担任教師と温泉旅行

麻婆

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相性が大事です

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「渚、ごめんな。もうしないから」

「わかってくれればいいわ」

 ひとつ息をついて、渚は耕平の謝罪を受け入れた。せっかくの旅行なのに、いつまでも引きずっていたらもったいない。

「明日には帰らなきゃいけないのか……」

 帰りたくないなー、と耕平は嘆息した。

 思いは渚も一緒だったが、立場上それを口にはできない。

 代わりに、背後から耕平の身体に手を回す。

「続き、しよ」

「うん」

 耕平が首を捻ると、二人の唇が重なった。淫らな水音を立てて、舌を絡める。

「ああ……」

 わずかに漏れる喘ぎ声。この声をもっと聞きたくて、耕平は張りきる。

 一旦唇を離し、渚を布団に横たえる。照明の下、あますところなくさらされた裸身は、見飽きることなく美しかった。

「綺麗だ……」

 無意識の呟きが渚の自尊心をくすぐる。好きな相手に賛美されれば嬉しいに決まっている。

 下から手を伸ばして、耕平の首の後ろに回す。

「好きよ、耕平くん」

「俺も。大好きだよ」

 世間的には許されない 関係かもしれないが、今の二人にはお互いだけが全てだった。

 裸の身体を重ねた二人は、少しでも隙間ができるのを厭うようにしっかりと抱き合った。

「渚、なぎさ……」

「耕平くぅん」

 名を呼び合うごとに愛しさが募る。

 貪り合うように唇を重ね、互いの唾液を啜り合う。

「入れるよ」

「うん。入れて」

 頷いてから、あまりにストレートな物言いをしてしまったことに気づいて、渚は赤面した。

 そんな渚を可愛いなあと思いつつ、耕平は剛直を待ちわびるぬかるみの中に進入した。

「はああっ」

 熱い吐息が耕平の首筋をくすぐる。

 耕平は一気には貫かず、ゆっくりと腰を進めていく。

「あんっ…あっ…ああっ……」

 繋がりが深くなっていくにつれ、声のトーンは高くなっていく。 

 耕平の尖端と渚の最奥が触れ合うと、渚は頂点へ昇りつめた。

「ああっ」

 甲高い声と共に蜜壷がきゅうっと締まり、絶頂を報せる。

 すっかりイキやすくなった渚を嬉しく思いながら、耕平は腰を動かし続ける。

「あっ…ああっ……あんっ…あっ、あっ、あっ……」

 最奥を衝かれる都度絶頂に達した渚は、ついにはイキっぱなしの状態まで追い上げられる。

「あっ、ダメ…イクっ、イッちゃうっ…あああっ……またイッちゃうっ…あああああっ」

 嬌声は途切れることなく、部屋に響く。

「こ、こんなの…ふあっ……ああっ…あっ、いやっ、怖いっ」

 悦楽の大波に翻弄された渚は、耕平の背中に爪を立てた。

 正直、かなり痛かったが、耕平は声を我慢して渚を責めることに集中した。

「あっ、あっ、ダメダメダメ……あっ…あああああーーーっ!」

 びくんびくんと全身を痙攣させて、渚は一際激しい絶頂に達した。

「くうっ」

 かつてない強烈なしめつけに、耕平も堪えきれずに全開する。

「くあああっ!」

 想像を超えた吸引に、耕平の声は苦悶に近づく。

 出しても出しても吸われる、という感覚は耕平も初体験だった。

 最後の一滴まで搾り取られて、精根尽き果てた耕平は渚に全てを預けるように倒れこんだ。普通ならかなり重かったはずだが、渚が半失神状態だったため、苦情は出なかった。

「…す、すごすぎる……」

 どこまで高まってしまうのか、恐怖に似た思いすら感じてしまう。

 責めた自分の側ですらこれなのだから、責められた渚にとってはたまったものではない。涙と涎でぐちゃぐちゃになった顔で、だらしなく四肢を投げ出している。あられもなさすぎる姿を顧みる余裕はどこにもなさそうだ。

 何とか息を整えて、耕平は渚の様子を見た。

「渚、大丈夫?」

 声をかけられて、ようやく渚の目に意志の光が戻った。

「…こ、耕平くん……」

「ゴメン、渚。頑張りすぎた」

「すごすぎるよ……まだ身体が動かない……」

「あんまりにも良すぎて、止まれなかった……」

「わかるよ。あたしも、怖いけど、もっとして欲しいって思うし」

 言ってしまってから、渚は赤面した。

「やだ、あたし、何言ってるんだろ」

「嬉しいな。渚にそう言ってもらえると」

 耕平は渚を抱きしめた。

 渚もやっと動くようになった手を耕平の背にまわした。

「すっかり溺れちゃってるなぁ、あたし」

 苦笑混じりに渚は言った。

「あたし、そんなにエッチ好きじゃなかったはずなんだけど……何でこうなっちゃったんだろう?」

「後悔してる?」

「ううん。そういうわけじゃないわ。ただ単に不思議なだけ。どうしてこんなにのめりこんじゃったんだろう、って」

「相性がよかったってことでしょ」

 あっさりした耕平の言葉に、渚は軽く目を瞠った。

「そっか、相性か」

 渚はへへっと照れくさそうに笑った。

「うれしいな」

 年齢にそぐわない少女のような笑顔に、耕平は一撃でやられてしまう。元々ベタ惚れなのだが、その思いが天井知らずに高騰していく。

「可愛すぎる。渚に惚れた自分を褒めてやりたい」

「なにそれ」

 クスッと笑った渚は、軽く唇をつきだした。

「耕平くん大好き」

「うん。愛してるよ」

 軽く唇を合わせるだけのキス。

 舌を絡めてしまったら歯止めが利かなくなるであろうことは二人ともわかっていたので、あえてそこで止めた。これ以上は身体がもたないし、ただ肌を合わせてまったりとする時間が悪いものではないことは知っていたから。

 しばらく横になっていちゃいちゃしていたのだが、渚がふと顔を上げた。

「…ねえ、何だか外が明るくない?」

「言われてみれば……」

 起き上がった耕平は、部屋の障子を開けーーそこで固まった。

「…すげえことになってる……」
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