貴方の思い描く、異世界とは違う物語が存在します。格好の良い勇者も魔王もいない世界の物語を綴った本棚にお越しください。

南悠

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魔王を倒す方法

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王国は、歴代の王たちが魔王に苦しんでいた。

歴代の王は、異世界より勇者を召喚して対抗したが、ただ一例の倒したとの記述を記するのみで、後は倒すことは叶わずに眠らせて凌いできた。

魔王を憎む今の王は、召喚した勇者達を隷属させて、【魔王を倒せ】と厳命していた。

勇者達は、幾度か魔王と戦うが、魔王を守る盾を破ることが出来ず、四方八方に手を伸ばして、過去に一度だけ倒したとの記述に基づく、確証を求めた。

暫しの時が掛かったが、遠き霊山に隠れ住む【賢者】が、魔王を倒した際のメンバーでは無いかと推測された。

勇者一行は、霊山に向かい【賢者】に教えを乞うた。
最初から、面会を拒む賢者だが、勇者達の隷属化された現状を知ると渋々ながらも応じてくれた。

賢者曰く
「王に伝えよ。魔王は倒す事は出来ない。ただ、現王の統治期間だけを眠らせる事は可能だ。それで満足しろ」と。
勇者達は、尚も食い下がったが 賢者は答える事は無かった。
ただ、一通の手紙を渡して、【王が拒み、尚も魔王退治を望むなら、これを開き実行しろ。
もし、実行するなら慎重に躊躇うな】と一言だけ言って、二度と出て来なかった。

勇者達は、王に対して賢者の言葉を伝えたが、王は一言「魔王を倒せ。これは厳命だ」と言い放った。

隷属化されている勇者達は、これ以上は抗じる事が出来ずに、私室で、賢者の手紙を開いた。
手紙には、【勇者よ。これから記する事を、慎重に冷酷かつ冷静に実行しろ。
まず、魔王とは何かから説明する。
・魔王とは、歴代王族が迫害もしくは弾圧してきた人々の恨みのタマシイの塊で有ること。
・眠らせるとは、現王を恨んだタマシイを満足させるだけでしか無いこと。
・倒すには、現王の愛する王族を生け贄に捧げる事により、魔王を守る盾を無効化させること。
・魔王を倒すと、全ての恨みがリセットされて、次の恨みが貯まる迄の期間は、再びの魔王復活は無いこと。】
手紙を、読み終えた勇者達は、まず、手紙を焼き捨て、策を立て、冷静にかつ冷酷に実行した。

のちに、魔王が倒れたとの報が賢者の耳に届いた。
賢者は、夜空を見上げて呟いた。
「聖女。すまなかった・・・。
この事を知った時に、貴女は自ら、生け贄として、その身を捧げた。
だが、俺は勇者として、拒めなかったが、貴女には生きて欲しかった。
この王家が続く限り、この連鎖を断ち切る事は出来ないのか・・・。
そして、魔王の呪いは、俺を縛り付けて、死なせてくれない。
嗚呼、貴女の元に・・・早く逝きたい。」

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