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その後のおはなし
それから・2
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「やーね、涼子。訊くまでもないでしょ。今日も雅くんとデートの約束をしてるくらいなんだから」
「そっか、そっかー。そうだよねーって、そうなの? 美亜」
「あー…………うん。……そう、だね。かなり……結構……幸せ、ですかね……あはは……」
右手をグーにしてマイク代わりに口元に持ってくる涼子を両手で押し戻す。
聞いておきながら、自分のことになると何となく気恥ずかしい。
「美亜、なんか綺麗になったしね」
「そ、そう?」
「良い香りするし、髪には天使の輪っかが乗ってるし……肌もすべすべしてるし!」
涼子に右手を鷲掴みにされてサスサスと指先から肘辺りまでをまさぐられる。
くすぐったくて私は「……ひゃめて……」と言いながら涼子から腕を引き抜いた。
「う……うーん……。リリーバリーが関わった商品を色々使わせてもらってるからかなぁ……」
「羨ましい環境にいるよなー。色々って、例えば何を使ってるの?」
「よく使うのは入浴剤かなぁ。あ、あと昨日は、エバーガーデンていうシャンプーのセットを使ってみたよ」
「それ、結構高いやつ!」
「雅が使ったら感想聞かせてって持ってくるから。もらう代わりに、数日使用した髪の状態を記録して、香りの残り方とか気になる点をレポートしてる」
「……う。めんどくさっ。そこまでしてるのか……。相変わらず生真面目だよなー、美亜は」
「美亜、髪長いから洗い甲斐があるんじゃないの。『使用感が知りたい』とか言われて雅くんに洗ってもらってるんじゃないの」
「な、なな。そっ…………」
「なるほどね。そうやって体の隅々をケアされてるのか。そりゃ身も心も綺麗になるわ」
「へ……変な言い方しないでよ! こ、これはねぇ。そういうんじゃなくて、もっと真面目なっ……仕事の一環なのであって!」
「なんだかんだ言っても否定はしないんだね」
「…………くっ……」
ニヤニヤしているふたりの視線を受け止めきれず、明後日の方向へ目を逸らした。
二人とも彼氏がいて、私と何ら変わりない……。
いや、もしかしたら私よりもっとずっと恥ずかしいイチャイチャをしているのかもしれないのに。
毎度私だけが集中砲火を浴びるのはなんでだ。
「雅くんと別れた後で、美亜が雅くんを追っかけて就職考えてた時はどうなるかと思ったけどさー」
「そうそう! 正気かよ!? 目を覚ませ! って思ったけどさー」
散々冷やかされた挙げ句の果てに、ケラケラ笑いながら言いたい放題言われている。
ここに当の本人いるし、ここはお酒の席でもなんでもないんですけどっ。
「こうして無事、順調に就職して何事もなかったかのように元サヤに戻ってラブラブしてるんだもん。真似できないわー」
「何事もって……そりゃあ、色々な面で幸運だったけど……。別に何事もなかったって訳じゃないよ?」
「そういえば再会した時の話って訊いたことなかったよね。会ってすぐ抱き合うような感動的な再会をしたわけ?」
「それロマンチックだよねぇ! 常々その話を聞きたいと思ってたんだよねぇ~」
「……はぁ? 再会したのってアルバイトとして社員の前で紹介された時だよ? そんな状態でそんなことできるわけないでしょ。社員の中に雅を見つけて『今、目が合ったかもしれない』って思いながら、ひとりでドキドキして終わったよ。最初の一週間はまともに会話すらできなかったんだから……」
「え」
「雅が……ずっとずっと遠くて、雲の上の人になっちゃったと思った……」
運ばれてきたレモンティーのレモンをスプーンでつつきながら、雅を追いかけて、やっと念願叶ってリリーバリーで働かせてもらえるようになった日のことを思い出した。
「そっか、そっかー。そうだよねーって、そうなの? 美亜」
「あー…………うん。……そう、だね。かなり……結構……幸せ、ですかね……あはは……」
右手をグーにしてマイク代わりに口元に持ってくる涼子を両手で押し戻す。
聞いておきながら、自分のことになると何となく気恥ずかしい。
「美亜、なんか綺麗になったしね」
「そ、そう?」
「良い香りするし、髪には天使の輪っかが乗ってるし……肌もすべすべしてるし!」
涼子に右手を鷲掴みにされてサスサスと指先から肘辺りまでをまさぐられる。
くすぐったくて私は「……ひゃめて……」と言いながら涼子から腕を引き抜いた。
「う……うーん……。リリーバリーが関わった商品を色々使わせてもらってるからかなぁ……」
「羨ましい環境にいるよなー。色々って、例えば何を使ってるの?」
「よく使うのは入浴剤かなぁ。あ、あと昨日は、エバーガーデンていうシャンプーのセットを使ってみたよ」
「それ、結構高いやつ!」
「雅が使ったら感想聞かせてって持ってくるから。もらう代わりに、数日使用した髪の状態を記録して、香りの残り方とか気になる点をレポートしてる」
「……う。めんどくさっ。そこまでしてるのか……。相変わらず生真面目だよなー、美亜は」
「美亜、髪長いから洗い甲斐があるんじゃないの。『使用感が知りたい』とか言われて雅くんに洗ってもらってるんじゃないの」
「な、なな。そっ…………」
「なるほどね。そうやって体の隅々をケアされてるのか。そりゃ身も心も綺麗になるわ」
「へ……変な言い方しないでよ! こ、これはねぇ。そういうんじゃなくて、もっと真面目なっ……仕事の一環なのであって!」
「なんだかんだ言っても否定はしないんだね」
「…………くっ……」
ニヤニヤしているふたりの視線を受け止めきれず、明後日の方向へ目を逸らした。
二人とも彼氏がいて、私と何ら変わりない……。
いや、もしかしたら私よりもっとずっと恥ずかしいイチャイチャをしているのかもしれないのに。
毎度私だけが集中砲火を浴びるのはなんでだ。
「雅くんと別れた後で、美亜が雅くんを追っかけて就職考えてた時はどうなるかと思ったけどさー」
「そうそう! 正気かよ!? 目を覚ませ! って思ったけどさー」
散々冷やかされた挙げ句の果てに、ケラケラ笑いながら言いたい放題言われている。
ここに当の本人いるし、ここはお酒の席でもなんでもないんですけどっ。
「こうして無事、順調に就職して何事もなかったかのように元サヤに戻ってラブラブしてるんだもん。真似できないわー」
「何事もって……そりゃあ、色々な面で幸運だったけど……。別に何事もなかったって訳じゃないよ?」
「そういえば再会した時の話って訊いたことなかったよね。会ってすぐ抱き合うような感動的な再会をしたわけ?」
「それロマンチックだよねぇ! 常々その話を聞きたいと思ってたんだよねぇ~」
「……はぁ? 再会したのってアルバイトとして社員の前で紹介された時だよ? そんな状態でそんなことできるわけないでしょ。社員の中に雅を見つけて『今、目が合ったかもしれない』って思いながら、ひとりでドキドキして終わったよ。最初の一週間はまともに会話すらできなかったんだから……」
「え」
「雅が……ずっとずっと遠くて、雲の上の人になっちゃったと思った……」
運ばれてきたレモンティーのレモンをスプーンでつつきながら、雅を追いかけて、やっと念願叶ってリリーバリーで働かせてもらえるようになった日のことを思い出した。
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