二次元だって、裏切ります

若目

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別れ際

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久実子が返す言葉を考えているうちに、ウツミは早口でまくし立て始めた。

「いるでしょガサツで下品なだけなのにそれをカッコいいと思ってる人って。中性とかなんとか言ってるけどアレはカッコつけてるだけなんだよ。ファッション感覚なんだよ。ありえないよね?あの人たしかもう30過ぎてるはずだよ?いい歳した大人だよ?」
ウツミが同意を求めるような視線を向けた。

「そ、そうだったんですね。わたし、てっきりハイリさんはなんだと思ってました」
「そういう人?」
ウツミが目を細めて、久実子を睨むように見つめてきた。


「ほら、なんていうんですかね、LGBT?とかトランスジェンダー?とか……そういうの」
久実子は言葉を濁した。
この手の話題は軽々しく口に出すものではないと考えているから、つい言葉が出づらくなってしまう。

「違う違うそういうこと言ってる自分に酔ってるだけ!ホントにダクスト界隈は何気にヤバいヤツが多いよね。特に夢女子ゆめじょし(マンガ・アニメ・ゲームのキャラクターを実在する恋人として扱う女性のこと)の人はヤバい!」

「そうですかね…」
自分もどちらといえば、夢女子に寄ったところがあるので、久実子は内心複雑だった。

「そうだよ。だってさ自分とキャラたちが恋愛するってありえない!自分があの世界観に入るとか作品に対する冒涜じゃん!むりむり!」

「そうですかね…」
久実子は、自分のことを言われているみたいで胸が痛んだ。

「ほんと問題児ばっかでイヤになるわー。でも何気にいちばんヤバいのはマキナさんかもね」
「え、マキナさん?」
久実子からしてみると、マキナにこれといった問題は見当たらない。
むしろ、あのグループのなかではいちばん印象がいいと感じているから、なぜここで名前があげられるのかわからなかった。



「マキナさん自体には何も問題はないんだけどさ。でもマキナさんはすっごく人気者でしょ?だから、あの人をめぐって、それでいろいろとトラブルがさ…」
ウツミの口調が、いつになく遅くなった。

「えっと…それって、どういう……?」
久実子の心臓がドクリと脈打つ。

「マキナさんとはあえて距離を置いたほうがいいってこと!あの人たちとこれからも付き合うつもりでいるならなおさらだよ。ねえひょっとしてマキナさんに個人的に誘われたりした?」
久実子を見るウツミの目が、いっそう険しくなる。

「え…」
「ねえ誘われた?」
ウツミに詰め寄られて、久実子は思わず上半身をのけぞらせた。

「いえ、そんなことは、一度もないですね」
「そっか。それならいいんだよ」
ウツミはすっかり安堵したようで、さっきまでの険しさがウソのように笑みを浮かべてみせた。

そして、吐息がかからんばかりに近づいてきて、久実子の肩にそっと両手を置いてきた。
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