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102 盗賊さん、脅威を目の当たりにする。
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土砂が噴き上がるのと時を同じくして、大地の鳴動は静まった。だが、それで異常事態が終息するわけでもなく、さらなる異常現状がバーガンディを襲うこととなった。
その原因を上空から逸早く目視したらしいサク姉が、新たに【召喚】した小鳥をボクの肩に止まらせ、小鳥を通じてボクに状況を伝えて来た。
『超大型魔物出現。周辺地域を手当たり次第に液状化していってるわ。このまま放置すれば、この辺りも泥の中に沈むことになる』
サク姉の端的な報告を受けたボクは、半球状に【施錠】した地面に再度魔力を流し込み、内部を空洞にしてもしもの時に備えて浮力を与えた。
その作業を付かず離れずの距離で子供達と見守っていたグレンに対して、彼が今出来ることを頼む。
「グレン、子供達一緒に孤児院の中に避難しててくれるかな。これから孤児院周辺に【結界】を張るから中の方が外よりも安全になるからさ」
ボクは【結界】などと適当な名称を付けながら、簡単に説明をした。それを受けたグレンは無言で頷き、子供達の背を押しながら孤児院の中へと入るよう促していた。余計な会話を交わすことなく、頼みに応じてくれたことに内心で感謝する。ボクは肩に乗る小鳥を通じてサク姉に上空から降りてもらうよう告げた。すると上空で待機していたアンズーに跨ったのをサク姉は、すぐさま舞い降りた。
「サク姉。ここを離れる前に空気を防壁として【施錠】するから、ボクの魔力が浸透している領域の外ギリギリの位置まで飛んでくれないかな」
「それじゃ、乗って」
サク姉に腕を引かれ、手早くアンズーの背に乗り、上空へと舞い上がる。ちょうど良い位置に静止してくれたので、ボクは時間を無駄にしないように作業に取り掛かる。
孤児院の周辺を覆う半球状の層になるように魔力を形成して流し込み、固めた地面と併せて球体になるように【施錠】した。そのままでは窒息の恐れがあったので、細かな空気穴を上部に複数開けることで対処した。
「済んだよ。それで超大型魔物っていうのは、今どこに」
「液状化の範囲を広げながら北東部を目指して直進してる」
その言葉を受けてボクは、遠視魔術『バートアイ』を発動して報告にあった方角に視線を向けた。すると山羊の上半身と魚類のような下半身を持つ数十mはあろうかという巨大な魔物が、なんの迷いも見せずに地面を液状化しながら直進していた。進行方向にあったはずの城壁は、既に泥の中に没していた。さらにその先に視線を移すと、そこにあったのは昨夜訪れたばかりの共同墓地だった。
「共同墓地に向かってる?」
「みたいね。他のものに全く興味も示してないところを見ると、あそこになにかあるのかしら」
「先回り出来る?」
「液状化で行動範囲を広げながらの進行だからすぐに追い抜けるだろうけど、あまり近付くのは危険じゃないかしら」
「危険は承知の上だよ。ことまま見送るのは、今以上の危険を招くような気がするんだよね」
「それはそうだろうけど、あまりにも危険だと私が判断した場合は、即刻離脱するからね」
「ありがとう。それでお願い」
「じゃ、飛ばすよ」
サク姉のその言葉が合図となり、アンズーは大きく広げた翼で空気を叩いて急加速した。共同墓地との距離は一気に縮まった。
そこへ、超大型魔物の方から大音声が響き渡った。それは音だけにはとどまらず、衝撃を伴った空気の塊が超大型魔物と共同墓地との間にあったものを、ことごとく吹き飛ばした。それは超大型魔物が放った咆哮の直線上にあった共同墓地も同様で、建物は完全にバラバラに破壊されていた。
当然ながら共同墓地に接近すべく飛行していたボクらも、その被害を受けることとなった。空気が混ぜっ返されて、アンズーは一時的に飛行不能になり、墜落しかけたが、どうにか地面に叩きつけられる前に、持ち前の姿勢制御力で空中に留まることに成功していた。
「たったひと吠えであの威力。人間がどうこう出来るレベルの存在じゃないね、あれは」
「そうね。これ以上の接近は、まず無理ね。羽虫みたいに撃ち落とされるだけならまだしも、衝撃波でバラバラになりかねないわ」
離れた位置で超大型魔物の動向を探っていると、その身体から魔素が霧散していくときに放たれる光が散っているのが目に入った。
「あの魔物、無理にダンジョン外に出たのはいいけど、身体を維持出来るだけの魔素が維持出来ずに崩壊を始めてるね」
「あんなものが当たり前に地上を闊歩するなんて事態は避けられそうね。そのまま勝手に自滅してくれるといいけど……それまでにどれだけの被害が出るかわかったものではないわね」
遠からず事態は終息するだろうと胸をなで下ろしたボクらは、超大型魔物が自壊するまでの動向を確認すべく、視線を追随させた。
やがて共同墓地跡にまで到達した超大型魔物は、液状化した地面に潜ったかと思うと、短くはない時間を経てから地下の遺体安置所を食い破って再び地上に姿を見せた。
ただ、その身体にはさっきまでの霧散する魔素のきらめきはなく、新たにさっきまでは存在していなかった異常な魔力が超大型魔物の内部で渦巻いているのが感じ取れた。
その原因を上空から逸早く目視したらしいサク姉が、新たに【召喚】した小鳥をボクの肩に止まらせ、小鳥を通じてボクに状況を伝えて来た。
『超大型魔物出現。周辺地域を手当たり次第に液状化していってるわ。このまま放置すれば、この辺りも泥の中に沈むことになる』
サク姉の端的な報告を受けたボクは、半球状に【施錠】した地面に再度魔力を流し込み、内部を空洞にしてもしもの時に備えて浮力を与えた。
その作業を付かず離れずの距離で子供達と見守っていたグレンに対して、彼が今出来ることを頼む。
「グレン、子供達一緒に孤児院の中に避難しててくれるかな。これから孤児院周辺に【結界】を張るから中の方が外よりも安全になるからさ」
ボクは【結界】などと適当な名称を付けながら、簡単に説明をした。それを受けたグレンは無言で頷き、子供達の背を押しながら孤児院の中へと入るよう促していた。余計な会話を交わすことなく、頼みに応じてくれたことに内心で感謝する。ボクは肩に乗る小鳥を通じてサク姉に上空から降りてもらうよう告げた。すると上空で待機していたアンズーに跨ったのをサク姉は、すぐさま舞い降りた。
「サク姉。ここを離れる前に空気を防壁として【施錠】するから、ボクの魔力が浸透している領域の外ギリギリの位置まで飛んでくれないかな」
「それじゃ、乗って」
サク姉に腕を引かれ、手早くアンズーの背に乗り、上空へと舞い上がる。ちょうど良い位置に静止してくれたので、ボクは時間を無駄にしないように作業に取り掛かる。
孤児院の周辺を覆う半球状の層になるように魔力を形成して流し込み、固めた地面と併せて球体になるように【施錠】した。そのままでは窒息の恐れがあったので、細かな空気穴を上部に複数開けることで対処した。
「済んだよ。それで超大型魔物っていうのは、今どこに」
「液状化の範囲を広げながら北東部を目指して直進してる」
その言葉を受けてボクは、遠視魔術『バートアイ』を発動して報告にあった方角に視線を向けた。すると山羊の上半身と魚類のような下半身を持つ数十mはあろうかという巨大な魔物が、なんの迷いも見せずに地面を液状化しながら直進していた。進行方向にあったはずの城壁は、既に泥の中に没していた。さらにその先に視線を移すと、そこにあったのは昨夜訪れたばかりの共同墓地だった。
「共同墓地に向かってる?」
「みたいね。他のものに全く興味も示してないところを見ると、あそこになにかあるのかしら」
「先回り出来る?」
「液状化で行動範囲を広げながらの進行だからすぐに追い抜けるだろうけど、あまり近付くのは危険じゃないかしら」
「危険は承知の上だよ。ことまま見送るのは、今以上の危険を招くような気がするんだよね」
「それはそうだろうけど、あまりにも危険だと私が判断した場合は、即刻離脱するからね」
「ありがとう。それでお願い」
「じゃ、飛ばすよ」
サク姉のその言葉が合図となり、アンズーは大きく広げた翼で空気を叩いて急加速した。共同墓地との距離は一気に縮まった。
そこへ、超大型魔物の方から大音声が響き渡った。それは音だけにはとどまらず、衝撃を伴った空気の塊が超大型魔物と共同墓地との間にあったものを、ことごとく吹き飛ばした。それは超大型魔物が放った咆哮の直線上にあった共同墓地も同様で、建物は完全にバラバラに破壊されていた。
当然ながら共同墓地に接近すべく飛行していたボクらも、その被害を受けることとなった。空気が混ぜっ返されて、アンズーは一時的に飛行不能になり、墜落しかけたが、どうにか地面に叩きつけられる前に、持ち前の姿勢制御力で空中に留まることに成功していた。
「たったひと吠えであの威力。人間がどうこう出来るレベルの存在じゃないね、あれは」
「そうね。これ以上の接近は、まず無理ね。羽虫みたいに撃ち落とされるだけならまだしも、衝撃波でバラバラになりかねないわ」
離れた位置で超大型魔物の動向を探っていると、その身体から魔素が霧散していくときに放たれる光が散っているのが目に入った。
「あの魔物、無理にダンジョン外に出たのはいいけど、身体を維持出来るだけの魔素が維持出来ずに崩壊を始めてるね」
「あんなものが当たり前に地上を闊歩するなんて事態は避けられそうね。そのまま勝手に自滅してくれるといいけど……それまでにどれだけの被害が出るかわかったものではないわね」
遠からず事態は終息するだろうと胸をなで下ろしたボクらは、超大型魔物が自壊するまでの動向を確認すべく、視線を追随させた。
やがて共同墓地跡にまで到達した超大型魔物は、液状化した地面に潜ったかと思うと、短くはない時間を経てから地下の遺体安置所を食い破って再び地上に姿を見せた。
ただ、その身体にはさっきまでの霧散する魔素のきらめきはなく、新たにさっきまでは存在していなかった異常な魔力が超大型魔物の内部で渦巻いているのが感じ取れた。
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