【完結】地味な村人が伝説ドラゴンをカード化したら、最強無双の人生が始まりました

東野あさひ

文字の大きさ
46 / 101

46話「世界大会開幕!新たなライバル」

しおりを挟む
 猫騒動という村史に残る大パニックも落ち着き、春の陽射しが広がるころ――
 リオたちは再び旅装を整え、いよいよ王都リュミエールを目指すことになった。

 

 「希望カード世界大会」の招待状が、ついに彼らのもとに届いたのだ。

 

 *

 

 王都リュミエール――それは壮麗な城壁と尖塔を擁し、世界中から人と文化、魔法、精製技術が集まる巨大都市。
 年に一度開かれる「世界大会」は、あらゆるカードクリエイター、精製師、カードバトラーにとって夢の舞台だった。

 

 大会開催の数日前から、王都はすでにお祭り騒ぎ。
 街には各国の衣装をまとった旅人たち、幻獣の着ぐるみ、露店のグルメ、パレード隊、そして“カード自慢”の若者や子どもたちの熱気があふれる。

 

 リオと仲間たちが東門から入った瞬間、子どもたちの大歓声が上がった。

 

 「リオだ! 本物のリオだ!」「グラン=ヴァルドの伝説って本当だったんだ!」「サインちょうだい!」
 押し寄せる人波に、リオは「ひゃ、ひゃーっ」と後ずさりし、ミナやカイが苦笑いで引きはがす。

 

 ティアナは屋台のスイーツを両手に「どれから食べる!?」と目を輝かせ、
 シュトラは人混みの中でも冷静に警備の目を光らせている。

 

 アールは、王都のスケールと賑わいにただただ圧倒され、
 「こんなに大きな街、初めてだ……」と感嘆の声を漏らしていた。

 

 *

 

 会場となる「聖印アリーナ」は王都の中心、巨大なクリスタルドームと空中庭園を備えた最先端の施設。
 中には何万人も観客が入り、魔導スクリーンに映し出されるバトルを世界中が注目する。

 

 大会受付でリオたちが手続きを済ませると、
 色とりどりの選手たちがぞくぞくと現れた。

 

 まずは、屈強な巨漢に率いられた北方連邦のチーム。
 全員筋骨隆々で、「筋肉カード」の精製が得意らしい。

 

 次に現れたのは、東方王国の精製美少女軍団。
 彼女たちは“花と舞”をテーマにしたコンボカードで有名なバトル集団だ。

 

 さらに、西方の老舗ギルドからは老練のカードマスターたち。
 「カードバトルの歴史はワシらが作った」と誇り高い雰囲気を醸している。

 

 他にも、氷の仮面をつけた無口な少年、砂漠の王子、双子のコンビ、獣人の精製師など、個性的な精鋭たちが次々と登場。
 それぞれの持つカードがきらきらと光り、魔力と“想い”の気配が会場中に充満していた。

 

 リオたちは控室に通される。
 壁には歴代優勝者の写真とトロフィーがずらりと並び、伝説の精製カードも展示されている。

 

 「この場所に自分が立てるなんて、やっぱりすごいことだよな……」
 リオは緊張と期待で手のひらを握りしめる。

 

 カイは「ここで優勝すれば、世界一のカードバトラーってことだぜ!」と元気づけ、
 ユリエルは「科学的なデータでも最先端のバトルが観察できるわ」と研究者魂を燃やす。

 

 ティアナは「優勝賞品の“黄金の幻獣カード素材”……絶対に手に入れる!」と力こぶを作り、
 シュトラは「だが、油断は禁物だ。大会には“裏の勢力”も動いているらしい」と小声で囁く。

 

 ミナはみんなを見渡し、「大丈夫、どんな強敵が来ても、私たちの“絆”で乗り越えられるよ」と優しく微笑んだ。

 

 アールは、ふと小さく震えながら呟く。

 

 「僕……みんなの足を引っ張らないかな……」

 

 ミナが手を取って言う。「大丈夫、アール。みんなで戦えば、絶対に乗り越えられるから」

 

 *

 

 大会初日、アリーナはすさまじい熱気に包まれていた。
 司会の魔導MCが「さあ、いよいよ“希望カード世界大会”、開幕です!」と絶叫する。

 

 オープニングセレモニーでは、空を舞うカード型の花火や、幻獣たちのパフォーマンス、歴代優勝者のパレードが華やかに繰り広げられる。

 

 リオたちは開会式の行進で観客からの歓声を浴び、思わず背筋を伸ばす。

 

 そして、第一回戦の組み合わせが発表された。

 

 「リオ・バルド率いる“希望の旅団”対、北方連邦“筋肉カード団”!」

 

 会場は爆笑とどよめきに包まれる。
 「リオ、これ……パワー勝負か!?」「筋肉カードって……筋肉が強いだけじゃ勝てないだろ!」

 

 だが筋肉カード団のリーダー、ゴルドは自信満々に叫ぶ。

 

 「筋肉こそ正義! この大会は“筋肉愛”で制す!」

 

 リオたちも笑いながら、「カードの本当の力、見せてやるよ!」とやる気を新たにする。

 

 試合開始。
 ゴルドが「マッスル・タイフーン!」とカードを発動すれば、リオは「封印竜グラン=ヴァルド!」とカウンター。

 

 グラン=ヴァルドの竜炎と、筋肉精製の巨大ゴーレムが激突する!
 会場がどよめき、魔導スクリーンには観客の応援メッセージが流れる。

 

 ユリエルは「連携コンボでいくわよ!」と声をかけ、
 ティアナとカイが手を重ねて「希望の絆コンボ!」を発動。

 

 観客たちも、「がんばれリオ!」「グラン=ヴァルド、かっこいい!」と熱い声援を送る。

 

 バトルの最中、アールも自分のカードを発動するが――

 

 「“蒼穹の光輪”、今こそ力を――」

 

 だが、カードの端に再び小さなノイズが走り、
 一瞬、会場の照明がちらつく。

 

 グラン=ヴァルドが咆哮し、筋肉ゴーレムを打ち破るその瞬間――
 アールのカードから淡い光とともに、どこか不安定な“力”が漏れ出す。

 

 その時、観客席の片隅でマントをまとった謎の少女がふっと微笑んだ。

 

 「これが“新時代の精製”……面白くなってきたわ」

 

 *

 

 第一回戦はリオたちの勝利で幕を閉じるが、会場には一抹の不穏な気配も残る。

 

 試合後、他の出場者たちが控室にリオたちを訪ねてくる。

 

 「お前たちの“絆カード”、見事だった」「次は絶対に負けない」「世界一のカードバトラーになってみせる」

 

 いろんな国や文化、精製の流儀、熱い想いがぶつかりあい、新たなライバルや友情の種も生まれていく。

 

 ミナは微笑み、「こんなにたくさんの仲間と出会える大会、素敵だね」とつぶやいた。

 

 だがリオは、アールのカードの異変が気になってならなかった。

 

 グラン=ヴァルドはリオの肩で囁く。

 

 『世界大会は、“希望”だけでなく“試練”の舞台でもある。
  お前たちの心が、必ず道を切り拓くだろう』

 

 熱気と希望、そして新たな謎とライバルたちに彩られながら、
 リオたちの“世界一”をかけた戦いが、いま始まった――。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

宿敵の家の当主を妻に貰いました~妻は可憐で儚くて優しくて賢くて可愛くて最高です~

紗沙
恋愛
剣の名家にして、国の南側を支配する大貴族フォルス家。 そこの三男として生まれたノヴァは一族のみが扱える秘技が全く使えない、出来損ないというレッテルを貼られ、辛い子供時代を過ごした。 大人になったノヴァは小さな領地を与えられるものの、仕事も家族からの期待も、周りからの期待も0に等しい。 しかし、そんなノヴァに舞い込んだ一件の縁談話。相手は国の北側を支配する大貴族。 フォルス家とは長年の確執があり、今は栄華を極めているアークゲート家だった。 しかも縁談の相手は、まさかのアークゲート家当主・シアで・・・。 「あのときからずっと……お慕いしています」 かくして、何も持たないフォルス家の三男坊は性格良し、容姿良し、というか全てが良しの妻を迎え入れることになる。 ノヴァの運命を変える、全てを与えてこようとする妻を。 「人はアークゲート家の当主を恐ろしいとか、血も涙もないとか、冷酷とか散々に言うけど、 シアは可愛いし、優しいし、賢いし、完璧だよ」 あまり深く考えないノヴァと、彼にしか自分の素を見せないシア、二人の結婚生活が始まる。

神様、ちょっとチートがすぎませんか?

ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】 未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。 本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!  おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!  僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇  ――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。  しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。  自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。 へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/ --------------- ※カクヨムとなろうにも投稿しています

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

独身貴族の異世界転生~ゲームの能力を引き継いで俺TUEEEチート生活

髙龍
ファンタジー
MMORPGで念願のアイテムを入手した次の瞬間大量の水に押し流され無念の中生涯を終えてしまう。 しかし神は彼を見捨てていなかった。 そんなにゲームが好きならと手にしたステータスとアイテムを持ったままゲームに似た世界に転生させてやろうと。 これは俺TUEEEしながら異世界に新しい風を巻き起こす一人の男の物語。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

《レベル∞》の万物創造スキルで追放された俺、辺境を開拓してたら気づけば神々の箱庭になっていた

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティーの雑用係だったカイは、魔王討伐後「無能」の烙印を押され追放される。全てを失い、死を覚悟して流れ着いた「忘れられた辺境」。そこで彼のハズレスキルは真の姿《万物創造》へと覚醒した。 無から有を生み、世界の理すら書き換える神の如き力。カイはまず、生きるために快適な家を、豊かな畑を、そして清らかな川を創造する。荒れ果てた土地は、みるみるうちに楽園へと姿を変えていった。 やがて、彼の元には行き場を失った獣人の少女やエルフの賢者、ドワーフの鍛冶師など、心優しき仲間たちが集い始める。これは、追放された一人の青年が、大切な仲間たちと共に理想郷を築き、やがてその地が「神々の箱庭」と呼ばれるまでの物語。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

処理中です...