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旅館にて
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「うお……」
迎えのワンボックスカーから降りると、目の前には思わず襟を正さずにはいられないような荘厳な雰囲気をまとった建物があった。
「こ、ここ……?」
あまりに場違いじゃないかと気後れを覚えた耕平に、渚はにこりと微笑んで見せた。
「大丈夫よ。ここね、学生時代の友達の嫁ぎ先なのよ」
渚が得意げに言った時、建物から着物姿の若い女性が出てきた。
「茜!」
「よく来てくれたわね、渚」
「話には聞いてたけど、素敵な旅館ね」
「ありがとう。ゆっくり楽しんでってね」
それから女性は耕平に意味ありげな視線を向けた。
「ようこそ紫雲館へおこしくださいました。当館の若女将、倉田茜と申します。お客様の滞在が快適なものになるように精一杯務めさせていただきます。お気づきの点などございましたら遠慮なくおっしゃってくださいね」
「ご丁寧にありがとうございます。奥原と申します。よろしくお願いします」
自分的に一番丁寧と思える挨拶をして、耕平は頭を下げた。
「できたら後でゆっくりお話させていただきたいわ」
そう微笑んでから茜は二人を館内に案内した。
通された部屋は、外観から想像したものを上回る格調高いものだった。
「……」
仲居さんがいる前では何とか平静を装ったものの、二人きりになった瞬間、揃って大きなため息が出た。
「…いくらなんでもスゴすぎない?」
「あたしもこれほどとは思わなかったわ……」
友人の嫁ぎ先が高級旅館だとは聞いていて、今回格安 で招待してもらえるとなった時には非常に楽しみだったのだが、あまりにも想像と格差がありすぎて度肝を抜かれてしまっていた。
「これは後でよくよくお礼を言っとかなくちゃいけないわね」
今から部屋を代えてもらうなどできっこないと割りきって、渚は現況を受け入れ、楽しむことにした。
「考えてみれば、あたしの給料じゃ招待でもしてもらわなきゃこんないいとこ泊まれないわ。変に遠慮して旅行自体を楽しめなくなっちゃったら本末転倒だわ。耕平くん、この部屋満喫するわよ」
「了解」
頷くと、耕平は渚を抱き寄せた。
「ちょちょちょ、どうしたのよ、突然」
すると耕平はきょとんとした顔を見せた。
「え?今部屋を満喫って言わなかった?」
「言ったけど、それがどうしてこうなるのよ」
「ホテルじゃ味わえない雰囲気を満喫するってことじゃないの?」
「もう、それしかないの!?」
「だって、電車の中で刺激されて、そのままほったらかしじゃん。苦しいよ」
そう言われてしまうと、渚としても強く言いづらい。
渚の身体から力が抜けたその一瞬を逃さず、耕平は渚の唇を奪った。
「んっ」
昂っていたのは渚も同じである。熾火のように燻っていた情欲の炎の再点火はあっという間だった。
「…ふむっ、んっ、んー……ぴちゃ、ぴちゃ……」
舌と舌を絡め合い、互いの唾液を啜り合う淫らな水音が部屋の中に響く。
「あっ」
僅かに漏れた艶声が耕平の耳をくすぐる。キスが激しくなるのとともに、背中に回した手を下半身に下ろしていく。
「んっ!」
尻肉を鷲掴みにされた渚が小さく喘ぐ。
パンツ越しでも重みと弾力を適度に両立させた絶妙な手触りが耕平を夢中にさせる。
唇を離した渚が切ない表情で耕平を見つめる。
「…もう、するの……?」
「うん、したい。先生も欲しそうな顔してるよ」
「…バカ……」
恥ずかしそうに頬を染めて、渚は耕平の胸に顔を埋める。その仕種は、年上の成人女性とは思えないほど可愛らしいものだった。
耕平は改めて渚と結ばれた幸運を噛みしめる。
「脱がすよ」
頷くのを確認するより早くカーディガンを肩から外している。
渚の方も、耕平が脱がせやすいように身体を動かしながら、耕平のシャツのボタンを外していく。
脱衣と愛撫が相半ばしたいやらしい手つきでお互いをまさぐりあう。すぐに二人とも下着姿になった。
「お」
いつもの流れでブラジャーを外そうとしたところで耕平はいつもとの違いに気づいた。
「初めての旅行だから頑張ってみたの」
恥じらいの表情で渚は言った。
「こんなの初めて見た。すっげえきれいだよ」
耕平が絶賛したのは、渚が身につけた下着だった。普段の渚は、教師という職業を意識して必要以上に地味な下着を着用している。耕平が見たことがあるのも白かベージュのもので、それも飾り気のないシンプルなものばかりだった。
それが今、目の前で半裸になった渚が身につけているのは、濃い藍色の、精緻なレースの刺繍が施されたアダルトな一品であった。
巷に氾濫する性の情報では黒下着がセクシーさの代表格として扱われることが多く、耕平も何となくそう思っていたのだが、愛しい女教師の下着姿に一発で悩殺されていた。
渚にとっては結構な大冒険であり、この下着を購入する際には、実に二時間、手に取っては棚に戻しを繰り返した末になけなしの勇気を振り絞ったのだが、耕平の表情を見る限り、その勇気は正しく報われたようだ。
「きれいすぎて、脱がすのがもったいないよ」
その言葉は単純に嬉しかった。恥ずかしい思いも無駄にならなかった。
だが、見られているだけでは切なかった。もう十分に渚も昂っているのだ。
「あぁ、もう……」
腰がもじもじ動いてしまうのが止められない。
「よし、脱がさないでこのまましちゃおう」
「え?」
耕平の意外な言葉に戸惑っている内に渚は畳の上に横たえられた。身体の力が抜けてしまっている渚はされるがままである。
両膝に手を当て、ゆっくり開いていく。
「あぁ、恥ずかしい……」
「何だ…すげぇどきどきする……」
期待感をにじませた表情で渚の股間に顔を近づけていく。甘酸っぱさを主成分とした匂いが立ち上り、嗅覚を刺激された耕平は深く息を吸い込んだ。
「やだっ、そんなところ嗅がないで!」
可愛い悲鳴を聞くと、余計にいじめたくなってしまう。今度は至近距離からまじまじと見つめる。色のせいでわかりづらかった濡れ染みも確認できた。
「こうやって濡れたパンティ見るのって初めてかも。いつも舐めるのって脱がした後だもんね」
「バカ、変なこと言わないで!」
顔を真っ赤にした渚が見悶える。
「先生、恥ずかしがってる顔が可愛いよ」
「知らないっ!!」
渚は両手で覆った顔をいやいやと振った。
自分だけが知る渚の可愛い反応を楽しみながら、耕平は濡れ染みへ口をつけた。
「ああっ!!」
感極まったような嬌声があがる。
布越しのせいか、いつもより味は薄く感じる。だが、それを補って余りある勢いで多量の愛蜜が溢れてくるのが舌先に感じられた。
「美味しいよ、すごく」
「そんなの言わなくていい!」
羞恥に見悶えてしまう。
「でも嬉しいな。最初はすごく嫌がってたけど、最近はそういうのなくなったよね」
「それは……」
秘所を舐られるクンニリングスという行為が渚はとても苦手だった。まず汚れた場所を舐めるということ自体が信じられなかったし、一番秘めなければならない箇所を晒すことにも羞恥と抵抗があったのだ。
だから、初めて耕平にそれを求められた時は強く拒絶したし、その後もなかなか求めに応じようとはしなかった。
しかし、拒まれたことにより執着心を燃やす形になった耕平は、粘り強く交渉を重ねた。時には懇願し、ある時には甘えてみたり、またある時には宥めすかしたり、耕平は根気強く許可を求め続けた。
最終的には渚が根負けした。
「ほんっとに一度だけだからね…本気で恥ずかしいんだから……」
なんでこんなことしたがるのかわかんない、とぼやきながら、念入りにシャワーを浴び、これだけは絶対に譲らなかった真っ暗闇の中で初めて許したクンニリングス。
それが渚の新しい世界を拓くことになった。
足を開き、きつく目を閉じ、耕平の舌を待ち受ける時間は、ほんの数秒が何時間にも感じられた。
暗闇の中ではあるが、近づいてくるのは感覚的にわかる。股間に息遣いを感じ、羞恥が極限に達した次の瞬間ーー
未知の快感が炸裂した。
「きゃうんっ!?」
指ともぺニスとも全く異質な感触に、渚はこれまで出したことのないような甲高い快楽声をあげていた。
快感の大きさとしては挿入の方が上なのだが、クンニの快感には一点集中の鋭さがあった。特に、剥き上がった秘豆をちゅうっと吸い上げられた時には思わず失禁しそうになった。
このままではどこまで追い込まれてしまうのかと恐怖を覚え、そこまでにしてもらったのだが、鮮烈過ぎる快感は渚の身体にしっかりと刻みこまれた。
それからは求められれば拒むことはしなくなったし、行為の時間も少しずつ長くなっていった。初めてクンニでイッたのは一月も経たない内で、その頃にはクンニは二人のセックスにおいて欠かせないステップのひとつになっていた。
「舐められるの、好き?」
「そんなこと訊かないで」
正面きって尋ねられれば、恥ずかしさの方が先に立つ。
「教えて欲しいなあ」
喋っていれば当然舌の動きは疎かになる。焦らされた形になった渚はもどかしそうに腰を揺すった。
(もっと舐めて)
思っても恥ずかし過ぎて口には出せない。
もっとも、切なげに腰をうごめかしている時点で、渚の状態は耕平には筒抜けである。
「こういうの、どう?」
舌先をそよがせる要領で、つんと尖った鮮紅色の肉芽を触れるか触れないかの際どさで舐めあげる。
「ああんっ!」
強烈な刺激に、渚の腰が跳ねる。
更なる刺激を求めて、渚は腰をせり上げたが、意地悪モードの耕平は巧みに距離をとった。
「どうしてぇっ!!」
渚の叫びは悲痛に響く。
「これ、好き?」
「好きぃ、大好きぃ!」
刺激を欲する気持ちが羞恥心を凌駕し、渚は本音をそのまま吐露していた。
「耕平くんが上手に舐めてくれるから大好きになっちゃったのぉっ」
「じゃあいっぱい舐めてあげるね」
言葉責めしながら自分も昂ってしまった耕平は、パンティの股布をずらすと直接潤みきった秘部に口をつけた。
「あひいいいぃっ!」
焦らされた分、歓喜の嬌声は長く尾を引いた。
「い、いいっ」
甘声に気を良くした耕平の舌は縦横に動き、渚の身体から快楽を引き出していく。
「先生、やっぱり脱がすね」
パンティのサイドに手がかかると、渚は腰を浮かせて脱がせやすいように協力した。
秘所が露になると立ち上る匂いは濃密さを増し、それが耕平を更に昂らせる。
渚の秘所はクールな外見からは想像しづらいのだが、かなり濃いめの陰毛が繁茂する、所謂ジャングルの様相を呈している。渚自身はこれをコンプレックスに思っていたのだが、逆に耕平はこの方が生々しいいやらしさが感じられていいと大いに気に入っていたので、何の問題もなかった。
耕平は大好きなそこへ獣の勢いでむしゃぶりついた。
「あんっ、いいっ!」
舌が動きやすくなった分、渚に与えられる快感は深く、鋭くなった。
「ああっ、うっ、あ、はあっ」
間断なく与えられる快楽に渚は翻弄されるばかりだ。最初は抑えようとしていた声も制御できなくなっているし、痙攣も止まらない。
「ああっ、こ、耕平くん、あ、あたし、もう……」
息も絶え絶えに渚は哀訴した。
「欲しくなっちゃった?」
問いかけられた渚はもう言葉では返せずに、ガクガクと頷くばかりだった。
本当は一度クンニでイカせてからと思っていた耕平だったが、二人きりの温泉宿という夢のようなシチュエーションに、自分自身が我慢できなくなるほど昂ぶってしまっていたので、素直に渚の求めに応じることにした。
「そこに手ついて」
座卓に手をつかせ、後ろ向きにさせる。
「…後ろから……?」
「その方が奥まで届くでしょ」
「ああっ」
想像だけで感じてしまった渚の嬌声は、耕平の耳に心地よく響いた。
いそいそと尻を掲げた渚の腰をがっちり掴む。愛蜜の滴る秘裂はもちろん、可憐に窄まった秘肛までが露わになっている。
(うお、エロすぎる……)
ここまであからさまにアヌスを見るのは初めてだったので、耕平は動きを止めてまじまじと見入ってしまう。
すると見られているのを意識したのか、ややくすんだ色合いの菊穴はひくひくと脈動を繰り返した。
「ねえ、そんなに見ないで。恥ずかしいわ」
そう言いながらも、渚は隠そうとはしなかった。逆に、一刻も早く入れて欲しいとばかりに尻をくなくなと揺すって見せた。
たまらなくなった耕平は、熱く滾る切先を淫口に擦り付ける。
「ああっ!」
変に焦らしたりする余裕もなく、耕平は一気に渚を貫いた。
「ひいっ!?」
甲高い嬌声。
奥の奥まで届いた剛直は、一撃で渚を絶頂に押し上げていた。
激しい締め付けで渚の絶頂を悟った耕平だったが、インターバルを置くような余裕はなかった。自らの昂りそのままにピストンで腰を打ちつけていく。
「ああっ、はっ、だ、ダメえ、今イッてるのっ……お、お願い、ま、待って……」
渚にしてみれば、たまったものではない。上がつかえているのに更に下から容赦なく突き上げられているようなものだ。行き場のない熱すぎる性感が、身体の中を奔流となって駆け巡る。
「ああんっ、ダメッ、もうダメ、ホントにおかしくなっちゃうっ! イッてるのに、イッてるのに、またイッちゃうっ、ダメーっ!!」
後ろ向きで貫かれたまま、渚は髪を振り乱して絶叫する。
渚を翻弄する快感は、剛直を締めつける膣圧となって耕平自身へと跳ね返ってくる。かつてないほど強烈な締めつけに耕平も悲鳴をあげた。
「うあっ、すげえっ、俺もイッちまいそうだ」
「きてっ、きてえーっ!!」
「うおおおおおーっ!」
極限まで射精をこらえながら、懸命に腰を叩きつける。
「あっ、あっ、あっ、あっ、あっ、もうダメ、ダメ、イク、イクーっ」
「お、俺もだ、イクよ、先生っ!」
「イク、イク、一緒にっ!」
「おおっ!」
最後に全力の一撃で渚の最奥を穿つ。
堪え抜いた末の射精は、文字通り射抜かんばかりの勢いで子宮を直撃した。
「きゃうんっ!」
獣じみた声とともに、渚はかつて経験したことのないような頂点へ到達した。
迎えのワンボックスカーから降りると、目の前には思わず襟を正さずにはいられないような荘厳な雰囲気をまとった建物があった。
「こ、ここ……?」
あまりに場違いじゃないかと気後れを覚えた耕平に、渚はにこりと微笑んで見せた。
「大丈夫よ。ここね、学生時代の友達の嫁ぎ先なのよ」
渚が得意げに言った時、建物から着物姿の若い女性が出てきた。
「茜!」
「よく来てくれたわね、渚」
「話には聞いてたけど、素敵な旅館ね」
「ありがとう。ゆっくり楽しんでってね」
それから女性は耕平に意味ありげな視線を向けた。
「ようこそ紫雲館へおこしくださいました。当館の若女将、倉田茜と申します。お客様の滞在が快適なものになるように精一杯務めさせていただきます。お気づきの点などございましたら遠慮なくおっしゃってくださいね」
「ご丁寧にありがとうございます。奥原と申します。よろしくお願いします」
自分的に一番丁寧と思える挨拶をして、耕平は頭を下げた。
「できたら後でゆっくりお話させていただきたいわ」
そう微笑んでから茜は二人を館内に案内した。
通された部屋は、外観から想像したものを上回る格調高いものだった。
「……」
仲居さんがいる前では何とか平静を装ったものの、二人きりになった瞬間、揃って大きなため息が出た。
「…いくらなんでもスゴすぎない?」
「あたしもこれほどとは思わなかったわ……」
友人の嫁ぎ先が高級旅館だとは聞いていて、今回格安 で招待してもらえるとなった時には非常に楽しみだったのだが、あまりにも想像と格差がありすぎて度肝を抜かれてしまっていた。
「これは後でよくよくお礼を言っとかなくちゃいけないわね」
今から部屋を代えてもらうなどできっこないと割りきって、渚は現況を受け入れ、楽しむことにした。
「考えてみれば、あたしの給料じゃ招待でもしてもらわなきゃこんないいとこ泊まれないわ。変に遠慮して旅行自体を楽しめなくなっちゃったら本末転倒だわ。耕平くん、この部屋満喫するわよ」
「了解」
頷くと、耕平は渚を抱き寄せた。
「ちょちょちょ、どうしたのよ、突然」
すると耕平はきょとんとした顔を見せた。
「え?今部屋を満喫って言わなかった?」
「言ったけど、それがどうしてこうなるのよ」
「ホテルじゃ味わえない雰囲気を満喫するってことじゃないの?」
「もう、それしかないの!?」
「だって、電車の中で刺激されて、そのままほったらかしじゃん。苦しいよ」
そう言われてしまうと、渚としても強く言いづらい。
渚の身体から力が抜けたその一瞬を逃さず、耕平は渚の唇を奪った。
「んっ」
昂っていたのは渚も同じである。熾火のように燻っていた情欲の炎の再点火はあっという間だった。
「…ふむっ、んっ、んー……ぴちゃ、ぴちゃ……」
舌と舌を絡め合い、互いの唾液を啜り合う淫らな水音が部屋の中に響く。
「あっ」
僅かに漏れた艶声が耕平の耳をくすぐる。キスが激しくなるのとともに、背中に回した手を下半身に下ろしていく。
「んっ!」
尻肉を鷲掴みにされた渚が小さく喘ぐ。
パンツ越しでも重みと弾力を適度に両立させた絶妙な手触りが耕平を夢中にさせる。
唇を離した渚が切ない表情で耕平を見つめる。
「…もう、するの……?」
「うん、したい。先生も欲しそうな顔してるよ」
「…バカ……」
恥ずかしそうに頬を染めて、渚は耕平の胸に顔を埋める。その仕種は、年上の成人女性とは思えないほど可愛らしいものだった。
耕平は改めて渚と結ばれた幸運を噛みしめる。
「脱がすよ」
頷くのを確認するより早くカーディガンを肩から外している。
渚の方も、耕平が脱がせやすいように身体を動かしながら、耕平のシャツのボタンを外していく。
脱衣と愛撫が相半ばしたいやらしい手つきでお互いをまさぐりあう。すぐに二人とも下着姿になった。
「お」
いつもの流れでブラジャーを外そうとしたところで耕平はいつもとの違いに気づいた。
「初めての旅行だから頑張ってみたの」
恥じらいの表情で渚は言った。
「こんなの初めて見た。すっげえきれいだよ」
耕平が絶賛したのは、渚が身につけた下着だった。普段の渚は、教師という職業を意識して必要以上に地味な下着を着用している。耕平が見たことがあるのも白かベージュのもので、それも飾り気のないシンプルなものばかりだった。
それが今、目の前で半裸になった渚が身につけているのは、濃い藍色の、精緻なレースの刺繍が施されたアダルトな一品であった。
巷に氾濫する性の情報では黒下着がセクシーさの代表格として扱われることが多く、耕平も何となくそう思っていたのだが、愛しい女教師の下着姿に一発で悩殺されていた。
渚にとっては結構な大冒険であり、この下着を購入する際には、実に二時間、手に取っては棚に戻しを繰り返した末になけなしの勇気を振り絞ったのだが、耕平の表情を見る限り、その勇気は正しく報われたようだ。
「きれいすぎて、脱がすのがもったいないよ」
その言葉は単純に嬉しかった。恥ずかしい思いも無駄にならなかった。
だが、見られているだけでは切なかった。もう十分に渚も昂っているのだ。
「あぁ、もう……」
腰がもじもじ動いてしまうのが止められない。
「よし、脱がさないでこのまましちゃおう」
「え?」
耕平の意外な言葉に戸惑っている内に渚は畳の上に横たえられた。身体の力が抜けてしまっている渚はされるがままである。
両膝に手を当て、ゆっくり開いていく。
「あぁ、恥ずかしい……」
「何だ…すげぇどきどきする……」
期待感をにじませた表情で渚の股間に顔を近づけていく。甘酸っぱさを主成分とした匂いが立ち上り、嗅覚を刺激された耕平は深く息を吸い込んだ。
「やだっ、そんなところ嗅がないで!」
可愛い悲鳴を聞くと、余計にいじめたくなってしまう。今度は至近距離からまじまじと見つめる。色のせいでわかりづらかった濡れ染みも確認できた。
「こうやって濡れたパンティ見るのって初めてかも。いつも舐めるのって脱がした後だもんね」
「バカ、変なこと言わないで!」
顔を真っ赤にした渚が見悶える。
「先生、恥ずかしがってる顔が可愛いよ」
「知らないっ!!」
渚は両手で覆った顔をいやいやと振った。
自分だけが知る渚の可愛い反応を楽しみながら、耕平は濡れ染みへ口をつけた。
「ああっ!!」
感極まったような嬌声があがる。
布越しのせいか、いつもより味は薄く感じる。だが、それを補って余りある勢いで多量の愛蜜が溢れてくるのが舌先に感じられた。
「美味しいよ、すごく」
「そんなの言わなくていい!」
羞恥に見悶えてしまう。
「でも嬉しいな。最初はすごく嫌がってたけど、最近はそういうのなくなったよね」
「それは……」
秘所を舐られるクンニリングスという行為が渚はとても苦手だった。まず汚れた場所を舐めるということ自体が信じられなかったし、一番秘めなければならない箇所を晒すことにも羞恥と抵抗があったのだ。
だから、初めて耕平にそれを求められた時は強く拒絶したし、その後もなかなか求めに応じようとはしなかった。
しかし、拒まれたことにより執着心を燃やす形になった耕平は、粘り強く交渉を重ねた。時には懇願し、ある時には甘えてみたり、またある時には宥めすかしたり、耕平は根気強く許可を求め続けた。
最終的には渚が根負けした。
「ほんっとに一度だけだからね…本気で恥ずかしいんだから……」
なんでこんなことしたがるのかわかんない、とぼやきながら、念入りにシャワーを浴び、これだけは絶対に譲らなかった真っ暗闇の中で初めて許したクンニリングス。
それが渚の新しい世界を拓くことになった。
足を開き、きつく目を閉じ、耕平の舌を待ち受ける時間は、ほんの数秒が何時間にも感じられた。
暗闇の中ではあるが、近づいてくるのは感覚的にわかる。股間に息遣いを感じ、羞恥が極限に達した次の瞬間ーー
未知の快感が炸裂した。
「きゃうんっ!?」
指ともぺニスとも全く異質な感触に、渚はこれまで出したことのないような甲高い快楽声をあげていた。
快感の大きさとしては挿入の方が上なのだが、クンニの快感には一点集中の鋭さがあった。特に、剥き上がった秘豆をちゅうっと吸い上げられた時には思わず失禁しそうになった。
このままではどこまで追い込まれてしまうのかと恐怖を覚え、そこまでにしてもらったのだが、鮮烈過ぎる快感は渚の身体にしっかりと刻みこまれた。
それからは求められれば拒むことはしなくなったし、行為の時間も少しずつ長くなっていった。初めてクンニでイッたのは一月も経たない内で、その頃にはクンニは二人のセックスにおいて欠かせないステップのひとつになっていた。
「舐められるの、好き?」
「そんなこと訊かないで」
正面きって尋ねられれば、恥ずかしさの方が先に立つ。
「教えて欲しいなあ」
喋っていれば当然舌の動きは疎かになる。焦らされた形になった渚はもどかしそうに腰を揺すった。
(もっと舐めて)
思っても恥ずかし過ぎて口には出せない。
もっとも、切なげに腰をうごめかしている時点で、渚の状態は耕平には筒抜けである。
「こういうの、どう?」
舌先をそよがせる要領で、つんと尖った鮮紅色の肉芽を触れるか触れないかの際どさで舐めあげる。
「ああんっ!」
強烈な刺激に、渚の腰が跳ねる。
更なる刺激を求めて、渚は腰をせり上げたが、意地悪モードの耕平は巧みに距離をとった。
「どうしてぇっ!!」
渚の叫びは悲痛に響く。
「これ、好き?」
「好きぃ、大好きぃ!」
刺激を欲する気持ちが羞恥心を凌駕し、渚は本音をそのまま吐露していた。
「耕平くんが上手に舐めてくれるから大好きになっちゃったのぉっ」
「じゃあいっぱい舐めてあげるね」
言葉責めしながら自分も昂ってしまった耕平は、パンティの股布をずらすと直接潤みきった秘部に口をつけた。
「あひいいいぃっ!」
焦らされた分、歓喜の嬌声は長く尾を引いた。
「い、いいっ」
甘声に気を良くした耕平の舌は縦横に動き、渚の身体から快楽を引き出していく。
「先生、やっぱり脱がすね」
パンティのサイドに手がかかると、渚は腰を浮かせて脱がせやすいように協力した。
秘所が露になると立ち上る匂いは濃密さを増し、それが耕平を更に昂らせる。
渚の秘所はクールな外見からは想像しづらいのだが、かなり濃いめの陰毛が繁茂する、所謂ジャングルの様相を呈している。渚自身はこれをコンプレックスに思っていたのだが、逆に耕平はこの方が生々しいいやらしさが感じられていいと大いに気に入っていたので、何の問題もなかった。
耕平は大好きなそこへ獣の勢いでむしゃぶりついた。
「あんっ、いいっ!」
舌が動きやすくなった分、渚に与えられる快感は深く、鋭くなった。
「ああっ、うっ、あ、はあっ」
間断なく与えられる快楽に渚は翻弄されるばかりだ。最初は抑えようとしていた声も制御できなくなっているし、痙攣も止まらない。
「ああっ、こ、耕平くん、あ、あたし、もう……」
息も絶え絶えに渚は哀訴した。
「欲しくなっちゃった?」
問いかけられた渚はもう言葉では返せずに、ガクガクと頷くばかりだった。
本当は一度クンニでイカせてからと思っていた耕平だったが、二人きりの温泉宿という夢のようなシチュエーションに、自分自身が我慢できなくなるほど昂ぶってしまっていたので、素直に渚の求めに応じることにした。
「そこに手ついて」
座卓に手をつかせ、後ろ向きにさせる。
「…後ろから……?」
「その方が奥まで届くでしょ」
「ああっ」
想像だけで感じてしまった渚の嬌声は、耕平の耳に心地よく響いた。
いそいそと尻を掲げた渚の腰をがっちり掴む。愛蜜の滴る秘裂はもちろん、可憐に窄まった秘肛までが露わになっている。
(うお、エロすぎる……)
ここまであからさまにアヌスを見るのは初めてだったので、耕平は動きを止めてまじまじと見入ってしまう。
すると見られているのを意識したのか、ややくすんだ色合いの菊穴はひくひくと脈動を繰り返した。
「ねえ、そんなに見ないで。恥ずかしいわ」
そう言いながらも、渚は隠そうとはしなかった。逆に、一刻も早く入れて欲しいとばかりに尻をくなくなと揺すって見せた。
たまらなくなった耕平は、熱く滾る切先を淫口に擦り付ける。
「ああっ!」
変に焦らしたりする余裕もなく、耕平は一気に渚を貫いた。
「ひいっ!?」
甲高い嬌声。
奥の奥まで届いた剛直は、一撃で渚を絶頂に押し上げていた。
激しい締め付けで渚の絶頂を悟った耕平だったが、インターバルを置くような余裕はなかった。自らの昂りそのままにピストンで腰を打ちつけていく。
「ああっ、はっ、だ、ダメえ、今イッてるのっ……お、お願い、ま、待って……」
渚にしてみれば、たまったものではない。上がつかえているのに更に下から容赦なく突き上げられているようなものだ。行き場のない熱すぎる性感が、身体の中を奔流となって駆け巡る。
「ああんっ、ダメッ、もうダメ、ホントにおかしくなっちゃうっ! イッてるのに、イッてるのに、またイッちゃうっ、ダメーっ!!」
後ろ向きで貫かれたまま、渚は髪を振り乱して絶叫する。
渚を翻弄する快感は、剛直を締めつける膣圧となって耕平自身へと跳ね返ってくる。かつてないほど強烈な締めつけに耕平も悲鳴をあげた。
「うあっ、すげえっ、俺もイッちまいそうだ」
「きてっ、きてえーっ!!」
「うおおおおおーっ!」
極限まで射精をこらえながら、懸命に腰を叩きつける。
「あっ、あっ、あっ、あっ、あっ、もうダメ、ダメ、イク、イクーっ」
「お、俺もだ、イクよ、先生っ!」
「イク、イク、一緒にっ!」
「おおっ!」
最後に全力の一撃で渚の最奥を穿つ。
堪え抜いた末の射精は、文字通り射抜かんばかりの勢いで子宮を直撃した。
「きゃうんっ!」
獣じみた声とともに、渚はかつて経験したことのないような頂点へ到達した。
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快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
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神崎未緒里
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※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ママと中学生の僕
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「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
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