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2巻
2-3
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「おい! 痛ってぇな。なんだこれ、硬てぇな」
外見だけではなく、こいつら硬さまで石に擬態しているのか? 別のカエルを探そうとしたが、辺りにはすでに一匹もいなくなっていた。
「リツお兄ちゃん、何をしてるの? フォレストフロッグ、川に潜っちゃったよ」
ジョスリンから初めて冷ややかな視線を向けられる。何気にショックだ。もう今日はいいだろ? 俺はヘタレ、もうそれでいい。カエル狩りは終了だ。
「リツ! 離れろ!」
マチルダの焦った声で先ほどの極小フォレストフロッグに視線を戻せば、そこには石の擬態が解けて黄色の蛍光色に黒の水玉模様が広がった皮膚で覆われた極小フォレストフロッグの姿が露わになっていた。
「ぜってぇ毒ガエルだろ、これ!」
黒翡翠のような黒とグレーを帯びた目玉が俺にロックオン、筋肉質の後ろ脚に力を入れ勢い良く極小フォレストフロッグが俺に向かって跳ねた。
「待て待て待て」
極小フォレストフロッグがそのまま俺の顔に飛びついた勢いで、後ろへと倒れる。
カエルの生々しくヌルヌルとした柔らかい腹が顔に押しつけられ、全身に悪寒が走る。カエルを顔から引きはがそうとするが、がっちりと顔を掴まれ手こずってしまう。こいつ手の平に吸盤がついているのか? なんだよこの吸い付きは!
もぞもぞとカエルが腹を俺の顔に擦りながら移動を始めると、その顎が目の前に現れた。
――最悪の悪夢が現実になる。
そもそも俺がカエルを苦手な理由、それは子供の頃に田舎の親戚を訪ねた際、ウシガエルに顔を擦られたことが原因だった。
極小フォレストフロッグがゆっくりと頭を下げ俺を見下ろす。心なしかこの状況を楽しんでいるように、勝利の雄叫びにも似た大きなゲップ音を何度も出す。
ゲップ音が鳴るたびに、カエルの口の端についている泡が顔に降りかかってくる。
――このまま気絶したい。
「リツ、大丈夫か! 今そいつを取ってやるから。ジョスリンも手伝え!」
「う、うん」
駆けつけたマチルダがジョスリンとともにカエルを掴み引き離そうとするが、片手のマチルダと子供のジョスリンよりも、極小フォレストフロッグのくっついた吸盤のほうが強力なようだ。
ジョスリンが何度も極小フォレストフロッグの頭を叩くがビクともしない。
カエルと目が合うとヌルッとした舌を出し、そのまま俺の口の中に挿入された。
「やめ――おふぉ」
カエルの舌で口がいっぱいになる。
カエルとのディープキス……おい! 待て! この身体では俺は経験がまだない……ってことはこれが俺の初キスじゃねぇか!
「アーッアッアー(助けてくれー)!」
マチルダがカエルの首や腹を何度もナイフで刺すが、一向に離れてくれる様子はない。合流したメアリーも力の限りカエルを引っ張ってくれたが、俺の顔が伸びるだけだった。
「魔法で燃やせばいいかしら」
メアリーが恐ろしい提案をする。
「アーアアーアー!(そんなん、俺も燃えるだろ!)」
滑りと粘度の交じった生温かい舌が動く感触で何度もえずきそうになる。ヤバい、息ができねぇ。
「キュイ!」
転倒した時に川の中に落ちたキモイが、いつの間にか極小フォレストフロッグの頭の上から蝕手を高く掲げ、そのまま黒翡翠の目玉をくりぬいた。
目玉を失った極小フォレストフロッグは力が抜け、そのまま顔に覆い被さってきたので、カエルを掴み喉の奥まで達していたカエルの舌を口の中から引き抜いた。
(個体名キモイのレベルが1上がりました)
キモイのレベルアップの機械音が鳴る中、息をするのに必死で喘ぐ。
「おえっ。キ、キモイ……ありがとうな……」
キモイを抱きしめると抉り取ったカエルの目玉を差し出される。目玉は硬く宝石のように輝いている。カエルの身体の一部だと考えなければ綺麗だ。
「リツ、大丈夫?」
カエルを何度も刺した返り血が滴るナイフを手に持ったマチルダが心配そうに尋ねる。
「大丈夫……だと思う」
キモイを抱いたまま小さく呟く。
口の中には忌まわしい初キスの生々しい感触がまだ残っている。これ一生思い出すやつじゃねぇか……特定の記憶を抹消するスキルとかねぇのか?
ジョスリンが不安そうな表情で魔法生成した水を入れたコップを俺の前に差し出し、励ましの言葉をかける。
「リツお兄ちゃん、お水飲む? 顔からカエルが取れて良かったね。大丈夫だよ。口周りは少し腫れただけで怪我とかしてないよ」
「ありがとうな……」
ステータスを確認したが、特にHPにダメージはない。口も特に腫れた感触はないが、ジョスリンの水でうがいをして念のために治療をかける。内側には少し怪我をしていた。
メアリーが死骸と化した極小フォレストフロッグの足を持ち上げ、興味深そうに観察しながら言う。
「リツさん、凄いわ。これ、フォレストフロッグの珍しい極小の個体よ。実際に見るのは久しぶりね」
「そんなに珍しいのか?」
「姿をほとんど現さない種類よ。最後に捕獲されたのは三年前よ」
三年前に捕獲された同類のカエルは、緑と黒のマーブル柄で今回のより一回り大きい個体だったらしい。極小フォレストフロッグは成長とともに縮小と硬化を繰り返し、レベルが高くなるにつれはっきりした水玉模様が身体を覆うのが特徴だとメアリーに説明を受けた。
「これがあの幻のカエル? 話には聞いていたけど、実際に見るのは初めて。確か黒の水玉が綺麗な形のものほど高価だとライリーに聞いた」
「捕獲も困難だけど、長生きする個体はほぼ皆無と言われているのよ」
「これ、はっきりと黒の水玉模様が出ているから長生きした個体? いくらで取り引きされるだろう?」
マチルダがカエルの水玉模様を指でなぞり目を輝かせる。
「キモイちゃん、お手柄だね!」
腕の中にいたキモイがジョスリンに向け蝕手をビシッと上げる。なんとなくだが、キモイが誇らしげに胸を張っているように見えた。
「それじゃ、カエルを全て回収して今日はもう引き上げましょう」
メアリーが手に持っていた極小フォレストフロッグをそのまま俺に渡そうとする。
いらねぇ……。
鑑定にはきちんとカエルの死骸表示は出ている。頭の上に移動したキモイがプルプルと揺れる。そうだな。うん、そうだ。カエルはキモイの功績だ。
「キモイの獲物だ。食いたいなら食っていいぞ」
「ダメ!」
三人が声を合わせ叫ぶ。
売れば相当な価格で取り引きされるのにもったいないとメアリー、そしてマチルダに説教を受ける。ジョスリンには村に持ち帰って自慢するべきだと叱られた。
俺は正直、ただカエルの死骸をアイテムボックスに入れたくないんだが……。
「帰ったらお父さんに自慢するのが楽しみ!」
「ああ……」
仕方なくカエルをメアリーから引き取り、急いでアイテムボックスへと放り投げる。
「リツさん、今日はご馳走を作りますよ」
仕留めた他のカエルを運搬用の棒にくくりつけながら、メアリーが晩飯の話をする。
「いや、みんなのカエルも俺が持つから」
「いいの? これ、肉がいい感じに乗っていて重量がありそうだから助かったわ」
メアリーがうっとりしながらカエルを叩く。
――まさか晩飯、そのカエルじゃねぇよな?
全員のカエルをアイテムボックスに収納、俺以外の三人は終始ホクホクとした表情でフォレストフロッグ狩りからカーター家へと帰宅する。
◆ ◆ ◆
三人のカエルをアイテムボックスから出して部屋へと戻り、ベッドへとそのまま倒れる。
「精神的に疲れた……」
今日の記憶は全て抹消したい……できないだろうが。
キモイが背中に乗り小刻みに揺れる。
「気持ちいいなぁ」
「キュイ!」
持つべきものはキモイだな。揺れが電動マッサージ機のようで心地よくなり、そのままウトウトと眠ってしまう。
ドアがノックされ目が覚める。外は夕暮れ前で日が沈みかけている。数時間寝ていたのか。ドア越しに遠慮気味にマチルダが声をかけてくる。
「リツ。起きてる? 夕食ができたって」
わざわざ呼びに来てくれたのか?
晩飯か……確かに二階にまで美味そうな匂いが漂っている。欠伸をしながらマチルダに返事をする。
「ああ、今起きた。すぐに行く」
寝癖を直しクリーンをかけドアを開けると、俺の顔を見たマチルダが驚く。
「え? それ大丈夫なの?」
「何がだ?」
「口の周り、濃い痣ができているのだけれど……」
マチルダの持ってきた鏡で自分の顔を見れば、口周りを中心に顔のあちこちに内出血が広がっている。心なしか少し痒い。ステータスを確認するが特に何もダメージはない。だが、これではまるで――
「無数のキスマークみたい」
「頼むからこれ以上俺の精神を削らないでくれ」
治療をかければ、痒みは引いたが内出血の痕はうっすらと残った。
「さっきと比べると薄くなったかな。暗ければ見えないかもしれないけど、どうしても気になるなら隠す方法はあるわよ」
顔の痕を気にしていると、マチルダが部屋からコンパクトのようなものを持ってくる。
「なんだそれは?」
「ドーランよ。さ、座って」
「……化粧か? いや、そこまでしなくて――」
「いいからいいから、早く」
押し切られるようにベッドに座ると、マチルダが俺の顔に白いドーランを塗り始める。前の人生を含め、今まで化粧などした経験はない。
マチルダは冒険者をしながらも化粧品を持ち歩くって、ちゃんと女の子なんだな。
油っぽいドーランの香りと感覚が気になり、途中経過を鏡越しに確認する。
「水疱瘡の患者じゃねぇか……」
薄赤の痕が白い点に塗り替えられた顔を見ながら呟く。
「大丈夫。ちゃんとするから」
マチルダはそう言うとハケのような道具で俺の顔をなぞる。ハケが動くたびに顔がこそばゆく、くしゃみが出そうになる。ハケの動きが止まり、マチルダが俺の口元を凝視する。
「もういいか?」
「ええ。ほら、見て」
鏡に映る顔には、あったのすら分からないほど完全にまだらな痕が消えている。外見も特に化粧を施したようには見えない。これなら行けるだろう。
「マチルダ、すげぇな」
「そうかな……?」
「ああ、全く分からないぞ。助かった」
マチルダの口角が若干上がったような気がした。
一階へ下りると、カーターもすでに帰宅しておりテーブルを囲みながら親子で談笑していた。どうやら食事には手をつけずに俺を待っていたようだ。
「待たせてしまって申し訳ない」
急いで席に着き、メアリーが用意してくれた目の前のご馳走を見て止まる。美味しそうだが、微妙に鶏ではないので鑑定をしてみる。
【フォレストフロッグの串焼き】 良好
【フォレストフロッグのシチュー】 良好
【フォレストフロッグのハーブロースト】 良好
【フォレストフロッグのパスタ】 良好
やっぱりか! 並べられたカエル料理が美味しそうなのが余計に腹立つ。メアリーが作ってくれた料理だからさすがに食わないわけにはいかないだろ。
「それでは今日のみんなの成果に乾杯だな」
カーターがワインの入ったジョッキを上げ、乾杯の音頭を取る。俺も渡されたジョッキを上げ乾杯をした後にグビッとワインを飲み、喉を酸味の強いワインで潤す。テーブルに着いた俺以外の全員が我先にとカエル料理に手を伸ばすのを眺める。
見た目はちゃんと美味しそうだ……よし俺も食うか!
カエル料理を食うことへの気合を入れたところで、メアリーが俺のために用意したという一品をカウンターから運びながら申し訳なさそうに言う。
「リツさんのためにババードのハーブローストも焼きました」
「メアリー、ありがとう。わざわざ俺のためだけに作ってくれたのか? なんだか、その、申し訳ないな」
「遠慮はしないで。今回大量のお肉を持ち帰ることができたのも、リツさんがアイテムバッグで運んでくれたおかげですから。普通は重たくて全ては持ち帰れないのよ」
大勢で討伐しているなら別だが、普通は高値で売れる皮や目玉、それから希少部位の美味い肉を持てるだけ運ぶという。確かにメアリーたちが仕留めたカエルは軽く百キロ近くはあったのではないかと思う。
因みに脚部分が一番美味いらしい……。
「お母さん、私もこれ食べなくていい?」
ジョスリンが指差した野菜料理を鑑定すると、苦そうな名前のカブが表示された。
【ニガカブのソテー】 普通
「ジョスリン、何を言っているの? 好き嫌いできる余裕なんて辺境にはないわよ。それにニガカブはとっても身体にいいのよ」
「でもぉ……」
メアリーに怒られ、ジョスリンが俺をチラチラと見ながら駄々をこね続ける。隣にいるマチルダはなぜか責めるような目で俺を見ている。
確かに、俺だけ食わず嫌いオーケーの謎の免罪符があるのは理不尽だよな。
「俺もカエルを食うから、ジョスリンもニガカブをちゃんと食え」
皿に取り分けたカエルの串焼きはこんがりと焼かれ、実に美味そうに見える。
ごくりと唾を飲み、口にカエル肉を入れ咀嚼して飲み込む。
「……美味いな」
その味は想像していたものとは全く違い、悔しいが普通に食える。淡白な肉なので味つけがしやすいのか、癖もなく鶏だと言われても分からない。それなのに後味には濃い旨みが残り、次の肉へと手が伸びる。
膝上にいたキモイがおこぼれをくれとバンザイをするので、カエル肉の塊を与えると満足そうにプルプルと震えた。
「キモイちゃんも気に入ったの?」
「ああ。ほら、ジョスリンの番だ。ニガカブを食え」
ジョスリンがニガカブのソテーを口に入れ渋い顔をする。
そこまで苦いのか? 試しにニガカブを口に入れ、一度咀嚼してそのまま飲み込む。確かに苦く癖のある味だ。これは苦瓜の味を濃くした感じだな。
俺が苦い表情をするのを期待しながらワクワクした顔で待っているジョスリンに、得意顔で言う。
「これは大人の味だな。ジョスリンにはまだ分からない味だな」
「子供じゃないもん。それなら私のニガカブも食べてよ」
ぷぅと頬を膨らませたジョスリンは拗ねながら串焼きを頬張る。
カーターが笑いながらジョスリンの態度を軽く叱る。
「食事中なんだ。そんなにわがままを言ってはいけない」
「はーい」
平和な(?)食事が終了。ジョスリンは今日のカエル狩りで疲れが出たのか、食事の最後には椅子の上でゆらゆらと舟を漕いでいた。
食後にカーターが話があると言うので、ジョッキにワインを注ぎソファに移った。
「今日、リツさんにライリーから商人伝手で伝言を預かっている」
「そうなのか?」
どうやらこの国は商人に伝言を頼めるサービスがあるようだ。
「伝言は、ポーションの入手に予定より時間がかかっているのでリスタ村への到着が遅れるということだ。明確な予定の伝言はないが、数週間、下手したら一カ月の遅れは見ていたほうがいいだろう」
「分かった」
四肢が生えるポーションだ。その辺で簡単に買える物ではないだろう。マチルダも可哀想にな。その間は不便だろう。
俺はあと一カ月もこの村に滞在するか決めていない……。
俺の考えを先読みしたのか、カーターが言う。
「マチルダは自分たちが世話をするので心配しなくていい」
「ああ、可能な限り手伝うが、一カ月後もこの村にいるかは正直分からない」
「そうだな……寂しくなるが仕方ないな。ジョスリンもしばらくは落ち込むだろうが、まぁ大丈夫だろう。それまで仲良くしてやってくれ」
「ああ、もちろんだ」
酒を追加して二人で乾杯する。
「それはそうと、今日は大変だったと聞いた。珍しい素材が手に入ったと村中で専らの噂だった」
カーターが笑いながらジョッキのワインを飲む。村中で専らの噂? 狭いこの村での噂は確かに早いが、それでも噂がそこまで行き届くのには早すぎる。
「まだ数時間しか経っていないのだが……そんなに噂になっていたのか?」
「ああ、それはジョスリンがな……リツさんの寝ている間に村中にその珍しい素材を自慢していたのだよ」
「そ、そうなのか?」
あの時のか……。部屋に戻る前、カエル素材を手渡した時にジョスリンから極小フォレストフロッグの皮を貸してくれとお願いされて渡してはいた。カーターが言うにはジョスリンはスキルの大声で村中を一人パレードしながら極小フォレストフロッグの皮を見せびらかしたそうだ。
あの娘は何をやっているんだ……。
「ああ。そのまぁなんだ。リツさんも災難だったな」
「それは……どこまで噂をされているのだ?」
「全部だろうな」
あの娘、マジで何やっているんだ!
極小フォレストフロッグを狩った時にすでに他の冒険者に目撃されていただろうから、噂は時間の問題だっただろうが。それでもあの大声スキルで俺の災難を言いふらす必要はないだろ……。
カーターが申し訳なさそうに苦笑いをする。
「なんだかすまないな」
「どうせそのうち脚色した噂になっていただろうから構わないさ」
「そう言ってくれて助かるよ。それでだな、その噂を聞きつけた商人が早速買い取りの交渉をしたいそうだ。村を頻繁に訪れるバールの街の商人だから、信用はできる奴だ。明日にでも交渉したいと申し出が入っているがどうする?」
カエルの素材が売れるのなら文句はない。カーターが信用している商人なら問題もないだろう。それに俺も商人に相談したいことがあるしな。
「こちらも相談したいことがあるからぜひ買い取りの交渉をしたい」
「……そうか。思ったより早い別れになりそうだが……こればかりは仕方ないな」
カーターが苦笑いしながら再びワインをジョッキに注ぐ。
存在Aのことがある以上、奴への対策ができるまで一カ所に留まるのは迷惑なだけだ。ライリーたちが村へ戻るまで待とうと思ったが、それもいつになるのか未定なら出発できる時にするしかない。
まずはバールの街に向かう予定だ。そこはライリーたちの拠点でもあるから、また会うこともあるだろう。
「俺もこの村は好きだがいろいろあって、世話になっておいてなんだが長居はできない」
「世話になったのはこの村だ。リツさんのおかげで娘も村も無事なんだ。感謝しかない。ジョスリンとメアリーには私から伝えておくことにする」
「よろしく頼む」
正直、そういう話をするのは苦手なので助かる。
外見だけではなく、こいつら硬さまで石に擬態しているのか? 別のカエルを探そうとしたが、辺りにはすでに一匹もいなくなっていた。
「リツお兄ちゃん、何をしてるの? フォレストフロッグ、川に潜っちゃったよ」
ジョスリンから初めて冷ややかな視線を向けられる。何気にショックだ。もう今日はいいだろ? 俺はヘタレ、もうそれでいい。カエル狩りは終了だ。
「リツ! 離れろ!」
マチルダの焦った声で先ほどの極小フォレストフロッグに視線を戻せば、そこには石の擬態が解けて黄色の蛍光色に黒の水玉模様が広がった皮膚で覆われた極小フォレストフロッグの姿が露わになっていた。
「ぜってぇ毒ガエルだろ、これ!」
黒翡翠のような黒とグレーを帯びた目玉が俺にロックオン、筋肉質の後ろ脚に力を入れ勢い良く極小フォレストフロッグが俺に向かって跳ねた。
「待て待て待て」
極小フォレストフロッグがそのまま俺の顔に飛びついた勢いで、後ろへと倒れる。
カエルの生々しくヌルヌルとした柔らかい腹が顔に押しつけられ、全身に悪寒が走る。カエルを顔から引きはがそうとするが、がっちりと顔を掴まれ手こずってしまう。こいつ手の平に吸盤がついているのか? なんだよこの吸い付きは!
もぞもぞとカエルが腹を俺の顔に擦りながら移動を始めると、その顎が目の前に現れた。
――最悪の悪夢が現実になる。
そもそも俺がカエルを苦手な理由、それは子供の頃に田舎の親戚を訪ねた際、ウシガエルに顔を擦られたことが原因だった。
極小フォレストフロッグがゆっくりと頭を下げ俺を見下ろす。心なしかこの状況を楽しんでいるように、勝利の雄叫びにも似た大きなゲップ音を何度も出す。
ゲップ音が鳴るたびに、カエルの口の端についている泡が顔に降りかかってくる。
――このまま気絶したい。
「リツ、大丈夫か! 今そいつを取ってやるから。ジョスリンも手伝え!」
「う、うん」
駆けつけたマチルダがジョスリンとともにカエルを掴み引き離そうとするが、片手のマチルダと子供のジョスリンよりも、極小フォレストフロッグのくっついた吸盤のほうが強力なようだ。
ジョスリンが何度も極小フォレストフロッグの頭を叩くがビクともしない。
カエルと目が合うとヌルッとした舌を出し、そのまま俺の口の中に挿入された。
「やめ――おふぉ」
カエルの舌で口がいっぱいになる。
カエルとのディープキス……おい! 待て! この身体では俺は経験がまだない……ってことはこれが俺の初キスじゃねぇか!
「アーッアッアー(助けてくれー)!」
マチルダがカエルの首や腹を何度もナイフで刺すが、一向に離れてくれる様子はない。合流したメアリーも力の限りカエルを引っ張ってくれたが、俺の顔が伸びるだけだった。
「魔法で燃やせばいいかしら」
メアリーが恐ろしい提案をする。
「アーアアーアー!(そんなん、俺も燃えるだろ!)」
滑りと粘度の交じった生温かい舌が動く感触で何度もえずきそうになる。ヤバい、息ができねぇ。
「キュイ!」
転倒した時に川の中に落ちたキモイが、いつの間にか極小フォレストフロッグの頭の上から蝕手を高く掲げ、そのまま黒翡翠の目玉をくりぬいた。
目玉を失った極小フォレストフロッグは力が抜け、そのまま顔に覆い被さってきたので、カエルを掴み喉の奥まで達していたカエルの舌を口の中から引き抜いた。
(個体名キモイのレベルが1上がりました)
キモイのレベルアップの機械音が鳴る中、息をするのに必死で喘ぐ。
「おえっ。キ、キモイ……ありがとうな……」
キモイを抱きしめると抉り取ったカエルの目玉を差し出される。目玉は硬く宝石のように輝いている。カエルの身体の一部だと考えなければ綺麗だ。
「リツ、大丈夫?」
カエルを何度も刺した返り血が滴るナイフを手に持ったマチルダが心配そうに尋ねる。
「大丈夫……だと思う」
キモイを抱いたまま小さく呟く。
口の中には忌まわしい初キスの生々しい感触がまだ残っている。これ一生思い出すやつじゃねぇか……特定の記憶を抹消するスキルとかねぇのか?
ジョスリンが不安そうな表情で魔法生成した水を入れたコップを俺の前に差し出し、励ましの言葉をかける。
「リツお兄ちゃん、お水飲む? 顔からカエルが取れて良かったね。大丈夫だよ。口周りは少し腫れただけで怪我とかしてないよ」
「ありがとうな……」
ステータスを確認したが、特にHPにダメージはない。口も特に腫れた感触はないが、ジョスリンの水でうがいをして念のために治療をかける。内側には少し怪我をしていた。
メアリーが死骸と化した極小フォレストフロッグの足を持ち上げ、興味深そうに観察しながら言う。
「リツさん、凄いわ。これ、フォレストフロッグの珍しい極小の個体よ。実際に見るのは久しぶりね」
「そんなに珍しいのか?」
「姿をほとんど現さない種類よ。最後に捕獲されたのは三年前よ」
三年前に捕獲された同類のカエルは、緑と黒のマーブル柄で今回のより一回り大きい個体だったらしい。極小フォレストフロッグは成長とともに縮小と硬化を繰り返し、レベルが高くなるにつれはっきりした水玉模様が身体を覆うのが特徴だとメアリーに説明を受けた。
「これがあの幻のカエル? 話には聞いていたけど、実際に見るのは初めて。確か黒の水玉が綺麗な形のものほど高価だとライリーに聞いた」
「捕獲も困難だけど、長生きする個体はほぼ皆無と言われているのよ」
「これ、はっきりと黒の水玉模様が出ているから長生きした個体? いくらで取り引きされるだろう?」
マチルダがカエルの水玉模様を指でなぞり目を輝かせる。
「キモイちゃん、お手柄だね!」
腕の中にいたキモイがジョスリンに向け蝕手をビシッと上げる。なんとなくだが、キモイが誇らしげに胸を張っているように見えた。
「それじゃ、カエルを全て回収して今日はもう引き上げましょう」
メアリーが手に持っていた極小フォレストフロッグをそのまま俺に渡そうとする。
いらねぇ……。
鑑定にはきちんとカエルの死骸表示は出ている。頭の上に移動したキモイがプルプルと揺れる。そうだな。うん、そうだ。カエルはキモイの功績だ。
「キモイの獲物だ。食いたいなら食っていいぞ」
「ダメ!」
三人が声を合わせ叫ぶ。
売れば相当な価格で取り引きされるのにもったいないとメアリー、そしてマチルダに説教を受ける。ジョスリンには村に持ち帰って自慢するべきだと叱られた。
俺は正直、ただカエルの死骸をアイテムボックスに入れたくないんだが……。
「帰ったらお父さんに自慢するのが楽しみ!」
「ああ……」
仕方なくカエルをメアリーから引き取り、急いでアイテムボックスへと放り投げる。
「リツさん、今日はご馳走を作りますよ」
仕留めた他のカエルを運搬用の棒にくくりつけながら、メアリーが晩飯の話をする。
「いや、みんなのカエルも俺が持つから」
「いいの? これ、肉がいい感じに乗っていて重量がありそうだから助かったわ」
メアリーがうっとりしながらカエルを叩く。
――まさか晩飯、そのカエルじゃねぇよな?
全員のカエルをアイテムボックスに収納、俺以外の三人は終始ホクホクとした表情でフォレストフロッグ狩りからカーター家へと帰宅する。
◆ ◆ ◆
三人のカエルをアイテムボックスから出して部屋へと戻り、ベッドへとそのまま倒れる。
「精神的に疲れた……」
今日の記憶は全て抹消したい……できないだろうが。
キモイが背中に乗り小刻みに揺れる。
「気持ちいいなぁ」
「キュイ!」
持つべきものはキモイだな。揺れが電動マッサージ機のようで心地よくなり、そのままウトウトと眠ってしまう。
ドアがノックされ目が覚める。外は夕暮れ前で日が沈みかけている。数時間寝ていたのか。ドア越しに遠慮気味にマチルダが声をかけてくる。
「リツ。起きてる? 夕食ができたって」
わざわざ呼びに来てくれたのか?
晩飯か……確かに二階にまで美味そうな匂いが漂っている。欠伸をしながらマチルダに返事をする。
「ああ、今起きた。すぐに行く」
寝癖を直しクリーンをかけドアを開けると、俺の顔を見たマチルダが驚く。
「え? それ大丈夫なの?」
「何がだ?」
「口の周り、濃い痣ができているのだけれど……」
マチルダの持ってきた鏡で自分の顔を見れば、口周りを中心に顔のあちこちに内出血が広がっている。心なしか少し痒い。ステータスを確認するが特に何もダメージはない。だが、これではまるで――
「無数のキスマークみたい」
「頼むからこれ以上俺の精神を削らないでくれ」
治療をかければ、痒みは引いたが内出血の痕はうっすらと残った。
「さっきと比べると薄くなったかな。暗ければ見えないかもしれないけど、どうしても気になるなら隠す方法はあるわよ」
顔の痕を気にしていると、マチルダが部屋からコンパクトのようなものを持ってくる。
「なんだそれは?」
「ドーランよ。さ、座って」
「……化粧か? いや、そこまでしなくて――」
「いいからいいから、早く」
押し切られるようにベッドに座ると、マチルダが俺の顔に白いドーランを塗り始める。前の人生を含め、今まで化粧などした経験はない。
マチルダは冒険者をしながらも化粧品を持ち歩くって、ちゃんと女の子なんだな。
油っぽいドーランの香りと感覚が気になり、途中経過を鏡越しに確認する。
「水疱瘡の患者じゃねぇか……」
薄赤の痕が白い点に塗り替えられた顔を見ながら呟く。
「大丈夫。ちゃんとするから」
マチルダはそう言うとハケのような道具で俺の顔をなぞる。ハケが動くたびに顔がこそばゆく、くしゃみが出そうになる。ハケの動きが止まり、マチルダが俺の口元を凝視する。
「もういいか?」
「ええ。ほら、見て」
鏡に映る顔には、あったのすら分からないほど完全にまだらな痕が消えている。外見も特に化粧を施したようには見えない。これなら行けるだろう。
「マチルダ、すげぇな」
「そうかな……?」
「ああ、全く分からないぞ。助かった」
マチルダの口角が若干上がったような気がした。
一階へ下りると、カーターもすでに帰宅しておりテーブルを囲みながら親子で談笑していた。どうやら食事には手をつけずに俺を待っていたようだ。
「待たせてしまって申し訳ない」
急いで席に着き、メアリーが用意してくれた目の前のご馳走を見て止まる。美味しそうだが、微妙に鶏ではないので鑑定をしてみる。
【フォレストフロッグの串焼き】 良好
【フォレストフロッグのシチュー】 良好
【フォレストフロッグのハーブロースト】 良好
【フォレストフロッグのパスタ】 良好
やっぱりか! 並べられたカエル料理が美味しそうなのが余計に腹立つ。メアリーが作ってくれた料理だからさすがに食わないわけにはいかないだろ。
「それでは今日のみんなの成果に乾杯だな」
カーターがワインの入ったジョッキを上げ、乾杯の音頭を取る。俺も渡されたジョッキを上げ乾杯をした後にグビッとワインを飲み、喉を酸味の強いワインで潤す。テーブルに着いた俺以外の全員が我先にとカエル料理に手を伸ばすのを眺める。
見た目はちゃんと美味しそうだ……よし俺も食うか!
カエル料理を食うことへの気合を入れたところで、メアリーが俺のために用意したという一品をカウンターから運びながら申し訳なさそうに言う。
「リツさんのためにババードのハーブローストも焼きました」
「メアリー、ありがとう。わざわざ俺のためだけに作ってくれたのか? なんだか、その、申し訳ないな」
「遠慮はしないで。今回大量のお肉を持ち帰ることができたのも、リツさんがアイテムバッグで運んでくれたおかげですから。普通は重たくて全ては持ち帰れないのよ」
大勢で討伐しているなら別だが、普通は高値で売れる皮や目玉、それから希少部位の美味い肉を持てるだけ運ぶという。確かにメアリーたちが仕留めたカエルは軽く百キロ近くはあったのではないかと思う。
因みに脚部分が一番美味いらしい……。
「お母さん、私もこれ食べなくていい?」
ジョスリンが指差した野菜料理を鑑定すると、苦そうな名前のカブが表示された。
【ニガカブのソテー】 普通
「ジョスリン、何を言っているの? 好き嫌いできる余裕なんて辺境にはないわよ。それにニガカブはとっても身体にいいのよ」
「でもぉ……」
メアリーに怒られ、ジョスリンが俺をチラチラと見ながら駄々をこね続ける。隣にいるマチルダはなぜか責めるような目で俺を見ている。
確かに、俺だけ食わず嫌いオーケーの謎の免罪符があるのは理不尽だよな。
「俺もカエルを食うから、ジョスリンもニガカブをちゃんと食え」
皿に取り分けたカエルの串焼きはこんがりと焼かれ、実に美味そうに見える。
ごくりと唾を飲み、口にカエル肉を入れ咀嚼して飲み込む。
「……美味いな」
その味は想像していたものとは全く違い、悔しいが普通に食える。淡白な肉なので味つけがしやすいのか、癖もなく鶏だと言われても分からない。それなのに後味には濃い旨みが残り、次の肉へと手が伸びる。
膝上にいたキモイがおこぼれをくれとバンザイをするので、カエル肉の塊を与えると満足そうにプルプルと震えた。
「キモイちゃんも気に入ったの?」
「ああ。ほら、ジョスリンの番だ。ニガカブを食え」
ジョスリンがニガカブのソテーを口に入れ渋い顔をする。
そこまで苦いのか? 試しにニガカブを口に入れ、一度咀嚼してそのまま飲み込む。確かに苦く癖のある味だ。これは苦瓜の味を濃くした感じだな。
俺が苦い表情をするのを期待しながらワクワクした顔で待っているジョスリンに、得意顔で言う。
「これは大人の味だな。ジョスリンにはまだ分からない味だな」
「子供じゃないもん。それなら私のニガカブも食べてよ」
ぷぅと頬を膨らませたジョスリンは拗ねながら串焼きを頬張る。
カーターが笑いながらジョスリンの態度を軽く叱る。
「食事中なんだ。そんなにわがままを言ってはいけない」
「はーい」
平和な(?)食事が終了。ジョスリンは今日のカエル狩りで疲れが出たのか、食事の最後には椅子の上でゆらゆらと舟を漕いでいた。
食後にカーターが話があると言うので、ジョッキにワインを注ぎソファに移った。
「今日、リツさんにライリーから商人伝手で伝言を預かっている」
「そうなのか?」
どうやらこの国は商人に伝言を頼めるサービスがあるようだ。
「伝言は、ポーションの入手に予定より時間がかかっているのでリスタ村への到着が遅れるということだ。明確な予定の伝言はないが、数週間、下手したら一カ月の遅れは見ていたほうがいいだろう」
「分かった」
四肢が生えるポーションだ。その辺で簡単に買える物ではないだろう。マチルダも可哀想にな。その間は不便だろう。
俺はあと一カ月もこの村に滞在するか決めていない……。
俺の考えを先読みしたのか、カーターが言う。
「マチルダは自分たちが世話をするので心配しなくていい」
「ああ、可能な限り手伝うが、一カ月後もこの村にいるかは正直分からない」
「そうだな……寂しくなるが仕方ないな。ジョスリンもしばらくは落ち込むだろうが、まぁ大丈夫だろう。それまで仲良くしてやってくれ」
「ああ、もちろんだ」
酒を追加して二人で乾杯する。
「それはそうと、今日は大変だったと聞いた。珍しい素材が手に入ったと村中で専らの噂だった」
カーターが笑いながらジョッキのワインを飲む。村中で専らの噂? 狭いこの村での噂は確かに早いが、それでも噂がそこまで行き届くのには早すぎる。
「まだ数時間しか経っていないのだが……そんなに噂になっていたのか?」
「ああ、それはジョスリンがな……リツさんの寝ている間に村中にその珍しい素材を自慢していたのだよ」
「そ、そうなのか?」
あの時のか……。部屋に戻る前、カエル素材を手渡した時にジョスリンから極小フォレストフロッグの皮を貸してくれとお願いされて渡してはいた。カーターが言うにはジョスリンはスキルの大声で村中を一人パレードしながら極小フォレストフロッグの皮を見せびらかしたそうだ。
あの娘は何をやっているんだ……。
「ああ。そのまぁなんだ。リツさんも災難だったな」
「それは……どこまで噂をされているのだ?」
「全部だろうな」
あの娘、マジで何やっているんだ!
極小フォレストフロッグを狩った時にすでに他の冒険者に目撃されていただろうから、噂は時間の問題だっただろうが。それでもあの大声スキルで俺の災難を言いふらす必要はないだろ……。
カーターが申し訳なさそうに苦笑いをする。
「なんだかすまないな」
「どうせそのうち脚色した噂になっていただろうから構わないさ」
「そう言ってくれて助かるよ。それでだな、その噂を聞きつけた商人が早速買い取りの交渉をしたいそうだ。村を頻繁に訪れるバールの街の商人だから、信用はできる奴だ。明日にでも交渉したいと申し出が入っているがどうする?」
カエルの素材が売れるのなら文句はない。カーターが信用している商人なら問題もないだろう。それに俺も商人に相談したいことがあるしな。
「こちらも相談したいことがあるからぜひ買い取りの交渉をしたい」
「……そうか。思ったより早い別れになりそうだが……こればかりは仕方ないな」
カーターが苦笑いしながら再びワインをジョッキに注ぐ。
存在Aのことがある以上、奴への対策ができるまで一カ所に留まるのは迷惑なだけだ。ライリーたちが村へ戻るまで待とうと思ったが、それもいつになるのか未定なら出発できる時にするしかない。
まずはバールの街に向かう予定だ。そこはライリーたちの拠点でもあるから、また会うこともあるだろう。
「俺もこの村は好きだがいろいろあって、世話になっておいてなんだが長居はできない」
「世話になったのはこの村だ。リツさんのおかげで娘も村も無事なんだ。感謝しかない。ジョスリンとメアリーには私から伝えておくことにする」
「よろしく頼む」
正直、そういう話をするのは苦手なので助かる。
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