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二章
30話「パーティージャック」ざまぁ開始
しおりを挟む私はケットシーの一族を引き連れパーティー会場に乗り込み、パーティーをジャックした。
「このパーティーは我々がジャックしました。
死にたくなかったら動かない方がいいですよ」
突如現れた我々に会場は騒然となる。
客たちの反応は様々だ。泣き叫ぶ者、怒り出す者、何が起こったかわからずパニックになる者、ただ呆然と立ち尽くす者……などなど。
二足歩行の猫など大したことないと思ったのか、一部の人間が襲いかかってきた。
みぞおちに一発入れて、す巻きにして窓から吊るしておいた。
ここは三階だ。人間がこの高さから落ちたらひとたまりもない。
人間を外に放り投げられるように、ケルベロスに頼んで宮殿に張った結界を一時的に解いて貰っている。(城壁に張った結界はそのままなので場外に出ることは出来ない)
神話に登場する生き物を馬鹿にしないほうがいい。
人間一万人が同時に襲いかかってきても、ケットシー一匹で余裕で返り討ちに出来るのだから。
結界の変わりにケットシーの一族と、一族に従う猫たちが会場の出入り口を固めている。
見た目が普通の猫だからといって侮らない方がいい。
ケットシーの眷属になった猫は、そのへんにいるライオンや虎より強いのだか。
「抵抗する人間は全員、彼らと同じ目に合わせます。
うっかりして地面までの距離よりロープを長くしてしまうかもしれません。
それでも構わない方はかかってきてください」
そう言って脅すと、人間たちはようやく大人しくなった。
「ケットシーの一族は会場の料理を運び出してください。
猫たちはそのまま待機。
人間はその場から動かないでください」
会場に配置されていた料理を、親族に運び出させる。
鴨のコンフィ、舌平目のムニエル、ガレット、キッシュロレーヌ、オニオングラタンスープ、ムール貝の白ワイン蒸し、ラタトゥイユ、パテドカンパーニュ、ローストチキン、タルタルステーキ、ブイヤベース、クロックムッシュ……良い匂いです。
ご主人様とコルト様にも食べさせてあげたかった。
「待て! 料理をどうする気だ!」
会場の中でひときわ派手な服を着た若い男が、運び出される料理を恨めしそうに眺め喚いている。
事前に調べてある。こいつはこの国の王太子で、王子時代にリコ様を馬車馬のように働かせ、用が済んだらリコ様を借金のかたに辺境伯に売ろうとしたゲス野郎だ。
そして王太子の隣りにいる派手なドレスを着た小柄な娘が王太子妃だ。
リコ様の婚約者だった王子を寝取り、リコ様に暴言を吐いた阿婆擦れだ。
こいつらにはリコ様がとりわけお世話になったようだから、特別な罰を与えなくては。
「貧民街にいる民に分け与えます」
スイーツだけはケルベロスへのご褒美としてこちらで頂きますけど。
カヌレ、クリームブリュレ、チョコレートタルト、チョコレートムース、洋ナシの砂糖漬けとアイスクリームのチョコレートソース、アップルパイとパンプキンパイ、桃のタルトと木苺のタルトといちじくのタルト、プディング、紅茶のシフォンケーキ……ケルベロスの好物ばかりです。
「なんてもったいないことをするの!」
「貧民なんか飢えさせておけばいいんだ!」
王太子妃と王太子が揃って吠えている。
こいつらは人間のクズだな。
「言い忘れてましたが、城の大金庫のお金と食料庫の食べ物も我々が頂きました。
王族の借金を返済するために税金を五倍にし、不作に苦しむ民から巻き上げたお金と食料ですから、彼らに返しても問題ありませんよね」
王族の借金の原因は王太子と王太子妃の浪費。
この二人には他の人間より重い罰が必要だと思う。
「勝手な事をするな!
民が王族を支えるのは当然だろ!
俺が異世界から聖女を召喚してやったから、国中の瘴気が浄化されたんだ!
瘴気の浄化代だと思えば安いもんだろう!」
「そうよ! そうよ!」
王太子と王太子妃が吠えている。
瘴気の浄化をしたのはお前らじゃない、リコ様だ。
瘴気を浄化した功績を自分のものにし、偉そうにふんぞり返っている王太子と王太子妃に吐き気がした。
「王太子、並びに王太子妃、発言には気をつけてください。
私はあなた方を殺したいほど嫌いなので」
私は爪を鋭く伸ばし、ネズミを狩るときの目で王太子をにらみつける。
「ひっ……!」
王太子はその場にへたり込み、おしっこをもらした。
「な、なななな……情けないわね!
に、二足歩行の猫相手に……お、おおおお……おもらしなんかして……!」
王太子妃はがだがだと全身を震わせながらも、なんとか耐えている。
コルト様から聞いた話だと王太子妃はリコ様に、
「殿下がリコ様と結婚する前に瘴気の浄化が終わって良かったですわ。
だって瘴気を浄化するしか能がない、品性もない、教養もない、身分も低い、年増のおばさんと結婚するなんて殿下が可哀想ですもの」
と言ったらしいな。
リコ様がお許しになるなら、この女に一瞬で老婆になる呪いをかけてやりたい。
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