【完結】地味な村人が伝説ドラゴンをカード化したら、最強無双の人生が始まりました

第32話「伝説カード、最後の共鳴」

　暁の光が世界を染める頃――王都リュミエールの空に、異界の王の城が浮かび上がった。
　黒い稲妻が雲間を切り裂き、大地は震え、すべての街や村の人々が空を仰いでいた。

　

　リオたちは王都広場に集結していた。
　各国管理庁の精製師やギルドの戦士、一般市民までもが固唾を飲み、彼らの闘いを見守ろうとしていた。

　

　「ついに来たな、リオ……」
　カイが拳を固めて言った。

　

　「これが……“世界の命運”を懸けた最後の戦いね」
　ユリエルが魔導地図を睨み、静かに呟く。

　

　ティアナは深く息をつき、カードを手に誓うように祈る。

　

　ミナがリオにそっと寄り添う。「どんなに怖くても、もう逃げない。リオと一緒なら、どんな未来でも選べるって信じてる」

　

　リオは仲間たちを見回し、力強くうなずいた。

　

　「みんな――この世界を絶対に守ろう。俺たちのカードと、想いのすべてをぶつける！」

　

　グラン＝ヴァルドのカードが黄金色の輝きを放つ。
　リオはカードを高く掲げ、叫んだ。

　

　「俺たちの“伝説カード”――全員で共鳴させる時だ！」

　

　＊

　

　異界の王・アルド＝グラディウスが、空の玉座から降臨した。

　

　「愚かな人間どもよ――お前たちの希望も、絆も、いずれは滅びに飲まれる。その瞬間を、我が眼に焼きつけよう」

　

　声は世界中に響き、あらゆる街に恐怖を広げていく。
　だがリオの声もまた、世界を駆け巡った。

　

　「俺たちは、諦めない！　みんなの想いをこの一枚に――！」

　

　伝説カードを握り、リオは仲間たちに合図を送る。

　

　＊

　

　【究極合体・総力戦の幕開け】

　

　まずは各自が自身のカードで強敵に応戦。

　

　カイは《雷牙狼ルガノス》と共に、異界王軍の突撃部隊を迎え撃つ。稲妻の斬撃が黒き幻獣の群れを切り裂いた。

　

　「俺の雷に負けるなよ！」

　

　ユリエルは「魔導連鎖」のカードを展開し、複数の攻撃魔法と防御魔法を同時に操る。「数では負けない！」

　

　ティアナは「癒しと守護」のサポートカードで全体を援護。味方の傷を癒し、効果を底上げする。

　

　シュトラは“絆の砦”で防衛ラインを構築し、市民や仲間たちを守る。
　「この防御陣、破れるものなら破ってみろ！」

　

　ミナは“光の加護”カードで仲間の攻撃力と防御力を底上げする。

　

　敵は異界王軍最強の将軍たち。
　“黒炎獣アザゼル”
　“虚無蛇ノクターナル”
　“死霊騎士オルドレイ”――
　どれも一撃で都市を消し去る力を持つ。

　

　だが、ここでリオが叫ぶ。

　

　「今だ――みんな、合体技で一気にいくぞ！！」

　

　【伝説カード・究極共鳴発動】

　

　リオは《希望竜グラン＝ヴァルド・レガリア》をフィールドに召喚。

　

　同時に、
　カイの《雷牙狼ルガノス》
　ユリエルの《魔導連鎖アルカナ》
　ティアナの《守護天使セラフィナ》
　シュトラの《誇りの守護騎士団》
　ミナの《光の羽衣エターナル》――

　

　すべての伝説級カードが一斉に放たれる。
　フィールドは七色の光と雷、聖なる結界で満たされていく。

　

　リオとグラン＝ヴァルドの心が共鳴し合い、他の仲間たちとも魂が繋がる――
　全員の精製力が重なった瞬間、フィールドが“究極融合”の魔法陣に変わる。

　

　「これが……俺たちの全力だ！」

　

　伝説カードが一体となり、巨大な《希望の超竜グラン＝ヴァルド・オーバーレガリア》が降臨する。

　

　アルド＝グラディウスは闇のオーラで応戦。世界の空に黒と金の光がぶつかり合い、地響きとともに王都全体が震える。

　

　「我が力の前に、希望など無意味だ！」
　アルド＝グラディウスが虚無竜と融合し、全フィールドに絶望の瘴気を広げる。

　

　リオたちは苦しみながらも、仲間一人ひとりの声で立ち上がる。

　

　「ここで折れたら、今まで戦ってきた意味がない！」
　カイの雷が闇を貫き、

　

　「まだ終わらないわ！　私たちの魔法連鎖は、未来を切り拓く！」
　ユリエルの魔法が虚無を打ち破り、

　

　「みんなを癒す、これが私の役割！」
　ティアナの癒しの光が絶望を押し返す。

　

　「守りは俺たちの誇りだ！」
　シュトラの守護陣が仲間と人々を包む。

　

　「リオ、信じて！　あなたの光がみんなを導く！」
　ミナが精一杯の祈りでカードに力を送る。

　

　世界中の人々が祈りを捧げ、その想いがリオたちに流れ込んでいく。
　“守りたいもの”の想いがカードを通じて究極の力となり、伝説の超竜が金色の咆哮を放つ。

　

　「グラン＝ヴァルド――みんなの想いを、未来に繋げ！！」

　

　超竜の咆哮が全フィールドを覆い、黒い瘴気を粉砕する。
　アルド＝グラディウスの闇は音を立てて崩れ落ち、虚無の城が光に包まれて消えていった。

　

　異界の王は、光に焼かれながら最後の言葉を残した。

　

　「人の絆……まさか、ここまでとは……」

　

　全世界が、静寂ののち歓声に包まれる。

　

　＊

　

　フィールドに膝をついたリオに、グラン＝ヴァルドが心の中で静かに語りかける。

　

　『リオ……よくやったな。お前と歩んだこの道は、私にとっても“新しい伝説”となった』

　

　リオは涙をこらえながら、カードを強く握った。

　

　「ありがとう、グラン＝ヴァルド。ありがとう、みんな……これが俺たちの――“最後の共鳴”だ！」

　

　仲間たちがリオのもとに駆け寄り、みんなで大きな輪を作る。

　

　王都の空に晴れやかな虹がかかり、
　人々は涙と笑顔で、伝説の英雄たちに拍手を送った。

　

　世界は、再び希望の光に包まれていった――。