47 / 316
忘れ得ぬ風景
しおりを挟む
「懐かしいな。初めて魔物を倒した草原。スライムだったかな。」
草原に佇む男は、懐かしそうに辺りを見渡している。隣の女性は、微笑みながら男を見詰めていた。
「あぁ!ここ、ここ。ここで魔物に反撃を食らって死に掛けたっけ。」
「そして、この道を下ると小さな町が有るんだ。」
男は、足取りも軽く道を進む。
町に近付くに従い人々が増えてきた。
門の前には入場を待つ列がある。しかし、男は門番に咎められる事なく門を潜る。
町に入ると人々が多く行き交う だが、誰ひとりとして、彼らに気付きもせずに歩いて行く。
周りを気遣う事なく、二人の話は続く、
「召喚された直後、直ぐに[ 能無し ] と言われて放逐された。そして、やっとこの町に流れ着いたんだ。ひもじい思いをしながらも冒険者として立てた時は、嬉しかったな。」
「大変だったのね。」
「そうでも無いさ。あぁ!ここで彼奴らと初めて出会った。懐かしいなあ。」
「始めての仲間?」
「彼奴らとは、ある事が切っ掛けで出逢い、直ぐに意気投合したのさ。気の良い連中だったな。」
「どんな人達だったの。」
「ハンターのリーダーとタンクの筋肉男と優男の剣士。そして回復術士の彼女の四人だよ。」
「彼等は、今は?」
「・・・。頼む、妖しげの洞窟へ。」
「わかったは、転移。」
女性の魔法で、洞窟の中にとんだ。
目の前には、眠そうなドラゴンがいる。ドラゴンは、彼らに気付いたのか、閉じていた目を少し上げて見詰めたが、直ぐに目を閉じた。
「このドラゴンに仲間は、俺と回復術士の彼女を残して殺されたよ。」
「貴方と彼女は大丈夫だったの。」
「あぁ!危なかったよ。しかし、これが切っ掛けで、俺と彼女は覚醒したのさ。勇者と聖女としてな。」
「死んだ彼奴は、本当にいい奴らだったよ。何時までも一緒に居たかった。生きていて欲しかった。」
「辛かったわね。彼らの冥福を祈りましょう。」
「ありがとう。」
「その後は、俺と聖女を中心に新しい仲間が加わったが、今一溶け込め無かったな。だから彼女以外に余り思い入れが無いんだ。奴らには悪いが、ただ、感謝はしているよ。」
「彼らには、何らかで伝えておくわ。」
「ありがとう。ただ心残りは、彼女の事かな。幸せになって欲しいな。それだけだ。」
「彼女は、未だに悔いているわよ。」
「仕方ないさ。出会ったから五年間離れる事なく、共に戦って来たからな」
「鈍感!」
「酷い言われようだな。でもサヨナラも言えなかった。ひどい男さ。」
「さあ!もう良いだろう。そろそろ逝かないか。」
「そうね。そろそら時間かも。心残りは無いの。」
「幾らなんでもキリが無いさ。」
「わかったは。この先はどうするの? 死んだ仲間の元に行く?それともふるさとに帰るの?」
「どうするかな。・・・。仲間の元に送ってくれないか。そこで彼女が来るのを皆て待つよ。」
「了解。そしてありがとう。」
「此方こそありがとう。そしてサヨナラ。」
勇者は、静かに天へ登った。
「勇者様。魔王を倒して、力尽きて亡くなった貴方の望みを叶えました。あなたの忘れ得ない風景を共に楽しく見て回りました。喜んでいる貴方を見ていて、私も楽しかったわ。聖女の事は任せて頂戴、必ず幸せな人生を約束してあげるわ。」
「・・・さようなら。そしてありがとう。」
草原に佇む男は、懐かしそうに辺りを見渡している。隣の女性は、微笑みながら男を見詰めていた。
「あぁ!ここ、ここ。ここで魔物に反撃を食らって死に掛けたっけ。」
「そして、この道を下ると小さな町が有るんだ。」
男は、足取りも軽く道を進む。
町に近付くに従い人々が増えてきた。
門の前には入場を待つ列がある。しかし、男は門番に咎められる事なく門を潜る。
町に入ると人々が多く行き交う だが、誰ひとりとして、彼らに気付きもせずに歩いて行く。
周りを気遣う事なく、二人の話は続く、
「召喚された直後、直ぐに[ 能無し ] と言われて放逐された。そして、やっとこの町に流れ着いたんだ。ひもじい思いをしながらも冒険者として立てた時は、嬉しかったな。」
「大変だったのね。」
「そうでも無いさ。あぁ!ここで彼奴らと初めて出会った。懐かしいなあ。」
「始めての仲間?」
「彼奴らとは、ある事が切っ掛けで出逢い、直ぐに意気投合したのさ。気の良い連中だったな。」
「どんな人達だったの。」
「ハンターのリーダーとタンクの筋肉男と優男の剣士。そして回復術士の彼女の四人だよ。」
「彼等は、今は?」
「・・・。頼む、妖しげの洞窟へ。」
「わかったは、転移。」
女性の魔法で、洞窟の中にとんだ。
目の前には、眠そうなドラゴンがいる。ドラゴンは、彼らに気付いたのか、閉じていた目を少し上げて見詰めたが、直ぐに目を閉じた。
「このドラゴンに仲間は、俺と回復術士の彼女を残して殺されたよ。」
「貴方と彼女は大丈夫だったの。」
「あぁ!危なかったよ。しかし、これが切っ掛けで、俺と彼女は覚醒したのさ。勇者と聖女としてな。」
「死んだ彼奴は、本当にいい奴らだったよ。何時までも一緒に居たかった。生きていて欲しかった。」
「辛かったわね。彼らの冥福を祈りましょう。」
「ありがとう。」
「その後は、俺と聖女を中心に新しい仲間が加わったが、今一溶け込め無かったな。だから彼女以外に余り思い入れが無いんだ。奴らには悪いが、ただ、感謝はしているよ。」
「彼らには、何らかで伝えておくわ。」
「ありがとう。ただ心残りは、彼女の事かな。幸せになって欲しいな。それだけだ。」
「彼女は、未だに悔いているわよ。」
「仕方ないさ。出会ったから五年間離れる事なく、共に戦って来たからな」
「鈍感!」
「酷い言われようだな。でもサヨナラも言えなかった。ひどい男さ。」
「さあ!もう良いだろう。そろそろ逝かないか。」
「そうね。そろそら時間かも。心残りは無いの。」
「幾らなんでもキリが無いさ。」
「わかったは。この先はどうするの? 死んだ仲間の元に行く?それともふるさとに帰るの?」
「どうするかな。・・・。仲間の元に送ってくれないか。そこで彼女が来るのを皆て待つよ。」
「了解。そしてありがとう。」
「此方こそありがとう。そしてサヨナラ。」
勇者は、静かに天へ登った。
「勇者様。魔王を倒して、力尽きて亡くなった貴方の望みを叶えました。あなたの忘れ得ない風景を共に楽しく見て回りました。喜んでいる貴方を見ていて、私も楽しかったわ。聖女の事は任せて頂戴、必ず幸せな人生を約束してあげるわ。」
「・・・さようなら。そしてありがとう。」
0
あなたにおすすめの小説
姉の引き立て役の私は
ぴぴみ
恋愛
アリアには完璧な姉がいる。姉は美人で頭も良くてみんなに好かれてる。
「どうしたら、お姉様のようになれるの?」
「ならなくていいのよ。あなたは、そのままでいいの」
姉は優しい。でもあるとき気づいて─
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
背徳のミラールージュ(母と子 それぞれが年の差恋愛にのめり込んでいく鏡写し)
MisakiNonagase
恋愛
24歳の市役所職員・中村洋平には、自慢の恋人がいた。2歳年上の小学校教師、夏海。誰もが羨む「正解」の幸せの中にいたはずだった。
しかし、50歳になる母・美鈴が21歳の青年・翔吾と恋に落ちたとき、歯車は狂い出す。
母の恋路を「不潔だ」と蔑んでいた洋平だったが、気づけば自分もまた、抗えない引力に引き寄せられていた。
その相手は、母の恋人の母親であり、二回りも年上の柳田悦子。
純愛か、背徳か。4年付き合った恋人を捨ててまで、なぜ僕は「彼女」を求めてしまうのか。
交差する二組の親子。歪な四角関係の果てに、彼らが見つける愛の形とは――。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
「美しい女性(ヒト)、貴女は一体、誰なのですか?」・・・って、オメエの嫁だよ
猫枕
恋愛
家の事情で12才でウェスペル家に嫁いだイリス。
当時20才だった旦那ラドヤードは子供のイリスをまったく相手にせず、田舎の領地に閉じ込めてしまった。
それから4年、イリスの実家ルーチェンス家はウェスペル家への借金を返済し、負い目のなくなったイリスは婚姻の無効を訴える準備を着々と整えていた。
そんなある日、領地に視察にやってきた形だけの夫ラドヤードとばったり出くわしてしまう。
美しく成長した妻を目にしたラドヤードは一目でイリスに恋をする。
「美しいひとよ、貴女は一体誰なのですか?」
『・・・・オメエの嫁だよ』
執着されたらかなわんと、逃げるイリスの運命は?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる