【完結】人妻オメガの密かな願望

若目

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直生の思い出

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「それで、ちょっと理解できなかったのがな…相手の子には、なぜか感謝されたんだ」
「感謝?」
直生は身を起こして衣服を整えると、総治郎の方へ擦り寄った。

「うん、「あのとき、ものすごく不安だったから成上くんが来てくれて嬉しかった、ありがとう」って言われたんだ。わけがわからなかったよ」
総治郎が神妙な顔をする。
皮肉でもなんでもなく、本当に女の子の言ったことが理解できないのかもしれない。


でも、直生は違った。
「私、その人の気持ち、ちょっとだけわかります」
「……そうなのか?」
総治郎は怪訝な顔をした。

「はい。だって、発情期って、初めてのときはものすごく不安なんです。私も初めて発情したときは保健室に運ばれました。中学校入ってすぐのことでしたかね。それで、「おうちの人に連絡するからね」って先生が保健室を出て行って、ひとりにされたときは本当に不安でした。大げさですけどね、「このまま死んじゃうのかな?」とか本気で思いましたもの」
直生は、初めて発情期が来た中学1年生のときのことを思い出した。
「そうか、そうなのか…」
総治郎は、まだ納得していないような様子でいた。

「そうです。だから、やってることはたとえ強姦であっても、体の熱は鎮まったんですもの。異常はなくなったわけだから、感謝する気持ち、わかっちゃいます」
直生は、総治郎の大柄な体に寄りかかって、腕を絡めた。

「そういうものかな…」
総治郎は理解には至らないようだが、納得はできたらしい。

「そうですよ」
直生は総治郎の背中を、ミルクを飲んだ赤ん坊にゲップを促すときみたいに、優しく撫でさすった。

「なるほど。それにしても、オメガの人たちは大変だな。きみも辛かったろう」
「大変だけど、辛いとまでは思わないですよ。それに…私ったら、保健の先生が助けようと一生懸命に頑張ってくれてたのに…いやらしいこと考えちゃって……」
直生はもじもじと体を揺すって、赤面した。
当時を思い出すと、どうしても恥ずかしい気持ちが抑えられない。

10代前半の子どもというのは、大人ではありえないような妄想をして、あまつさえ、それが現実にできるものと本気で思っていたりする。
そして、思春期を過ぎ、成人してから思い返してみると、誰もが経験するような、あの感覚に見舞われる。


「いやらしいこと?」
「その、その先生は40歳前後の男の先生だったんですけど…結構カッコいい感じの先生だったんです。物事おだやかで優しくて…生徒のみんな大好きだったんですよ。それで、私、保健室のベッドに寝かされたとき、先生に何かされるんじゃないかって…そんなこと考えちゃって……」
直生の声が、次第に小さくなっていく。
大好きな先生に犯されるなんて妄想をすることも恥ずかしいのに、それを夫に言うなんて。

なんて、はしたない。
でも、そんな気持ちをいつまでも胸にしまっておくのも、難しい。
だって、誰かにそうされたかったのだ。
初めて発情期が来たときからずっと。

直生は、誰かに責められて犯されたいと思っていた。
これはオメガ全員がそうなのか。
それとも自分だけがそうなのか。

それを確かめたい気持ちもあった。
自分のこんな一面を知ったら、総治郎はどう思うのだろう。
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