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第2編 消えた人々の行方
さらに深みへ
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「しんどいだろ。服を脱がすぞ。少しはラクになるはずだ」
「うん……」
モールはジャンティーが着ているジャケットとクラヴァット、ジレ、ブーツを脱がした。
ジャンティーはシャツとスラックスだけの軽装になり、はだけた胸元からは白い肌が覗けた。
ついこないだまでは浅黒く焼けていたところだ。
おそらく、長いこと日に晒されていなかった肌が、もとの白さを取り戻したのだろう。
モールは奥歯をギリ、と噛み締めた。
いまのジャンティーのこの肌の白さは、自分より遥かにいい暮らしをしている何よりの証明なのだ。
これが嫉妬せずにいられようか。
「……ありがとう、モール」
そんなモールの嫉妬などつゆ知らず、ジャンティーは礼を言う。
そんな無邪気さに、モールはまたしてもはらわたが煮えくりかえるような気持ちになった。
「いや、とんでもない。体調が安定するまでゆっくり寝ていろよ」
嫉妬と怒りを抑えつつ、モールはジャンティーに優しく話しかけた。
「ほんとに…ありがとう」
微笑みながらジャンティーは、ゆっくりと目を閉じた。
それを見計らって、モールは先ほど脱がしたジャケットやジレを物色し始めた。
──ジャケットとかは盗んでも質屋に持っていけないな。あんまり目立つモノを盗んでジャンティーに気づかれたら意味がない
ひとりであれこれ考えを巡らせながら、モールはジャケットやジレの飾りボタンや、クラヴァットの留め具を抜き取った。
高価な代物なのだ。
ボタンひとつ取ってみても価値は充分あるはずだし、ボタンや留め具がわずかに欠けた程度のことなら、疑われずに済むだろう。
モールは物色を終えると、脱がした衣服を全てきれいに畳んでおいた。
あっという間に酒にやられたジャンティーだったが、回復はモールが思ったより早かった。
「ごめんよモール。ぼくったら、また迷惑かけて……」
ジャンティーは申し訳なさそうな顔をしながら、半身を起こした。
「そんなこと気にするなよ」
「もう帰らなきゃ…」
ポンポンと軽く肩を叩くモールを置いて、ジャンティーはベッドから立ち上がった。
いつまでもここにいるわけにはいかない。
ウォルターとシャルルが待っているのだ。
「おいおい、無理するなよ。まだ寝てたほうがいい」
モールはジャンティーを必死に引き止めようとした。
「大丈夫だよ。それに、長居しちゃ悪いッ…⁈」
ジャンティーが帰ろうとした矢先、モールは彼に強く抱きしめられた。
「ごめん、お前を帰したくない」
「え?」
いきなり抱きしめられて、ジャンティーは戸惑った。
「いきなりこんなことを言われても戸惑うと思うけれど、初めて会ったときから俺はお前のことが好きだったんだ」
モールはジャンティーの細い体をより強く抱きしめた。
「モール……」
ジャンティーの心臓はバクバクと波打ち、頭がまたクラクラし始めた。
まだ酒が抜けてないのかもしれない。
「ジャンティー、まだここにいてくれないか?なるだけでいいんだ。少しでも、お前と長く一緒にいたい」
モールの唇が、ジャンティーの耳に触れる。
その瞬間、ジャンティーの背中はゾクリと震えた。
「うん……」
モールはジャンティーが着ているジャケットとクラヴァット、ジレ、ブーツを脱がした。
ジャンティーはシャツとスラックスだけの軽装になり、はだけた胸元からは白い肌が覗けた。
ついこないだまでは浅黒く焼けていたところだ。
おそらく、長いこと日に晒されていなかった肌が、もとの白さを取り戻したのだろう。
モールは奥歯をギリ、と噛み締めた。
いまのジャンティーのこの肌の白さは、自分より遥かにいい暮らしをしている何よりの証明なのだ。
これが嫉妬せずにいられようか。
「……ありがとう、モール」
そんなモールの嫉妬などつゆ知らず、ジャンティーは礼を言う。
そんな無邪気さに、モールはまたしてもはらわたが煮えくりかえるような気持ちになった。
「いや、とんでもない。体調が安定するまでゆっくり寝ていろよ」
嫉妬と怒りを抑えつつ、モールはジャンティーに優しく話しかけた。
「ほんとに…ありがとう」
微笑みながらジャンティーは、ゆっくりと目を閉じた。
それを見計らって、モールは先ほど脱がしたジャケットやジレを物色し始めた。
──ジャケットとかは盗んでも質屋に持っていけないな。あんまり目立つモノを盗んでジャンティーに気づかれたら意味がない
ひとりであれこれ考えを巡らせながら、モールはジャケットやジレの飾りボタンや、クラヴァットの留め具を抜き取った。
高価な代物なのだ。
ボタンひとつ取ってみても価値は充分あるはずだし、ボタンや留め具がわずかに欠けた程度のことなら、疑われずに済むだろう。
モールは物色を終えると、脱がした衣服を全てきれいに畳んでおいた。
あっという間に酒にやられたジャンティーだったが、回復はモールが思ったより早かった。
「ごめんよモール。ぼくったら、また迷惑かけて……」
ジャンティーは申し訳なさそうな顔をしながら、半身を起こした。
「そんなこと気にするなよ」
「もう帰らなきゃ…」
ポンポンと軽く肩を叩くモールを置いて、ジャンティーはベッドから立ち上がった。
いつまでもここにいるわけにはいかない。
ウォルターとシャルルが待っているのだ。
「おいおい、無理するなよ。まだ寝てたほうがいい」
モールはジャンティーを必死に引き止めようとした。
「大丈夫だよ。それに、長居しちゃ悪いッ…⁈」
ジャンティーが帰ろうとした矢先、モールは彼に強く抱きしめられた。
「ごめん、お前を帰したくない」
「え?」
いきなり抱きしめられて、ジャンティーは戸惑った。
「いきなりこんなことを言われても戸惑うと思うけれど、初めて会ったときから俺はお前のことが好きだったんだ」
モールはジャンティーの細い体をより強く抱きしめた。
「モール……」
ジャンティーの心臓はバクバクと波打ち、頭がまたクラクラし始めた。
まだ酒が抜けてないのかもしれない。
「ジャンティー、まだここにいてくれないか?なるだけでいいんだ。少しでも、お前と長く一緒にいたい」
モールの唇が、ジャンティーの耳に触れる。
その瞬間、ジャンティーの背中はゾクリと震えた。
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