【完結】地味な村人が伝説ドラゴンをカード化したら、最強無双の人生が始まりました

東野あさひ

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66話「異文明“精製競技会”開幕」

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 新世界アルカナシティの朝は、ふだんよりもざわめいていた。

 

 街中に響く鐘の音。カラフルな幟とバナー。
 中央広場には巨大な円形ステージが設置され、「精製競技会」の文字が燦然と輝いている。

 

 リオたちが朝食を終えて宿舎を出ると、すでに広場は人だかり。
 市民も旅人も、精製師たちも――みんながこの祭典を心待ちにしていた。

 

 「すごい熱気だなあ」

 

 カイが早くも興奮している。ミナは「昨日のバトル以上に注目されてるかも」と少し緊張気味だ。

 

 ティアナがパンフレットを手に説明する。

 

 「今回の精製競技会は“個人戦”と“チーム戦”両方あるみたい。参加者は世界中から集まってるんですって」

 

 「見たことのないカードや幻獣も、たくさん登場しそうだな」
 シュトラは警戒を解かず、ユリエルは新ルールの資料を真剣に読み込んでいる。

 

 そこへ、レイナが合流した。
 昨日より少し表情がやわらかい。

 

 「おはよう、リオ、ミナ。今日からが本番よ。私も連盟代表として出場する」

 

 「レイナさん、よろしく!」
 リオは自然に手を伸ばし、レイナもそっとそれを握り返した。

 

 *

 

 競技会の開会式。
 司会の幻獣アナウンサーがステージに浮かび上がり、
 「これより、アルカナシティ異文明精製競技会を開幕します!」と高らかに宣言した。

 

 出場者たちは各自、チームカラーのマントを羽織って整列する。
 世界連盟のチーム、新世界の勇者組、王都から来た精鋭隊、異文明の精製師たち――
 どの顔も意気揚々としていて、個性があふれている。

 

 ミナが小声で言った。

 

 「見て、あっちの少年――なんだかリオに雰囲気が似てる」

 

 「本当だ。向こうは“東方連盟”代表のケンジっていうらしい。彼の精製カードは全部和風の幻獣なんだって」

 

 カイも新キャラたちに目を輝かせている。
 「おい、筋肉バトル枠あるのか?」
 「筋肉幻獣……?」

 

 ティアナは「医療精製師」チームの少女と挨拶を交わし、
 アールはAIカード専門の青年たちに混ざって技術談義を始めていた。

 

 そして審判役の幻獣がバトルフィールド中央に降り立ち、
 いよいよ競技会がスタートする。

 

 *

 

 第一試合はリオの個人戦。

 

 対戦相手は、巨大な帽子と怪しげなマントを纏う“幻惑使い”の少年、メルダ。
 メルダは“イリュージョンカード”を駆使し、バトルの度にフィールドの様子を変化させる。

 

 「――幻獣『夢魔の影』、召喚!」

 

 闇のベールとともに現れる幻獣。リオはすぐにグラン=ヴァルドを展開し、正面から立ち向かう。

 

 (幻惑で状況が見えにくい……でも、俺のカードは“心の目”で動く!)

 

 リオはフィールドをしっかり見据え、
 グラン=ヴァルドの「本能解放」を発動。
 幻惑を打ち破り、メルダの“夢魔”を撃破した。

 

 「リオ、ナイスファイト!」
 「さすが伝説カードだな!」

 

 観客たちがどよめく。
 次はカイと医療精製師の少女リーナのバトル。
 筋肉VS癒しという珍妙な対決になり、思わずミナも笑ってしまう。

 

 その後もユリエルVS東方連盟のケンジ、アールVS技術型精製師のバトルなど、
 個性豊かなカードや戦術が次々と披露された。

 

 *

 

 午後からはチーム戦。
 リオたち希望の旅団+レイナで“合体・連携カード”の実践バトルに挑む。

 

 「リオ、ここで“合体精製”やってみよう!」

 

 アールが新型の“クロス精製端末”をセットし、
 ティアナとミナ、ユリエルがそれぞれのカードを重ね合わせて“友情連携カード”を発動する。

 

 「守護竜グラン=ヴァルド × 癒しの花園 × 知識の書 × 勇気の光――
 クロスオーバー・ブレイブインパクト!」

 

 フィールドに巨大な虹色の竜が現れ、癒しと知識と勇気をまとって敵の幻獣を一掃した。

 

 観客席は大歓声。
 「これが新世界の連携バトル……!」

 

 レイナも初めて自分の“想い”をカードに込めて参戦し、バトルの最中に目を輝かせていく。

 

 (バトルは、理屈だけじゃない。みんなの“想い”が重なった時、想像を超える力になるんだ)

 

 リオは新しいルールや仲間との絆を感じながら、
 “精製競技会”でさらに強くなる決意を新たにした。

 

 そして――
 夜、広場ではファンファーレが鳴り響き、勝者たちが喝采を浴びる。

 

 新世界のバトルの扉が、今ここに大きく開かれたのだった――。
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