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小学生
御曹司
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掴みかかるように身を乗り出した瀬川さんを軽く振り払うとぐずぐずとしゃがみこんだ。面倒な大人だ。この蓮様と神楽様のいるドアの前が人通りの少ない方で良かった。しゃがみこむ涙目のおっさんとその前にたつ女子小学生とかどんな説明をすればいいのか分からない。
「いい大人が涙目にならないでください。ほら、話聞いてあげますからとりあえず立ってください。人通りが少ないとはいえゼロじゃないんですから。」
腕を引っ張り上げとりあえず立たせた。ぐずぐずと鼻をすするおっさんは大変見苦しいが、20メートルくらい先から見れば憂いを帯びたイケメンとかに見えるんだろうなとかぼけっと考える。近づくとものすごく残念だが顔だけは良い。というか僕の周りの人間は顔面偏差値が高すぎる。
僕がくだらないことを客観的に考察していると瀬川さんはドアにもたれながら話し出した。
「つい二年前まではおじさんバリバリのサラリーマンだったのよ……。中堅の四年制大学をそれなりの成績で卒業して新卒で嘉人さんの会社、「White birch」入社した。そこで業績を伸ばして25の時に開発部の副部長の職についてもう完璧に順風満帆だった……。同期の中でも異例のスピード出世で女の子たちからはモテたし、上司からも目をかけてもらってて誰から見ても出世街道まっしぐらだった。」
一度区切り息をつき続ける。
「それからしてすぐの時、たまたま会社の親睦会……っていっても規模は今日と同じくらいだったと思うが、そこで社長と顔を合わせる機会があったんだ。その時は俺は完全に浮かれてた。うまくいけば社長に顔を覚えてもらえるかもしれない、と。全力で良い面張り付けてあいさつに行ったら社長の隣に悪魔が、御曹司がいた。」
一気に顔に影が差す。悪魔って……。
「その時さ、社長は息子の社会教育のためってことで息子を連れてきていた。まあまだ子供とはいえこのままいけば次期社長になる奴だから、あんまり覚えてないけど御曹司をめちゃくちゃ褒めまくった。もちろんあからさまにならない程度にな。適当な挨拶が済んでそろそろ下がろうと思ってた時に悪魔が社長に向かって言ったんだ……。」
『この人が欲しいです。』
自分が言われたわけでもないのにゾワリと鳥肌が立つ。話したことなどないが先ほどの彼の様子を思い出し唾を飲み込んだ。どんな顔でそれを言ったのか目に浮かぶようだ。
「最初はさ、意味わかんなかったよ?なんとなく冷や汗かいたけどとりあえず気にしないことにしてその会は終わった。ああ、その日社長と話したのはその時だけだよ?……それから一月くらいたって突然社長に呼び出されたんだ。もうその時には御曹司の不穏な発言のことなんて忘れていた。呼び出される心当たりもなくてびくびくしながら社長室に入ったら。……辞令を渡された。」
思い出し、語っているだけなのにみるみる顔色が悪くなっていく。
「……どんな内容の辞令だったんですか?」
もう内容はわかっているが、最後まで聞くためにそう問う。
「……御曹司の教育係……。あの時やっと御曹司の言った意味がわかった。あれは完全に死刑宣告だったんだ……。」
一度立ち上がったのに瀬川さんはまたずるずるとしゃがみこんだ。さっきまでなら体が悪い、と立ち上がらせていたが話を聞いてしまうと哀れ以外の何物でもない。このおっさんを労わってあげようと妙な使命感が頭をもたげた。
「それは、その……ご愁傷様です。」
「副部長から子供のお守りって……そんな阿呆な転落聞いたことないよ。教育係って言ってもやることなんてないし、今までやってた仕事もこっちに回されなくなった……。ひたすら御曹司につき従うだけとか……下僕か何かか、俺は……。」
「そ、その、お守りはお守りでも次期社長のお守りですよ!うまくやれば数年後には社長の側近かもしれません!」
とにかくポジティブに、と明るそうな未来を上げてみると瀬川さんが顔を上げる。
「嬢ちゃん……本当にそう思ってる?」
「…………残念ながら会社の人事事情までは知りませんので、希望的観測です……。」
グッと目を反らしておく。いや、まあ、うん。適当なこと言うもんじゃないね。
「あの日から御曹司は悪魔にしか見えない……。鮮明に角としっぽが見えるもん……。おじさんの中じゃ御曹司と書いて悪魔と読むのがデフォルトになってる……。」
「……分からないこともありません。にしてもどうして瀬川さんに目を付けられたんですかね?話したのはそれ一回きりなのに。」
「知らねぇよぉ……後から聞いた話だと、あの時一番御曹司に年齢が近くてその中で一番地位が高いのがおじさんだったけど、それだけっていうのも納得できないし。」
「何か琴線に触れたんでしょうね……。そのうちいいこともありますよ!」
自分にできることはないがしゃがみこんでいる瀬川さんの肩をポンポンと叩いておく。これも希望的観測にすぎないが。
「お嬢ちゃんも御曹司には気を付けてな。気を抜いたら食われるぞ、いろんな意味で……。」
ガクリとうなだれるおっさんを見てしかと胸に刻み込んでおく。
瀬川さんが話している間も、蓮様と神楽様は何かを話している。内容までは流石に瀬川さんの話を聞きながらでは聞き取れないが、楽しそうな神楽様と、不機嫌そうな蓮様の声は聞き取ることができた。不機嫌そうな声は最初から変わっていないので、おそらく大した問題はないのだろう。ただ声を荒らげるようなら中に乱入するつもりだ。
「そういえばさ、お嬢ちゃんは蓮クンのお守り、お側付だよね。」
「へ、ああ、はい。そうですよ。」
一通り話して気が済んだのかケロッとして立ち上がりだるそうに扉に背を沿わせた。
「お嬢ちゃんには双子の兄がいるって聞いたけど、なんで兄貴じゃなくてお嬢ちゃんがお側付になったの?普通なら男の子がやるデショ。」
「ええ、まあ……。」
数年前から口を利かなくなった原因、その日のことを思い出す。道場に響く竹刀を打つ音、足袋が床を擦れる音、翡翠から向けられた目を。
「何?押し付けられたの?」
「……いえ、私がお側付になりたいと押し切ったんです。」
そう答えると瀬川さんは半分しか開かれていなかった目が丸くなる。
「へぇ、お側付を決めるのは五歳の時って聞いたけど、その時にはもうなりたかったんだ?」
本当に話が筒抜けなんだな、と改めて思う。もっとも隠すようなことでもないのだろうけど。
「ええ、ただ蓮様と初めて会ったのは三歳の時でしたから、お側付になりたいと思ったのはその時からです。」
「最近の幼児すごいな……。」
「……私が妙にかわいげのない幼児なだけです。一般的じゃないと思いますよ。」
まさか精神年齢は貴方より上ですよ、などとも言えず適当にそれらしいことをそれらしく言って苦笑いしておく。
「でもさ、お嬢ちゃんは何でお側付になりたいと思ったの?」
「……え?」
初めて蓮様と会った日を思い出す。
部屋差し込む光。
閑散とした生活感のない部屋
中央に置かれた布団。
上体だけ起こされた細い身体。
無機質な赤い大きな目。
今でも、ただひたすらに美しいと思ったことを覚えている。
そして、守りたいと――
「……あ、れ……?」
何で守りたいと思ったんだ?
美しいから?儚いから?弱弱しい存在だから?
どうして命を懸けてまで、あの子を守りたいと思ったんだ?
初めて会った、まだ分別もないような子供を。
何故……?
分からない、のに、いつかの声が頭に響いた
――本当は、気づいているんだろう?
僕はいったい何を、気付いているのだろう。
「ん?覚えてないか?まあもう十年くらい前のことだし、普通三歳くらいの頃の記憶なんてないよなぁ。」
言葉を失った僕を訝しく思うことなく、自己完結し立ち上がりグッと伸びをした。
「まあお嬢ちゃんも立派だよなー。自分で決めてそれを今の今まで守り続けて、他人のためにそこまでできる奴なんかそうそういないネ。」
「違う。」
「え?」
勝手に口からこぼれ出た言葉に瀬川さんは不思議そうに僕を見た。思わず片手で口をふさぐ。
「……いえ、僕なんかまだまだですよ。僕よりもそうできている方はきっとたくさんいます。」
誤魔化すようにそう重ねると、瀬川さんは苦笑いしながらまた言った。
「それでもねぇ……。あの悪魔の世話を押し付けられたとはいえ、全く向上心も忠誠心もない俺と比べれば立派なもんデショ。あーあ、御曹司にももっと可愛げがあれば……痛っ!え、なに!?」
突然ドアが勢いよく開けられ瀬川さんは後頭部を金具で強打する。幸い僕がもたれかかっていた方のドアは開けられず無傷であった。
「いってぇ……いきなりなんなんだ……。」
「楽しそうですね、瀬川さん。俺がどうかしましたか?」
勢いよく扉を開けたのは、
ちょこんと後ろで結ばれた白い長めの髪、
赤い双眸を持つ、
素敵な笑顔を携えた、
「何でもアリマセンヨ、神楽サン……。」
白樺神楽という名の御曹司様でした。
「いい大人が涙目にならないでください。ほら、話聞いてあげますからとりあえず立ってください。人通りが少ないとはいえゼロじゃないんですから。」
腕を引っ張り上げとりあえず立たせた。ぐずぐずと鼻をすするおっさんは大変見苦しいが、20メートルくらい先から見れば憂いを帯びたイケメンとかに見えるんだろうなとかぼけっと考える。近づくとものすごく残念だが顔だけは良い。というか僕の周りの人間は顔面偏差値が高すぎる。
僕がくだらないことを客観的に考察していると瀬川さんはドアにもたれながら話し出した。
「つい二年前まではおじさんバリバリのサラリーマンだったのよ……。中堅の四年制大学をそれなりの成績で卒業して新卒で嘉人さんの会社、「White birch」入社した。そこで業績を伸ばして25の時に開発部の副部長の職についてもう完璧に順風満帆だった……。同期の中でも異例のスピード出世で女の子たちからはモテたし、上司からも目をかけてもらってて誰から見ても出世街道まっしぐらだった。」
一度区切り息をつき続ける。
「それからしてすぐの時、たまたま会社の親睦会……っていっても規模は今日と同じくらいだったと思うが、そこで社長と顔を合わせる機会があったんだ。その時は俺は完全に浮かれてた。うまくいけば社長に顔を覚えてもらえるかもしれない、と。全力で良い面張り付けてあいさつに行ったら社長の隣に悪魔が、御曹司がいた。」
一気に顔に影が差す。悪魔って……。
「その時さ、社長は息子の社会教育のためってことで息子を連れてきていた。まあまだ子供とはいえこのままいけば次期社長になる奴だから、あんまり覚えてないけど御曹司をめちゃくちゃ褒めまくった。もちろんあからさまにならない程度にな。適当な挨拶が済んでそろそろ下がろうと思ってた時に悪魔が社長に向かって言ったんだ……。」
『この人が欲しいです。』
自分が言われたわけでもないのにゾワリと鳥肌が立つ。話したことなどないが先ほどの彼の様子を思い出し唾を飲み込んだ。どんな顔でそれを言ったのか目に浮かぶようだ。
「最初はさ、意味わかんなかったよ?なんとなく冷や汗かいたけどとりあえず気にしないことにしてその会は終わった。ああ、その日社長と話したのはその時だけだよ?……それから一月くらいたって突然社長に呼び出されたんだ。もうその時には御曹司の不穏な発言のことなんて忘れていた。呼び出される心当たりもなくてびくびくしながら社長室に入ったら。……辞令を渡された。」
思い出し、語っているだけなのにみるみる顔色が悪くなっていく。
「……どんな内容の辞令だったんですか?」
もう内容はわかっているが、最後まで聞くためにそう問う。
「……御曹司の教育係……。あの時やっと御曹司の言った意味がわかった。あれは完全に死刑宣告だったんだ……。」
一度立ち上がったのに瀬川さんはまたずるずるとしゃがみこんだ。さっきまでなら体が悪い、と立ち上がらせていたが話を聞いてしまうと哀れ以外の何物でもない。このおっさんを労わってあげようと妙な使命感が頭をもたげた。
「それは、その……ご愁傷様です。」
「副部長から子供のお守りって……そんな阿呆な転落聞いたことないよ。教育係って言ってもやることなんてないし、今までやってた仕事もこっちに回されなくなった……。ひたすら御曹司につき従うだけとか……下僕か何かか、俺は……。」
「そ、その、お守りはお守りでも次期社長のお守りですよ!うまくやれば数年後には社長の側近かもしれません!」
とにかくポジティブに、と明るそうな未来を上げてみると瀬川さんが顔を上げる。
「嬢ちゃん……本当にそう思ってる?」
「…………残念ながら会社の人事事情までは知りませんので、希望的観測です……。」
グッと目を反らしておく。いや、まあ、うん。適当なこと言うもんじゃないね。
「あの日から御曹司は悪魔にしか見えない……。鮮明に角としっぽが見えるもん……。おじさんの中じゃ御曹司と書いて悪魔と読むのがデフォルトになってる……。」
「……分からないこともありません。にしてもどうして瀬川さんに目を付けられたんですかね?話したのはそれ一回きりなのに。」
「知らねぇよぉ……後から聞いた話だと、あの時一番御曹司に年齢が近くてその中で一番地位が高いのがおじさんだったけど、それだけっていうのも納得できないし。」
「何か琴線に触れたんでしょうね……。そのうちいいこともありますよ!」
自分にできることはないがしゃがみこんでいる瀬川さんの肩をポンポンと叩いておく。これも希望的観測にすぎないが。
「お嬢ちゃんも御曹司には気を付けてな。気を抜いたら食われるぞ、いろんな意味で……。」
ガクリとうなだれるおっさんを見てしかと胸に刻み込んでおく。
瀬川さんが話している間も、蓮様と神楽様は何かを話している。内容までは流石に瀬川さんの話を聞きながらでは聞き取れないが、楽しそうな神楽様と、不機嫌そうな蓮様の声は聞き取ることができた。不機嫌そうな声は最初から変わっていないので、おそらく大した問題はないのだろう。ただ声を荒らげるようなら中に乱入するつもりだ。
「そういえばさ、お嬢ちゃんは蓮クンのお守り、お側付だよね。」
「へ、ああ、はい。そうですよ。」
一通り話して気が済んだのかケロッとして立ち上がりだるそうに扉に背を沿わせた。
「お嬢ちゃんには双子の兄がいるって聞いたけど、なんで兄貴じゃなくてお嬢ちゃんがお側付になったの?普通なら男の子がやるデショ。」
「ええ、まあ……。」
数年前から口を利かなくなった原因、その日のことを思い出す。道場に響く竹刀を打つ音、足袋が床を擦れる音、翡翠から向けられた目を。
「何?押し付けられたの?」
「……いえ、私がお側付になりたいと押し切ったんです。」
そう答えると瀬川さんは半分しか開かれていなかった目が丸くなる。
「へぇ、お側付を決めるのは五歳の時って聞いたけど、その時にはもうなりたかったんだ?」
本当に話が筒抜けなんだな、と改めて思う。もっとも隠すようなことでもないのだろうけど。
「ええ、ただ蓮様と初めて会ったのは三歳の時でしたから、お側付になりたいと思ったのはその時からです。」
「最近の幼児すごいな……。」
「……私が妙にかわいげのない幼児なだけです。一般的じゃないと思いますよ。」
まさか精神年齢は貴方より上ですよ、などとも言えず適当にそれらしいことをそれらしく言って苦笑いしておく。
「でもさ、お嬢ちゃんは何でお側付になりたいと思ったの?」
「……え?」
初めて蓮様と会った日を思い出す。
部屋差し込む光。
閑散とした生活感のない部屋
中央に置かれた布団。
上体だけ起こされた細い身体。
無機質な赤い大きな目。
今でも、ただひたすらに美しいと思ったことを覚えている。
そして、守りたいと――
「……あ、れ……?」
何で守りたいと思ったんだ?
美しいから?儚いから?弱弱しい存在だから?
どうして命を懸けてまで、あの子を守りたいと思ったんだ?
初めて会った、まだ分別もないような子供を。
何故……?
分からない、のに、いつかの声が頭に響いた
――本当は、気づいているんだろう?
僕はいったい何を、気付いているのだろう。
「ん?覚えてないか?まあもう十年くらい前のことだし、普通三歳くらいの頃の記憶なんてないよなぁ。」
言葉を失った僕を訝しく思うことなく、自己完結し立ち上がりグッと伸びをした。
「まあお嬢ちゃんも立派だよなー。自分で決めてそれを今の今まで守り続けて、他人のためにそこまでできる奴なんかそうそういないネ。」
「違う。」
「え?」
勝手に口からこぼれ出た言葉に瀬川さんは不思議そうに僕を見た。思わず片手で口をふさぐ。
「……いえ、僕なんかまだまだですよ。僕よりもそうできている方はきっとたくさんいます。」
誤魔化すようにそう重ねると、瀬川さんは苦笑いしながらまた言った。
「それでもねぇ……。あの悪魔の世話を押し付けられたとはいえ、全く向上心も忠誠心もない俺と比べれば立派なもんデショ。あーあ、御曹司にももっと可愛げがあれば……痛っ!え、なに!?」
突然ドアが勢いよく開けられ瀬川さんは後頭部を金具で強打する。幸い僕がもたれかかっていた方のドアは開けられず無傷であった。
「いってぇ……いきなりなんなんだ……。」
「楽しそうですね、瀬川さん。俺がどうかしましたか?」
勢いよく扉を開けたのは、
ちょこんと後ろで結ばれた白い長めの髪、
赤い双眸を持つ、
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