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十一話「お城に着きました」
しおりを挟む―ヒロイン視点―
シェーンフェルダー公爵邸は白亜の壁に円錐形のお屋根の大きなお城だった。
庭の芝生や花壇は綺麗に管理されていて、薔薇園に色とりどりの花が咲いているのが見えた。
天井は体育館よりも高く、映画で見るようなシャンデリアが吊るされている。内装は荘厳華麗で、職人が真心こめて作りましたって感じの高級そうな家具が並んでいた。
私は白い家具の並ぶお人形の家みたいな部屋に通され、絵本のお姫様が着るようなフリルがたくさんついた桃色のドレスを着せてもらった。
髪も可愛く結ってもらい、首には大きな赤い宝石のついたネックレスをつけてもらう。
すごいビップ対応されてる。後でお金を請求されたりしないよね?
◇◇◇◇◇
着替えが終わるとレヴィン王子が部屋に入ってきた。
レヴィン王子の顔がほんのりと赤い。
ちょっとでも可愛いと思って貰えたら嬉しいな。
「あの、服を貸して下さりありがとうございます」
こんな豪華なドレスを着たのは初めてだから緊張してる。汚さないように気をつけないと。
「貸した訳でもありません」
「えっ?」
「この部屋は女神様のために用意しました。故にこの部屋にあるものは服も宝石も靴も全て女神様のものです。貸すという表現はふさわしくないかと」
「えっ……? ここが私の部屋? この部屋にあるもの全部私のものなの??」
「はい、どうぞご自由にお使いください」
日本にいたとき住んでたいた部屋の面積を全部足したより広いよ。こんな華美な部屋じゃ眠れないよ。
天蓋付きのベッドとか、壁に飾られた絵とか、棚の花瓶とか、いったいおいくら万円なの??
「あのそれで、私はこれからこの世界で何をすればいいのでしょうか?」
女神なんて言われてるけど私は普通の女の子。小説や漫画の主人公のようなチートな能力はない。
こんな豪華な部屋を使わせてもらうからには、働いて恩返ししないとね!
「あなた様には王都に行っていただきます」
そう言ったレヴィン王子の顔は少しだけ悲しげに見えた。心なしかお顔の色も悪いような?
「王都?」
「シェーンフェルダー公爵領から王都までは馬車で一週間。女神様はこの世界に来たばかりですので、しばらくはこの屋敷に住み身体を休めていただきます」
しばらくはここにいれるんだ。
「王宮からの使者が訪ねて来たら使者と一緒に王都に行き、そこで兄に……国王陛下に会っていただきたいのです」
「国王陛下に……? えっ、それだけですか?」
こんな立派なお屋敷に住まわせてもらえて、綺麗なドレスやアクセサリーを身に着けていいのに、仕事は王都に行って国王陛下に会うだけなの?
お掃除やお料理やお洗濯や針仕事なんかをして、働かなくてもいいの?
「はい」
レヴィン王子はそう返事をし、私からそっと視線を逸らした。
レヴィン王子の表情は憂いを帯びているように見えた。
「レヴィン王子……?」
「すみませんがボクはこれで、王都に行くのは早くて一カ月後になります。それまではこの屋敷にてゆるりとおくつろぎください」
レヴィン王子の瞳は哀愁に満ちたているように思えた。
レヴィン王子はうやうやしくおじぎをして、踵を返した。
「あの、レヴィン王子」
私が引き止めると、レヴィン王子はゆっくりと振り返る。
「王都に行くとき同行してくださると嬉しいです。私この世界に来たばかりで、知り合いはレヴィン王子とドミニクさんだけなので……一人で行くのは心細くて」
レヴィン王子が悲しそうに目を伏せる。
ややあって「ええ、もちろん」という答えが帰ってきた。
顔は笑っているのに、悲壮感が漂っていた。
「そう言っていただけると、心強いです」
もしかしてレヴィン王子は王都に行きたくない? 国王陛下ってレヴィン王子のお兄さんだよね? お兄さんと仲が悪いのかな? だとしたら悪いことをお願いしちゃったな。
「あの、女神様……」
「はい?」
女神様なんて呼ばれると照れくさいから、名前で呼んでもらいたいんだけどな。
「王都には………………いえ、やはりなんでもありません」
レヴィン王子はその場で一礼し、部屋を出ていった。
レヴィン王子、いま何を言おうとしたんだろう? 言いかけてやめられると余計に気になってしまう。
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