71 / 149
中等部編
はじめの一歩
しおりを挟む
目の前を流れていく景色をなんの感慨もなしに見つめる。そう変わる訳でもないのだが、目的地に近づくにつれて心なしかビルや高層マンションが増えてきている気がする。それを見て、いつかの立食会の道のりを思い出した。もっとも、今はあの時と違い僕らは車ではなく電車に乗っているのだけど。初めて乗る電車に分かりやすくソワソワとする蓮様とそれを目を細めて見守る黒海に少し口許が緩んだ。
小学校を卒業し、いよいよ不安にまみれた中学校に入学する。『天原学園中等部』と書かれた入学案内のプリントに人知れずため息を吐いた。件のゲームの舞台、天原学園。在学生徒数約750名、一学年250人6クラス。中高一貫のエスカレータ式の学校で高等部と中等部が隣接している。高等部からには外部生もいるが、ほとんどが中等部からの内部生である。全寮制という訳ではないが、学園内の7割が寮で生活している。校風は生徒主体で校則も厳しくない。制服は濃紺のブレザーに赤いネクタイ、リボン。女子は空色でチェックの入ったスカート、男子はグレーのズボン。シンプルで、まあよくあるといった風な無難なデザインだ。
因みに僕は男子の制服だ。学校の方へ電話し交渉したところ着用許可が降りた。父様は事後報告されて膝をついたとかは、知らない。無事に男装を継続することに成功した。ただ今まで僕が男装してきた理由を知っている蓮様はものすごく微妙な顔をしていた。
「涼ーあとどれくらい?」
「あ、えっとあと二駅なので大体二十分くらいだと思いますよ。」
「楽しそうだな、志賀……」
「おう!」
ソワソワしながら窓の外を見る蓮様を微笑ましく眺める。完全に保護者気分だ。
中学入学について不安なことの一つが、これからの三年間攻略キャラに関わってしまうか否かだ。正直に言えば、別に僕としては別に蓮様がヒロインとくっついてもなんら問題はないのだ。余程そのヒロインがおかしくない限り。ただ僕が危惧しているのは、逆ハーエンドととオールバッドエンドだ。
逆ハーエンドはその通り、攻略キャラクター全員を落とす終わり方。ヒロインからしたらハッピーエンドかもしれないがキャラクターや端から見たらどう見てもバッドエンドだ。誰も幸せにならない。一番恐い、というか酷いのがオールバッドエンド。途中までは逆ハー路線でゲームを進めていき最後の最後で全員まとめてフるというキャラクター的鬼エンド。そんなこと誰がするんだと思うが、僕の友人は至極楽しげにオールバッドエンドを行っていた。本人曰く、寄ってきた男を全員フるのがかなり爽快らしい。……彼女の性格は歪んでいたのだろうか。万が一にもそんなエンドを迎えないためにはそもそも攻略キャラクター及びヒロインに関わらないのが一番だと思うのだ。既に六色中赤、白、黄色、緑と関わってしまっているとかは諦める方向で。これから関わらないように頑張るさ。
で、更に不安な要素。この前パソコンで乙女ゲームなるものを調べてみたのだ。すると恐ろしいことに気づいてしまった。乙女ゲームにはスピンオフのファンディスクというものがあるらしいのだ。ネット曰く、ゲーム本編では登場しなかった裏キャラであったり、本編では攻略できなかった非攻略キャラクターを攻略できるようにしたものらしい。
僕らのいるここがゲームにおける本編であったなら、攻略キャラクターが誰であったか大方分かるため避けることができるのだがもしファンディスクであったならもうどうにもならない。どうしてくれよう。『Ricordi di sei colori』などと言うものの、色なんて無数にあるのだから増やそうと思えばいくらでもキャラクターを増やせることに戦慄した。イケメンか否かといってもそんなのは個人の感覚にもよるのでアテにできない。
そして最近思い始めてきたのが、『あれ?黒海って攻略キャラクターなんじゃ……』説。僕らの髪と違い、黒髪の人はたくさんいるので特定はしなかった。昔から整った顔だな、とは思っていたが最近では背も伸び精悍な顔立ちと言えるほどのイケメンくんとなっている。僕の記憶のなかには少なくとも攻略キャラクターの中に黒髪がいた。おそらくそれはファンディスクや隠しキャラクターだったのだろう。となると黒海と五色以外にも攻略できるキャラクターがいてもおかしくない。
「……?諸葛、どうかしたか……?」
「へっ?あ、いえ別になんでもありませんよ。」
無意識のうちに黒海の顔をじっと見てしまっていたらしい。慌てて目を逸らすと不思議そうな顔をされた。まあ黒海が攻略キャラクターか否かはヒロインが現れてからしかわからないため、しょうがない。それに黒海はもう損得勘定じゃ付き合えないほど、僕の中で大切な友人になっている。もし攻略キャラクターであったとしても蓮様と同じように逆ハーエンドとオールバッドエンドから逃れられるように奔走しようじゃないか。
そんな風に悶々としているうちに、降りる駅の名前が耳に入る。
「涼っ!」
「はいはい騒がないでください。降りますから荷物忘れないようにお願いします。」
ボストンバッグを手に半ば押し出されるようにホームに立った。終点ではないが、多くの人がここで降りるらしい。僕らと同じ制服を着た生徒も意外と多く、その流れに沿ってバス乗り場へ向かった。取りあえず目下の問題はきょろきょろする蓮様から目を離さないようにすることだ。まあ黒海もいるためまさか迷子になるだなんてことはないと思うが、念には念を、だ。
――――天原学園前、天原学園前
これまた初めてのバスで若干おろおろしている蓮様を僕と黒海で前後を固めてさっさとバスから下車させる。バス停は校門の目の前で降りた直後大きな校舎が飛び込んできた。
「で、でかい……。」
「だな……広い。」
「な、なんとなく入り辛いですね。」
真っ白い校舎が何棟も立ち並び、左手前にはステンドグラスのはめられた教会少し奥には広い中庭が見える。見るからに広くお金がかけられているのが分かるが、運動場やプール、体育館が未だ見えないところからまだまだ広いのだろう。……三年間のうちに場所を覚えられるだろうか?
「……とりあえず、事務室に、行こう……。寮の登録は、そこらしいから……。」
「事務室ってどこだ?」
事前に送られてきていた校舎のパンフレットを取り出し場所を確認する。玄関のすぐ横に事務室があるのを確かめて向かう。
「にしてもこの学校広すぎるだろ……。」
「どこの学校もこんな感じなんですかね?」
駅と同じように、まだサイズの合わない少し大きい制服を着た新入生たちが戸惑いながらも一様に同じ方向へ進んでいく。ちゃんとたどり着けるか一抹の不安もあったが、これなら迷うことはないだろう。なんとなしにぐるりとあたりを見渡してみると視界の端に緑色の髪が目に入り若干肩を跳ねさせた。まだ距離があるためあちらからはたぶん僕に気付いていない。緑色の髪の人間なんてそうそういない。あれはおそらく緑橋。彼と会ったのは随分前だが、会わないに越したことはない。少し身体を縮こまらせながら事務室前に並ぶ新入生の列の最後尾についた。
「涼、どうかしたか?猫背になってるぞ。」
「え、ああっと……ちょっと気疲れ、というか……。」
「諸葛も、気負うことが、あるんだな……。」
適当に誤魔化しながら受付を済ます。余談だが、事務員の人に女子寮の登録を頼んだところ二度見された上に怪訝な顔をされてしまい隣で受付をしていた蓮様に苦笑いされた上に、黒海は顔を背けながら無言で爆笑されてしまった。
受付を済ませ、寮の部屋のカギと詳細の書かれた書類を渡された。簡単に目を通しながら寮へと向かう。
「お!俺と四ツ谷は同じ部屋だな!B棟の201……ってことは二階だな。」
「ん……よろしく、志賀……。涼は?」
「ええと、僕はB棟の127、一階ですね。相部屋になる子は誰でしょうか?」
男子寮、女子寮ともにA棟からE棟まであるらしい。なお、それぞれの棟はクラスを表しているらしいので、A棟はA組、B棟はB組といった風だ。それぞれ二人部屋なので僕も同じクラスの子と相部屋になるらしい。
「なんというか……知り合いでも初対面でも、お前と相部屋になるのはちょっと相手が気の毒だな……。」
「確かに……さっきの事務員さん、みたいな反応……されるだろうね……。」
「四ツ谷、肩震えてます。笑い堪え切れていませんよ。」
話しているうちに少し気が紛れてきた。今年も蓮様と黒海と同じクラスのようなのでちょっとほっとする。これで僕だけ違うクラスとかだったら心が折れてしまいそうだ。
「……ええっ!?」
唐突に後ろから感嘆の声が聞こえた気がしてふと振り返ってみる。振り向いたものの、今更音源が誰なのかもわからず、何に対する驚愕の声なのかも分からないのでとりあえず気にしないことにしておく。
「ん?知り合いでもいたのか?」
「え、いえ、声が聞こえたのでなんとなく振り向いただけです。」
「それじゃ……志賀の面倒は、俺が見るから、安心しとけよ……?」
「別に四ツ谷に面倒見てもらうことなんかない!」
「わかりました……蓮様を頼みますよ、四ツ谷……!」
「涼も乗るなっ!」
女子寮と男子寮は若干離れているので途中で二人と別れることになる。一通り蓮様をからかってから女子寮へと足を向けた。
小学校を卒業し、いよいよ不安にまみれた中学校に入学する。『天原学園中等部』と書かれた入学案内のプリントに人知れずため息を吐いた。件のゲームの舞台、天原学園。在学生徒数約750名、一学年250人6クラス。中高一貫のエスカレータ式の学校で高等部と中等部が隣接している。高等部からには外部生もいるが、ほとんどが中等部からの内部生である。全寮制という訳ではないが、学園内の7割が寮で生活している。校風は生徒主体で校則も厳しくない。制服は濃紺のブレザーに赤いネクタイ、リボン。女子は空色でチェックの入ったスカート、男子はグレーのズボン。シンプルで、まあよくあるといった風な無難なデザインだ。
因みに僕は男子の制服だ。学校の方へ電話し交渉したところ着用許可が降りた。父様は事後報告されて膝をついたとかは、知らない。無事に男装を継続することに成功した。ただ今まで僕が男装してきた理由を知っている蓮様はものすごく微妙な顔をしていた。
「涼ーあとどれくらい?」
「あ、えっとあと二駅なので大体二十分くらいだと思いますよ。」
「楽しそうだな、志賀……」
「おう!」
ソワソワしながら窓の外を見る蓮様を微笑ましく眺める。完全に保護者気分だ。
中学入学について不安なことの一つが、これからの三年間攻略キャラに関わってしまうか否かだ。正直に言えば、別に僕としては別に蓮様がヒロインとくっついてもなんら問題はないのだ。余程そのヒロインがおかしくない限り。ただ僕が危惧しているのは、逆ハーエンドととオールバッドエンドだ。
逆ハーエンドはその通り、攻略キャラクター全員を落とす終わり方。ヒロインからしたらハッピーエンドかもしれないがキャラクターや端から見たらどう見てもバッドエンドだ。誰も幸せにならない。一番恐い、というか酷いのがオールバッドエンド。途中までは逆ハー路線でゲームを進めていき最後の最後で全員まとめてフるというキャラクター的鬼エンド。そんなこと誰がするんだと思うが、僕の友人は至極楽しげにオールバッドエンドを行っていた。本人曰く、寄ってきた男を全員フるのがかなり爽快らしい。……彼女の性格は歪んでいたのだろうか。万が一にもそんなエンドを迎えないためにはそもそも攻略キャラクター及びヒロインに関わらないのが一番だと思うのだ。既に六色中赤、白、黄色、緑と関わってしまっているとかは諦める方向で。これから関わらないように頑張るさ。
で、更に不安な要素。この前パソコンで乙女ゲームなるものを調べてみたのだ。すると恐ろしいことに気づいてしまった。乙女ゲームにはスピンオフのファンディスクというものがあるらしいのだ。ネット曰く、ゲーム本編では登場しなかった裏キャラであったり、本編では攻略できなかった非攻略キャラクターを攻略できるようにしたものらしい。
僕らのいるここがゲームにおける本編であったなら、攻略キャラクターが誰であったか大方分かるため避けることができるのだがもしファンディスクであったならもうどうにもならない。どうしてくれよう。『Ricordi di sei colori』などと言うものの、色なんて無数にあるのだから増やそうと思えばいくらでもキャラクターを増やせることに戦慄した。イケメンか否かといってもそんなのは個人の感覚にもよるのでアテにできない。
そして最近思い始めてきたのが、『あれ?黒海って攻略キャラクターなんじゃ……』説。僕らの髪と違い、黒髪の人はたくさんいるので特定はしなかった。昔から整った顔だな、とは思っていたが最近では背も伸び精悍な顔立ちと言えるほどのイケメンくんとなっている。僕の記憶のなかには少なくとも攻略キャラクターの中に黒髪がいた。おそらくそれはファンディスクや隠しキャラクターだったのだろう。となると黒海と五色以外にも攻略できるキャラクターがいてもおかしくない。
「……?諸葛、どうかしたか……?」
「へっ?あ、いえ別になんでもありませんよ。」
無意識のうちに黒海の顔をじっと見てしまっていたらしい。慌てて目を逸らすと不思議そうな顔をされた。まあ黒海が攻略キャラクターか否かはヒロインが現れてからしかわからないため、しょうがない。それに黒海はもう損得勘定じゃ付き合えないほど、僕の中で大切な友人になっている。もし攻略キャラクターであったとしても蓮様と同じように逆ハーエンドとオールバッドエンドから逃れられるように奔走しようじゃないか。
そんな風に悶々としているうちに、降りる駅の名前が耳に入る。
「涼っ!」
「はいはい騒がないでください。降りますから荷物忘れないようにお願いします。」
ボストンバッグを手に半ば押し出されるようにホームに立った。終点ではないが、多くの人がここで降りるらしい。僕らと同じ制服を着た生徒も意外と多く、その流れに沿ってバス乗り場へ向かった。取りあえず目下の問題はきょろきょろする蓮様から目を離さないようにすることだ。まあ黒海もいるためまさか迷子になるだなんてことはないと思うが、念には念を、だ。
――――天原学園前、天原学園前
これまた初めてのバスで若干おろおろしている蓮様を僕と黒海で前後を固めてさっさとバスから下車させる。バス停は校門の目の前で降りた直後大きな校舎が飛び込んできた。
「で、でかい……。」
「だな……広い。」
「な、なんとなく入り辛いですね。」
真っ白い校舎が何棟も立ち並び、左手前にはステンドグラスのはめられた教会少し奥には広い中庭が見える。見るからに広くお金がかけられているのが分かるが、運動場やプール、体育館が未だ見えないところからまだまだ広いのだろう。……三年間のうちに場所を覚えられるだろうか?
「……とりあえず、事務室に、行こう……。寮の登録は、そこらしいから……。」
「事務室ってどこだ?」
事前に送られてきていた校舎のパンフレットを取り出し場所を確認する。玄関のすぐ横に事務室があるのを確かめて向かう。
「にしてもこの学校広すぎるだろ……。」
「どこの学校もこんな感じなんですかね?」
駅と同じように、まだサイズの合わない少し大きい制服を着た新入生たちが戸惑いながらも一様に同じ方向へ進んでいく。ちゃんとたどり着けるか一抹の不安もあったが、これなら迷うことはないだろう。なんとなしにぐるりとあたりを見渡してみると視界の端に緑色の髪が目に入り若干肩を跳ねさせた。まだ距離があるためあちらからはたぶん僕に気付いていない。緑色の髪の人間なんてそうそういない。あれはおそらく緑橋。彼と会ったのは随分前だが、会わないに越したことはない。少し身体を縮こまらせながら事務室前に並ぶ新入生の列の最後尾についた。
「涼、どうかしたか?猫背になってるぞ。」
「え、ああっと……ちょっと気疲れ、というか……。」
「諸葛も、気負うことが、あるんだな……。」
適当に誤魔化しながら受付を済ます。余談だが、事務員の人に女子寮の登録を頼んだところ二度見された上に怪訝な顔をされてしまい隣で受付をしていた蓮様に苦笑いされた上に、黒海は顔を背けながら無言で爆笑されてしまった。
受付を済ませ、寮の部屋のカギと詳細の書かれた書類を渡された。簡単に目を通しながら寮へと向かう。
「お!俺と四ツ谷は同じ部屋だな!B棟の201……ってことは二階だな。」
「ん……よろしく、志賀……。涼は?」
「ええと、僕はB棟の127、一階ですね。相部屋になる子は誰でしょうか?」
男子寮、女子寮ともにA棟からE棟まであるらしい。なお、それぞれの棟はクラスを表しているらしいので、A棟はA組、B棟はB組といった風だ。それぞれ二人部屋なので僕も同じクラスの子と相部屋になるらしい。
「なんというか……知り合いでも初対面でも、お前と相部屋になるのはちょっと相手が気の毒だな……。」
「確かに……さっきの事務員さん、みたいな反応……されるだろうね……。」
「四ツ谷、肩震えてます。笑い堪え切れていませんよ。」
話しているうちに少し気が紛れてきた。今年も蓮様と黒海と同じクラスのようなのでちょっとほっとする。これで僕だけ違うクラスとかだったら心が折れてしまいそうだ。
「……ええっ!?」
唐突に後ろから感嘆の声が聞こえた気がしてふと振り返ってみる。振り向いたものの、今更音源が誰なのかもわからず、何に対する驚愕の声なのかも分からないのでとりあえず気にしないことにしておく。
「ん?知り合いでもいたのか?」
「え、いえ、声が聞こえたのでなんとなく振り向いただけです。」
「それじゃ……志賀の面倒は、俺が見るから、安心しとけよ……?」
「別に四ツ谷に面倒見てもらうことなんかない!」
「わかりました……蓮様を頼みますよ、四ツ谷……!」
「涼も乗るなっ!」
女子寮と男子寮は若干離れているので途中で二人と別れることになる。一通り蓮様をからかってから女子寮へと足を向けた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる