【完結】人妻オメガの密かな願望

若目

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総治郎の苦い初体験

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「ねえ、総治郎さん。総治郎さんの好きな服、いっそ買っちゃいましょうかねえ?」
衣服を乱して寝っ転がったまま、直生はベッドの縁に座った総治郎に語りかける。

「俺の好きな服?」
「さっきホテルで着てた体操服です。ブルマも買いましょうか?」
直生はクスクス笑った。
おそらく、半分冗談で半分本気なのだろう。
思えば、結婚して以来、直生が冗談を言うのは初めてだ。

「ああ…」
どう反応したらいいかわからなくて、総治郎は苦笑いするしかなかった。
「ホテルでのレンタルじゃなくて、いっそ買っちゃったら、いつでも好きなときに好きなプレイができますよ?」
直生は、赤面しつつ意味あり気に微笑むという、なんと表現すればいいかわからない表情を浮かべた。


「うーん…いや、出すもん出して冷静になったとき、ちょっとしたトラウマが浮かんでくると思うから…」
「トラウマ?」
いったいどういうことだろうか、と直生は疑問符を浮かべた。

「まあ…なんだ、初体験のときにな、相手の子が着てたのが、あんなカンジの体操服だったんだ」
「えーと…その、どういう状況なんですか?その相手の人に、何か言われたんですか?」
初体験のときの相手があんな服を着ていた、とはどういうことだろう。
総治郎の初めての相手は、変わった趣味のある人だったのだろうか。

「助けて、と」
総治郎がボソリと呟く。
「え?」
「助けてと言われたんだよ。そのとき、俺は小学6年生だったんだ。指に切り傷ができて、出血はすぐ止まったけど痛かったし、何かの拍子に傷口が開いたら困るから、絆創膏をもらおうと保健室に行って、それで…」

「それで?」
「保健室に先生はいなくて、同じクラスの女の子が、ベッドでうめいてた。その子はオメガでな、そのときに初めて発情期が来たらしくて…苦しそうに「成上くん、助けて」と泣いて言われた」
「ああ…」
直生は、その女の子の気持ちがなんとなくわかってしまった。
自分だって、初めて発情期が来たときは心底怖かったし、「助けて」と泣いていたから。

「俺はそのときにすでに精通してたもんだから、フェロモンにあてられたんだろう。介抱するよりも先に、その子に飛びかかってしまって…それで、気がついたときには女の子が目の前でぐったりしてて、愕然としてるうちに、先生が保健室に戻ってきたんだ。大騒ぎになったよ」
総治郎の表情が、次第に曇っていく。

「それをきっかけに、俺は転校することになった。当然だよな。強姦の加害者が、被害者と同じ学校に通い続けるなんて、そんなのおかしいだろ?彼女の両親が用心して、首に拘束具をつけさせてなかったら、同意なく番にするところだった」
総治郎がうなだれた。

気丈でしっかり者に思えた彼にも、辛い過去のひとつやふたつぐらい、あるにはあるだろうとは考えていた。
でも、いざ聞かされてみると、意外に思う気持ちの方が勝った。

「俺の両親が向こうに頭を下げ続けるのを見てるのは辛かったな。向こうがあんまり大ごとにしたくないって言ったから、示談にはしてくれたけど、慰謝料も高くついたみたいだし…」

総治郎は落ち込んでいるような、懐かしんでいるような、奇妙な態度で話し続けた。
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