気がつくと大好きな漫画に出てくる悪役令嬢になっていた

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週明けの月曜日。カトリーヌへのいじめを止めるために、私は一つ手を打っていた。

真ん中でぽっきりと割れた、例のカトリーヌが使っていたリード。これを教室にある先生の机の下に隠しておいたのだ。先生が座るために椅子を引けば、必ず見える位置にセットした。

「何なの！このリードは！カトリーヌ、あなたの名前が書いてあるじゃない！」

先生が思惑通りみつけてくれて、ホッと胸を撫で下ろす。先生の大声に、クラスメイトがざわついた。

「え？見せてください。……あれ？これマデリンに折られたはずの、あっ！」
「マデリンに折られたですって？」

マデリンは肩を怒らせて立ち上がる。

「私はやってません。彼女、いつも嘘をつくので私たち困ってるんです。」
「あら、そうなの？カトリーヌ。」
「いいえ。マデリンの靴の裏を見てください。リードのかけらが挟まっています。」

マデリンが靴の裏を見ると、確かにリードのかけらがある。トイレで踏んでしまっていたのだろう。

靴の裏を確認したマデリンは、奥歯をぐっと噛んで悔しそうな表情をする。

「この際だから言いますが、そこの女子たちがトイレで私に罵声を浴びせている音声も、スマホで録音しています。」

カトリーヌが音声を再生する。フレデリックとの登下校を妬んだ女子たちの汚い罵声が再生された。

「なんて恥知らずなの！！あなたたち、前に出てきてカトリーヌに謝罪なさい。」

十数人の女子たちが出てきて、皆口々に謝罪した。私も一緒に行って、謝罪した。

「同じことが続くようなら、あなたたちの内申点を下げます。良いですね？」

皆音楽業界で大成したいと考えている者ばかり。進学するのに大切な内申点を下げられてはたまらないのだ。