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13話「目覚めたら体中イボだらけだった」王太子視点
しおりを挟む――王太子視点――
酷い痒みに襲われ目を覚ます。
見ると腕にも手にも赤いイボができていた。おそらく服の下、全身に謎のイボができている。体中が痒くて痒くてたまらない。
「くそっ! ノミでもいるのか? だからこんな汚い塔に来たくなかったんだ! それもこれもあの女が仕事をしないから……!」
傷物の行き遅れの女を王太子である僕の側室として迎えてやったというのに! 仕事をサボりやがって!
エルフリーナ・アーレントは僕が五歳のときに親が勝手に決めた婚約者だ。
ぱっとしない見た目、なんの面白みもなく、話も合わない、頭の良さと家柄しか取り柄がない、地味な女。
僕はもっと可愛くて、話が合って、一人では何も出来ないような無垢で可憐な少女と婚約したかった。
だから自分の理想とは真逆のタイプのエルフリーナが婚約者に選ばれたとき、酷くがっかりした。
月に一度のお茶会をすっぽかし、パーティーにも誕生日にも贈り物をせず、エスコートもしなかった。
父上と母上が「王室の金でエルフリーナを教育したんだ、エルフリーナの頭脳は王室のものだ、存分に王室のためにこき使え」と言うので、王太子の仕事を押し付け、学園に入ってからは生徒会の仕事を押し付けた。
エルフリーナは何も言わず王太子の仕事と生徒会の仕事を黙々とこなしていた。
僕は学園でハンナ・ノークトという運命の人に出会った。見目良く華やかな顔、愛らしい仕草、話し方も可愛く、話や趣味も合った。
ハンナにプロポーズしたらオーケーを貰えた。
ハンナからエルフリーナなの非道な行いを聞いていたので、卒業パーティーで断罪し、婚約破棄し、国外追放にしてやった。
清楚で可憐なハンナを陰でいじめていたなんて最低だ!
エルフリーナは何も言わず会場をあとにした。本当のことだから反論出来なかったに違いない。
あとは父上と母上にハンナとの結婚の許可をもらうだけだ。
父上と母上にハンナと結婚するためにエルフリーナと婚約破棄したと伝えたら激怒された。
優しい父上と母上が怒るところを初めて見た。
「エルフリーナの教育にいくらかかったと思っているんだ! たった八年仕事をさせただけでは元が取れんぞ!」
父上は頭から湯気を出して怒っていた。
父上と母上は男爵令嬢のハンナでは王室の仕事をこなせないという。父上はハンナの受け答えを聞いて「教育するだけ時間の無駄だ」と言い放った。
ハンナだって貴族の令嬢なんだ、教育すればエルフリーナごときすぐに超えられるさ。時間はかかるかもしれないけど……。
ハンナに簡単なテストをさせたら隣国の国名をかけなかったのには驚いたけど、それでもゆっくり勉強すりばいつかはどうにかなったはずだ。
父上と母上が眉間にしわを寄せ深く息を吐き、「どうしてもノークト嬢と結婚したいなら、エルフリーナを側室にしろ。方法は任せる、土下座するでも、アーレント公爵を買収して拉致して来るでもかまわん」と言われた。
僕は二つ返事で頷いた。
婚約破棄されて傷物になったエルフリーナを王太子である僕の側室にしてやるんだ、あんな地味な女他に貰ってくれる奴なんかいるもんか。
翌日アーレント公爵家に行き僕の考えを話すと、アーレント公爵とアーレント公爵夫人は二つ返事で了承してくれた。
アーレント公爵家にはあとで「結婚の支度金」という名目で金を支払えばいいだろう。
エルフリーナは生意気にも抵抗したので、護衛の近衛兵に縛らせ無理やり馬車に乗せた。
僕は王太子だぞ! ハンナをいじめていたような根性の悪い令嬢を、嫁に貰ってやると言ってるのだから泣いて感謝しろよ!
エルフリーナを連れて来たので、父上と母上はハンナとの結婚を認めてくれた。
僕は一カ月後に控えたハンナとの結婚式の準備に追われ、そのあとの一カ月はハンナとのハネムーンで王城を開けていた。
ハンナは妊娠中なので王都の近くにある湖畔の別荘にしか行けなかったが、別荘で新婚気分を存分に味わった。遠くに行けなかった代わりにハンナの好きなものを何でも買ってやった。
子供が生まれたらちゃんとしたハネムーンに行こう。世界一周旅行もいいかもしれない。
子供の世話など乳母に任せておけばいい、僕はハンナとの時間をもっと楽しみたい。
ハネムーンから帰ってきた僕に突きつけられたのは、文官からの苦情と、父上と母上からのお小言だった。
エルフリーナが仕事に手を付けず怠けていたらしい。
エルフリーナは今まで一度も仕事をサボったことがないから油断していた。まさかニカ月間も仕事をサボっていたとは……!
新婚旅行で幸せになった気分が台無しだ! 父上と母上のお小言をくらいハンナも機嫌を損ねてしまった!
エルフリーナめ! 傷物のお前を王太子あるこの僕の側室にしてやったのにこの仕打ち!
お前が仕事をサボるから怒られなくてもいいのに怒られたじゃないか!
お前は頭の良さと勤勉さしか取り柄がないんだから、仕事ぐらいちゃんとやれよ!
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