【完結】地味な村人が伝説ドラゴンをカード化したら、最強無双の人生が始まりました

東野あさひ

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第36話「終焉の決戦」

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 王都リュミエールの空に、ふたたび黒い嵐がうねりを上げていた。
 世界中の人々が祈りを捧げる中、リオたちは最後の闘いに向けて広場に立っていた。

 

 「これが、本当に最後の戦いだな……」
 カイが緊張の面持ちで拳を握りしめる。

 

 「みんなでここまで来たのよ。絶対に負けられないわ」
 ユリエルの声には確かな決意が宿っていた。

 

 ティアナは静かにカードを撫でる。「このカードたち、私たちの想いで精製した……絶対に負けない」

 

 シュトラも、「みんなが信じてくれる限り、守りぬいてみせる」と真っ直ぐな目をリオに向ける。

 

 ミナはリオの手をぎゅっと握る。「リオ……怖くても、一緒にいるよ。何度だって立ち上がろう」

 

 リオは、みんなの想いを全身で受け止めて、ゆっくりとうなずいた。

 

 「――行こう。俺たちのカード、全部ぶつけて、この世界を絶対に守り抜く!」

 

 グラン=ヴァルドのカードが、かつてない黄金の輝きを放つ。
 リオたちの魂が、精製の魔法陣に重なっていく。

 

 *

 

 天空が裂けるような轟音とともに、異界の王・アルド=グラディウスが降臨した。
 その姿は巨大で、全身を黒き炎と闇の鱗に覆われていた。
 虚無のオーラが世界を飲み込みかける。

 

 「お前たち人間の“想い”など、たかが幻にすぎぬ!
  力も、希望も、すべて虚無の闇に還すのみ!」

 

 その声に、空も大地も共鳴し、世界のすべてが呑み込まれそうになる。

 

 しかしリオは一歩も退かず、グラン=ヴァルドと共に前に出る。

 

 「それでも俺たちは、“守りたいもの”のために戦う! この想いは誰にも消せない!」

 

 *

 

 【魂の精製バトル、開幕】

 

 リオは《希望竜グラン=ヴァルド・レガリア》をフィールドへ。
 カイは《雷牙狼ルガノス》、ユリエルは《魔導連鎖アルカナ》、ティアナは《守護天使セラフィナ》、シュトラは《誇りの守護騎士団》、ミナは《光の羽衣エターナル》。
 全員のカードが合体し、超巨大な精製魔法陣が世界中に広がる。

 

 「みんなの魂を――今ここに、一つに!」

 

 アルド=グラディウスは闇の軍勢を無数に召喚。虚無竜、瘴気獣、絶望の騎士たちが押し寄せる。
 しかしリオたちは一歩も引かず、合体技と新たな連携で迎え撃つ。

 

 【第一の連携技:雷炎刃・希望の閃光】

 

 カイとリオのカードが重なり、
 巨大な雷炎の刃が虚無竜の群れを切り裂く。

 

 「俺たちの“未来”は、ここで切り開く!」

 

 【第二の連携技:癒しの大地・守護結界】

 

 ティアナとシュトラの連携カード。
 全員の傷が癒え、強力な防壁が形成され、仲間たちの力がさらに引き出される。

 

 「みんなで守るから、誰も倒れさせない!」

 

 【第三の連携技:魔導連鎖・聖光の流星】

 

 ユリエルとミナの魔法が合わさり、
 聖なる流星が闇の騎士団を消し飛ばす。

 

 「この一撃に、みんなの願いを込める!」

 

 敵の軍勢が押し寄せる度、仲間の連携がすべてを押し返していく。

 

 だが、アルド=グラディウスは不敵に笑う。

 

 「お前たちの希望など、すべて“絶望”で上書きしてやる!」

 

 虚無の闇がリオたちを包み、みんなのカードが次々に色を失いかける――

 

 *

 

 (負けるものか……!)

 

 リオは必死に、心の中で叫んだ。

 

 (みんなの想い、カードに宿る全ての記憶……! ここで終わらせない!)

 

 そのとき、グラン=ヴァルドの声がリオの心に響いた。

 

 『リオ――お前の想いが、我を、そして世界を進化させる。』

 

 「グラン=ヴァルド、最後まで一緒に!」

 

 【最終合体・精製の奇跡】

 

 リオと仲間たち、そして世界中の祈りと希望が、ひとつの光となって天を貫く。
 伝説カードが共鳴し、グラン=ヴァルドがかつてない“真の姿”――《黎明竜グラン=ヴァルド・インフィニティ》へと進化する。

 

 「これが、俺たちの本当の“未来”だ!」

 

 巨大な黎明竜の咆哮が、虚無の闇を打ち破り、アルド=グラディウスの絶望すらも貫いていく。

 

 「まだだ……まだ、終わらぬ……!」
 異界の王は最後の抵抗を見せるが、リオたちの光はその身を包み込む。

 

 「お願いだ、グラン=ヴァルド……もう、誰も傷つけないでくれ!
  この光で、あなたも、そして俺たちも赦される未来を――!」

 

 世界中の声が、リオたちに力を与える。

 

 (ありがとう、みんな……)

 

 リオたちは全力で最後のカードを発動する。

 

 「これが、みんなの――“赦し”と“希望”だ!」

 

 黎明竜グラン=ヴァルド・インフィニティが、
 アルド=グラディウスを優しい光で包み、
 その絶望の闇を浄化していった。

 

 闇が溶け、異界の王の姿が小さく、静かに佇む少年の姿へと変わる。

 

 「私は……本当は、赦されたかったのかもしれぬ」

 

 リオはその少年に手を差し伸べる。

 

 「誰もが間違う。けど、またやり直せる。
  もう一度、“希望の世界”を一緒に作ろう!」

 

 異界の王――アルド=グラディウスは静かにうなずき、
 その魂は光となって世界の大地に溶けていった。

 

 *

 

 戦いが終わり、朝日が王都を照らす。

 

 リオたちは傷だらけになりながらも、固く抱き合って勝利の涙を流した。

 

 「ありがとう、みんな……ありがとう、世界!」

 

 グラン=ヴァルドは静かに空を見上げる。

 

 『リオ。これが、お前たちと歩んだ“贖罪”と“希望”の証だ。』

 

 リオは仲間たちと手を取り合い、
 新しい世界の夜明けを見つめていた――。
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