貴方の思い描く、異世界とは違う物語が存在します。格好の良い勇者も魔王もいない世界の物語を綴った本棚にお越しください。

南悠

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ひとりの召喚者の話

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ひとりの男が召喚された。

男は驚いた表情で周りを見渡していた。
ヨーロッパ中世を思わせる石造りの大広間に屈強な騎士達が立ち、中央に豪華なローブ纏った老人が豪華な椅子に座している。

老人は傍らの小柄な男に指示を出し、小柄な男は現在の王国の窮状を訴えかけてきた。

要するに魔王の攻勢に抗う為に、勇者を召喚したとの事らしい。
「・・・俺が勇者?」
男は戸惑いを隠せない。

そんな男を見透かした老人は、直ちに指示を出し、急ぎ晩餐会をも要した。

この国一番の料理が、大広間に展開される。
老人は、王国の力を見せ付ける為に用意した豪華な料理だったのだろう。
老人の目論みは、更に薄絹を纏わせた多くの美女を男の周りに侍らかせて、懐柔を図ったのだろう。
しかし、男は美女には目を向けず、料理に向かい、難しい表情を浮かべていた。
そして、徐に小柄な男に向かい、何かを話し掛けている。

老人は、不思議そうに見つめていると、おもむろに男は、大広間を出て駈けていく。
老人は、腰を上げて男を追い掛けて行った。
男は、厨房に駆け込み料理人に話し掛けた。
料理人は、戸惑いながら老人を見詰めると、老人は訳が分からないが頷き、興味津々の表情で男の思うままに差せた。

男は戸惑うこと無く、調理器具を使いこなし、料理を完成させる。
始めは戸惑っていた料理人は、試食をすすめられ口に咥えた表情が、明らかに変わって行くのが老人の目にも解る。
料理人に次いで小柄な男、そして付き添う騎士達が立て続けに試食する。
その表情は、溢れんばかりの笑顔に代えていく。
老人は、待ち望む。その笑顔の元を口にする事を。
香りだけで唾液が口中を溢れてくるのが、ハッキリと判る。
そして、献上された料理を口に入れた時に感じた。【・・・これは、この世の食べ物なのか?
だが、厨房にある食材で作る処をハッキリと見ていた。この男を逃してはいけない。まして、戦場に送り込む何て・・・】


男は老人に歓迎されて、お客様として迎えられた。

そして、老人は小柄な男に【新たに他の人物を召喚する事】を命じた。

ひとつの召喚者の話でした。




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