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108 盗賊さん、情報提供する。
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グレンはアンジー親子と孤児院に残ることにしたらしい。対してボクとサク姉は錬金術ギルドに戻ることにした。
「じゃあ、また明日」
「なんか悪りぃな。なんつーかほっとけねぇしよ」
「わかってるよ」
孤児院を後にしようとして、視界の端にユウヒさんの姿を見つけ、ボクは反射的に会釈した。ユウヒさんは憑き物が落ちたような表情をしており、敵意を向けらる前の乗合馬車で一緒だったときと同じような対応をしてくれた。
「サク姉、行こうか」
「そうね」
ボクらは孤児院を離れた。荒れた道を歩きながら隣を行くサク姉に問いかける。
「これからどうする?」
「冒険者ギルドに行って、アッシュと合流かなぁ」
「そうだね。それじゃ、そうしようか」
特に急ぐでもなく、ボクらは冒険者ギルドまでを歩いた。
到着した冒険者ギルドは、アンジーのお父上を迎えに来たときよりも避難者でごった返しており、中に踏み入るのも困難な様相を呈していた。
「これは入れそうもないね」
「そうね。アッシュが出て来るまで、この近くで待ちましょうか」
「そうだね」
一旦、冒険者ギルドを離れることにして踵を返した。すると背後からボクらに対して向けられた視線を感じた。振り返って周囲を見渡すと、冒険者ギルド3階の窓が開け放たれ、そこから身を乗り出したヒカリさんが大きく手を振っていた。
ボクらに向けてなにが言っているようだったが、距離もある上に喧騒に紛れてしまって聞き取ることは出来なかった。するとサク姉が小鳥を【召喚】してヒカリさんの元へと飛ばしていた。ヒカリさんの手元に降り立った召喚獣は、なにやら受け取るとボクらのところへと戻って来た。召喚獣の嘴には、ちいさくまるめられた紙片が咥えられていた。サク姉は紙片を手に取り、手早く広げた。
「なんだって」
「錬金術ギルドで話を出来ないかってさ。あの魔物のことが聞きたいみたい」
「アッシュの伝言は届いたと思っていいのかな」
「だと思うよ。そうじゃなきゃ、私達が間近であの魔物を見たとは思わないだろうしね」
「それもそうだね」
ボクはヒカリさんにわかるように、両腕を使って頭の上に大きく丸をつくった。
「サク姉、錬金術ギルドで待ってるって伝えてもらってもいいかな」
ヒカリさんから目を外し、サク姉の方に向き直って頼んだ。するとサク姉は、冒険者ギルドに目を向けたまま口を開いた。
「その必要はないみたいよ」
そう言ったサク姉は、ヒカリさんが居た場所を指さした。その指先を追うように、ボクも視線をヒカリさんの居た場所に移した。そこではヒカリさんが窓の枠に脚をかけ、勢いよく跳躍する瞬間を目にすることになった。
宙空に躍り出たヒカリさんは、それなりに距離のあったボクらの目の前にまで一気に跳んで来ると、すとんと重さを感じさせない着地を披露した。
「随分と無茶しますね」
「仕方ありませんわ。状況が状況ですから。このような不作法は見逃しもらいたいものですわね」
「それよりいいんですか。今、副ギルド長が冒険者ギルドを離れても」
「その辺りのことはギルド長がやってくれますから問題ありませんわ。私は基本的に不足の事態に対応する実働部隊の取りまとめが主な仕事ですからね。そのためにも例の魔物に関する情報が欲しいのですわ」
「わかりました」
「では、錬金術ギルドに行きましょうか」
ヒカリさんはそう言うと、先を急ぐようにボクらを置いて錬金術ギルドに向けて歩き出していた。
ヒカリさんの口からアッシュの話は出ておらず、またそれを待つ様子もないことから別口でボクらの動向を知ったらしい。ボクとサク姉は顔を見合わせて苦笑すると、ヒカリさんの後を追った。
錬金術ギルド周辺は倒壊した建物が多く、全く無事な錬金術ギルドは周囲から浮いていた。ただ地盤ばかりはどうにもならなかったらしく、液状化の影響を受けてか、気持ち傾いているようだった。
「やはり、ここも無事だったみたいですわね」
「創始者の方が錬金術を駆使して建てたそうですからね」
「それにしては真新しい気もしないではありませんが、そういう処置が施されているのでしょうね」
「そんなところです。それより中へどうぞ」
強引に話を切り上げ、ボクは扉を開いてヒカリさんを中へ入るよう促した。
「そうですわね」
錬金術ギルド内部は、多少散らかってはいたけれど、被害という被害は台所で食器が散乱しているくらいだった。
飲み物をいつものテーブルに運び、それぞれの前に並べてから話を切り出した。
「それでボクらに聞きたいことってなんですか」
「この災害の原因となった魔物に関してです。あなた方ふたりが魔獣に乗ってそれを追っているのを目撃した者が多数居ましたので、なにか知っているのではないかと思ったのです。それで直接お話を聞かせていただきたかったのですわ」
やはりアッシュに頼んだメッセージは届いていなかったらしい。
「それなのですが、少し行き違いがあったみたいですね。一応、出現した魔物のスケッチに細かな特徴を書き記したものをアッシュに届けてもらったのですが、まだお手元に届いていなかったようですね」
ボクの返答を耳にしたヒカリさんは、間の抜けた顔をしていた。
「え、そうなのですか」
「はい。まぁ、スケッチは複写した物を渡していましたから、まだボクの手元にも残っているので問題はないのですが。後々、同様の報告を受けることになると思いますのでご了承を」
「そうね。そうなっちゃうわね」
動揺したようにこくこくと頷くヒカリさんの視界の外で、ボクは超大型魔物のスケッチを複製してテーブルの上に置いた。
それにしてもアッシュは、どこに行ってしまったのだろうか?
アンジーのお父上を迎えに行った際にも顔を合わせなかったし、それからもかなり時間が経っているというのにヒカリさんのところまでメッセージが届いていないというのは不思議で仕方なかった。
「じゃあ、また明日」
「なんか悪りぃな。なんつーかほっとけねぇしよ」
「わかってるよ」
孤児院を後にしようとして、視界の端にユウヒさんの姿を見つけ、ボクは反射的に会釈した。ユウヒさんは憑き物が落ちたような表情をしており、敵意を向けらる前の乗合馬車で一緒だったときと同じような対応をしてくれた。
「サク姉、行こうか」
「そうね」
ボクらは孤児院を離れた。荒れた道を歩きながら隣を行くサク姉に問いかける。
「これからどうする?」
「冒険者ギルドに行って、アッシュと合流かなぁ」
「そうだね。それじゃ、そうしようか」
特に急ぐでもなく、ボクらは冒険者ギルドまでを歩いた。
到着した冒険者ギルドは、アンジーのお父上を迎えに来たときよりも避難者でごった返しており、中に踏み入るのも困難な様相を呈していた。
「これは入れそうもないね」
「そうね。アッシュが出て来るまで、この近くで待ちましょうか」
「そうだね」
一旦、冒険者ギルドを離れることにして踵を返した。すると背後からボクらに対して向けられた視線を感じた。振り返って周囲を見渡すと、冒険者ギルド3階の窓が開け放たれ、そこから身を乗り出したヒカリさんが大きく手を振っていた。
ボクらに向けてなにが言っているようだったが、距離もある上に喧騒に紛れてしまって聞き取ることは出来なかった。するとサク姉が小鳥を【召喚】してヒカリさんの元へと飛ばしていた。ヒカリさんの手元に降り立った召喚獣は、なにやら受け取るとボクらのところへと戻って来た。召喚獣の嘴には、ちいさくまるめられた紙片が咥えられていた。サク姉は紙片を手に取り、手早く広げた。
「なんだって」
「錬金術ギルドで話を出来ないかってさ。あの魔物のことが聞きたいみたい」
「アッシュの伝言は届いたと思っていいのかな」
「だと思うよ。そうじゃなきゃ、私達が間近であの魔物を見たとは思わないだろうしね」
「それもそうだね」
ボクはヒカリさんにわかるように、両腕を使って頭の上に大きく丸をつくった。
「サク姉、錬金術ギルドで待ってるって伝えてもらってもいいかな」
ヒカリさんから目を外し、サク姉の方に向き直って頼んだ。するとサク姉は、冒険者ギルドに目を向けたまま口を開いた。
「その必要はないみたいよ」
そう言ったサク姉は、ヒカリさんが居た場所を指さした。その指先を追うように、ボクも視線をヒカリさんの居た場所に移した。そこではヒカリさんが窓の枠に脚をかけ、勢いよく跳躍する瞬間を目にすることになった。
宙空に躍り出たヒカリさんは、それなりに距離のあったボクらの目の前にまで一気に跳んで来ると、すとんと重さを感じさせない着地を披露した。
「随分と無茶しますね」
「仕方ありませんわ。状況が状況ですから。このような不作法は見逃しもらいたいものですわね」
「それよりいいんですか。今、副ギルド長が冒険者ギルドを離れても」
「その辺りのことはギルド長がやってくれますから問題ありませんわ。私は基本的に不足の事態に対応する実働部隊の取りまとめが主な仕事ですからね。そのためにも例の魔物に関する情報が欲しいのですわ」
「わかりました」
「では、錬金術ギルドに行きましょうか」
ヒカリさんはそう言うと、先を急ぐようにボクらを置いて錬金術ギルドに向けて歩き出していた。
ヒカリさんの口からアッシュの話は出ておらず、またそれを待つ様子もないことから別口でボクらの動向を知ったらしい。ボクとサク姉は顔を見合わせて苦笑すると、ヒカリさんの後を追った。
錬金術ギルド周辺は倒壊した建物が多く、全く無事な錬金術ギルドは周囲から浮いていた。ただ地盤ばかりはどうにもならなかったらしく、液状化の影響を受けてか、気持ち傾いているようだった。
「やはり、ここも無事だったみたいですわね」
「創始者の方が錬金術を駆使して建てたそうですからね」
「それにしては真新しい気もしないではありませんが、そういう処置が施されているのでしょうね」
「そんなところです。それより中へどうぞ」
強引に話を切り上げ、ボクは扉を開いてヒカリさんを中へ入るよう促した。
「そうですわね」
錬金術ギルド内部は、多少散らかってはいたけれど、被害という被害は台所で食器が散乱しているくらいだった。
飲み物をいつものテーブルに運び、それぞれの前に並べてから話を切り出した。
「それでボクらに聞きたいことってなんですか」
「この災害の原因となった魔物に関してです。あなた方ふたりが魔獣に乗ってそれを追っているのを目撃した者が多数居ましたので、なにか知っているのではないかと思ったのです。それで直接お話を聞かせていただきたかったのですわ」
やはりアッシュに頼んだメッセージは届いていなかったらしい。
「それなのですが、少し行き違いがあったみたいですね。一応、出現した魔物のスケッチに細かな特徴を書き記したものをアッシュに届けてもらったのですが、まだお手元に届いていなかったようですね」
ボクの返答を耳にしたヒカリさんは、間の抜けた顔をしていた。
「え、そうなのですか」
「はい。まぁ、スケッチは複写した物を渡していましたから、まだボクの手元にも残っているので問題はないのですが。後々、同様の報告を受けることになると思いますのでご了承を」
「そうね。そうなっちゃうわね」
動揺したようにこくこくと頷くヒカリさんの視界の外で、ボクは超大型魔物のスケッチを複製してテーブルの上に置いた。
それにしてもアッシュは、どこに行ってしまったのだろうか?
アンジーのお父上を迎えに行った際にも顔を合わせなかったし、それからもかなり時間が経っているというのにヒカリさんのところまでメッセージが届いていないというのは不思議で仕方なかった。
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