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その後のおはなし
それから・4
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私は神様に見離されてなんかいなかった。
また会えて凄く嬉しい。
嬉しかった…………筈、なのに。
”浅木さん”と、他人行儀な呼ばれ方をしたことに胸をえぐられた。
仕方ないじゃない。
仕事仲間として、これは妥当な接し方だ。
「もう俺以外誰もいないよ?」
「あ……うん、えっ……えっと……」
昔のように声を返しかけて口を噤む。
アルバイトの立場である私は、敬語で話した方がいいのかもしれない。
まず、なんて呼ぶべきだろう。
神庭さん?
でも孝幸さんも神庭さんだから、社員はみんな雅さんて呼んでいる。
私も雅さんて呼ぶの?
なんか……変なの。
「ま、まだ……お仕事なんですか?」
おずおずと敬語で切り出す。
「うん。夕飯食べ損ねちゃって。コンビニ行こうと思って」
えっ。こんな時間まで食べてないの!?
体によくないよ……。
無理しちゃ駄目だよ。
心配だよ……。
言いたいことが次々と頭を駆けめぐった。
でも、彼女でも何でもない。
私が雅にあれこれ言える立場ではない。
結局何も言えずに黙って俯くと、雅が話を続けた。
「……元気にしてた?」
顔を上げると、昔と変わらない優しい表情で雅が私を見てるから、心が溶かされてまた涙が出そうになった。
「元気、だったよ。雅も元気みたいで……良かった……」
結局、自然に雅と言っていた。
「もう用事は終わったの? 帰るとこだった?」
「ん、えっと……うん。用事は終わった……から……偶然だね、ちょうど私もコンビニ行こうと思って……た……」
必死になって一緒にいる口実を捻り出したけど苦しい。
オフィス街でまだ社会人が歩いているとはいえ遅い時間だし、早く帰れとか危機感が足りないと怒られるかもしれない。
緊張して肩をすくめながら雅の返事を待つ。
内心冷や冷やしていたけれど、雅は嬉しそうに笑って「じゃあ、一緒に行こうか」と答えてくれた。
「もう誰もいないとは思うけど、こんな時間にふたりでいるところを見られたら噂になるかもしれないから、ちょっと離れて歩こう」
「あ……う……うん」
嬉しくて飛び跳ねた気持ちが、再び地に落ちる。
せっかくふたりきりになれたのに……。
早足で先を行く雅の後を歩きながら、沈んでいく気持ちをどうにもコントロールできない。
「そう、だよね。雅は……社内でも人気者みたいだし……」
「え?」
思わず言ってしまった嫌味にハッとして、すぐに自己嫌悪した。
やっと、やっと念願叶えて会えたのに。
次会う時は魅力的な女性になっていて、それで、明るく楽しい話を弾ませるつもりだったのに……。
取り繕おうとしても、自虐的に笑うくらいしかできなかった。
「私と噂になったら、やっぱり……困るのかなぁ……なんて……はは……」
「そりゃ、当たり前でしょ。困るよ」
「……っ!」
即答されて絶句する。
雅なら振るにしたって、もう少しオブラートに包んでくれるんじゃないかって……。
いや、でもハッキリ望みを絶ちきってくれるのが本当の優しさなのかもしれない……。
よろめきそうになるのを爪先に力を入れて何とか堪える。
ぐるぐる考えている私に構わず雅は話を続ける。
「牽制とか虫除けになるのなら噂されるのもいいけど、仕事に支障が出るから、とか理由をつけて離ればなれにさせられたら困るでしょ。やっとまた会えたのに」
「…………え?」
「ミスキャンのPRムービー観たよ」
「観たの!?」
声が裏返った。
いや、観られる可能性は常にあったし、むしろ、観てもらいたかった筈だったんだけど……。
動画がネットに上がってから一度だけ再生したけど、アレは頭がお花畑になっていたとしか言いようがない。
メンバーの中でひとりだけ恥ずかしいこと言って、とんでもなく浮いているし。
よく聞くと周りの人達には笑われているし……で……。
あの時は必死だったけど、数年を経た今では黒歴史になっている。
客観的に見られるようになると、当時の私は本当にイタイ子だったんだなぁ……なんて。
千夏と涼子が顔を曇らせて心配してくれていた気持ちがすごく解る。
「最近、龍一が連絡くれて、あの動画の存在を教えてくれたんだよね」
「あ……有野くんが……?」
遡ること一週間ちょっと前――リリーバリーに行く前日に、有野くんと話をしたことを思い出した。
明日、雅に会えるのかと思うといてもたってもいられなくて、今の雅がどうしているのか、彼女がいるのかいないのか、何でもいいから予め情報を得たくて有野くんを頼ったのだ。
でも結局「神庭なんかと連絡取ってねーよ」と一蹴されて、でも「ついに告りに行くのか」と訊かれたものだから、ありったけの不安な気持ちを吐き出してしまった。
迷惑がられて、うざがられて散々な態度とられたけど、こうやって雅に根回ししておいてくれるところが有野くんらしい。
口は悪いけど、本当にいい人なんだよね……。
でも、そうか。雅はもう……観……。
自分がPRムービーで何を言っていたのか思いだして、恥ずかしくてのたうちまわりたくなる。
「……じゃ、じゃあ、私の気持ち、もう、知ってる……よね……」
「うん」
そりゃ、そうなんだろうけど。
私がここにいる理由なんて雅からしたらあからさまで、PRムービーがあろうが無かろうが、私の気持ちなんてわかりきってるんだろうけど。
それでもようやく踏ん切りがついて、声に出す決心ができた。
「好きです」
また会えて凄く嬉しい。
嬉しかった…………筈、なのに。
”浅木さん”と、他人行儀な呼ばれ方をしたことに胸をえぐられた。
仕方ないじゃない。
仕事仲間として、これは妥当な接し方だ。
「もう俺以外誰もいないよ?」
「あ……うん、えっ……えっと……」
昔のように声を返しかけて口を噤む。
アルバイトの立場である私は、敬語で話した方がいいのかもしれない。
まず、なんて呼ぶべきだろう。
神庭さん?
でも孝幸さんも神庭さんだから、社員はみんな雅さんて呼んでいる。
私も雅さんて呼ぶの?
なんか……変なの。
「ま、まだ……お仕事なんですか?」
おずおずと敬語で切り出す。
「うん。夕飯食べ損ねちゃって。コンビニ行こうと思って」
えっ。こんな時間まで食べてないの!?
体によくないよ……。
無理しちゃ駄目だよ。
心配だよ……。
言いたいことが次々と頭を駆けめぐった。
でも、彼女でも何でもない。
私が雅にあれこれ言える立場ではない。
結局何も言えずに黙って俯くと、雅が話を続けた。
「……元気にしてた?」
顔を上げると、昔と変わらない優しい表情で雅が私を見てるから、心が溶かされてまた涙が出そうになった。
「元気、だったよ。雅も元気みたいで……良かった……」
結局、自然に雅と言っていた。
「もう用事は終わったの? 帰るとこだった?」
「ん、えっと……うん。用事は終わった……から……偶然だね、ちょうど私もコンビニ行こうと思って……た……」
必死になって一緒にいる口実を捻り出したけど苦しい。
オフィス街でまだ社会人が歩いているとはいえ遅い時間だし、早く帰れとか危機感が足りないと怒られるかもしれない。
緊張して肩をすくめながら雅の返事を待つ。
内心冷や冷やしていたけれど、雅は嬉しそうに笑って「じゃあ、一緒に行こうか」と答えてくれた。
「もう誰もいないとは思うけど、こんな時間にふたりでいるところを見られたら噂になるかもしれないから、ちょっと離れて歩こう」
「あ……う……うん」
嬉しくて飛び跳ねた気持ちが、再び地に落ちる。
せっかくふたりきりになれたのに……。
早足で先を行く雅の後を歩きながら、沈んでいく気持ちをどうにもコントロールできない。
「そう、だよね。雅は……社内でも人気者みたいだし……」
「え?」
思わず言ってしまった嫌味にハッとして、すぐに自己嫌悪した。
やっと、やっと念願叶えて会えたのに。
次会う時は魅力的な女性になっていて、それで、明るく楽しい話を弾ませるつもりだったのに……。
取り繕おうとしても、自虐的に笑うくらいしかできなかった。
「私と噂になったら、やっぱり……困るのかなぁ……なんて……はは……」
「そりゃ、当たり前でしょ。困るよ」
「……っ!」
即答されて絶句する。
雅なら振るにしたって、もう少しオブラートに包んでくれるんじゃないかって……。
いや、でもハッキリ望みを絶ちきってくれるのが本当の優しさなのかもしれない……。
よろめきそうになるのを爪先に力を入れて何とか堪える。
ぐるぐる考えている私に構わず雅は話を続ける。
「牽制とか虫除けになるのなら噂されるのもいいけど、仕事に支障が出るから、とか理由をつけて離ればなれにさせられたら困るでしょ。やっとまた会えたのに」
「…………え?」
「ミスキャンのPRムービー観たよ」
「観たの!?」
声が裏返った。
いや、観られる可能性は常にあったし、むしろ、観てもらいたかった筈だったんだけど……。
動画がネットに上がってから一度だけ再生したけど、アレは頭がお花畑になっていたとしか言いようがない。
メンバーの中でひとりだけ恥ずかしいこと言って、とんでもなく浮いているし。
よく聞くと周りの人達には笑われているし……で……。
あの時は必死だったけど、数年を経た今では黒歴史になっている。
客観的に見られるようになると、当時の私は本当にイタイ子だったんだなぁ……なんて。
千夏と涼子が顔を曇らせて心配してくれていた気持ちがすごく解る。
「最近、龍一が連絡くれて、あの動画の存在を教えてくれたんだよね」
「あ……有野くんが……?」
遡ること一週間ちょっと前――リリーバリーに行く前日に、有野くんと話をしたことを思い出した。
明日、雅に会えるのかと思うといてもたってもいられなくて、今の雅がどうしているのか、彼女がいるのかいないのか、何でもいいから予め情報を得たくて有野くんを頼ったのだ。
でも結局「神庭なんかと連絡取ってねーよ」と一蹴されて、でも「ついに告りに行くのか」と訊かれたものだから、ありったけの不安な気持ちを吐き出してしまった。
迷惑がられて、うざがられて散々な態度とられたけど、こうやって雅に根回ししておいてくれるところが有野くんらしい。
口は悪いけど、本当にいい人なんだよね……。
でも、そうか。雅はもう……観……。
自分がPRムービーで何を言っていたのか思いだして、恥ずかしくてのたうちまわりたくなる。
「……じゃ、じゃあ、私の気持ち、もう、知ってる……よね……」
「うん」
そりゃ、そうなんだろうけど。
私がここにいる理由なんて雅からしたらあからさまで、PRムービーがあろうが無かろうが、私の気持ちなんてわかりきってるんだろうけど。
それでもようやく踏ん切りがついて、声に出す決心ができた。
「好きです」
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