【完結】地味な村人が伝説ドラゴンをカード化したら、最強無双の人生が始まりました

東野あさひ

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59話「世界の浄化、未来への扉」

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　世界中を覆っていた絶望の影は、グラン＝ヴァルドの覚醒とともに跡形もなく消え去った。
　夜明けとともに、王都の空にはかつて見たこともないほど鮮やかな虹がかかっていた。

　

　「おいリオ、見ろよ！　なんか、空気までキラキラしてるぞ！」

　

　広場でカイが叫ぶ。
　王都の人々は手を取り合い、カードを掲げて微笑みあう。
　精製ネットワークの全域が、澄み切った光と温もりに満たされていた。

　

　ミナは両手を胸に当てて、感動をかみしめていた。

　

　「本当に……全部、終わったんだね」

　

　リオはそっと頷く。

　

　「うん。だけど、これが“終わり”じゃなくて“始まり”だ。
　ここから、みんなで新しい世界を創っていくんだ」

　

　＊

　

　王都のギルド本部では、精製師たちが集まり、それぞれの想いを語り合っていた。

　

　「バグ騒動で一時は精製をやめようと思った。でも……やっぱり、カードが好きなんだ」
　「私も、希望カードでたくさんの子どもたちを救いたい。新しい精製術を研究したい！」

　

　研究者たちは、AIとの対話や和解の記録を未来のために書き留め、
　ギルドリーダーたちは「今度こそカードの“心”を忘れずに精製しよう」と誓いを新たにした。

　

　＊

　

　村にも、ようやく静かな朝が訪れた。

　

　リオとミナ、仲間たちは久しぶりに村の広場を歩いた。

　

　「リオ兄ちゃん、すごいカード見せてよ！」
　子どもたちが駆け寄り、リオは照れくさそうに“覚醒守護竜カード”を見せる。

　

　「これは、世界中のみんなの“希望”でできたカードなんだ。
　みんなの願いが一つになったから、グラン＝ヴァルドも進化できたんだよ」

　

　村人たちは感嘆し、涙を浮かべる者もいた。

　

　「これで、もう恐ろしい事件は起きないんですね？」
　老いた村長が尋ねる。

　

　「絶対なんて言えない。でも……俺たちには、希望の力がある。
　もしまた困難が来ても、みんなで乗り越えられるって信じてる！」

　

　ミナが寄り添い、そっと微笑む。

　

　「今度こそ、“私の大切な場所”を守れる気がするよ」

　

　＊

　

　精製ネットワークを通じて、各地でも新しい日常が戻り始めていた。

　

　港町ではティアナがカードクリニックを開き、幻獣や精製師たちを癒やしている。

　

　「カードに込めるのは“強さ”だけじゃない。
　思いやりや優しさも、ちゃんと精製できるんだよ」

　

　ティアナの言葉に、町の人々は明るい笑顔を取り戻していく。

　

　＊

　

　ギルドの訓練場では、カイが子どもたち相手に“友情バトル教室”を開催していた。

　

　「最強になるコツは“自分を信じること”！　仲間を信じてカードを出せば、絶対負けないぜ！」

　

　子どもたちが夢中でカードを振るう。
　カイはその姿に、自分の原点を見ているようだった。

　

　「昔の俺みたいだな……でも、みんなの未来はきっともっとすごい！」

　

　＊

　

　ユリエルとアールは新たな精製研究所の設立を進めていた。

　

　「今度は、AIや精製ネットワークの“管理者”として、みんなが安全に希望を精製できる仕組みを作るわ」
　ユリエルが真剣な眼差しで語る。

　

　アールは「僕も、“記憶修復カード”をもっと進化させる。
　精製師はみんな違って、みんな素晴らしいって伝えたい」と笑顔で応えた。

　

　＊

　

　シュトラは王都の警備隊に復帰し、事件の再発防止と町の安心を守る仕事に情熱を燃やしていた。

　

　「今度は“力”だけじゃなく、みんなの心を守る警備隊になる。
　俺もようやく、本当の強さに気づけた気がする」

　

　＊

　

　王都の広場では、精製祭りが開かれ、
　世界中から集まった精製師や子どもたちが、それぞれの“夢カード”を手に踊り、歌い、笑い合う姿があった。

　

　リオとグラン＝ヴァルドもその輪の中に加わる。

　

　「グラン＝ヴァルド、どうだ？　これが俺たちの守った未来だ」

　

　『……見事だ、リオ。お前と共に歩んだ日々は、我が魂の誇りだ。
　だが、物語は終わらぬ。希望は続く限り、世界は変わり続ける――』

　

　＊

　

　夜、リオとミナは村の丘に座って星空を眺めていた。

　

　「ねえ、リオ。あのとき“カードを作りたい”って言ってくれなかったら、
　きっと私はこんなふうに強くなれなかったと思う。ありがとう」

　

　「こっちこそ。ミナがそばにいてくれたから、何度も立ち上がれたんだ。
　これからも、ずっと一緒にいよう」

　

　ミナはリオの肩に頭を預け、
　「約束だよ。私も、あなたと一緒に“希望”を生み出し続ける」

　

　丘の向こう、遠く王都にも、村にも、
　精製カードを手にした人々の温かな光が灯り続けていた。

　

　＊

　

　世界のどこかで、また新しい精製師がカードを手に立ち上がる。

　

　未来への扉は、いま開かれたばかりだ――。

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