昼、侯爵令嬢 夜、暗殺者

とうもろこし

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10 闇ギルド 1

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 翌日の夜十二時に差し掛かった頃、ガーベラはモナと衣装室に入った。

「お嬢様。こちらを」

 そう言って、モナはトルソーに掛かっていた真っ白な布を丁寧に外す。トルソーに飾られていたのは真っ黒なドレスであった。

 上から下まで真っ黒であるが、胸には赤い花が装飾として備わっていた。花は造花のようだが、アクセントとしては丁度良い。

 他にも使われている生地は上質な物であるし、スカートと腕の袖はレースで花の模様細工が施されているという細やかなデザインが。灯りのある室内で見る黒ドレスの見た目は美しいが、灯りを消せば夜の闇に溶けてしまいそうだ。

 ガーベラは着ていたワンピースを脱ぐと、モナに着付けを手伝ってもらいながらドレスを着込んだ。サイズもぴったりで、肌に当たる裏生地の質感も心地良い。

 付属していた肘まである黒の手袋と茶革のロングブーツも装着すれば完璧だ。

「髪を纏めますね」

 肩まで伸びた赤い髪を後ろで纏めて、三つ編みとお団子を組み合わせた髪型に。

「上着をどうぞ」

 更に、ドレスの上にはフード付きの黒いコートを羽織る。こちらは裏地にミスリル線を編んだ物が仕込まれており、軽量な楔帷子のような機能を有する。軽さを重視した対刃物用の仕様であるが、そこまで防御性能は高くないのが欠点だ。

 しかし、フードは良好。被れば彼女の特徴的な赤い髪が完全に隠れる。

「うん。良いわね」

 姿見で色々な角度を確認したガーベラは満足気に頷いた。すると、衣装室のドアがノックされる。中から返答を返すと、入って来たのは小さな木箱を持ったセバスチャンだった。

「お嬢様。こちらを」

 サイドテーブルに木箱を置いて蓋を開けると、中にはナイフホルスターに収納されたナイフが二本。それに特徴的な見た目をした仮面だった。

 先にナイフホルスターを手に取ったガーベラは腰にホルスターを巻きつける。腰の左右にナイフが装着され、片方を引き抜くと銀の刃が室内灯を反射した。

「王都で最も腕の良い鍛冶師に作らせました。切れ味が凄まじいのでお気をつけ下さい」

 セバスチャンはナイフの注意事項を口にしつつ、箱の中から仮面を取り出す。仮面の色は真っ黒で、ジャック・オー・ランタンの顔を模したような作りになっていた。

 仮面を装着すると――黒いドレスを着込み、フードを被ったジャック・オー・ランタンのできあがりだ。何とも不気味であるが、ガーベラの正体は完全に隠せている。

「良いわね」

 仮面をつけているせいか、ガーベラの声は少し篭っていた。ただ、こちらの方が声もカモフラージュできて都合が良い。

 全てを装着したガーベラが姿見で自分の全身を確認すると、やはり満足気に頷く。魔法の本曰く、正体を隠して行動する時は仮面が必須らしい。この闇に溶けるような色も本によるアドバイスの一つであった。

「残念ながらショットガンなる物はまだ発見できていません」

「ナイフがあれば大丈夫でしょう。いざとなれば殴りますわ」

 ガーベラはぎゅっと握り拳を作る。殴るだけじゃなく、蹴り技だって彼女は体得済みだ。

「行きはダニーが馬車で東区までお送り致します。闇ギルドへの手土産も馬車に積み込みました」

「ありがとう。では、行きましょうか」

 衣装室を出て玄関に向かうと、既に玄関のドアは開けられていた。

 ドアの先にはスタンダードタイプ――貴族用のように家の紋章がペイントされていない物――の馬車が停車しており、御者台にはフード付きのローブで身を隠したダニーが座っていた。彼の顔はフードで隠れているが、会釈した拍子にモミアゲと繋がった茶色いモサモサの髭が覗き見える。

 セバスチャンがキャビンのドアを開け、ガーベラは馬車に乗り込んだ。

「行ってらっしゃいませ。どうか、十分にお気をつけて」  

 セバスチャンとモナが揃って頭を下げた。二人の顔には主が行う初めての「活動」に不安と心配が張り付いてしまう。

「ええ。行ってきますわ。ダニー、出して頂戴」

「はい、お嬢様」

 二人に見送られながら馬車は屋敷の敷地を出て東区へと向かって行く。

 現在の時刻では、王都の中を走る馬車というのも珍しい。特に貴族を表す紋章がペイントされてない馬車となれば猶更だ。

 王都内を警備する騎士団に見つかれば停車するよう呼び止められるのは必至であるが、ダニーはスイスイと馬車を走らせる。まるで騎士団の警邏ルートを知り尽くしているような道のチョイスだ。

 あっという間に東区の入り口に到達すると、馬車はやや減速しながら東区の道を進んで行く。

「お嬢様、到着しました」

 御者との会話に使う連絡窓からダニーの声がすると同時に馬車が停止した。窓から外を見ると、東区に広がる住宅街のど真ん中のようだ。

 キャビンのドアを開けると目の前には酒場を示す小さな看板を吊るした店があって、ドアの横には「ビューラ」の文字が。ここが男の言っていた闇ギルドの拠点のようだ。

 ガーベラはキャビンの中にあった木箱を開けると、中から一部が黒く変色した麻袋を持ち上げる。

「ご武運を」

「ええ」

 ダニーと手短に別れの挨拶を交わし、馬車が去って行くのを見送った。ある程度の距離を見送った後、ガーベラは麻袋を持ったまま酒場のドアを開けて中へと入って行った。

 キィ、と音の鳴った木製ドアを潜ると、バーカウンターでグラスを磨いていたバーテンと店内にいた客が一斉にガーベラへと顔を向けてくる。

 店内には男女年齢様々な者が酒を飲んでいたが、全員揃って「は?」と驚きを含ませた顔を浮かべる。意味不明な仮面をつけたドレス姿の女性が入ってくれば当然のリアクションだろう。

 しかし、ガーベラは彼等のリアクションなど気にする素振りは見せない。そのまま堂々と店内を歩き、カウンターにいたバーテンダーに近寄って行くと――

「地下に行くにはどうすればよろしくて?」

 カウンター前で篭った声によるストレートな問い。彼女の問いに若いバーテンダーの眉毛がぴくりと動いた。

「地下? 一体なんの話です?」

 バーテンダーはそう言うと、顔を磨いていたグラスに戻した。地下に行くには秘密の合言葉のようなものでもあるのだろうか。どちらにせよ、ガーベラは歓迎されていないらしい。

 酒を飲んでいた客達の目線もガーベラの背中に集まっていた。あの女は何者だ、といった雰囲気が漂うが……。

「これでも喋らないつもりかしら?」

 ドン、とカウンターに置かれたのは彼女が持っていた麻袋。中身をバーテンダーに見せると、彼の顔が引き攣った。

 麻袋に入っていたのは人の首だ。正確に言えば、ビルワース家に侵入してきた男の首である。

「なッ!?」

 初めに声を上げたのはバーテンダーじゃなかった。近くの席に座っていた三十代くらいの男で、彼は鋭い目付きでガーベラを睨みつける。

「殺したのはテメェか!?」

 男は酒の入ったグラスを床に投げつけた。腰に差していたロングソードを引き抜くと威嚇するように剣先をガーベラに向けて問う。

「ええ。そうですわ」

 対し、ガーベラは武器も抜かずに堂々と宣言した。彼女が宣言すると、酒を飲んでいた客の数人が「あり得ない」「あのジャンを殺したのか」などと囁き出す。どうやら、ビルワース家に侵入して来た男は名の知れた者だったようだ。

「このマヌケが最後に行った仕事の事を聞きに来ましたの。死にたくなければ素直に吐きなさい」

「何様のつもりだァァァ!」

 ガーベラの言葉に激昂した男は遂に剣を振り被って襲い掛かって来た。だが、それでもガーベラは焦る様子を見せない。

 ギリギリまで相手を引き付けると――

「類は友を呼ぶとは、よく言ったものですわね」

 上段に構えた男の剣が落ちて来た瞬間、体を横にズラすという最小の動きで剣を躱した。この時、既に腰のナイフホルスターには手が伸びていて、ナイフを引き抜くと流れるように相手の首元へ。

 ガーベラは逆手で引き抜いたナイフで男の首元をスパッと斬りつけた。

「ギッ、グェッ……」

 男の首元には赤い一本線が出来上がる。ジワリと血が滲み出し、男は自分の首を抑えながら床に倒れた。

「…………」

 ガーベラは仮面越しに倒れた男の背中を見つめながらナイフに付着した血を払う。

 まさに一瞬の出来事だ。一連の動作を見ていたバーテンダーや他の客からしてみれば、銀の光が一瞬だけ光ったようにしか見えなかっただろう。

 名の知れていたらしい侵入者を殺したのも頷ける腕前に、酒場の中はシンと静まり返った。

「さて、質問の続きをしましょう。地下に行くにはどうすればよろしくて?」

「あ、あ、あのドアから……」

 間近で見ていたバーテンダーは完全に縮み上がってしまい、震える手を奥のドアに向けた。

「んふ」

 ガーベラは「早く言えばこうはならなかったのに」と言わんばかりに、軽く肩を竦めてみせた。カウンターの上に置かれていた生首の髪を掴むと、そのままドアへと向かった。

 ドアを開けるとすぐに地下へ続く階段があって、ガーベラはコツコツとロングブーツの靴底を鳴らしながら下って行った。

 階段の終点には再びドアが一枚。開けると、中は確かにギルドのようだ。

 この世には商人ギルドや傭兵ギルドといった組織が存在するが、地下にあった闇ギルドも同じような造りである。

 小さなカウンター式の受付窓口と、そこに控える厳つい顔をした受付担当の男。受付窓口の奥には事務所のような場所があって、紙が乱雑に置かれている。事務所で書類仕事をする人間の数は二人。どちらもガーベラを一瞥すると顔を書類に戻した。

 カウンターから反対側、離れた場所には待機所のような場所が用意されていて、いくつもの一人用の椅子や長椅子が並んでいる。一人用の椅子には革の胸当てを装着した男が一人座っていて、ぼーっと天井を見上げている。

 待機所付近の壁には小さな付箋がいくつも貼り付けられているボードが掛かっていた。付箋には依頼内容が書かれているのか、フード付きのローブを纏った男と革鎧を着た男が付箋を眺めていた。

 戦闘員らしき者は全部で三人。事務員らしき人数も全部で三人。

 ギルド内を見渡すガーベラには、次第に上の階にあった酒場と同じように視線が集まる。集まる視線を物ともせず、堂々とした足取りで受付へ向かったガーベラは、カウンターの向こう側にいた厳つい男に向かって生首を放り投げた。

「あ? ――おおッ!?」

 生首をナイスキャッチした厳つい男は、両手で受け取ったのが人の首だと知って声を荒げた。まぁ、闇ギルドにいる人間だとしても、突然生首が飛んでくれば当然だろう。

「お、おま! これ!?」

「ソイツが最後に受けた仕事について聞きたいのですけど、よろしくて?」

 慌てる男が両手で生首をお手玉のようにしていると、ガーベラはカウンターに近付きながら問いかけた。

 ようやく落ち着いた男は生首をカウンターにそっと置くと、カウンター越しにガーベラの上半身を上から下に見ていく。その顔には「なんだコイツ」といった困惑する表情が張り付いていた。

「仕事についてってのは……どういう用件だ?」

「コイツが受けた仕事を依頼して来た者、依頼人について聞かせて下さいまし」

 依頼人の名前を教えろ、とガーベラが言うと男は「はぁ?」と大きな声を漏らした。彼だけじゃなく、カウンターの奥で書類を纏めていた他の事務員達も揃ってガーベラに顔を向ける。

「何言ってんだ? ここが闇ギルドだって分かっているよな? 依頼人の情報は秘密厳守が基本。そもそも、アンタ……。ウチで登録してる人間じゃないよな?」 
 
 闇ギルドの基本ルールを口にして、更には登録制である事も教えてくれる親切さ。だが、ガーベラはそのような規則に則った対応を求めていない。

「ええ。ですが、教えなさい」

 私が知りたいんだから教えろ、と単刀直入に告げるガーベラ。困惑する様子を見せた男であったが、彼の眼球が一瞬だけ横――ガーベラの背後を見るように動いた。

 その眼球の動作だけで悟ったガーベラはホルスターからナイフを抜くと、真後ろに向かってナイフを投げる。ブスリ、とナイフが刺さった先は、ガーベラの背中を斬ろうと静かに近づいて来ていた男の頭部である。

 たった今死んだ革鎧を着ていた男は闇ギルドに登録している犯罪者か、傭兵崩れの殺し屋か。ただ、今となっては一撃で即死した男の正体などどうでも良い。

「このアマッ! おい! やっちまえ!」

 不意打ちに失敗してしまった受付の男は別の者達に向かって叫び声を上げる。

 すると、男の声に呼応したのは待機所で座っていた別の男、壁に貼り付けてあった付箋を見ていたローブの男の二名。二人は武器を抜いてガーベラへと駆け出した。

 最初に仕掛けて来たのは革の胸当てを装着した剣士。彼はロングソードをガーベラの顔面目掛けて横に振る。

「フッ」

 短く息を吐いたガーベラは屈んで剣を避けると、素早くホルスターからもう一本のナイフを抜いた。屈んだ態勢のまま剣士の足をナイフで「イチ、ニ」と浅く斬りつけ、低い態勢を維持しながら剣士の側面へと飛び込む。

 彼女が飛び込んだ瞬間、元の居た場所にはローブの男が振り下ろした剣が落ちてきた。

「チッ!」

 あと一秒遅かったら、振り下ろされた剣はガーベラの肩を切り裂いていただろう。まぁ、そんな事はあり得ないのだが。

 ガーベラを逃したローブの男が舌打ちをするが、彼女を追う目には革の胸当てをつけた男の首にナイフを突き刺す姿が映った。ガーベラは剣士の顔に手を添えながら、男の首にナイフを突き刺して抉るように引き裂く。

 ブシュッと血飛沫が舞う中、彼女は殺した剣士の背中を蹴飛ばして、ローブの男の行動を阻害する。

 蹴飛ばされてきた仲間の死体を腕で跳ね除け、片手に持った剣を振るうが――ガーベラは逆手に持ち替えたナイフの腹を振り下ろされた剣に当て、ナイフの刃を相手の方向へと滑らせながら一歩前へ。

 一歩前に行ったところで軸足を使って、相手の背後へ回るように素早く一回転。まるでダンスのターンのような華麗な動きだ。

 黒いドレスのスカートをふわりと靡かせながら一回転しつつ、そのまま相手の背後から首にナイフを突き刺した。突き刺したナイフで首を斬ると、殺した男の血が驚く顔のまま固まっていた受付カウンターの方へと飛散した。

「は……?」

 顔にべちゃりと赤い血を浴びた厳つい顔の男。カウンターの向こう側で顔に付着した血を手で拭い、手に付着した血をまじまじと見つめた後にガーベラへ顔を戻した。それでもまだ目の前で起きた現実が信じられないらしい。

「どいつもこいつも三流のクソばかり。もうちょっと楽しませてくれればよろしいのに」

 ナイフの血を払いながら、最初に殺した革鎧の男の頭部に刺さったナイフを引き抜いた。両手にナイフを持ったまま受付窓口にゆっくりと近付いていく。

「さて、お話の続きをしましょう。依頼人の情報を出しなさい」

 あっという間に三人のギルド員を殺害したガーベラ。彼女の容赦の無い冷徹な振舞いに、男はごくりと喉を鳴らした。
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