ループ三回目の悪役令嬢は過去世の恨みを込めて王太子をぶん殴る!完結

まほりろ

文字の大きさ
2 / 8

2話「ベルティーナ、調子はどうだい?」王太子視点




その後、僕は医務室で手当手をうけた。

幸い軽いけがで済んだ。

治療中もベルティーナのことで頭がいっぱいだった。
 
彼女のことをもっと知りたい。

そしてまたゴミを見る目で睨みつけてほしい。

殴ってほしい。

足蹴にもされたい。

彼女のヒールで踏まれたい。

僕の頭は彼女のことでいっぱいだった。

 




治療が終わると、父に玉座の間に呼ばれた。

玉座の間には父上と母上がいた。

父上と母上は僕が殴られたことにショックを受けているようだった。

父上は僕とベルティーナの婚約を破棄し、ベルティーナを一生塔に幽閉すると言っていた。

母上はベルティーナの身分を剥奪し市民用の牢屋に入れるとか、処刑するとか喚いていた。

それは困る!

そんなことされたら、彼女に会えなくなってしまう!

彼女ほど強烈に僕を憎しんでくれる存在はいない。

彼女は僕にとってかけがえのない存在なんだ!

ベルティーナを失ったら、殴ってもらえないじゃないか!

ピンヒールでグリグリされる夢が叶わないじゃないか!

僕は両親をなだめ、ベルティーナとの婚約をそのままにしてもらった。

僕の性癖を満たす為。

僕の幸せの為。

彼女とは絶対に婚約破棄しない!

してやるもんか!

あんな面白くて、僕の性癖を満たしてくれる女の子は、他にいない!!



◇◇◇◇◇◇◇



両親を説得し、なんとかベルティーナを僕の婚約者のままにしてもらうことに成功した。

僕はベルティーナが入れられている貴族用の牢屋に向かった。

ベルティーナと二人きりで会いたかったけど、何人か護衛をつけられてしまった。

まあ、あんなことがあったあとだから仕方ない。

僕はもう一度ベルティーナに殴られたいんだけどな。

ガゼボで左の頬を殴ってもらったから、次は右の頬を殴ってもらいたいな。

出来れば蹴りも入れてほしい。

もっと言うなら罵詈雑言を浴びせながら、僕をムチで叩いてほしい。

ろうそくをたらしながら、ピンヒールで背中を踏んでほしい。

はぁ……いつになったら彼女と二人きりで会えるんだろうか?

いつになったら、僕の夢を叶えて貰えるんだろうか?







そんな期待しながら、僕はベルティーナのいる部屋の扉を開けた。

貴族用の牢は、扉に中から開ける取っ手がついてないだけで来客用の部屋と同じ作りだ。

「やぁベルティーナ、調子はどうだい?」

僕がにこやかに笑いかけると、ベルティーナは「ちっ」と舌打ちをし、蔑むような瞳で僕を睨んできた。

はぁぁぁぁぁぁぁぁ……!!

そ、そのゴミを見るような視線がたまらない!!

もっとその視線を頂戴!!

僕の心臓がドキドキと音を立てていた。

「殿下は、私との婚約破棄を進める両陛下に、婚約を継続したいとおっしゃられたとか。
 私への気遣いはけっこうです。
 私はどんな罰でも受ける覚悟ができています。
 殿下、どうか婚約を破棄して下さい」

誰かが僕と両親の会話をベルティーナに告げ口したらしい。

ベルティーナは、彼女との婚約を継続したいと、僕が両親にお願いしたことを知っていた。

「えっ!? 嫌だよ!
 せっかく父上と母上に頼んで君との婚約を継続させたのに!!
 婚約破棄なんて絶対にしないから!」

「私は殿下に暴力を振るい暴言を吐きました。
 どうか処刑してください」

ベルティーナがそう言って僕に頭を下げた。

「それは無理だ!
 僕は君に殴られた瞬間、君を好きになってしまったんだ!
 今までの人生でこんなに心臓がドキドキしたことはなかった!
 僕は君の右ストレートに惚れたんだ!
 僕を興奮させたのは君が初めてなんだ!
 お願いだからまた僕の頬を殴って、口汚く僕を罵ってくれ!
 出来れば蹴り飛ばしてほしい!
 ヒールで踏んでほしい!」

話をしていたら鼻息が荒くなってしまった。

ベルティーナは僕の告白に困惑した顔をして、一歩後ろに下がった。

「はっ?! ええっ? で、殿下はマゾなんですか……!?」

ベルティーナは僕の言葉にドン引きしたようで、僕に冷たい視線を向けた。

彼女の凍てつくような視線が僕の心臓を射抜いた!

護衛がベルティーナを牽制しようと動いた。

僕はそれを手で制した。

「僕は生まれたときから王太子になるのが決まっていた。
 今まで誰にも暴言を吐かれたことがなかった。
 だから顔合わせの席で婚約者に蔑んだ瞳で睨まれ、グーで殴られ、暴言を吐かれるなんて夢にも思わなかった。
 殴られたり蔑まれたり暴言を吐かれるのがこんなに心地よいことを知ってしまった!
 僕をこの性癖に目覚めさせたのは君だ!
 僕から離れることは許さない!
 責任を取って一生僕を罵ってくれ!」

「ちっ、最悪……!」

ベルティーナが舌打ちをし、ぼそっと呟いた。

ふわぁぁぁぁぁぁぁ……!! ベルティーナにまた舌打ちされた!

ベルティーナに虫けらを見るような目で睨まれてしまった!

最高だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!

「それだよ!
 その視線を待っていたんだ!
 心底憎いって目で睨まれるのも、嫌そうな顔で舌打ちされるのも凄く心地良い!
 癖になりそうだ!」

ベルティーナが「きもっ」と呟いたが、僕は気にしないことにした。

僕はベルティーナに近づき彼女の手をきゅっと握りしめた。

「ベルティーナは僕のものだよ。
 絶対に放さないからね」

そう言ってニッコリと微笑んだ。

感想 1

あなたにおすすめの小説

転生した元悪役令嬢は地味な人生を望んでいる

花見 有
恋愛
前世、悪役令嬢だったカーラはその罪を償う為、処刑され人生を終えた。転生して中流貴族家の令嬢として生まれ変わったカーラは、今度は地味で穏やかな人生を過ごそうと思っているのに、そんなカーラの元に自国の王子、アーロンのお妃候補の話が来てしまった。

婚約破棄寸前だった令嬢が殺されかけて眠り姫となり意識を取り戻したら世界が変わっていた話

ひよこ麺
恋愛
シルビア・ベアトリス侯爵令嬢は何もかも完璧なご令嬢だった。婚約者であるリベリオンとの関係を除いては。 リベリオンは公爵家の嫡男で完璧だけれどとても冷たい人だった。それでも彼の幼馴染みで病弱な男爵令嬢のリリアにはとても優しくしていた。 婚約者のシルビアには笑顔ひとつ向けてくれないのに。 どんなに尽くしても努力しても完璧な立ち振る舞いをしても振り返らないリベリオンに疲れてしまったシルビア。その日も舞踏会でエスコートだけしてリリアと居なくなってしまったリベリオンを見ているのが悲しくなりテラスでひとり夜風に当たっていたところ、いきなり何者かに後ろから押されて転落してしまう。 死は免れたが、テラスから転落した際に頭を強く打ったシルビアはそのまま意識を失い、昏睡状態となってしまう。それから3年の月日が流れ、目覚めたシルビアを取り巻く世界は変っていて…… ※正常な人があまりいない話です。

悪役令嬢にざまぁされた王子のその後

柚木崎 史乃
ファンタジー
王子アルフレッドは、婚約者である侯爵令嬢レティシアに窃盗の濡れ衣を着せ陥れようとした罪で父王から廃嫡を言い渡され、国外に追放された。 その後、炭鉱の町で鉱夫として働くアルフレッドは反省するどころかレティシアや彼女の味方をした弟への恨みを募らせていく。 そんなある日、アルフレッドは行く当てのない訳ありの少女マリエルを拾う。 マリエルを養子として迎え、共に生活するうちにアルフレッドはやがて自身の過去の過ちを猛省するようになり改心していった。 人生がいい方向に変わったように見えたが……平穏な生活は長く続かず、事態は思わぬ方向へ動き出したのだった。

王国最強の天才魔導士は、追放された悪役令嬢の息子でした

由香
ファンタジー
追放された悪役令嬢が選んだのは復讐ではなく、母として息子を守ること。 無自覚天才に育った息子は、魔法を遊び感覚で扱い、王国を震撼させてしまう。 再び招かれたのは、かつて母を追放した国。 礼儀正しく圧倒する息子と、静かに完全勝利する母。 これは、親子が選ぶ“最も美しいざまぁ”。

未来の記憶を手に入れて~婚約破棄された瞬間に未来を知った私は、受け入れて逃げ出したのだが~

キョウキョウ
恋愛
リムピンゼル公爵家の令嬢であるコルネリアはある日突然、ヘルベルト王子から婚約を破棄すると告げられた。 その瞬間にコルネリアは、処刑されてしまった数々の未来を見る。 絶対に死にたくないと思った彼女は、婚約破棄を快く受け入れた。 今後は彼らに目をつけられないよう、田舎に引きこもって地味に暮らすことを決意する。 それなのに、王子の周りに居た人達が次々と私に求婚してきた!? ※カクヨムにも掲載中の作品です。

悪役令嬢ですが、今日も元婚約者とヒロインにざまぁされました(なお、全員私を溺愛しています)

ほーみ
恋愛
「レティシア・エルフォード! お前との婚約は破棄する!」  王太子アレクシス・ヴォルフェンがそう宣言した瞬間、広間はざわめいた。私は静かに紅茶を口にしながら、その言葉を聞き流す。どうやら、今日もまた「ざまぁ」される日らしい。  ここは王宮の舞踏会場。華やかな装飾と甘い香りが漂う中、私はまたしても断罪劇の主役に据えられていた。目の前では、王太子が優雅に微笑みながら、私に婚約破棄を突きつけている。その隣には、栗色の髪をふわりと揺らした少女――リリア・エヴァンスが涙ぐんでいた。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

婚約破棄してたった今処刑した悪役令嬢が前世の幼馴染兼恋人だと気づいてしまった。

風和ふわ
恋愛
タイトル通り。連載の気分転換に執筆しました。 ※なろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ、pixivに投稿しています。