婚約破棄されたので全員殺しますわよ ~素敵な結婚を夢見る最強の淑女、2度目の人生~

とうもろこし

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本編

93 冬の過ごし方 2

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 リリィガーデン王国王城地下 アイアン・レディ拠点にて。 

『レディ、やはりデータの修復は出来ませんでした』

『敵勢力への情報漏洩対策が施されていたようです』

 地下拠点にて、サリィの淹れたお茶を楽しんでいたリーズレットへロビィとリトル・レディが作業結果を告げる。

 というのも、ユリィが守っていた秘密拠点にあったコンソールにアスセスし、残されていた映像データを回収したのだが再生ができなくなっていた。

 サリィが見た映像ではユリィが何パターンか映像を用意していたらしい。リーズレットへ残したメッセージがあるかも、と修復作業を頼んだが結局は修復不可能になってしまっていた。

「そう……。残念ですわね」

 ユリィが告げた最後の言葉を聞いたのはサリィだけになってしまった。少々残念ではあるが、彼女との思い出は鮮明に覚えているのだ。

 敵に情報が渡らず、サリィがユリィの意思を継ぐと決意してくれただけでも良しとするべきか。

「バトル・タンクはどうですの?」

『あちらも完全再現は不可能ですね。現在の設備では製造できない部品が多すぎます』

 拠点に眠っていた最新型の機動戦車『アイアン・クリーナー弐式』も高度な異世界技術が使用されているせいか、現状では量産が不可能と断定された。

 スペックとしてはアイアン・レディ製戦車の中でも最高峰。最高傑作とも称すべきスペックを持っている。

 多彩な武装、厚い装甲を持ちながらも高速移動を可能にする大型リアクター、キャタピラでは進めない場所に対応できる可変機能。

 加えて、第二主砲による一撃必殺。

 圧縮したエネルギーを放つ第二主砲は一撃しか撃てず、発射後はリアクター内のエネルギーを補給せねば満足に動けぬ程のエネルギー容量を食うが威力は申し分ない。

 敵大隊に向けて放つ必殺の一撃と考えれば破格だ。

 この戦車を量産できれば随分と戦争も楽になると思えたが、やはりそう上手くはいかないようだ。

「切り札になり得る主砲と大型AMB弾が5発手に入っただけでも良しとしましょう。使う場面は慎重に選ばなければなりませんが」

 兵数が圧倒的な敵軍が魔法防御兵器を用いた今、有効打を持つ広範囲攻撃兵器としても優れている。

 切り札として有効活用すべきであるが、破壊されないよう慎重に使うべきだろう。

「魔法防御によって既存の兵器が無効化されてしまうのが面倒ですわね」

 マギアクラフトは防御魔法兵器の量産体制を整えているだろう。今後も歩兵を守る兵器として登場するに違いない。

 攻撃用の兵器もバリエーションが増えて来た。完全にリリィガーデン王国が用いるアイアン・レディ製兵器への対策を着実に用意してきている。

『それに関してですが、アイアン・クリーナーの主砲を解析して似たようなシステムは開発できるかもしれません』

 リトル・レディは防御魔法を貫通する新たな兵器システムの構築を用意できるかもしれない、と言った。

『AMBは魔法に干渉しない特殊な素材を用いていますが、別の方法としては魔法防御の許容量を越える攻撃を加えれば良いのです』

 その最たるものがアイアン・クリーナー弐式の第二主砲による圧縮エネルギー弾である。

 しかし、あの攻撃は異世界技術の結晶である大型リアクターだからこそ撃てる攻撃だ。

『リアクターの製造にはかなりの時間を要します。しかし、中型リアクターへ既存の魔石エンジンから生み出されるエネルギーを供給すれば可能かもしれません』

 リアクターと魔石エンジンの違いはエネルギーを生み出す燃料が空中に漂う『魔素』か魔獣の心臓や地中から採取できる『魔石』かの違いである。

 生み出されるエネルギーの質は同じ。

 であるならば、リアクターと魔石エンジンを連結してエネルギーを溜めるタンクを用意してやれば大型リアクターが生み出すエネルギー量を再現できる……という考えであった。

 理論上は開発可能だが、連結する魔石エンジンの数は相当数を要するし移動もできないという欠点がある。

ではありませんわね」 

『はい。ですので、長距離砲として用意するのがよろしいかと』

「長距離砲……。ピッグハウスブレイカーの改良ですわね?」

『イエスです』

 超長距離砲による敵国本土への攻撃を加え、敵国内をある程度破壊してから兵士達による進軍。

 ある意味、戦争としては理想形とも言える形である。

「マギアクラフトも当然そういった手段を持っているでしょう」

 恐らく前時代から技術進歩を進める相手もリリィガーデン王国内を蹂躙する長距離砲、もしくは別の攻撃手段を持っているはず。

 それをしないのはこちらの土地をなるべく傷付けずに欲しいからだ。

 アイアン・レディ独自で開発した技術の回収、自然資源が多く残る国内の占拠。それらを目的としているから使わないだけ。

 しかし、相手がなりふり構っていられない事態となったら……。

『対抗手段の開発を進める為にも、長距離砲の試作は必要な作業になるかと』

 相手の持つ切り札が本土攻撃用の長距離兵器だと仮定・想定して、こちらもカウンターウェポンを開発するのは急務か。

「長距離砲開発計画を進めなさい。優先度は最高位に」

『イエス、レディ』

 再現できる解析元が手に入った今、やるべきだと判断を下す。

「さて、残りは……」

 冬の間にどう攻めるか。リーズレットは頭の中で方法を構築し始めた。

 ある程度は考えているが、ガーベラとオブライエン達を集めて話し合いもせねばならない。

「お嬢様~。ガーベラ様がお話があると言っていますよ~」

 と、丁度良く相手がやって来たようだ。

「執務室へ行くと伝えてくれまして?」

「はいですぅ~」

 リーズレットはニコリと笑い、サリィにガーベラへ返答するよう返した。
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