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マンションで竜之介くんと同居を始めてからひと月、私はとにかく毎日楽をさせてもらっていた。
それと言うのも、凜は竜之介くんにベッタリで何をするにも『おにーちゃんがいい』と言って私よりも竜之介くんと何かをしたがるのと、竜之介くんも竜之介くんで、凜に好かれるのは嬉しいと常に面倒を見てくれているから。
凜と竜之介くんが楽しそうに笑いながら話をしたり、ご飯を食べたりする二人の姿を見る度、私は嬉しくてたまらなくなる。
そんな穏やかで幸せな日常を過ごしていた、金曜日の夜の事、
「そう言えば、岡部の事なんだけど」
明日はお互い仕事も休みで予定も無い私と竜之介くんは凜が眠った後、リビングでお茶をしながら話をしていると、急に正人の話を切り出してきた。
「正人が、どうかしたの?」
「実はアイツ、東北支社に異動する事になったんだ」
「異動?」
「本人は不服みたいだけど、クビにならなかっただけマシだとは思う。行先は東北だし、人が少なくて忙しい支社の課長として行くから、アイツも自分の生活で手一杯になるだろう。だから亜子さんたちの前に現れる事はほぼ無いと思うから、安心して」
「そう、なんだ」
あの一件以来、正人は私や凜の前に姿を現す事が無かったからすっかり忘れていたけど、東北の方へ異動するならそうそう都内に戻って来る事も無いだろうから安心しても良さそうだ。
だけど、当初この同居は正人から逃げる為にとった措置のようなもので、危険がほぼ無くなった今、私や凜が竜之介くんと一緒に暮らす理由は無くなるという事だ。
引越したばかりでまたすぐに引越しという訳にはいかないけれど、このままいつまでも彼と曖昧な関係を続ける訳にはいかない気がした。
「……竜之介くん」
「ん?」
「……あのね……私……竜之介くんに、話したい事があるの」
「何?」
この一ヶ月、私はとにかく悩んだ。
あの日以降お互いお酒を控えていた事もあって勢いに流される事も無く、毎日を過ごしてきた。
だから、酔った勢いで決めるという事は無くて、これから出す結論が、私の今の素直な気持ちという事になる。
凜の事も考えた上で、私は――
「――竜之介くん…………好き」
「え?」
「私……竜之介くんの事が、好きなの……」
「亜子さん……それって……」
「あの日から、ずっと考えてた。考えて、考えて、私にも凜にも……竜之介くんは、無くてはならない存在だって再確認した。それに、この同居はあくまでも正人から逃げる為のもので、危険がほぼ無くなった今、曖昧な関係のまま同居を続けるのはおかしいと思うし、このまま一緒に住むならやっぱり、きちんと答えを出さないといけない気がしたの……だから、竜之介くんの気持ちが今でも変わっていないのなら……私と御付き合い、してもらえますか?」
今の素直な想いを、彼に伝えた。
そんな私に、彼は、
「変わってないに決まってる。初めて亜子さんを見た時から、俺の気持ちはずっと、亜子さんに向いてた。だから、嬉しいよ。亜子さんが好きって言ってくれて。本当に嬉しい。大切にするから、亜子さんの事も、凜の事も。何があっても、俺が守るから」
優しく抱き締めながら、私の想いに応えてくれた。
それと言うのも、凜は竜之介くんにベッタリで何をするにも『おにーちゃんがいい』と言って私よりも竜之介くんと何かをしたがるのと、竜之介くんも竜之介くんで、凜に好かれるのは嬉しいと常に面倒を見てくれているから。
凜と竜之介くんが楽しそうに笑いながら話をしたり、ご飯を食べたりする二人の姿を見る度、私は嬉しくてたまらなくなる。
そんな穏やかで幸せな日常を過ごしていた、金曜日の夜の事、
「そう言えば、岡部の事なんだけど」
明日はお互い仕事も休みで予定も無い私と竜之介くんは凜が眠った後、リビングでお茶をしながら話をしていると、急に正人の話を切り出してきた。
「正人が、どうかしたの?」
「実はアイツ、東北支社に異動する事になったんだ」
「異動?」
「本人は不服みたいだけど、クビにならなかっただけマシだとは思う。行先は東北だし、人が少なくて忙しい支社の課長として行くから、アイツも自分の生活で手一杯になるだろう。だから亜子さんたちの前に現れる事はほぼ無いと思うから、安心して」
「そう、なんだ」
あの一件以来、正人は私や凜の前に姿を現す事が無かったからすっかり忘れていたけど、東北の方へ異動するならそうそう都内に戻って来る事も無いだろうから安心しても良さそうだ。
だけど、当初この同居は正人から逃げる為にとった措置のようなもので、危険がほぼ無くなった今、私や凜が竜之介くんと一緒に暮らす理由は無くなるという事だ。
引越したばかりでまたすぐに引越しという訳にはいかないけれど、このままいつまでも彼と曖昧な関係を続ける訳にはいかない気がした。
「……竜之介くん」
「ん?」
「……あのね……私……竜之介くんに、話したい事があるの」
「何?」
この一ヶ月、私はとにかく悩んだ。
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だから、酔った勢いで決めるという事は無くて、これから出す結論が、私の今の素直な気持ちという事になる。
凜の事も考えた上で、私は――
「――竜之介くん…………好き」
「え?」
「私……竜之介くんの事が、好きなの……」
「亜子さん……それって……」
「あの日から、ずっと考えてた。考えて、考えて、私にも凜にも……竜之介くんは、無くてはならない存在だって再確認した。それに、この同居はあくまでも正人から逃げる為のもので、危険がほぼ無くなった今、曖昧な関係のまま同居を続けるのはおかしいと思うし、このまま一緒に住むならやっぱり、きちんと答えを出さないといけない気がしたの……だから、竜之介くんの気持ちが今でも変わっていないのなら……私と御付き合い、してもらえますか?」
今の素直な想いを、彼に伝えた。
そんな私に、彼は、
「変わってないに決まってる。初めて亜子さんを見た時から、俺の気持ちはずっと、亜子さんに向いてた。だから、嬉しいよ。亜子さんが好きって言ってくれて。本当に嬉しい。大切にするから、亜子さんの事も、凜の事も。何があっても、俺が守るから」
優しく抱き締めながら、私の想いに応えてくれた。
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