10 / 50
本編-1ヶ月前-
1-9
しおりを挟む
チェルシーのことはこれ以上引き出せそうにないため、ライダ様の茶会は談笑を含めほどほどにして、屋敷を去った。
その際、使用人のサガンさんはなぜだか申し訳なさそうに、そしてとても親切にお見送りをしてくれた。
もしかすると、何か知っているのかもしれない。
一方、ライダ様はというと冷めた表情で小窓から私たちが門を出るまでじっと見つめていた。
生憎、目のいい私はそれを見逃さなかった。
家路につくと、馬車を動かすアルゴと話をした。
「あなたも何か感じたようね……アルゴ」
「えぇ。アマンダ様。やはり、掴めないお方というのは情報を引き出すのが難しいですね。私はあくまで使用人ですので会話に割り込むことはできませんが、それでも思考することはできます」
「ごめんなさいね。ずっと立ちっぱなしだったし疲れたでしょう? その上、馬車まで走らせてしまって申し訳ないわ」
「いえいえ。それがお仕事ですから。それに、先ほども申し上げた通り、たっぷりと考える時間になりましたから」
「そういってもらえると助かるわ。もしかしたら、私が感じたものと同じものを感じたのかもね。だけど、それだけじゃないのよね」
「アマンダ様が何やらこそこそと調べものをしてたことは私も知っていますよ?」
普段はチェルシーのお世話が大半なのにも関わらず、本当に視野の広い人だ。
「優秀な使用人がいて、助かりますわ」
「ありがとうございます。それとーー」
おそらくずっと気になっていたのだろう。
私も誰にも言い出せなかったことだし、この際、しっかりと伝えておくことにする。
「ーーそういうことでいいかしら? これが私の計画よ」
屋敷に着いたら、チェルシーとも話をしよう。
私たちのためにも、そしてライダ様の今後のためにも。
その際、使用人のサガンさんはなぜだか申し訳なさそうに、そしてとても親切にお見送りをしてくれた。
もしかすると、何か知っているのかもしれない。
一方、ライダ様はというと冷めた表情で小窓から私たちが門を出るまでじっと見つめていた。
生憎、目のいい私はそれを見逃さなかった。
家路につくと、馬車を動かすアルゴと話をした。
「あなたも何か感じたようね……アルゴ」
「えぇ。アマンダ様。やはり、掴めないお方というのは情報を引き出すのが難しいですね。私はあくまで使用人ですので会話に割り込むことはできませんが、それでも思考することはできます」
「ごめんなさいね。ずっと立ちっぱなしだったし疲れたでしょう? その上、馬車まで走らせてしまって申し訳ないわ」
「いえいえ。それがお仕事ですから。それに、先ほども申し上げた通り、たっぷりと考える時間になりましたから」
「そういってもらえると助かるわ。もしかしたら、私が感じたものと同じものを感じたのかもね。だけど、それだけじゃないのよね」
「アマンダ様が何やらこそこそと調べものをしてたことは私も知っていますよ?」
普段はチェルシーのお世話が大半なのにも関わらず、本当に視野の広い人だ。
「優秀な使用人がいて、助かりますわ」
「ありがとうございます。それとーー」
おそらくずっと気になっていたのだろう。
私も誰にも言い出せなかったことだし、この際、しっかりと伝えておくことにする。
「ーーそういうことでいいかしら? これが私の計画よ」
屋敷に着いたら、チェルシーとも話をしよう。
私たちのためにも、そしてライダ様の今後のためにも。
27
あなたにおすすめの小説
本当に妹のことを愛しているなら、落ちぶれた彼女に寄り添うべきなのではありませんか?
木山楽斗
恋愛
伯爵令嬢であるアレシアは、婿を迎える立場であった。
しかしある日突然、彼女は婚約者から婚約破棄を告げられる。彼はアレシアの妹と関係を持っており、そちらと婚約しようとしていたのだ。
そのことについて妹を問い詰めると、彼女は伝えてきた。アレシアのことをずっと疎んでおり、婚約者も伯爵家も手に入れようとしていることを。
このまま自分が伯爵家を手に入れる。彼女はそう言いながら、アレシアのことを嘲笑っていた。
しかしながら、彼女達の父親はそれを許さなかった。
妹には伯爵家を背負う資質がないとして、断固として認めなかったのである。
それに反発した妹は、伯爵家から追放されることにになった。
それから間もなくして、元婚約者がアレシアを訪ねてきた。
彼は追放されて落ちぶれた妹のことを心配しており、支援して欲しいと申し出てきたのだ。
だが、アレシアは知っていた。彼も家で立場がなくなり、追い詰められているということを。
そもそも彼は妹にコンタクトすら取っていない。そのことに呆れながら、アレシアは彼を追い返すのであった。
真実の愛がどうなろうと関係ありません。
希猫 ゆうみ
恋愛
伯爵令息サディアスはメイドのリディと恋に落ちた。
婚約者であった伯爵令嬢フェルネは無残にも婚約を解消されてしまう。
「僕はリディと真実の愛を貫く。誰にも邪魔はさせない!」
サディアスの両親エヴァンズ伯爵夫妻は激怒し、息子を勘当、追放する。
それもそのはずで、フェルネは王家の血を引く名門貴族パートランド伯爵家の一人娘だった。
サディアスからの一方的な婚約解消は決して許されない裏切りだったのだ。
一ヶ月後、愛を信じないフェルネに新たな求婚者が現れる。
若きバラクロフ侯爵レジナルド。
「あら、あなたも真実の愛を実らせようって仰いますの?」
フェルネの曾祖母シャーリンとレジナルドの祖父アルフォンス卿には悲恋の歴史がある。
「子孫の我々が結婚しようと関係ない。聡明な妻が欲しいだけだ」
互いに塩対応だったはずが、気づくとクーデレ夫婦になっていたフェルネとレジナルド。
その頃、真実の愛を貫いたはずのサディアスは……
(予定より長くなってしまった為、完結に伴い短編→長編に変更しました)
くだらない冤罪で投獄されたので呪うことにしました。
音爽(ネソウ)
恋愛
<良くある話ですが凄くバカで下品な話です。>
婚約者と友人に裏切られた、伯爵令嬢。
冤罪で投獄された恨みを晴らしましょう。
「ごめんなさい?私がかけた呪いはとけませんよ」
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
妹のように思っているからといって、それは彼女のことを優先する理由にはなりませんよね?
木山楽斗
恋愛
伯爵令嬢であるアルリアは、婚約者の行動に辟易としていた。
彼は実の妹がいるにも関わらず、他家のある令嬢を心の妹として、その人物のことばかりを優先していたのだ。
その異常な行動に、アルリアは彼との婚約を破棄することを決めた。
いつでも心の妹を優先する彼と婚約しても、家の利益にならないと考えたのだ。
それを伝えると、婚約者は怒り始めた。あくまでも妹のように思っているだけで、男女の関係ではないというのだ。
「妹のように思っているからといって、それは彼女のことを優先する理由にはなりませんよね?」
アルリアはそう言って、婚約者と別れた。
そしてその後、婚約者はその歪な関係の報いを受けることになった。彼と心の妹との間には、様々な思惑が隠れていたのだ。
※登場人物の名前を途中から間違えていました。メレティアではなく、レメティアが正しい名前です。混乱させてしまい、誠に申し訳ありません。(2024/08/10)
※登場人物の名前を途中から間違えていました。モルダン子爵ではなく、ボルダン子爵が正しい名前です。混乱させてしまい、誠に申し訳ありません。(2024/08/14)
初恋のひとに告白を言いふらされて学園中の笑い者にされましたが、大人のつまはじきの方が遥かに恐ろしいことを彼が教えてくれました
3333(トリささみ)
恋愛
「あなたのことが、あの時からずっと好きでした。よろしければわたくしと、お付き合いしていただけませんか?」
男爵令嬢だが何不自由なく平和に暮らしていたアリサの日常は、その告白により崩れ去った。
初恋の相手であるレオナルドは、彼女の告白を陰湿になじるだけでなく、通っていた貴族学園に言いふらした。
その結果、全校生徒の笑い者にされたアリサは悲嘆し、絶望の底に突き落とされた。
しかしそれからすぐ『本物のつまはじき』を知ることになる。
社会的な孤立をメインに書いているので読む人によっては抵抗があるかもしれません。
一人称視点と三人称視点が交じっていて読みにくいところがあります。
「価値がない」と言われた私、隣国では国宝扱いです
ゆっこ
恋愛
「――リディア・フェンリル。お前との婚約は、今日をもって破棄する」
高らかに響いた声は、私の心を一瞬で凍らせた。
王城の大広間。煌びやかなシャンデリアの下で、私は静かに頭を垂れていた。
婚約者である王太子エドモンド殿下が、冷たい眼差しで私を見下ろしている。
「……理由を、お聞かせいただけますか」
「理由など、簡単なことだ。お前には“何の価値もない”からだ」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる