異世界に転移したら王弟殿下に溺愛されました 私が伝説の女神ってマジですか?・完結

まほりろ

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四話「女神降臨」

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―レヴィン王子視点―



太陽が中天に近づいたころ。

「やばっ! 昼飯を馬車に置いてきてしまいました!」

湖のほとりから馬車までは、少し距離がある。

「すぐに取ってきます!」と言い残しドミニクは走り出した。

護衛が主を一人残し、馬車に弁当を取りに行くとはね。

しかし従者は一人。この場合の選択肢は弁当を食べずに我慢するか、ボクもドミニクと共に馬車まで歩くかだ。

どちらも嫌なので、ドミニクの選択は正しかったのかもしれない。

ここは亡くなった母の出身地のシェーンフェルダー公爵領、王都からはかなり離れている。

兄の側室が懐妊でもしない限り、シェーンフェルダー公爵家の領内で、血のスペアであるボクの命が狙われることはないだろう。

懐妊《かいにん》しても流産や死産、生まれてきた子が女の子である可能性もある。

祟りを恐れるような連中だ。子が生まれるまでは、王太弟のボクに迂闊うかつに手をださないだろう。

ここに一人で残されても暗殺される危険性は低い。だからこそドミニクもボクを残し馬車に戻った。

魚が釣れる気配がないので、ゴロリと横になる。ドミニクが戻るまで空でも眺めていよう。

「えっ……?」

一瞬、空がぶるぶると震えたような気がした。

空の一点がキラリとまたたき、何かが高速で近づいてくる。

いや、近づいてくる……というよりも落ちてくると表現した方が正しい。


「きゃぁぁぁぁぁぁああッッ!!」


耳をつんざくような悲鳴とともに、空から何かが降ってきた。


バッッシャァァァァァ――――ンッッ!!


その何かは湖に落ち、盛大な水しぶきを上げた。

今のは…………人?

見間違いだろうか? 人に翼は生えていないから空から落ちてくるハズがない。

もしかして天使…………? 翼を奪われた天使が空から降ってきた?


ザバァァーーッッ!! 


という音がして、湖の中から女が現れた。

「はぁ~~~~! 死ぬかと思った! なんなのよもぅ~~~~!」

肩まで伸びた漆黒の髪、黒曜石のような瞳、雪のように白い肌。

黒い髪に黒い瞳だと? 天使などではない! あのお方はもっと高貴なお方だ! あのお方は伝説の……。

「あっ、人がいた! よかったぁ~~! すみませ~~ん、ここって何県ですかぁ?」

屈託のない笑顔を浮かべ、少女がこちらに泳いでくる。

岸に上がった少女の姿にボクは唖然とした。ボクは少女からさっと目を逸らす。

なっ、なんて刺激的な格好をしているんだ!!

「聞こえないのかな? もしも~~し? はっ、もしかして金髪だから外国人! ここ外国なの!? えっと……、ハロー、ハロー?」

少女が時折意味の分からない単語を話しながら、こちらに歩いてくる。

ボクと少女の距離は数メートルまで近づいた。

あのお方は天から落ちたショックで、混乱しているのだろうか? それとも「はろー」とは天の国の言葉なのか?

それからあのお方は気づいてないのだろうか……自身が何も身につけていないということを……。

て、天界では皆服を着ないで過ごしているのか?

ボクはマントを脱ぎ、少女をなるべく視界に入れないように気を付けながら、少女にマントを差しだした。

「天界では皆そうなのかもしれませんが、ここは地上です。どうかこれを……」

少女がポカンとした様子で差し出されたマントを見ている、それから自身の体を確認し……。

「いやぁぁぁぁあああぁぁぁッッ!!」

悲鳴を上げその場にしゃがみこんだ。

どうやら自分が全裸であることに、気づいていなかったらしい。


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