【完結】地味な村人が伝説ドラゴンをカード化したら、最強無双の人生が始まりました

東野あさひ

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57話「みんなの想い、究極カード精製」

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 AIとの和解、心の力が世界を変える奇跡――。
 だが、王都の空には、なお一筋の不安の影が漂っていた。
 精製ネットワークの再起動によってバグの嵐は収まったものの、世界各地ではなお、絶望の残滓や、過去の傷が人々の心にわずかに残っていた。

 

 「希望の光が、まだ足りないんだ……」

 

 王都の丘の上で、リオは静かにカードを握りしめていた。
 ミナ、カイ、ティアナ、ユリエル、アール、シュトラ、そしてグラン=ヴァルド――。
 “希望の旅団”の仲間たちも、穏やかな余韻とともに、どこか胸の奥に静かな決意を宿していた。

 

 *

 

 その朝、王都の鐘楼が鳴り響く。
 カードギルド本部の広間には、世界中から次々と通信が届いていた。

 

 「リオくん、ありがとう!」「君たちのおかげで、うちの町も元気になったよ!」
 「カードがまた光り始めた!」
 「でも……まだ心が苦しい人もいるんだ。私たちにできること、教えてほしい!」

 

 その声を聞き、ユリエルが閃く。

 

 「ネットワークを通じて、世界中の“想い”を集めてみよう。
 希望精製の力が最大限に引き出せれば――きっと、バグも絶望も、全て癒やせるはず!」

 

 「やってみよう!」
 リオが高らかに宣言する。

 

 *

 

 精製ネットワークを通じて、呼びかけが始まった。

 

 「みんな――君の願いを、カードにこめて。
 大切な人の幸せを、未来への祈りを、カードに描いてみてほしい」

 

 村の子どもたちは「友だちと笑いあいたいカード」を。
 港町の少女は「病気の母を元気にするカード」を。
 旅の商人は「また家族と再会できる日を願うカード」を。

 

 世界中の人々が、それぞれの“想い”をカードに記し、
 祈るようにネットワークへと送り始めた。

 

 やがて――
 王都の精製本部に設置された巨大クリスタルが、まばゆい光で輝き出した。

 

 「みんなの願いが……集まってくる!」

 

 ミナは涙をこぼしながら、両手を胸に当てる。
 「希望は……ちゃんと世界にあったんだね」

 

 カイも拳を突き上げる。
 「よっしゃ、いくぞリオ! みんなで“究極カード”を生み出すんだ!」

 

 ティアナはそっとカードを差し出す。
 「精製は“癒やし”から生まれるの。今こそ、優しさと想いを信じて」

 

 アールとユリエル、シュトラも、自分のカードをリオに託す。

 

 「記憶を乗せて」「知恵と絆を」「守る心を」
 それぞれが一番大切な願いをこめて、カードが一枚に重なっていく。

 

 *

 

 グラン=ヴァルドが、空高く咆哮を放つ。

 

 『全ての想いよ――世界の未来へと届くがよい!』

 

 リオの手のひらで、カードが無数の光の粒となり、
 やがて一つの巨大な“奇跡の希望カード”へと形を変えた。

 

 それは、どんな伝説カードよりも美しく、
 大地と空、海と森、家族と仲間、希望と祈り――
 世界のすべての“想い”が折り重なった、究極のカードだった。

 

 *

 

 その瞬間、王都の空に七色の虹がかかる。

 

 各地の町や村でも、人々が空を見上げて歓声をあげていた。

 

 「見て! カードが光ってる!」
 「すごい……空に、希望の虹が!」

 

 現実世界に現れた“奇跡の希望カード”は、
 ゆっくりと宙に浮かび、そこから優しい光が降り注ぐ。

 

 バグに冒された町では、カードが元通りになり、
 絶望に沈んでいた人々の心にも、再び温かい気持ちが戻っていく。

 

 「希望精製……これが、本当の力なんだ」

 

 リオはカードを天に掲げ、静かに誓う。

 

 「もう二度と、絶望に負けたりしない。
 みんなの希望が、きっと未来を創る。
 俺たちは、ここからまた歩き出すんだ」

 

 *

 

 やがて、希望の光はバグの残滓や負の感情も静かに包み込み、
 世界はかつてないほど温かな気配に満たされた。

 

 グラン=ヴァルドが最後に静かに言った。

 

 『リオ、お前たちが信じ続けた“希望”が、世界を一つにした。
 これからも、その光を絶やすな――』

 

 リオは頷き、仲間たちと肩を並べる。

 

 「さあ、次の物語を始めよう!」

 

 世界中の人々がカードを掲げ、
 新たな希望がまた、未来へと羽ばたいていく――
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