幼なじみに婚約破棄された僕が、隣国の皇子に求婚されるまで・BL・完結・第9回ＢＬ小説大賞、奨励賞受賞作品

七十八話「立花葵⑤」＊＊＊

ーー水の神子視点ーー


『やぁ、あっ、あっ♡　はぁ、激し……！ああっ♡　菊池せんせ……ああん♡　もっと……！』

三年に進級しても同じクラスだったイジメっ子のリーダーと、その取り巻きの二人。

「どうしたのエリカちゃん？　顔が真っ赤だよ？　もしかして親のセックスを見るのは初めてだった？」

こいつらは三人は「立花さんのお母さんて、いかがわしい仕事をしてるんでしょう？」「毎日違う男の人を家に上げてるの見たよ」「立花さんのお母さんは淫乱だってママが言ってたわ」と言って、ボクに嫌がらせをしていた。

「私のママはお金に困ってもそんなことしないわ！」とか言って笑ってたけど、ボクの母親より酷い。だってそうだろ？　お金に困ってないのに、夫以外の男に股を開くんだからさ。

母親が不倫している映像なんて見せられたら、ショックだろうね。

親を神聖視しすぎたよ、君たちの親が聖人君子で清いままだったら、どうやって君たちは生まれたのさ。

親だってひと皮剥けば性行為が大好きな獣。

いじめっ子のリーダーのエリカは泣きそうな顔をしていた。

神聖視していた母親が担任とセックスしてるんだ、それはショックだよね。

「ああそうだ、君たちの母親の映像もあるよ、見る？」

取り巻きの二人にそう言えば、真っ青な顔で首を横に振った。

「君たちさ、ボクの母親は誰とでも寝る淫乱だって言ったよね？　覚えてる？　でも君たちの母親も同じだよね。夫以外の男に股を開く痴女、いや担任と寝るなんてボクの母親より酷い、アバズレだ！」

三人組はボクと顔を合わせずにガタガタと震えている。

「エリカちゃんのパパって大企業の重役なんだっけ？　前に自慢してたよね、そんなパパの会社にこの映像を送ったらどうなるかな？」

「やめて……！」

エリカが泣きそうな声で叫んだ。

「大丈夫、エリカちゃんさえ言うことを聞いてくれたら送らないよ。誰もおばさんがセックスしてる映像なんて見たくないだろうからね」

ボクのスマホからは、まだエリカの母親が「あんあん」喘いでいる映像が流れている。おばさんの交尾動画なんて公害だよね。

「その代わりエリカちゃんも、椿ちゃんも、アザミちゃんもボクの犬になってよ」

ニコリと笑うボクとは対照的に、二人は青ざめた顔で目に涙を浮かべていた。


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