【完結】地味な村人が伝説ドラゴンをカード化したら、最強無双の人生が始まりました

76話「誘拐と救出！幻獣の叫び」

　世界精製連盟グランドトーナメントの熱狂は夜まで続いていた。
　しかしその裏で、誰も予想しなかった事件が動き出していた。

　

　リオたち希望の旅団がトーナメント会場の控室に戻ると、レイナの姿が見当たらない。

　

　「レイナ……？　どこに行ったんだ？」

　

　カイが辺りを見回し、ユリエルも心配そうに歩き回る。

　

　「もしかして、さっきまで観客席で新カードのテストしてたよな？」

　

　ティアナが不安げに言う。

　

　そこへ息せき切って戻ってきたのは、幻獣猫のルルだった。
　「リオ！　大変、レイナさんが、黒衣の連中に連れ去られたの！」

　

　一瞬、場の空気が凍りついた。

　

　「まさか……黒き精製者の手下！？」

　

　ミナの声に、仲間たち全員が顔を見合わせる。

　

　＊

　

　急ぎ町外れの森へ向かったリオたち。
　夜闇のなか、幻獣猫ルルが敏捷に足跡をたどり、森の奥へみんなを導く。

　

　「幻獣たちの力があれば、絶対見つけられる！」
　アールが新開発の“感応カード”を使い、レイナの気配を探す。

　

　森の奥、石造りの廃屋――
　そこにレイナは両手を縛られ、黒き精製者の部下・仮面の精製師たちに囲まれていた。

　

　「離しなさいよ！　あんたたちの言いなりになんて……！」

　

　レイナが叫ぶと、部下たちは「我らが“主”の命だ」「新時代の精製力の礎になってもらう」と不気味に笑う。

　

　その時、窓の外から幻獣猫ルルが「にゃあっ！」と大音声。
　それが合図となり、リオたちが突入した。

　

　「レイナ、今助ける！」

　

　リオとカイが飛び込み、ユリエル、シュトラ、ミナがサポート。
　アールのカードが煙幕を展開し、混乱の中でレイナの縄をほどく。

　

　だが、敵も強敵揃いだった。

　

　「精製バグ・シャドウリーパー、発動！」

　

　黒き精製者の部下が精製バグカードを展開し、廃屋が闇の霧に包まれる。
　幻獣たちもバグの影響で一時的に弱体化する。

　

　「このままじゃ……！」

　

　リオがグラン＝ヴァルドを召喚。
　だが、闇のフィールドに力を抑えられ、思うように戦えない。

　

　その時、レイナがリオのもとに駆け寄る。

　

　「リオ、私のカードとあなたのカード、合体させてみて！」

　

　「……合体精製？」

　

　ミナが“浄化の巫女”カードを手渡し、仲間たちが順々に自分たちのカードをリオとレイナに預ける。

　

　「みんなの力、私が“結ぶ”わ！」

　

　レイナが自身の“ミラージュ・リリス”カードを掲げ、リオの“グラン＝ヴァルド”カードと重ねる。
　アールが周囲の精製ネットワークを安定化させ、ティアナが魔力を送る。

　

　「希望の連携、今ここに――“究極合体・光竜リリスヴァルド”！！」

　

　ふたつのカードが合体し、フィールド全体に眩い光が走る。

　

　「な、なんだ、このエネルギーは……！？」

　

　黒衣の精製師たちが目を見開いた。
　闇のバグフィールドが一気に消し飛び、光の中から“合体幻獣”が姿を現す。

　

　“光竜リリスヴァルド”は、ミラージュの俊敏さとグラン＝ヴァルドの力強さを兼ね備え、
　その一撃で敵のシャドウリーパーを粉砕、仮面の精製師たちを圧倒した。

　

　「これが――みんなの連携と絆の力だ！」

　

　リオとレイナが同時に叫ぶ。
　廃屋の壁が崩れ、月明かりが差し込んだ。

　

　「まさか……計画が……！」

　

　敵は退却し、レイナは無事救出される。

　

　「……みんな、ありがとう。本当に、ありがとう」

　

　レイナの声は涙混じりだった。

　

　「私、一人じゃ何もできなかった。でも、みんながいれば……絶対、負けない！」

　

　リオはしっかりとうなずいた。

　

　「これからもずっと一緒だ。
　どんな闇がきても、俺たちの絆があれば絶対に負けないから！」

　

　月明かりの下、新たな連携技と合体精製が誕生し、希望の旅団は再び固く手を結び合うのだった。