【完結】地味な村人が伝説ドラゴンをカード化したら、最強無双の人生が始まりました

東野あさひ

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80話「未来への約束、新たな旅立ち」

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 ――静かな朝焼けが新世界アルカナシティの街を照らしていた。

 

 昨夜まで世界を包み込んでいた“絶望の闇”は消え去り、町にも村にも、穏やかで眩しい光が満ちていた。
 人々はそれぞれの家や広場に集まり、まだどこか信じられない面持ちで互いに笑い合い、涙を分かち合っている。

 

 リオはグラン=ヴァルドのカードを胸に、仲間たちと並んで中央広場に立っていた。

 

 「……終わったんだな」

 

 リオの言葉に、ミナが静かにうなずく。

 

 「うん。でも、本当にみんなのおかげ――リオが、みんながいたから」

 

 そこにカイが腕を組んで割り込む。

 

 「おいおい、二人だけでしんみりすんなよ! 俺はもう、次の修行のことしか考えてねぇからな!」

 

 「カイ、また修行なの? 本当に落ち着きがないんだから」
 ティアナがあきれながらも、微笑みを浮かべている。

 

 ユリエルは広場の片隅で、子どもたちに魔法カードの描き方を教えていた。
 アールは端末片手に世界精製ネットワークの再構築作業に没頭している。

 

 シュトラは町のギルドから新しい仕事を頼まれ、冒険者としての再スタートを切ろうとしていた。

 

 「それぞれ、次の夢に向かって歩き始めてるんだな……」

 

 リオはしみじみと仲間たちの背中を見送る。

 

 「寂しくなるな」と、ミナがつぶやく。「みんな、また会えるよね?」

 

 「もちろんさ」
 リオは笑い、「だって、俺たち“希望の旅団”だからな」と拳を突き出した。

 

 *

 

 その日の午後、広場では即席の小さなセレモニーが開かれていた。

 

 アルカナシティの長老が壇上に上がり、リオたちをはじめ、旅団の面々、精製師仲間、幻獣たちへ感謝の言葉を贈る。

 

 「この世界に再び希望の光をもたらしてくれた――みなさんこそ、新しい時代の“創造主”です」

 

 大きな拍手と歓声、子どもたちの「ありがとう!」の声が会場に広がる。

 

 その間にも、リオはミナと一緒に歩きながら、これまでの日々を思い返していた。

 

 「村を出た日から、いろんなことがあったな。最初は自分がどこまで行けるのか不安だったけど……」

 

 ミナが優しく微笑む。

 

 「リオはずっと、誰かのために走ってたよ。
 自分の夢のためだけじゃなくて――世界中のみんなのために」

 

 「……ミナがいてくれたからさ」

 

 二人はふと立ち止まる。
 朝の光が差し込む石畳の上で、リオはグラン=ヴァルドのカードをそっと掲げた。

 

 「グラン=ヴァルド、また一緒に旅してくれるか?」

 

 カードの中から、どこか懐かしくも頼もしい声が返ってくる。

 

 『もちろんだ、リオ。お前とミナ、そして仲間たちとともに、私はこれからも“希望の翼”となろう』

 

 ミナが小さく、でもはっきりとうなずく。

 

 「私も行くよ。リオと一緒に、新しい“希望”を見つけたいから」

 

 「決まりだな!」

 

 リオはミナの手を取り、仲間たちのもとへ駆け出した。

 

 「おい、どこ行くんだよ!?」
 カイが叫び、ティアナやアールも笑いながら追いかける。

 

 「また世界のどこかで、絶対再会しよう!」
 ユリエルが空へカードを放り投げる。

 

 そのカードは、朝日に煌めきながら天高く舞い上がる。

 

 *

 

 こうして希望の旅団は、それぞれの未来へ歩き出した。

 

 精製ネットワークはより多くの人に開かれ、
 カード精製は“世界をつなぐ希望の技術”として再生し、
 子どもたちも大人も、誰もが夢を描ける新しい時代が始まる。

 

 広場の隅で別れを惜しむ家族や仲間たちの声、
 抱き合う友人、幻獣とカードで遊ぶ子どもたち――
 それぞれの未来への約束が、朝焼けとともに静かに世界を包み込む。

 

 リオとミナは改めて小さな鞄を肩にかけ、旅立ちの門へと向かう。

 

 「行こう、ミナ。俺たちの物語は、まだ終わらない!」

 

 「うん、一緒に歩いていこう!」

 

 青く澄んだ空の下、二人は新たな一歩を踏み出す。

 

 (また新しい冒険が始まる――。
 この世界で、何度でも。)

 

 ◆

 

 ――物語は、まだまだ続く。
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