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4話
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「ええ。なんというか、屈辱を晴らしたい人物がいまして」
「屈辱を晴らしたい人物とは?」
「私に散々嫌がらせをしてきた人に、同じ思いを経験して欲しくて、復讐のお願いにきました」
「なるほど。そういうことでしたか……具体的にはどのようなことを? それと、差し支えなければどれくらいまで出せるのかを……」
商人は机を指でトントン叩きながら訊いてくる。
額によっては、動かないということなのだろう。
「噂を流して欲しいんです。そしてその噂を本物にしてください。そうですねぇ……具体的にはこのくらいは出せます。それと、口止め料としてこれくらい」
言いながら、私が机に札束を出すと、商人は嬉しそうに頷いた。
「これはこれは、たっぷりと奉仕させていただきますね。もちろん、当人たちがやってきたとしても誰にも口外することはありませんよ」
「ありがとうございます。では、内容についてですが……」
私は商人に、自分の計画の一部始終を話した。
話し終わると、商人は首を傾げて、
「そんなことでよろしいのですか? もっと色々しても余るほどの費用を貰っていますが……」
「いいえ、それだけでいいのです。むしろそれだけに本気を出していただきですし、お金は元々高めに取っているのでしょう? だから余るも何も元からほとんど貴方たちのものでしょう?」
「……よくお分かりですねぇ」
「だから、報酬として全額自由に使ってください」
「ありがとうございます。間違いが起こらないように、真剣に働かさせていただきますね。今月はもう貴方のおかげで他の案件は受けなくても幸せに暮らせます」
それくらいの額を出したのだ、当然だろう。
腐っても、公爵令嬢の私だ。
お金だけはそこそこ持っている。
自分の生活がままならなくならないように、そこだけ考慮して出来る限りの額は渡した。
話が済むと、私は店を出た。
その際、商人は私に深々と頭を下げた。
自分の身元が商人や店にいた客にもバレないように、しっかりと変装は怠らなかった。
ローブのしたも、顔は目以外は隠して、格好もあくまで一般民のフリをしている。
「上手くいけばいいのだけれど……」
そう呟いて、他のやるべきことをすることにした。
「屈辱を晴らしたい人物とは?」
「私に散々嫌がらせをしてきた人に、同じ思いを経験して欲しくて、復讐のお願いにきました」
「なるほど。そういうことでしたか……具体的にはどのようなことを? それと、差し支えなければどれくらいまで出せるのかを……」
商人は机を指でトントン叩きながら訊いてくる。
額によっては、動かないということなのだろう。
「噂を流して欲しいんです。そしてその噂を本物にしてください。そうですねぇ……具体的にはこのくらいは出せます。それと、口止め料としてこれくらい」
言いながら、私が机に札束を出すと、商人は嬉しそうに頷いた。
「これはこれは、たっぷりと奉仕させていただきますね。もちろん、当人たちがやってきたとしても誰にも口外することはありませんよ」
「ありがとうございます。では、内容についてですが……」
私は商人に、自分の計画の一部始終を話した。
話し終わると、商人は首を傾げて、
「そんなことでよろしいのですか? もっと色々しても余るほどの費用を貰っていますが……」
「いいえ、それだけでいいのです。むしろそれだけに本気を出していただきですし、お金は元々高めに取っているのでしょう? だから余るも何も元からほとんど貴方たちのものでしょう?」
「……よくお分かりですねぇ」
「だから、報酬として全額自由に使ってください」
「ありがとうございます。間違いが起こらないように、真剣に働かさせていただきますね。今月はもう貴方のおかげで他の案件は受けなくても幸せに暮らせます」
それくらいの額を出したのだ、当然だろう。
腐っても、公爵令嬢の私だ。
お金だけはそこそこ持っている。
自分の生活がままならなくならないように、そこだけ考慮して出来る限りの額は渡した。
話が済むと、私は店を出た。
その際、商人は私に深々と頭を下げた。
自分の身元が商人や店にいた客にもバレないように、しっかりと変装は怠らなかった。
ローブのしたも、顔は目以外は隠して、格好もあくまで一般民のフリをしている。
「上手くいけばいいのだけれど……」
そう呟いて、他のやるべきことをすることにした。
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