拾った仔犬が王子様!? 未来視のせいで男性不信になった伯爵令嬢は獣耳王子に溺愛される・完結

まほりろ

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15話「……こんな未来視は照れます!」

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「『私はハルがいれば何もいらないよ。ハルが大好きだよ。ハルは私とずっと一緒にいてくれるよね?』って、言っただろ?
 あれって君から僕へのプロポーズだよな?」

「えっと……」

それは犬のハルに言った言葉で、殿下に言った訳では……。

いや、ハル=殿下だから、ハルに言ったことは殿下に言ったことになるんだけど……。

「僕はその時、『もちろん』って意味を込めて『ワン』って吠えて、フィオナにキスしただろ?」

犬のハルだったからキスを受け入れた訳で、殿下と知っていたらキスしていたかどうかは分からない。

口づけのことを考えたら、殿下の唇に目がいってしまった。

殿下の唇は桃色で、瑞々しくて、柔らかそうで……彼に口づけを迫られたら拒める自信はない。

「へぇ……殿下は犬の姿を利用して……妹にキスしてたんですね」

「娘が……知らない間に、汚されてしまった……」

「あらあら、二人共おませさんね」

黒いオーラを放ち、何故か不機嫌そうな兄、めそめそと泣き出す父、楽しそうな母……部屋の中はカオスだった。

私としても家族の前で犬のハルとキスした話をバラされて、いたたまれない気分だ。

「フィオナは僕の運命の番なんだ!  お風呂で君の匂いを嗅いだとき、君しかいないと思ったんだ!」

「お風呂で匂いを嗅いだ……?」

「フィオナは……もうお嫁にいけない体に……!」

「あらあら、まぁまぁ」

兄はさっきより不機嫌だし、父は号泣してるし、母は相変わらずふわふわしてるし……部屋の中はさっきよりカオスと化していた。

「あっ、あれは殿下が犬の姿だったからで……!」

そっか……私、仔犬のハルと一緒にお風呂に入ったんだ……。

ということは……殿下に……全部、見られた……??

私の顔に急速に熱が集まってきた。

私も殿下の全部見ちゃったからおあいこかもしれないけど、あれは事故で、見たくて見たわけではない。

それに、男と女では裸を見られた時に受けるダメージが違う。

家族の前で恥ずかしい秘密を暴露され、私は公開処刑されてる気分だった。

「フィオナは相手が浮気するのが心配なんだろう?
 俺の手を握って、未来を見てほしい」

殿下が微笑みを浮かべ、私に手を差し出した。

私は彼の手に触れることをためらった。

今まで嫌な未来を見すぎたせいで、自分に向けられる行為に臆病になってしまったようだ。

私が迷っているのを察した殿下が私の腕を掴んだ。

殿下は私の服の上から腕を掴んだので、皮膚と皮膚の接触がないので、相手の未来は見えない。

殿下は愛おしそうに私を見つめてきた。

「番を見つけた犬族は番以外を愛さない! 
 約束するよ、絶対に浮気をしないと!
 君だけを永遠に愛すると誓うよ!」

殿下……!

彼の真摯な言葉に私の胸がドクンと音を立てる。

「婚約者でも恋人でもない相手に、相手の同意を得ずに触れるのはどうかと思いますよ殿下……」

「娘がわしの目の前でプロポーズされている……!」

「あらあら、まぁまぁ」

家族の言葉で、私は部屋の中の空気が以前よりカオスと化していることに気づいた。

殿下、お気持ちは嬉しいのですがプロポーズするなら場所を選んでください!

家族の目の前で求婚されても……返事に困ってしまいます!

「愛してるフィオナ。
 僕を受け入れてほしい」

殿下は私のそんな気持ちなど全く察する気配がなく、ぐいぐい迫ってくる。

このままでは殿下にキスされてしまいそうだ!

「殿下、落ち着いてください……!」

私は彼を制止しようとした。その時、私の手が彼の手に触れてしまった。

その瞬間、殿下との未来が視えた。


『ハル……私、まだ……心の準備が……』
『初夜に、そんなもの待てるわけないだろ』
『ハル、待って……』
『愛してるよ、フィオナ』


未来を視た瞬間、カーと音を立てて私の顔に熱が集まってきた。

私はネグリジェを着ていて、殿下は寝間着姿で、多分場所は寝室で……殿下が私に迫ってきて…………ああーー!! これ以上は言えない!

なんでこんな破廉恥な未来が視えるのよ!

殿下とのラブラブな未来を見せるなら、結婚式とか、パーティーでダンスしてるところとかにしてよ!

「フィオナ、顔が真っ赤だけど何が視えたの?」

家族がいる場所では絶対に言えない未来です! ……とは言えない。

今すぐ走ってこの場から逃げ出したいけど、あいにく私は足を捻挫しているのでそれもできない。

「もしかして、周りに人がいるから話しにくいのかな?
 じゃあ今からフィオナの部屋に行こう!」

「えっ?」

抵抗する暇もなく、気がついたら私は殿下にお姫様抱っこされていた。

「ちょっ……! 殿下……!
 下ろしてください……!」

「大丈夫、犬の姿でしばらく暮らしていたから、この屋敷の部屋の配置は覚えてるから。
 フィオナの部屋まで迷わずにいけるよ」

私はそういう心配をしてるんじゃありません!

家族の前でお姫様抱っこをされるのは、恥ずかしいと言いたいんです!

「殿下、そういう意味で言った訳では……」

「さぁ、行こう!」

私が制止する隙もなく、殿下は私を抱きかかえたまま、応接室を飛び出していった。

「お待ち下さい! 殿下!」

白装束の人が私達の後を追ってくる。

「お座り! 待て!
 フィオナにプロポーズの返事を聞くまで、お前達はそこで待機してること!」

殿下が白装束の人達にそう言うと、白装束の人達はその場に座り込んで動かなくなってしまった。


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