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二章
29話「結界とケルベロスと追いかけっこと」
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私とケットシーの一族が食料庫と金庫から物を持ち出している間、ケルベロスと雷竜は何をしているかというと……。
ケルベロスは王宮から人が出られないように結界を張っていた。
結界は二つ。王宮の建物を囲う結界と、城壁の周りを囲う結界だ。
動物や植物や物は出入りできるが、人だけが出入り出来ない特殊な結界だ。
結界には防音装置も施してある。
城の中で何が起こっても、外には聞こえない。
これだけの結界を簡単に張ってしまうのだから、ケルベロスもなかなか優秀ですね。
後でケルベロスに、桃といちじくのタルトをプレゼントしておきましょう。
それにしてもこの城の城壁は変わってますね。
立派な煉瓦作りかと思いきや、一部安物の煉瓦で作られているところがある。
安物の煉瓦が城の重厚な雰囲気を台無しにしている。他国の人間に見られたら失笑されるような作りだ。
おや城壁に使われている立派な煉瓦の方は、どこかで見たことがあるような……?
ご主人様が作った道に似て……いや、きっと気のせいですね。
それよりも結界を張り終えたケルベロスは、今どうしているのでしょうか?
大人しくおすわりして待って……
「犬の化け物を出たーー!!」
「助けてくれーー!!」
「ひー! 逃げても逃げても追いかけてくるーー!!」
……はいないようですね。
【ワンワン!(おいかけっこ楽しい! 城の庭広い!)】
声のした彷徨を見ると、ケルベロスは本来の大きさに戻り、兵士たちと追いかけっこをして遊んでいた。
兵士たちを追いかけるケルベロスは実に生き生きしていた。
「ケルベロス遊ぶのはいいけど、食い殺してはいけませんよ!」
【ワンワンワンワン!(ワハハハハ! 逃げろ! 逃げろ! のうさぎ共!)】
「「「ぎゃああああああっ!!」」」
ケルベロスが楽しそうに兵士を追いかけている。
今の彼には私の声は届いていないようだ。
気がつくとケルベロスに追いかけられる兵士の数は先ほどよりも増えていた。
ケルベロスが兵士を追いかけるのを見て、私はある閃きを得た。
この後、城全体に雷竜の電撃を放ってもらう予定だった。
雷竜の電撃には悪しき人間の魂を浄化させる効果がある。
雷竜の電撃を食らっても魂を浄化できなかった人間だけ、雷神一族に伝わる「生き物の魂を浄化する施設」に入れ、スペシャルハードコースを受けさせるつもりだった。
だがそれだけでは何か生ぬるい気がする。
リコ様にしてきたことがそんなに簡単に許されて良いのか? 否!
リコ様のことだけではない、奴らは不作で飢えに苦しむ民から多額の税金を搾取している。
奴らにはもっと重い罰が必要だ。
民が困窮していることに心を痛めている良識のある貴族は質素な装いを心がけ、王族に挨拶してすぐに会場をあとにしている。(良識のある貴族が帰ったあと結界を張った)
つまり会場に残っているのは、民が困窮していることを気にも止めない欲深い人間だけ。
そんな奴しかいないなら、ちょっとぐらい怖い目にあわせてもいいだろう。
「ケルベロス、君の親族を呼んでくれないか?」
【ワンワンワンワン!(フワハハハハ! 追いかけっこ楽しい!)】
だめだ。今のケルベロスには何を言っても届かない。
それなら勝手に、彼の一族に招待状を送っておこう。
『美味しいスイーツ食べ放題。
その後は城の庭で人間相手に楽しい追いかけっこができます』
そう手紙にしたためガーゴイルに持たせる。
「楽しいパーティーの余興になりそうです」
このあと城で起こることを想像したら、私は笑いが堪えられなかった。
ケルベロスは王宮から人が出られないように結界を張っていた。
結界は二つ。王宮の建物を囲う結界と、城壁の周りを囲う結界だ。
動物や植物や物は出入りできるが、人だけが出入り出来ない特殊な結界だ。
結界には防音装置も施してある。
城の中で何が起こっても、外には聞こえない。
これだけの結界を簡単に張ってしまうのだから、ケルベロスもなかなか優秀ですね。
後でケルベロスに、桃といちじくのタルトをプレゼントしておきましょう。
それにしてもこの城の城壁は変わってますね。
立派な煉瓦作りかと思いきや、一部安物の煉瓦で作られているところがある。
安物の煉瓦が城の重厚な雰囲気を台無しにしている。他国の人間に見られたら失笑されるような作りだ。
おや城壁に使われている立派な煉瓦の方は、どこかで見たことがあるような……?
ご主人様が作った道に似て……いや、きっと気のせいですね。
それよりも結界を張り終えたケルベロスは、今どうしているのでしょうか?
大人しくおすわりして待って……
「犬の化け物を出たーー!!」
「助けてくれーー!!」
「ひー! 逃げても逃げても追いかけてくるーー!!」
……はいないようですね。
【ワンワン!(おいかけっこ楽しい! 城の庭広い!)】
声のした彷徨を見ると、ケルベロスは本来の大きさに戻り、兵士たちと追いかけっこをして遊んでいた。
兵士たちを追いかけるケルベロスは実に生き生きしていた。
「ケルベロス遊ぶのはいいけど、食い殺してはいけませんよ!」
【ワンワンワンワン!(ワハハハハ! 逃げろ! 逃げろ! のうさぎ共!)】
「「「ぎゃああああああっ!!」」」
ケルベロスが楽しそうに兵士を追いかけている。
今の彼には私の声は届いていないようだ。
気がつくとケルベロスに追いかけられる兵士の数は先ほどよりも増えていた。
ケルベロスが兵士を追いかけるのを見て、私はある閃きを得た。
この後、城全体に雷竜の電撃を放ってもらう予定だった。
雷竜の電撃には悪しき人間の魂を浄化させる効果がある。
雷竜の電撃を食らっても魂を浄化できなかった人間だけ、雷神一族に伝わる「生き物の魂を浄化する施設」に入れ、スペシャルハードコースを受けさせるつもりだった。
だがそれだけでは何か生ぬるい気がする。
リコ様にしてきたことがそんなに簡単に許されて良いのか? 否!
リコ様のことだけではない、奴らは不作で飢えに苦しむ民から多額の税金を搾取している。
奴らにはもっと重い罰が必要だ。
民が困窮していることに心を痛めている良識のある貴族は質素な装いを心がけ、王族に挨拶してすぐに会場をあとにしている。(良識のある貴族が帰ったあと結界を張った)
つまり会場に残っているのは、民が困窮していることを気にも止めない欲深い人間だけ。
そんな奴しかいないなら、ちょっとぐらい怖い目にあわせてもいいだろう。
「ケルベロス、君の親族を呼んでくれないか?」
【ワンワンワンワン!(フワハハハハ! 追いかけっこ楽しい!)】
だめだ。今のケルベロスには何を言っても届かない。
それなら勝手に、彼の一族に招待状を送っておこう。
『美味しいスイーツ食べ放題。
その後は城の庭で人間相手に楽しい追いかけっこができます』
そう手紙にしたためガーゴイルに持たせる。
「楽しいパーティーの余興になりそうです」
このあと城で起こることを想像したら、私は笑いが堪えられなかった。
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