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雑に世界観を説明するよ
1話目
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「何処だ、此処は……」
見知らぬ景色が、視界の全てを包み込む。
雲一つない晴れた青空に、澄んだ空気。
歪な形をしたハリウッド映画で観たことあるような木がズラーッと立ち並んでいる。
おそらく森の中なのだろうか?
俺の立っている場所が円の中心地のように、歪な木で囲まれている。
けして狭くなく、むしろ広いくらいだ。
俺の小学校時代のグラウンドの10倍であり、中学校時代のグラウンドの5倍であり、高校時代のグラウンドの0倍である。
高校時代はグラウンドがなかったのだ。
「こんなお決まりな反応しなくとも、どうせ異世界転生なんでしょ。いやというほどこういう作品は読んできた、いや読まされてきたからな。で? 女神とか王様とか魔王とかはいない訳? 早く出てきてもらってもいいですか? ちゃっちゃと面倒な世界観の設定を教えてくださいよ。まあ別に知らなくてもいいんですけど。そうしないと話が進まないでしょうし、こんな森の中にポツンといてもねぇ、描写するものすらないんですよ。歪な木だけじゃないですか、作家泣かせな場所ですねぇ。なんですか? 俺の文章表現や心の豊かさがしょうもないからだ? 言ってくれるじゃないですか!」
『うるさあああああああい!! お前は誰と話しているんだ!』
都合よく、テレパシーのようにどこからか幼い少女の声が頭に響いてくる。
かなり怒っているようだ。
「お、やっと現れましたね。あの~すみません。ここから一番早く元の世界に戻れる方法教えてもらっていいですか。異世界転生ってすごい巷で人気ですけど、俺はあんまり受け付けないというか、むしろ嫌いなので、なるべく早く帰りたいんですよね。できれば夢であれと思いたいくらいです。現実的に考えれば、この状況が夢でない方がおかしいんですが、わかってますからそこは……。もう悟ってますんでね、とにかく急いで帰れるサポートをしていただけると助かります」
『うるさあああああい!!話が長いんだよお前。友達がいないんか? だからそうやって日頃からひとりで喋る癖でもついてるんじゃろう?』
「そうです。ぼっち寂しいです。でも普段は、ライトノベルの執筆に没頭する日々でしたから、誤魔化してました。それに小説の中のキャラクターたちだけは、自分の大切な仲間なんです」
『いや、誰も聞いてねーよ。うるさいんだよ。ひとりでぺちゃくちゃと。お前のせいでもう読者の半数以上がブラウザバックしただろうが? ちょっとは神の気持ち考えろや。もう世界観の設定は次回話すわ。テレビのコマーシャルのような感じで残った読者を促すためにね』
「あんたが誰かは存じませんが、えらくキャラが変わりましたねぇ。というかこの作品ほんといい加減ですねぇ。作者が自由気ままに書いている気がしてなりませんね」
『そうなんじゃよ。作者がテキトーでな? プロットすら書かずに日記のように執筆するせいで物語の展開がいい加減なんよなぁ。とにかくよ、また次回な次回。次回からは本気出す!』
どこかで聞いたことあるような台詞が頭の中で響いた。
見知らぬ景色が、視界の全てを包み込む。
雲一つない晴れた青空に、澄んだ空気。
歪な形をしたハリウッド映画で観たことあるような木がズラーッと立ち並んでいる。
おそらく森の中なのだろうか?
俺の立っている場所が円の中心地のように、歪な木で囲まれている。
けして狭くなく、むしろ広いくらいだ。
俺の小学校時代のグラウンドの10倍であり、中学校時代のグラウンドの5倍であり、高校時代のグラウンドの0倍である。
高校時代はグラウンドがなかったのだ。
「こんなお決まりな反応しなくとも、どうせ異世界転生なんでしょ。いやというほどこういう作品は読んできた、いや読まされてきたからな。で? 女神とか王様とか魔王とかはいない訳? 早く出てきてもらってもいいですか? ちゃっちゃと面倒な世界観の設定を教えてくださいよ。まあ別に知らなくてもいいんですけど。そうしないと話が進まないでしょうし、こんな森の中にポツンといてもねぇ、描写するものすらないんですよ。歪な木だけじゃないですか、作家泣かせな場所ですねぇ。なんですか? 俺の文章表現や心の豊かさがしょうもないからだ? 言ってくれるじゃないですか!」
『うるさあああああああい!! お前は誰と話しているんだ!』
都合よく、テレパシーのようにどこからか幼い少女の声が頭に響いてくる。
かなり怒っているようだ。
「お、やっと現れましたね。あの~すみません。ここから一番早く元の世界に戻れる方法教えてもらっていいですか。異世界転生ってすごい巷で人気ですけど、俺はあんまり受け付けないというか、むしろ嫌いなので、なるべく早く帰りたいんですよね。できれば夢であれと思いたいくらいです。現実的に考えれば、この状況が夢でない方がおかしいんですが、わかってますからそこは……。もう悟ってますんでね、とにかく急いで帰れるサポートをしていただけると助かります」
『うるさあああああい!!話が長いんだよお前。友達がいないんか? だからそうやって日頃からひとりで喋る癖でもついてるんじゃろう?』
「そうです。ぼっち寂しいです。でも普段は、ライトノベルの執筆に没頭する日々でしたから、誤魔化してました。それに小説の中のキャラクターたちだけは、自分の大切な仲間なんです」
『いや、誰も聞いてねーよ。うるさいんだよ。ひとりでぺちゃくちゃと。お前のせいでもう読者の半数以上がブラウザバックしただろうが? ちょっとは神の気持ち考えろや。もう世界観の設定は次回話すわ。テレビのコマーシャルのような感じで残った読者を促すためにね』
「あんたが誰かは存じませんが、えらくキャラが変わりましたねぇ。というかこの作品ほんといい加減ですねぇ。作者が自由気ままに書いている気がしてなりませんね」
『そうなんじゃよ。作者がテキトーでな? プロットすら書かずに日記のように執筆するせいで物語の展開がいい加減なんよなぁ。とにかくよ、また次回な次回。次回からは本気出す!』
どこかで聞いたことあるような台詞が頭の中で響いた。
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