二次元だって、裏切ります

若目

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えぐみ子のTwitter

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この一件は未だに納得いかない。
高校でも似たようなことが起きたから、久実子に友達と言える人ができたのは社会に出てからのことだった。


──そういえば、みりもとさんは、いまはどうしてるんだろう?ジャンル離れてから、ぜんぜん連絡取れてない……


久実子はふと、いまはまったく連絡の取れなくなった友人を思い出した。
彼女の所在が気になって、久実子はスマートフォンを手に取り、Twitterを開いた。
これは久実子にとって、唯一自分が自分でいられる場所だ。

職場の人たちは悪い人ばかりではないが、全員アニメだとかマンガだとかゲームだとかはまるで知らないらしく、話も合わなかった。


アプリを開くと、久実子はさっそくみりもとのアカウントを検索した。
みりもとのアカウントは簡単に見つかった。
現在、ダクスト以外のジャンルに鞍替えしたことを除けば、特に変わった様子はないようだった。


ここで久実子は、以前描いたイラストの反応が気になり、通知ボタンを押した。
今日もたくさんのいいねやリプライが来ている。

『今日もステキ!えぐみ子さんの描くローゼン大好きです!』
『ホントにお上手です!』
『えぐみ子さんはすでに原作を追い越してますね!えぐみ子さんにダクストの続きを描いて欲しいです!』
『わたしもえぐみ子さんが描いたダクストの続きを見たいです』


──やだ、みんな褒めすぎ…

Twitterの通知ボタンを押して、下に下にスワイプしてみれば、丸いアイコンのとなりに、「○○さんと他○人があなたのツイートをいいねしました」「あなたの○○さんと他○人があなたのツイートをリツイートしました」という字が踊っていた。

そのなかに、うってぃやハイリ、きゃさりんにマキナの名前があった。
久実子たち5人は決まって、グループで出かけたときの写真がSNSにアップされたら、「いいね」を押す。
出かけたときでなくとも、誰かのツイートには定期的にいいねを押す。

あのグループ内で、特にそんな決まりや規定があるわけでは無い。
しかし、それがグループのなかでの暗黙の了解になっていた。
この作業が面倒だなと感じることはあるけれど、あの至福の時間が失われるリスクを考えれば、こんなことは必要経費だと割り切れる。

現に、さっそくうってぃとハイリがコラボカフェに行ったときの写真をアップしていた。
久実子はそれにいいねを押して、一旦スマートフォンを置いた。

──私もあとでコラボカフェでの写真をアップするとして、原稿に取り掛かろう。同人誌即売会イベントも近いし、マキナさんが来てくれるって言うしね


久実子はタブレットを引っ張り出すと、同人誌即売会イベントに出す予定の原稿に取り掛かることにした。






──これ、いいな。これは描きやすそう…

久実子はタブレットでになりそうな画像を検索しては保存、検索しては保存を繰り返した。

そして、お絵描きアプリを開くと、「新規のキャンバス」の表記を押して、次に「写真読み込み」の表記を押した。

そのあとも順調にタッチペンを滑らせていき、久実子は表紙に使う絵をなんとか完成させた。

次は本編を描かなきゃ。
久実子はまた資料になりそうな画像を検索して保存、画像を検索して保存を繰り返した。













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