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十四話「一致団結」

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お兄様は一カ月前、ここが前世でプレイした乙女ゲームの世界で、自分が破滅フラグしかない悪役令息だと気づいたそうです。

このまま乙女ゲームの通りに進むと、三年後お兄様は国外追放、レーヴィット公爵家はお取り潰しになる。

お兄様はそのことを涙ながらに話してくださいました。

お兄様のお話を聞きしばらくの間言葉が出てきませんでした。それはお父様もお母様も同じだったようです。

それにしても、またギャレン王子……いえ今は王太子でした。またギャレン様か……。

お兄様の絵を「いらない」と言ってハンス王子に上げてしまったり、お兄様をひ弱と言ってバカにしたりするので昔から嫌いでした。お兄様のお話を聞いて「嫌い」から「大嫌い」に変わりました。

脳みそお花畑でひょろひょろと背が高いだけの見掛け倒しの中身空っぽ男のくせに! お兄様を断罪して国外追放するなんて!

「くそ、きち、がいが……」

知らずにギャレン様への悪態が口から漏れ出ていた。お兄様がぎょっとした顔でこちらを見ている。

少しでも口に出してしまったら、ギャレン様への悪口を止められなかった。

「くそきちがい共が……! 天真爛漫で純粋無垢なお兄様を罠にはめ、無理やり童貞を奪うなんて! 鬼畜の所業だわ!」

天真爛漫なお兄様を襲い、無理やり童貞を奪おうとしている男爵令嬢の存在を知り、怒りで腸が煮えくり返った。

「許せん! か弱くて子供のように清らかなアルビーを密室に連れ込みそんな酷い仕打ちをするなんて! 首と胴体を斬り離してくれる!」

「ザイドル男爵家のクロリスですわね! 今すぐ貴族社会から抹殺しましょう!」

お父様とお母様がギャレン王子とザイドル嬢への罵る。その目には殺意がこもっていた。

未来を乙女ゲームの通りにしないためには、諸悪の根源クロリス・ザイドル男爵令嬢を密かに抹殺すればいい。

ついでにザイドル男爵家も適当な罪を着せて潰してしまえばいい。

レーヴィット公爵家にはその力がある。

お兄様のおかげで公爵家は王家より財を築き、王家に多額のお金を貸している、国王陛下夫妻もアルビーお兄様を可愛がっている。

国王陛下夫妻はアルビーお兄様にメロメロで、自分たちの子供であるギャレン様よりも大切にしている。

「薄汚い貴族社会とふしだらな男爵令嬢から、ピュアなお兄様を守りましょう!!」

「いい事言ったなリーナ! 家長として父として誇りに思うぞ!」

お父様が私の言葉を肯定する。

「一致団結してアルビーお兄様を守りましょう!!」

お父様とお母様と手を合わせ、お兄様を悪辣非道な者たちから守ることを誓う。

お兄様の天使のほほ笑みと清らかな体を、ゲス共から守り抜かなくては! そのためなら何でもするわ!

「みんな僕の言葉を信じてくれるの?」

お兄様が涙ぐんでいる。私はお兄様の手を握る。お父様もお母様もお兄様の手を握っていた。

お父様とお母様の顔を見ると強く頷いた。皆お兄様を守りたい気持ちは同じだ。

「もちろんですわ! お兄様!」
「当たり前だ! アルビー!」
「息子を信じない母親がどこにいるの?」

お兄様がポロポロと涙をこぼす。

「みんな、ありがとう」

お兄様は泣き顔も美美しく庇護欲をさそう。

お父様とお母様から「はぁっ……」と息を呑む音が聞こえた。

私もお兄様の泣き顔に見とれていた。

「悪役令息に生まれてごめんね」

お兄様、そんなこと謝らなくていいのですよ。

「何を言っているのですかお兄様! お兄様が未来の事を教えくださったから、お兄様を守れるし、対策がとれるのです!」

前世の記憶はお兄様を苦しめるて来ましたが、これからはその知識をお兄様を助けるために使いましょう。

「そうだ! 未来が分からなければアルビーは男爵令嬢の毒牙にかかるところだった! 未来が分かっているならあとはそれを変えるだけだ!」

お父様いいことをおっしゃいますね。

「はめつふらぐ~~? とやらをみんなで壊しましょう!」

そのとおりですわ、お母様!

号泣するお兄様を、お父様とお母様と一緒に抱きしめた。

何をしてでもお兄様を守ります!

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