分からない」
カイが剣型カードを手に警戒する。
「この魔力……異界の門のものと同じだ」
ユリエルが魔法カードで簡易結界を張る。
封印の扉を抜けると、内部はまるで迷宮のようだった。
石壁には謎めいた紋章や古代語の碑文が刻まれ、床には途切れ途切れの魔法陣が見える。
「これが……古代の封印魔法?」
ミナが呟いたとき、足元から黒いカードの破片が転がった。
「まるで誰かがここで“カードバトル”をしたみたいだ……」
と、その瞬間。
奥から轟音が響き、霧の中から巨大な影が姿を現した。
「な、なんだあれは!?」
霧の奥に浮かび上がったのは、身体の半分が黒い鎧に覆われた異形の幻獣――
「黒鉄のケルベロス」だった。
「カード化されていない、純粋な異界幻獣……!」
ユリエルが声をあげる。
「俺が引き受ける!」
カイがすぐさま《雷牙狼ルガノス》を召喚し、ケルベロスの前に立ちふさがる。
「でも、数が多い……!」
次の瞬間、さらに二体の“黒鉄幻獣”が左右から現れ、仲間たちを分断した。
「しまった、罠だ!」
リオ、ミナ、ユリエル、カイ、ティアナ、シュトラ――
各自が別々の通路へと引き裂かれ、それぞれが孤立する羽目になる。
*
リオの前に現れたのは、異界の“カードマスター”を名乗る謎の男だった。
「歓迎しよう、伝説のクリエイターよ」
「……あんたが黒いカードをばら撒いたのか?」
「答えはバトルで――」
男が闇のカードを掲げると、黒い雷が奔り、場が瞬時に“ダークフィールド”へと変貌した。
リオはグラン=ヴァルドと共にカードバトルを開始する。
相手は「封印幻獣」カードを次々と召喚し、リオの攻撃を封じる戦法を取ってくる。
(ただのパワー勝負じゃない。戦略も異世界流だ……!)
「ミナ、みんな……大丈夫か?」
そのころミナとユリエルは、罠に落ちて地下牢に閉じ込められていた。
「ごめん、私が油断して……」
ユリエルが自嘲気味に呟く。
「でも、あたしリオが必ず来てくれるって信じてるから」
ミナは明るく微笑んだ。
「それまで、あたしたちのカードで“脱出大作戦”しよう!」
二人は力を合わせ、補助カードや変則魔法を使い、牢の扉を少しずつこじ開けていく。
一方カイは、黒鉄ケルベロスの三つ首に囲まれながらも、ルガノスと連携し、スピードと気合いで突破口を探っていた。
「根性なら誰にも負けねえ! 俺たちの連携で道を切り拓くぞ!」
ティアナとシュトラは古代遺跡の奥で、新たな封印魔法の解読に挑んでいた。
「シュトラ、これをこう組み合わせれば……」
「分かった。封印陣を解除する!」
*
再びリオのバトル――
相手の封印幻獣が場を制圧するなか、リオは一瞬の隙を突いて《希望の黎明竜》を召喚。
グラン=ヴァルドの進化形態“アルカナフォーム”が場を一変させる。
「俺たちの力、見せてやる!」
竜の咆哮が場を制圧し、闇のカードを焼き払う。
ダークフィールドが一時的に消滅し、男は「面白い……だがまだ“本番”じゃない」と不気味な笑みを残し姿を消した。
同時刻、ミナたちも牢を破って脱出し、カイも幻獣を撃破。ティアナとシュトラも封印解除に成功する。
遺跡中央ホールで合流したリオたちは、傷だらけながらも無事を喜び合う。
「やっぱり一人じゃ無理だったな……」
「ううん、みんながいたから、あたし最後まで頑張れた」
「この“黒いカード”と異界幻獣の謎は絶対に解かないと」
「……それに、まだ消えた精製師たちは見つかっていない」
リオは砕けた黒いカードを手に、仲間と見つめ合う。
(必ず見つけ出す。異界の脅威にも、絶対負けない!)
夜の遺跡には、再び静寂が戻った。
だが、すべての謎が解けたわけではなかった。
――新たな脅威と謎は、静かにリオたちの前に立ちふさがろうとしていた。
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