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030 盗賊さん、スライムに名付ける。
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変化を解かせるとスライムは、倒した相手がドロップした水の魔石を頭に載せて、ボクの元まで運んで来た。
その数は3個あり、どうやらボクと魔力的に繋がったスライムが倒しても、ボクの【トレジャーハント】の効果は反映されるようだった。
運んで来られたちいさな魔石を見ながら、ふと思う。魔物を倒してドロップしたアイテムも、元は高密度な魔素の塊だっはず。それなのに魔物と違って、ダンジョン外に持ち出しても消滅はしない。魔素が変質してドロップアイテムとして作り替えられ、魔素が拡散しないように変化したのなら、ドロップアイテムを魔物に取り込ませたらどうなるのか気になった。
普通の魔物ならそんなことをさせられないが、幸いにもボクにはボクの指示に従うスライムが居る。実験しない手はない。
「それ、食べていいよ」
ボクは魔石を運んで来てくれたスライムに、そう告げて魔石を取り込ませてみる。それに対してスライムは、嬉しげにぷるんと身体を弾ませてから魔石を取り込んでいた。するとスライムの存在感というか、魔素濃度が多少濃くなるのを感じ取れた。
その感覚からボクの考えはそれほど的外れではないと判断した。それなら魔石をどの程度与えればいいのかと考える。最もわかりやすい指標はスライムの体積で、それと同等の量を与えたら魔素の拡散による消滅は免れるはずだと仮定した。
ボクの足元でじゃれつくような仕草をするスライムを抱え上げ、スライムがドロップする魔石で換算して大体の体積を測る。その数は約400から420個といったところ。通常なら集めるのも難しい数だけど、ボクのユニークスキルがあれば不可能な数じゃない。幸いにもスライム自体が倒したものもユニークスキルの対象になるので、手数は充分と言えた。
雑に目標を立てたボクは魔石集めのためにスライムを乱獲する前に、スライムを抱え上げて魔物出現エリアの外に連れ出そうとしてみた。するとスライムは外に出されることを怯えるようにブルブルと震え、ボクにやめてくれと懇願するように身体をくねらせた。
どうやら本能的な忌避感があるらしい。これがあるから魔物がダンジョンの外に出ようとはしないのだと納得する。例外として集団暴走があるが、あれはどういった原理で発生するのか気になったが、今はその疑問を置いておくことにした。
スライムを床に下ろし、他のスライムを狩るよう念じて指示を出す。索敵範囲はボクと共有しているらしいので、無駄な動きをすることなく、真っ直ぐに新たに出現したスライム目掛けて移動して行った。
その後を追って、ボクもダンジョン内を駆ける。使役するスライムが討ち漏らしたモノを、ナイフ型に圧縮して【施錠】した空気で斬り裂いて倒す。なにも格納していない[アイテムキューブ]を変形させたそれは、武器として実戦に耐えうる強度は充分なようだった。
ダンジョン1層を駆け回り、目標数のスライム140体を狩るのにそれほど時間はかからなかった。ドロップした魔石を、その場ですぐにスライムに吸収させていたからか、実戦経験を積み重ねたからか、狩り終盤のスライムの動きはかなり洗練されていた。
「お疲れさま」
最終的に424個の魔石を吸収したスライムを労うようになで、手を離そうとすると人懐っこい猫のように、ボクの手に頭を擦り付けるような動きをした。仕方ないなともう1度なでてやるとスライムは満足したように身体をぷるんと揺らした。その様子を目にしてボクにもスライムに対する愛着のようなものが生じていた。
だからだろうボクはスライムに名付けようなどという気になった。スライムを抱え上げ、見た目から名前を連想する。腕の中で嬉しげにプルプルと揺れる様子を見て、ボクは名前を決めた。
「よし決めた。キミの名前はプルだよ。これからもよろしくね」
そう告げるとプルはボクの言葉に応じるように一際大きくぷるんと身体を揺らした。
「聞きたいんだけど、今ならダンジョンの外に出れそうかな」
言葉が通じてるのかわからないけれど、念じたボクの意思を読み取っているようだったので、伝えようとする意思があれば問題なく伝わるはず。
プルはボクの質問に対して、肯定するように身体を縦に伸ばしては球状に戻るような仕草を2、3度してみせた。
プル自身がそう判断した基準が気になるところ。もしダンジョン外に出て消滅しそうなら[アイテムキューブ]に格納しちゃえばいいかな。と思ったけれど、まだスライムを[アイテムキューブ]に入れられるかの実験はしていなかった。
目標数の討伐後、索敵に引っ掛かっても手を出さずにいたスライムの元へ行き、試しに[アイテムキューブ]化してみるとすんなりと格納することが出来た。
3㎝角の[アイテムキューブ]の中には、縮小化されて動きを止めたスライムが収まっていた。またその[アイテムキューブ]との間にもプルと同じような魔力的な繋がりがあった。ただそちらの繋がりは時間と共に薄れて途切れてしまった。
なんとなくその変化が気になったので、スライムが格納された[アイテムキューブ]を【解錠】してみた。
すると【解錠】する際に、途切れてしまっていた魔力的な繋がりが復活して、格納されていたスライムはボクに使役された状態になっていた。
検証するように複数回同様の操作をしたが、スライムの使役が途切れることはなかった。プルと同じように魔石を大量に吸収させる必要がないなら、ダンジョン内限定の戦力として、他の魔物も同じように捕獲して保管するのはありかもしれない。などと思っているとプルが不安気にボクを見上げているようだった。
「キミを[アイテムキューブ]に格納したりしないから大丈夫だよ」
そう告げてやるとプルは安心したのか、全身を弛緩させて身体をとろんとさせていた。
その数は3個あり、どうやらボクと魔力的に繋がったスライムが倒しても、ボクの【トレジャーハント】の効果は反映されるようだった。
運んで来られたちいさな魔石を見ながら、ふと思う。魔物を倒してドロップしたアイテムも、元は高密度な魔素の塊だっはず。それなのに魔物と違って、ダンジョン外に持ち出しても消滅はしない。魔素が変質してドロップアイテムとして作り替えられ、魔素が拡散しないように変化したのなら、ドロップアイテムを魔物に取り込ませたらどうなるのか気になった。
普通の魔物ならそんなことをさせられないが、幸いにもボクにはボクの指示に従うスライムが居る。実験しない手はない。
「それ、食べていいよ」
ボクは魔石を運んで来てくれたスライムに、そう告げて魔石を取り込ませてみる。それに対してスライムは、嬉しげにぷるんと身体を弾ませてから魔石を取り込んでいた。するとスライムの存在感というか、魔素濃度が多少濃くなるのを感じ取れた。
その感覚からボクの考えはそれほど的外れではないと判断した。それなら魔石をどの程度与えればいいのかと考える。最もわかりやすい指標はスライムの体積で、それと同等の量を与えたら魔素の拡散による消滅は免れるはずだと仮定した。
ボクの足元でじゃれつくような仕草をするスライムを抱え上げ、スライムがドロップする魔石で換算して大体の体積を測る。その数は約400から420個といったところ。通常なら集めるのも難しい数だけど、ボクのユニークスキルがあれば不可能な数じゃない。幸いにもスライム自体が倒したものもユニークスキルの対象になるので、手数は充分と言えた。
雑に目標を立てたボクは魔石集めのためにスライムを乱獲する前に、スライムを抱え上げて魔物出現エリアの外に連れ出そうとしてみた。するとスライムは外に出されることを怯えるようにブルブルと震え、ボクにやめてくれと懇願するように身体をくねらせた。
どうやら本能的な忌避感があるらしい。これがあるから魔物がダンジョンの外に出ようとはしないのだと納得する。例外として集団暴走があるが、あれはどういった原理で発生するのか気になったが、今はその疑問を置いておくことにした。
スライムを床に下ろし、他のスライムを狩るよう念じて指示を出す。索敵範囲はボクと共有しているらしいので、無駄な動きをすることなく、真っ直ぐに新たに出現したスライム目掛けて移動して行った。
その後を追って、ボクもダンジョン内を駆ける。使役するスライムが討ち漏らしたモノを、ナイフ型に圧縮して【施錠】した空気で斬り裂いて倒す。なにも格納していない[アイテムキューブ]を変形させたそれは、武器として実戦に耐えうる強度は充分なようだった。
ダンジョン1層を駆け回り、目標数のスライム140体を狩るのにそれほど時間はかからなかった。ドロップした魔石を、その場ですぐにスライムに吸収させていたからか、実戦経験を積み重ねたからか、狩り終盤のスライムの動きはかなり洗練されていた。
「お疲れさま」
最終的に424個の魔石を吸収したスライムを労うようになで、手を離そうとすると人懐っこい猫のように、ボクの手に頭を擦り付けるような動きをした。仕方ないなともう1度なでてやるとスライムは満足したように身体をぷるんと揺らした。その様子を目にしてボクにもスライムに対する愛着のようなものが生じていた。
だからだろうボクはスライムに名付けようなどという気になった。スライムを抱え上げ、見た目から名前を連想する。腕の中で嬉しげにプルプルと揺れる様子を見て、ボクは名前を決めた。
「よし決めた。キミの名前はプルだよ。これからもよろしくね」
そう告げるとプルはボクの言葉に応じるように一際大きくぷるんと身体を揺らした。
「聞きたいんだけど、今ならダンジョンの外に出れそうかな」
言葉が通じてるのかわからないけれど、念じたボクの意思を読み取っているようだったので、伝えようとする意思があれば問題なく伝わるはず。
プルはボクの質問に対して、肯定するように身体を縦に伸ばしては球状に戻るような仕草を2、3度してみせた。
プル自身がそう判断した基準が気になるところ。もしダンジョン外に出て消滅しそうなら[アイテムキューブ]に格納しちゃえばいいかな。と思ったけれど、まだスライムを[アイテムキューブ]に入れられるかの実験はしていなかった。
目標数の討伐後、索敵に引っ掛かっても手を出さずにいたスライムの元へ行き、試しに[アイテムキューブ]化してみるとすんなりと格納することが出来た。
3㎝角の[アイテムキューブ]の中には、縮小化されて動きを止めたスライムが収まっていた。またその[アイテムキューブ]との間にもプルと同じような魔力的な繋がりがあった。ただそちらの繋がりは時間と共に薄れて途切れてしまった。
なんとなくその変化が気になったので、スライムが格納された[アイテムキューブ]を【解錠】してみた。
すると【解錠】する際に、途切れてしまっていた魔力的な繋がりが復活して、格納されていたスライムはボクに使役された状態になっていた。
検証するように複数回同様の操作をしたが、スライムの使役が途切れることはなかった。プルと同じように魔石を大量に吸収させる必要がないなら、ダンジョン内限定の戦力として、他の魔物も同じように捕獲して保管するのはありかもしれない。などと思っているとプルが不安気にボクを見上げているようだった。
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