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6 アナーニ事件からワット=タイラーの乱まで
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「どうしよう瑞季くんどうしよう!もう間に合わないよーー!」
「どこまで行ったんだよ結局!」
「ツンフト……。」
「ふざけてんのかてめえ……。」
「助けて!もうマジで間に合わない!なんとかバラ戦争までもっていって!」
「急いで進めるぞ!聞き流すなよ?」
「はい!閣下!」
「十字軍の最後の時に国王の王権は跳ね上がり、教皇の権威は地に落ちた。その続きだ。十字軍の失敗で教皇権は失墜し、逆に国王による中央集権国家が進んだ。ただ13世紀末の教皇ボニファティウス八世が教皇権の絶対性を主張し、聖職者への課税についてイギリス、フランス王と争った。」
「ええ…今さら無理でしょ…。そんなもう教皇の権威なんてないのに…。」
「この聖職者課税問題で1303年にアナーニ事件が起きた。フランス王フィリップ四世がローマ郊外のアナーニでローマ教皇ボニファティウス八世を捕らえたんだ。そしてボニファティウス八世は屈辱の果てに解放されたが結局は憤死した。」
「時勢を見謝ったね……。」
「何様だお前は…。その後フィリップ四世は教皇庁を南フランスのアヴィニョンに移し、教皇、クレメンス五世からのち約70年間にわたり教皇をフランスの支配下に置いた。これを揶揄して教皇のバビロン捕囚って言われていた。」
「懐かしい…。バビロン捕囚なんて皮肉な。」
「1378年、アヴィニョンの教皇に対してイギリス、ドイツがローマに教皇を擁立した。事実上、二人の教皇がいることになったんだ。両教皇が正統を主張して、大分列した。これが教会大分列、大シスマだ。」
「最早神聖さなんてない。」
「ああ、これが教皇の権威の失墜の決定打となった。これとともに教会の腐敗、堕落を批判する教会改革運動が始まった。」
「なんかカノッサの屈辱の時のグレゴリウス七世みたいだね。」
「まあな。堕落すりゃあ批判するやつらが現れるのは必然だ。イギリスのオクスフォード大学神学教授のウィクリフは聖書の絶対性を説き、聖書を英訳して教皇、教会制度の批判をした。そしてウィクリフの影響を受けたのがプラハ大学神学教授のフス、ベーメン出身、がカトリック教会の改革を唱え、チェック人の民族運動を指導した。しかしこのフスの行動が皇帝の目に留まった。ドイツ皇帝のジキスムントの提唱でコンスタンツ公会議が1414年に開かれた。その結果、フスは異端者として火刑に処された。つまりは火炙りだ。この時代だと魔女狩りも同じ処刑方法だった。だがそれを知ったチェック人、ベーメン地区の人々が怒り狂い、蜂起した。これがフス戦争だ。」
「そりゃあ自分達の指導者が異端者として処刑されるなんて……。」
「このあと、三人いた教皇は全員退位させられ、新たに一人選ばれたことで、教会大分裂、大シスマは解決された。」
ー封建社会の崩壊ー
「まず最初に立ち行かなくなったのが荘園制度だ。中世農業革命のお陰で生産量が増え、都市商業の発達で貨幣経済が発達した。再び貨幣経済になったことで、農民の領主へ献上するものが変わり、地代を貨幣で支払う、貨幣地代になった。さあ日向、貨幣地代の前はなんだった?」
「賦役と貢納!」
「そう、別に貨幣地代でも大した問題じゃなかったんだ。農民が余剰生産物を売って稼いでも、領主には些事だった。だが1346年ごろから状況は一変する。」
「この状態から変わることが?」
「黒死病、ペストの爆発的流行だ。西欧でペストが大流行、農民が激減。農民がいなきゃ領主は困る。だから領主は農民の待遇を改善した。ということは農民の地位は向上したってことだ。働せてもらってる、から働いてやってるに変わっていった。そして待遇の改善から農奴の解放へ繋がる。イギリスでは独立自営農民、ヨーマンが出現した。」
「えっ?領主からしたら自営されちゃ困るんじゃ?」
「ああ大弱りだ。待遇改善をしても農民がいなくなるなら縛り付けた方が良い。そう思い領主たちは今まで以上に農民の支配を強めた。だが一度自由を知った農民たちが黙っているはずがない。広範囲な農民反乱が起きた。有名な一揆が二つある。一つは1358年、フランスで起きたジャックリーの乱だ。指導者は重税に反発したギョーム・カルルだ。もう一つは1381年、イギリスで起きたワット・タイラーの乱だ。指導者はワット・タイラーでこのワット・タイラーはウィクリフの影響を受けたジョン・ボールの指導も受けていた。おい、ウィクリフって誰だった?」
「ええっと、教会改革運動で聖書を英訳してしてた人!」
「正解。ジョン・ボールの言葉にこんなものがある。「アダムが耕しイヴが紡いだとき、誰が貴族であったのか」
「中世後は飢饉、疫病、戦乱による多数の死者がでた上にユダヤ人などの社会的少数派は迫害を受けていた。」
「商業革命の栄枯盛衰だね。」
「封建制度が崩壊するってことは、諸侯も騎士もたち行かなくなる。さらに新しい武器が開発された。火砲、鉄砲だ。これでもう騎士の仕事が減り、歩兵が活躍するようになる。騎士は没落し傭兵が採用される。そこで仕事のなくなった領主や騎士は延臣、国王の宮廷で働く官僚になるか、地方地主、ジェントリになった。」
「この時代にもリストラが……。」
「どこまで行ったんだよ結局!」
「ツンフト……。」
「ふざけてんのかてめえ……。」
「助けて!もうマジで間に合わない!なんとかバラ戦争までもっていって!」
「急いで進めるぞ!聞き流すなよ?」
「はい!閣下!」
「十字軍の最後の時に国王の王権は跳ね上がり、教皇の権威は地に落ちた。その続きだ。十字軍の失敗で教皇権は失墜し、逆に国王による中央集権国家が進んだ。ただ13世紀末の教皇ボニファティウス八世が教皇権の絶対性を主張し、聖職者への課税についてイギリス、フランス王と争った。」
「ええ…今さら無理でしょ…。そんなもう教皇の権威なんてないのに…。」
「この聖職者課税問題で1303年にアナーニ事件が起きた。フランス王フィリップ四世がローマ郊外のアナーニでローマ教皇ボニファティウス八世を捕らえたんだ。そしてボニファティウス八世は屈辱の果てに解放されたが結局は憤死した。」
「時勢を見謝ったね……。」
「何様だお前は…。その後フィリップ四世は教皇庁を南フランスのアヴィニョンに移し、教皇、クレメンス五世からのち約70年間にわたり教皇をフランスの支配下に置いた。これを揶揄して教皇のバビロン捕囚って言われていた。」
「懐かしい…。バビロン捕囚なんて皮肉な。」
「1378年、アヴィニョンの教皇に対してイギリス、ドイツがローマに教皇を擁立した。事実上、二人の教皇がいることになったんだ。両教皇が正統を主張して、大分列した。これが教会大分列、大シスマだ。」
「最早神聖さなんてない。」
「ああ、これが教皇の権威の失墜の決定打となった。これとともに教会の腐敗、堕落を批判する教会改革運動が始まった。」
「なんかカノッサの屈辱の時のグレゴリウス七世みたいだね。」
「まあな。堕落すりゃあ批判するやつらが現れるのは必然だ。イギリスのオクスフォード大学神学教授のウィクリフは聖書の絶対性を説き、聖書を英訳して教皇、教会制度の批判をした。そしてウィクリフの影響を受けたのがプラハ大学神学教授のフス、ベーメン出身、がカトリック教会の改革を唱え、チェック人の民族運動を指導した。しかしこのフスの行動が皇帝の目に留まった。ドイツ皇帝のジキスムントの提唱でコンスタンツ公会議が1414年に開かれた。その結果、フスは異端者として火刑に処された。つまりは火炙りだ。この時代だと魔女狩りも同じ処刑方法だった。だがそれを知ったチェック人、ベーメン地区の人々が怒り狂い、蜂起した。これがフス戦争だ。」
「そりゃあ自分達の指導者が異端者として処刑されるなんて……。」
「このあと、三人いた教皇は全員退位させられ、新たに一人選ばれたことで、教会大分裂、大シスマは解決された。」
ー封建社会の崩壊ー
「まず最初に立ち行かなくなったのが荘園制度だ。中世農業革命のお陰で生産量が増え、都市商業の発達で貨幣経済が発達した。再び貨幣経済になったことで、農民の領主へ献上するものが変わり、地代を貨幣で支払う、貨幣地代になった。さあ日向、貨幣地代の前はなんだった?」
「賦役と貢納!」
「そう、別に貨幣地代でも大した問題じゃなかったんだ。農民が余剰生産物を売って稼いでも、領主には些事だった。だが1346年ごろから状況は一変する。」
「この状態から変わることが?」
「黒死病、ペストの爆発的流行だ。西欧でペストが大流行、農民が激減。農民がいなきゃ領主は困る。だから領主は農民の待遇を改善した。ということは農民の地位は向上したってことだ。働せてもらってる、から働いてやってるに変わっていった。そして待遇の改善から農奴の解放へ繋がる。イギリスでは独立自営農民、ヨーマンが出現した。」
「えっ?領主からしたら自営されちゃ困るんじゃ?」
「ああ大弱りだ。待遇改善をしても農民がいなくなるなら縛り付けた方が良い。そう思い領主たちは今まで以上に農民の支配を強めた。だが一度自由を知った農民たちが黙っているはずがない。広範囲な農民反乱が起きた。有名な一揆が二つある。一つは1358年、フランスで起きたジャックリーの乱だ。指導者は重税に反発したギョーム・カルルだ。もう一つは1381年、イギリスで起きたワット・タイラーの乱だ。指導者はワット・タイラーでこのワット・タイラーはウィクリフの影響を受けたジョン・ボールの指導も受けていた。おい、ウィクリフって誰だった?」
「ええっと、教会改革運動で聖書を英訳してしてた人!」
「正解。ジョン・ボールの言葉にこんなものがある。「アダムが耕しイヴが紡いだとき、誰が貴族であったのか」
「中世後は飢饉、疫病、戦乱による多数の死者がでた上にユダヤ人などの社会的少数派は迫害を受けていた。」
「商業革命の栄枯盛衰だね。」
「封建制度が崩壊するってことは、諸侯も騎士もたち行かなくなる。さらに新しい武器が開発された。火砲、鉄砲だ。これでもう騎士の仕事が減り、歩兵が活躍するようになる。騎士は没落し傭兵が採用される。そこで仕事のなくなった領主や騎士は延臣、国王の宮廷で働く官僚になるか、地方地主、ジェントリになった。」
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